津芽湊の暗殺教室 『更新停止中』   作:ケチャップ

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旅行の時間

修学旅行当日

 

「そんじゃ、行ってくるねー♪」

 

ミナトは荷物をまとめ、学校に向かおうとしていた。

 

「気をつけて行ってらっしゃい」

 

「お土産よろしくねー」

 

祖母の八重野と姉の雪乃に見送られ家を出ようとした時、ミナトは大切なものを忘れていることに気づいた。

 

「そういえば、じいちゃんは?」

 

「じいちゃん?あー、今来たみたいだよ」

 

雪乃がそう言うと、奥から祖父の井武鬼がやってくる。

 

「ほれ、これを忘れるわけにはいかんのだろ?」

 

「あぁ、これだけは忘れちゃいけないからね」

 

ミナトは井武鬼からを手渡された剣道の竹刀を入れる袋を持ち家を後にした。

 

「じいちゃんミナトに渡したあれ何が入ってるの?」

 

「昨日、あいつが買い物から帰ってきた時、頼まれて作ったものじゃよ」

 

「ふーん」

 

雪乃はミナトが何故そんなものを持って行ったのか理解できずにいたが、ふと井武鬼の方を見たときその表情は珍しく笑顔だった。

 

(いつもはミナトに厳しいけど、本当は孫思いなんだよね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京駅から新幹線を使って京都へ向かうがE組はいつものように差別され、他のクラスはグリーン車だが普通車で向かっていた。だが、それでも彼らは彼らなりに京都までの旅を楽しんでいる。

 

「二人ともちゃんと持ってきたか?」

 

「もちろん、持ってきたぜ!」

 

ミナトの質問に岡島は、ゲーム機を差し出し答える。

 

「悪かったな千葉、無理言って」

 

「気にするな少しやってみたが、なかなか面白かったぞ」

 

そういって千葉もゲーム機を差し出し答える。

 

「そんじゃ、千葉のHR上げといきますか!」

 

ミナトの言葉と同時に3人は電源をつける。その光景を、女子3人は呆れつつも見ていた。

 

「まさか移動中もゲームやるとはね」

 

「でも凛香ちゃん、このゲームなかなか面白そうだよ?」

 

そういう倉橋は岡島のゲーム画面を覗き込んでいる。

 

「ねぇねぇ、岡ちんが使ってる武器って何?」

 

「これはスラッシュアックスっていって、なんと斧モードから剣モードに変形するんだ」

 

倉橋と岡島が楽しそうに話しているので、速水と片岡も不思議と興味が湧いてきた。その後、千葉のゲームを速水が、ミナトのゲームを片岡が覗き込んでいるといる不思議な光景になっていた。

 

「津芽君が使ってるのは…太刀?」

 

「そうそう!この武器見た目がすごくかっこよくてさー♪」

 

速水は片岡と楽しそうに話すミナトを見て、一瞬もやもやとした変な気分になった。

 

(なんか、すごく楽しそうに話してるな…)

 

「速水?」

 

「あ、ごめん少しぼーっとしてた」

 

速水は慌てて我に帰り千葉のゲーム機に目を向ける、そんな彼女の姿を目にした後、千葉はミナトの方に目を向けると何かを理解したが何事もなかったかのようにゲームを続けた。

 

「ヌルフフフフフ、この私がいれば千葉君のHR上げなんてあっという間ですね〜」

 

「殺せんせーさっきまでいなかったよね?」

 

ミナトの質問に殺せんせーは少し恥ずかしそうに答える。

 

「駅中スウィーツを買ってたら乗り遅れました。さぁ、そんなことより先生も加わりますよー」

 

 

 

パーフー

クエストが始まる時の特徴的な効果音がなる。今回のクエストのフィールドは極寒の地。すると殺せんせーが突然叫びだした。

 

「にゅやっ!先生ホットドリンク忘れました。誰か恵んでください‼︎」

 

「大丈夫だよ殺せんせー、スタミナ無くなるだけだし」

 

「クーラードリンク忘れたらさすがに大変だけどな」

 

「ずっとベースキャンプにいれば大丈夫だよ殺せんせーw」

 

岡島、千葉、ミナトに見捨てられ殺せんせーはショックでしばらく立ち尽くしていたが、ホットドリンクというアイテムが支給されている事を思い出し急いでアイテムボックスへ向かう。

 

「思わず叫んでしまいましたが、支給品があれば先生もちゃんとクエストに参加でき………にゅやーーーー‼︎全部なーーい‼︎」

 

「あ、ごめ〜ん殺せんせーw俺も忘れてきたから先に全部取っちゃったw」

 

 

結局そのクエストで殺せんせーの活躍が見ることはできず、終わるまでベースキャンプで待機していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後京都についたE組は京都タワーや京都水族館で修学旅行1日目を満喫し、宿泊先の旅館へたどり着いた。

 

しかし殺せんせーともう1人、それどころではなかったものが………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旅館に着くと殺せんせーは、ソファに座りグッタリしていた。新幹線とバスの乗り物酔いで今にも死にそうな顔をしていた。

 

「大丈夫?寝室で休んだら?」

 

岡野はナイフを振りおろしながら聞くが、殺せんせーは避けながら答える。

 

「いえ…ご心配なく、先生枕を忘れてしまったんで1度東京に戻ります…」

 

「あんなデカイ荷物持ってきて……枕忘れないでしょ……普通」

 

そう言うミナトも殺せんせーの隣でグッタリしていた。

 

「移動中にずっとゲームやってるんだもん、酔うに決まってるじゃん」

 

片岡に呆れ半分で言われ、ミナトはグッタリしながらも笑顔で答える。

 

「俺がゲームやってる時間は無敵でいられるんだ。ただ終わった後の反動が……ヤバイ…」

 

その言葉に呆れた片岡と速水は「「はいはい」」と言い、彼女達の隣で倉橋は苦笑を浮かべていた。

 

「ちょっと夜風あたってくる」

 

「作戦会議始まったら呼びに行くな」

 

千葉の言葉にミナトはりょーかいと手をひらひらと振りながら答え旅館の外に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃………

 

 

 

 

「いやー、お前らも修学旅行京都だったんだね」

 

「……ほんと奇遇ですね」

 

ミナトと雪乃にボコボコにされた不良高校生達は、人気の少ない廃倉庫に集まり中学生と見られる少年を中心に話していた。

 

「それで今日はどんな理由で俺たちを呼んだんですか?」

 

「あぁ、お前らが十数人で戦っても勝てなかった奴の話聞きたくてさ。つかお前の名前忘れたから…………最近食べた揚げパンって呼ぶね」

 

「…分かりました」

 

中学生と見られる少年は、ケラケラ笑いながら揚げパンと呼ぶことにした高校生を指差していた。揚げパンと呼ばれた高校生以外は、少年の発言に僅かに苛立ちを覚えていた。

 

それから高校生達のリーダーである揚げパンは、今までのミナトとの戦いの話を始める。

 

「ふーん、一度に15人も相手にしていき一つ切らさないとか、相当喧嘩慣れしてるね…まぁ予想通りだけどw」

 

少年はそう言うと腕を組み何かを考え込み始めた。その様子を見て疑問に思った揚げパンは問いかける。

 

「どうしたんですか?」

 

「いやー、久しぶりに同族にあった感じがしてさ。あと、お前らはもう手を出すな」

 

「……どうしてですか」

 

「わからないの?お前らじゃ弱すぎてそいつには勝てないからに決まってるじゃん」

 

その発言は、今まで抑えられていた高校生達の苛立ちを爆発させる。

 

「いい気になんなよ?」

 

「中坊が生意気なんだよ‼︎」

 

苛立ちを抑えられなくなった高校生達は、中学生に殴りかかっていた。

 

「バカ‼︎ やめろお前……ら」

 

揚げパンの仲間たちの攻撃は少年に届くこと無く、地面に叩きつけられていた。

 

「15人も相手に出来るのはそいつだけじゃないんだよ、バーカw」

 

そんな光景を目に揚げパンは恐怖を抱きながら再認識した。

 

 

(勝てるわけがないんだよこいつには…… 何でこんな奴が喧嘩ばかりしてるかわからねぇけど………椚ヶ丘中学3年A組鮫島海莉(さめじまかいり)こいつにはどうしたって勝てない…)

 

海莉は倒した高校生達を踏みつけ揚げパンに近づくと笑顔で言った。

 

「相変わらず揚げパンは賢明な判断だねー。まぁ1度俺に負けたから当たり前だけどwそれと俺はもうお前らとは組まない。好きなように生きなw」

 

海莉は次の標的を見つけたことを喜びケラケラと笑いだす。

 

「楽しみだなぁ〜♪いや、久しぶりだなw早く手合わせ願いたいね………津芽」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだ酔い冷めないなー」

 

ミナトは旅館の外で1人、夜風にあたりショッピングモールでの戦いを思い出していた。

 

(どうしたら集中が続くのかな?)

 

「あー分からん‼︎」

 

「ふぇ⁉︎びっくりしたー」

 

声のした方を見ると、そこには同じ班の倉橋が立っていた。

 

「あーごめんね?ちょっと考え事しててさ」

 

「ううん、大丈夫だよ。そろそ、作戦会議始まるってー」

 

ミナトが分かったと言って旅館に入ろうとしたとき、倉橋はミナトを呼び止め大胆な質問をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、津芽っちってさ……凛香ちゃんのこと好き?」

 


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