津芽湊の暗殺教室 『更新停止中』   作:ケチャップ

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お見舞いの時間

「今日から5月かー」

 

ミナトは自分の部屋の壁に掛けられたカレンダーを見て呟いた。

 

 

殺せんせーが地球を爆破させる3月まで…残り11ヶ月

 

「殺せるのかねーあの先生を」

 

ミナトはそう言うと自分のベットに戻っていった。以前喧嘩した時の怪我によりミナトは学校を休むことを余儀なくされたが、家にいる時間がすごく暇で苦痛に感じていた。

普段ならゲームが出来ると喜ぶところだが、先ほど祖父である井武鬼によってゲームは全て没収されたのだった。

 

「やっぱ名前と通り鬼だ、あのじじい」

 

そう言うとミナトは昨日烏間から送られたメールに目を通す。その内容は、今日から新しく外国語の臨時講師が来るといった内容だった。

 

しかし、それを鵜呑みにするほどミナトは鈍感ではない。

 

(この時期よりによってE組にやって来るなんてただの先生じゃないよな)

 

「まぁ、俺英語嫌いだし今日休めたのはラッキーだったな♪」

 

そう言うとミナトは、枕元に隠してあったゲーム機を手に取る。

 

「さすがのじじいでもここに隠してるとは…」

 

ミナトが言い終える前に、部屋のドアが開いた。

 

「シップ持ってきてやったぞ?湊」

 

そこにはミナトの祖父であり天敵でもある井武鬼がいた。

 

「はは…じいちゃん俺のシップはこいつだよ」

 

「ちゃんと休まんかバカ孫が‼︎」

 

そのゲームが二度と帰ってくることはなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

新しく来た臨時講師ビッチ先生の騒動も終わり、E組生徒達は放課後を迎えていた。そんな中、渚が帰る支度をしていた時学級委員長である片岡が声をかけてきた。

 

「ねぇ渚、今日津芽君のお見舞いに行かない?」

 

「いいけど…どうして?」

 

「今日もらったプリント大事なやつだから届けに行かないといけなくて、でも流石に女子1人っていうのもちょっとね…磯貝君は用事があるみたいだから代わりに私が殺せんせーに頼まれたの」

 

片岡はバツが悪いと言わんばかりの表情を浮かべ少し困った様子だった。

 

「うん!いいよ。僕も津芽君の具合気になるし、みんなにも声かけてみるね」

 

そう言うと渚はお見舞いに行くメンバーを探しに残っている生徒達に声をかけに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………津芽のお見舞い?」

 

「そうよかったら速水さんも一緒に来ない?」

 

渚が他のクラスメイトに声をかけている間、片岡は速水に声をかけていた。

 

「私は……いいよ」

 

「この後何か用事あった?」

 

速水は少し黙り込んでしまし、しばらく経って小さな声で答えた。

 

「私のせいで怪我させたようなものだもん……私が行っても………」

 

速水の言葉に片岡も何も返せなくなってしまった。

 

「ヌルフフフフフ、大丈夫ですよ速水さん‼︎」

 

「殺せんせー…いつの間に」

 

片岡と速水の側には、いつの間にか殺せんせーが立っていた。

 

「でも、私のせいで…」

 

「自分のせいで怪我を負わせた、ミナト君はそんな私のことを憎んでいるかもしれない………そう思っていますか?」

 

速水は自分の思っていたことを言い当てられ何も言えなかった。

 

「ヌルフフフフフ、なら行って本人に直接聞いてみましょう。それと、先生も一緒に行きます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少しして片岡、速水の元に渚がやってきた。

 

「速水さんも誘ったんだね片岡さん」

 

「うん、津芽君のこと心配してるみたいだったから」

 

「べ、べつに心配してるわけじゃないから」

 

速水はそう言ったが、彼女の本心を片岡と渚は何となく理解していた。

 

「ところで、渚のほうはどうだった?」

 

「一応3人集まったんだけど…」

 

「ん?」

 

渚の申し訳なさそうな顔に疑問を抱き、片岡は渚が連れてきた3人を見た。そこにいたのは岡島、カルマ、中村という善意でお見舞いに行くとは思えないメンバーだった。

 

渚が言うには彼らが、見舞いに賛同した理由は以下の通りだ。

 

岡島 「ミナトの見舞いも大切だが、俺が前貸した秘蔵の本を……いや何でもない」

 

カルマ 「部屋とか漁れば、面白そうなものが出てきそうじゃん?」

 

中村 「あいつの弱み握るにはちょうどいいから」

 

殺せんせー 「ミナト君の恥ずかしい秘密を暴いてやります!」

 

 

(((何で殺せんせーまでそっち側なの⁉︎)))

 

渚、片岡、速水の3人は岡島達と共に野望をかがける殺せんせーに突っ込んでいた。

 

「このメンバーじゃ津芽君、怪我悪化するかもね…」

 

渚の一言に片岡と速水の不安はより高まり、3人の心配は晴れるぬまま彼らはミナトの家へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてお見舞い組はミナトの家にたどり着いたが、その外観に驚きを隠せずにいた。

 

「本当にここであってるの?」

 

「殺せんせーの言う通りにきたからあってるはずだけど?」

 

中村の質問に渚は疑問を抱きながら答えた。それもそのはず彼らの目の前にはとても大きな門が建っていた

 

「ねぇ岡島、ミナトってお金待ちかなんか?」

 

「いやーそんな話は聞いたことないし、普通だよって言ってたぞ」

 

「へ、へぇ〜」

 

カルマでも目の前の光景に驚いたらしく、動揺を隠せなかった。

 

「先生もミナト君がこんなにすごい家に住んでるとは知りませんでした…」

 

殺せんせーの顔は今まで見たことのない表情だった。

 

「とりあえずインターホンあるから押したら?」

 

速水の声に渚は恐る恐るインターホンに手を伸ばしたが……ブニョン、ピンポーン♪彼の手より速い何かがインターホンを押した。

 

「殺せんせー!」

 

「渚君押すのに時間かけすぎです!」

 

そういう殺せんせーは僕らの1番後ろに隠れていた。

 

「殺せんせーが押したんだから、ちゃんと対応してよ!」

 

「にゅやっ⁉︎最初に押そうとしたのは渚君ですよ?」

 

殺せんせーは誰が見てもびびっているのが丸分かりだった。

 

 

「どちら様ですか?」

 

インターホンの向うからは老婆の優しい声が聞こえてきた。片岡は緊張しながらもしっかりと答えた。

 

「私たち津芽君のクラスメイトで、お見舞いに来ました」

 

「それはそれはどうもありがとう。今開けるので待っててください」

 

 

老婆が言い終えると同時に門が開き、そこには先ほどの声の主と思われる老婆が立っていた。

 

「初めまして皆さん、津芽湊の祖母の津芽八重野(ツガヤエノ)と申します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

殺せんせーが押したインターホンは、ミナトの部屋にも聞こえていた。

 

(誰か来たのかな?)

 

しかし自分には関係ないと言い聞かせ、ミナトは布団に潜り込んだ。そしてしばらくすると……

 

「湊、クラスの友達がお見舞いに来てくれたよ」

 

と一階から八重野の声が聞こえた。

 

「はーい……はぁ⁉︎」

 

ミナトはこの時すごく嫌な予感がしていた。

 

(見舞いに来るのは悪いことじゃないけど、さすがに俺にも来てほしくない人はいる。 頼むあいつらだけは来ないでくれ!)

 

 

急いで玄関に向かいお見舞いに来たメンバーを見たとき、ミナトは初めて学校を休まなければよかったと後悔した…

 

(よりによって来て欲しくない奴全員かよ……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んでお前らお見舞いってどう意味なのか知ってる?中村答えて」

 

「えっと…怪我した人を慰めたり、安否を確認することかな?」

 

今、怪我人のミナトは自分の前にカルマ、岡島、中村、そして殺せんせーを正座させ説教していた。

 

「あのカルマ君が正座して説教受けてるなんて」

 

「どんだけ怖いのよあいつ」

 

渚と速水は目の前の光景を見て、ミナトの怖さを思い知った。

 

「岡島、お前は俺に秘蔵のエロ本を貸したって言ったよな?」

 

「はい…」

 

「俺、そんなのお前から借りたっけ?」

 

「いいえ…」

 

「本当の目的は?」

 

「ミナトが隠しているであろうエロ本を、探し出すためであります!」

 

「よし、お前は関節攻めの刑な?」

 

そう言うと、ミナトは岡島に飛びかかり関節を決めた。

 

「ミナト‼︎マジ入ってるから解いてー‼︎」

 

「うるせー!俺がいつお前からエロ本借りんだよ!」

 

ミナトが岡島に関節技を決めている横では、殺せんせーが片岡に怒られていた。

 

「殺せんせーは先生なんですからもっとしっかりしてください!家に上がるなりマッハ20で津芽君の部屋に侵入するなんて」

 

「にゅ…すいません…」

 

「あ、殺せんせーがどんどん小さくなってく」

 

「片岡も、あれはあれで怖いよね」

 

渚と速水は、殺せんせーと片岡の立場が逆だと思い苦笑を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋の時計が鳴り、時刻は6時を迎えていた。

 

「もうこんな時間か」

 

「ねぇミナト、ご飯とかないのー?」

 

岡島が言うと、カルマが続けていってきた。

 

「仕方ねぇな…今ばあちゃん出かけていないから簡単なものしか作れないけど、お見舞いのお礼ってことで食べてけよ」

 

そう言うとミナトは台所へ向かった…が足を止め振り返り、声をかけた。

 

「渚と片岡と速水、出来ればそいつら見張っててくれない?」

 

「片岡さんだけで大丈夫だと思うよ、津芽君」

 

渚がそう言うと、片岡に怯える殺せんせーが必死になってカルマと岡島を抑えていた。そんな光景を目にミナトが安心感を抱いていると、速水が申し訳なさそうな顔をしつつ歩み寄ってきた。

 

 

「あのさ津芽、私も料理できるけど手伝おうか?」

 

「いやー大丈夫だよ すぐ出来るから速水も待ってて」

 

そう言ってミナトは台所へ入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(やっぱ私嫌われてんのかな…)

 

手伝いを断られた速水の不安は膨らみ寂しげな表情を浮かべていた…

 

その様子を片岡は殺せんせー達を抑えながらも心配そうに見ていたのであった。

 

 

 


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