津芽湊の暗殺教室 『更新停止中』   作:ケチャップ

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お待たせしました! 前代未聞かは分かりませんが、ケチャップ、invisibleさん、トランサミンさんの3人で行われるコラボ回です‼︎

前編はケチャップが担当します。
東京で行われたオフ会の時にやることが決定したこの企画。読者の皆様に楽しんでもらえれば幸いです!

それではどーぞ♪


新年コラボ企画『殺執事』 前編

太陽の暑さがうっとおしく感じる夏のある日のこと

 

 

「暇だなぁ……溜まってたアニメもほとんど見終わったし、聖地巡礼にでも行こうかな〜」

 

ミナトはそんなことを呟きながらパソコンで沼津市について調べていると、何者かの視線を感じゆっくりと窓の外に目を向ける。

 

「にゅやぁ〜」

 

そこには窓に張り付く殺せんせーの姿があった。月を破壊し、来年には地球を破壊すると宣言したタコの様な外見の担任が突然来訪したことに、ミナトは冷静な対応が出来ず驚きのあまり椅子から転げ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

「で?何しに来たの殺せんせー?」

 

麦茶を飲み、クーラーから送られてくる冷風をその身に受け、満足げな表情を浮かべる殺せんせーに呆れつつミナトは問いかけた。

 

「実はミナト君に頼みたいことがありまして…」

 

「殺せんせーが?俺に?」

 

「恥ずかしい話ですが、今現在金欠で給料日までの生活が厳しいのです」

 

「そう言えば金鯱の新しい動画まだ見てないや」

 

「にゅやっ‼︎ま、待ってくださいミナト君‼︎先生の話を最後まで聞いてください‼︎」

 

パソコンに向かおうとするミナトを殺せんせーは涙を流しながら必死で引き止める。ミナトは嫌々な表情を浮かべ深くため息をつくと、冷めた目つきを殺せんせーに向けた。

 

「一応先生なんだからさ、生徒からお金を借りるとかダメだと思うよ?」

 

「一応って何ですか!こんな外見でも立派な教師です‼︎」

 

「立派な教師は部屋の窓から入ってこないと思うよ?」

 

「にゅ………」

 

ミナトの正論に殺せんせーは言い返すことが出来ず少しずつ小さくなっていった。

 

「それで?俺に頼みたいことって何?」

 

かわいそうに思い始めたミナトはことの用件を殺せんせーに問いかけた。

 

「実は先生、今日一日限定で執事喫茶を起業することになりまして」

 

「ふーん…………………はぁ⁉︎」

 

「何に驚いているんですかミナト君?」

 

「いやいやそもそも殺せんせーが起業するのも可笑しいし、何で羊喫茶なの⁉︎」

 

「ミナト君、羊ではなく執事ですよ?」

 

「そんな小さな間違いは今指摘しなくていいんだよ‼︎」

 

殺せんせーに間違いを指摘され恥ずかしさのあまり赤くなるミナトに、殺せんせーはニヤニヤと眺めドヤ顔で答えた。

 

「去年、東京で行われたオフ会で決まりました」

 

「発言がメタい‼︎‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、殺せんせーから起業することについての話をミナトは終始呆れ顔のまま一通り聞き終えた。

 

「じゃあ、殺せんせーが起業することに関して問題は何もないんだね?」

 

「はい、今回はコラボなので基本何でもオッケーです」

 

「だからそういう発言はするな‼︎でも、俺だって暇じゃないしタダでは手伝わないよ?」

 

「一言目に暇だなぁ…と言ってましたよね?」

 

「……気のせいだよ」

 

苦笑を浮かべ目線を逸らすミナトを殺せんせーはジト目で見つめる。しばらくしてやれやれといった表情を浮かべた殺せんせーは、普段の表情に戻し話し始めた。

 

「もちろん報酬も準備してあります。一つは宿題を減らすこと!」

 

「それは別にあってもなくてもいいかな…」

 

「ヌルフフフ、そう言うと思ってもう一つ用意しました。それがこちら‼︎」

 

殺せんせーが取り出したのは㊙︎と書かれた封筒。ミナトはその中身が何なのか見当がつかず首を傾げ問いかける。

 

「何それ?」

 

「速水さんの盗撮秘蔵写真です」

 

殺せんせーが答えた瞬間、ミナトはものすごい速さで封筒に手を伸ばすがそれよりも速く殺せんせーがミナトの手から封筒を逸らし死守した。

 

「ヌルフフフ、無駄ですね〜。最高速度マッハ20の先生から奪い取れるとでも思ったんですか?」

 

「確かに、無理ゲーだと思うけど……殺せんせーがそれを持ってるのはすごく困る‼︎」

 

「それでは執事喫茶、手伝ってくれますね?」

 

「………仕方ないから手伝うよ。けど、殺せんせーが凛香の写真持ってるのが許せないからであって、その写真が欲しいから手伝うんじゃないんだからね‼︎」

 

「男子のツンデレはちょっと……」

 

「はぁ⁉︎」

 

苦笑を浮かべる殺せんせーの言葉に対しミナトが怒鳴り声を上げると、部屋のドアが勢いよく開けられ不機嫌そうなミヤコが姿を見せた。

 

「いくら休日とはいえ……うるさすぎます!近所迷惑です‼︎」

 

「ミヤコさんお邪魔してます」

 

「来てたんですか殺せんせー」

 

「うるさくしてたのは謝るよ…でも聞いてくれよミヤコ」

 

「?」

 

 

 

 

それから殺せんせーが執事喫茶を1日限定で起業すること、ミナトがその手伝いをすることを聞いたミヤコは冷静に分析し答えた。

 

「執事喫茶の手伝いですか……流石に兄様1人では無理だと思います。殺せんせーが接客できるとは思えませんし」

 

「確かに……手伝いは俺1人だけなの?他にも磯貝とか前原とか向いてる奴いると思うけど」

 

「それならご心配なく!ミナト君の他に2人、強力な助っ人を呼んでいますので」

 

殺せんせーの言葉にミナトとミヤコが首をかしげると、殺せんせーは一冊の本を出し何やら儀式の準備を始めた。

 

「何やってんの殺せんせー?」

 

「持っているその本は……別次元の世界から人間を呼び出す方法……………いやいやそんなこと可能なわけ」

 

ミヤコが慌てふためきながらそう言うとボンッという音と共に、殺せんせーが床に描いた魔法陣が煙に包まれ二つの人影が現れた。

 

「げほっ……何がおきたの?」

 

「なっ⁉︎ノリオメーカーは⁉︎マジキチステージ作ってる途中だったのにー‼︎」

 

煙の中から現れた2人。

 

 

1人は見覚えのある金髪に紅い眼をした少年

 

「和生⁉︎」

 

「ミナト君!久しぶり♪」

 

 

もう1人は鋭い目付きに黒髪で、手にはWiiVのゲームパッドを持っていた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「クソー‼︎俺を家に返しやがれー‼︎」

 

 

 

「ヌルフフフ、召喚術は大成功ですね」

 

殺せんせーはミナトと再会し楽しそうに会話を弾ませる桜井 和生(さくらい かずき)と、家に帰らせろと文句を言う神栄 碧(かみさか あお)の姿を目に満足そうな笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

「「執事喫茶?」」

 

「ええ、今日1日限定で起業する執事喫茶の手伝いをしてもらいたくて、2人をこの世界に召喚しました」

 

ミナトとミヤコはこの世界に呼んだ理由を話す殺せんせーと、その話を聞きポカーンとしている2人を見ていた。

 

「それで殺せんせーが用意した報酬ってなんですか?」

 

しばらくして報酬の話になり、疑問に思った桜井が問いかける。

 

「報酬は宿題を減らすことです‼︎」

 

「「………………」」

 

得意げに話す殺せんせーに対し桜井と神栄は顔を見合わせた後、ため息をつきジト目で殺せんせーを見つめ返した。

 

「安っぽい報酬だな」

 

「宿題を減らすって…先生が出す報酬じゃないよね」

 

「ほほぅ〜」

 

殺せんせーはそう言うとミナトの時と同じように㊙︎と書かれた封筒を2人に手渡した。桜井と神栄は疑問に思いながらも封筒の中身に目を通すと慌てて視線をそらし、再びゆっくりと中に入っている物を眺めていた。

 

「兄様、あの㊙︎と書かれた封筒の中には何が入っているのですか?」

 

「………男子の夢とでも言っておくよ」

 

「……………………岡島さんが喜びそうですね」

 

こうして桜井と神栄も殺せんせーの執事喫茶を手伝うことになったのであった。

 

「ま、まぁ宿題は少ない方がいいからな」

 

「最近疲れ気味だから助かるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

殺せんせーは先に店の方に向かうと言ってミナトの部屋を後にし、ミナト、ミヤコ、桜井、神栄だけが残っていた。

 

 

「とりあえず自己紹介しようか。俺はミナトのこと知ってるけど神栄は知らないでしょ?」

 

 

しばらく沈黙が続いていた中、桜井の提案によりそれぞれの自己紹介が行われることとなった。

 

「それじゃまず俺から自己紹介するな。えっと……俺の名前は津芽 湊(つが みなと)趣味はゲームやアニメ鑑賞。とりあえずよろしく」

 

「じゃ次は俺の番。名前は桜井 和生(さくらい かずき)趣味は……凛香とデートすることかな」

 

 

桜井がそう言った瞬間、ミナトと神栄は度肝を抜かれた。

 

(和生の奴、さらっと彼女がいること言ったぞ)

 

(マジか‼︎さすが桜井だな…)

 

「ん?どうしたの2人とも」

 

「いや、何でもない……」

 

「和生はすごいなーって感心してただけだよ」

 

目線を逸らす神栄と苦笑いを浮かべるミナトに対し、桜井はわけがわからないよと首をかしげていた。

 

「それじゃ最後に………俺の名前は神栄 碧(かみさか あお)それと…その…俺にも……だな」

 

「神栄君は飛びっきり可愛い神崎って彼女がいるんだ」

 

「おまっ‼︎俺が頑張って言おうとしてたこと先に言うなよ‼︎」

 

「いつまでもうじうじしてるからだよ」

 

「はぁ⁉︎誰が超絶ヘタレだと⁉︎」

 

「そ、そこまで言ってないよ」

 

怒る神栄を抑える桜井を目にミナトはおもわず笑顔を浮かべた。

 

「どうしたのミナト君?」

 

「何だよ急に笑って」

 

「いや、何ていうか………2人は別の世界から来たけどすごい身近な存在に思えてさ」

 

「奇遇だねミナト君。俺も同じこと思ってた」

 

「まぁ、打ち解け合うのもこんなに早いしな」

 

 

早くも打ち解けあった3人は笑いあい、満面の笑みを浮かべていた。

 

「そうだ、お前も自己紹介しろよミヤコ」

 

蚊帳の外にいると思い込んでいたミヤコは突然の言葉に戸惑いを隠せずミナトに問いかける。

 

「よろしいのですか?私今回メインじゃないのですが」

 

「お前までメタ発言かよ…」

 

「メインとか関係ないよミヤコさん」

 

「仲間はずれにすんのもかわいそうだしな」

 

3人の優しさにミヤコも笑みを浮かべ、自己紹介を始めた。

 

「それでは自己紹介させていただきます。私の名前は津芽 都(つが みやこ)津芽ミナト兄様の妹です。それと…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自己紹介を終えミナトの部屋を後にしたミヤコは鼻歌交じりに廊下を歩いていた。

 

「兄様のお友達は親切な方たちですね。でも一人一人が抱えきれない闇を持ち、経験している。本当に助け合うことは素晴らしいことです」

 

そう言ってミヤコは携帯を取り出し、クラスのみんなが使っているトークアプリを開いた。

 

「とりあえず、あの人には兄様が執事喫茶を手伝うということをお伝えしなくてはいけませんね」

 

その時、彼女の頭にはあるはずの無い悪魔の角。そして悪魔の尻尾が生えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人は殺せんせーの執事喫茶へ向かっていた。

 

 

「はぁ…ミヤコの奴、自分の自己紹介で俺の爆弾投下しやがって」

 

彼女がいることをミヤコに暴露されたミナトは、自己紹介が終わってから現在まで深く落ち込んでいた。

 

「そんな気にすること無いよ。こっちの世界の凛香もすごく可愛いし、自慢の彼女でしょ?」

 

「それはそうだけど……やっぱり恥ずかしいんだよ」

 

「何だよミナトも結構ヘタレだな」

 

「ヘタレキングには言われたくないね〜」

 

「何だと⁉︎」

 

「はいはい、喧嘩はそこまで。殺せんせーの執事喫茶着いたみたいだよ」

 

 

桜井の言葉を気にミナトと神栄は言い合いを止め、目の前にある喫茶店に目を向けた。

 

「おお‼︎みなさん待ってましたよー‼︎」

 

殺せんせーの出迎えに国家機密が堂々と表に出るな‼︎というツッコミを心の中で留め3人は喫茶店の中に入った。

 

「内装はかなりオシャレだね」

 

「殺せんせーの執事喫茶だから少し不安だったけど」

 

「客を向い入れるぐらいのレベルで安心したぜ」

 

「ちょっとみなさんは先生に対してどんなイメージを持っているですか‼︎まったく……そんなことより‼︎」

 

殺せんせーがそう言って触手をペタタンと叩くと、目をキラキラと輝かせながら衣装ケースを3人の前に出した。

 

「執事喫茶なので服装はとうぜん執事服‼︎素材にも凝った先生の手作り衣装‼︎さぁさぁ早く選んでください‼︎」

 

数百着はある衣装を前にミナトと桜井は頭を悩ませていた。

 

「そんじゃ俺はこれ」

 

そんな2人よりも早く衣装を手に取った神栄は、着替えるために店の奥へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヌルフフフ、執事喫茶ですからお客さんは女性が多くなるはず……にゅやー‼︎開店が待ち遠しいです‼︎」

 

「着替えてきたよー!」

 

 

 

殺せんせーが振り返るとそこには執事服を完璧に着こなすミナトと桜井の姿があった。

 

「ヌルフフフ、2人とも見事に着こなしていますね」

 

「金髪に執事服とか……隣に立つのが申し訳ないぐらいなんだけど……」

 

「そんなことないよ。ミナト君もすごく似合ってるよ」

 

「そう?サンキュー和生♪」

 

「ところで神栄君はどこですか?」

 

「お待たせー」

 

店の奥から現れた神栄は何故かコックの服装だった。

 

「「何でそうなる⁉︎」」

 

「いやいや当たり前だろ。執事喫茶なら客は女性が多い。俺がウェイターになんてなれるわけがないね」

 

((自信満々で言うな‼︎))

 

腰に手を当て胸を張る神栄に苦笑を浮かべるミナトと桜井。そんな時は桜井は初めて神栄と会った時のことを思い出した。

 

「そういえば神栄君、あれから料理は………得意になったの?」

 

「バカにすんなよ?極上‼︎‼︎って叫びたくなる絶品料理を作ってやるぜ‼︎」

 

親指をグッと立てウインクをする神栄に対し、桜井は嫌な予感を感じつつも彼を信じることにした。

 

「どゆこと?」

 

2人のやりとりを理解できないミナトはハテナマークを頭に浮かべ首をかしげていた。

 

 

「それでは始めましょうか。本日限定の執事喫茶…………『殺執事』を‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

店のドアを開け、3人は表舞台に立った。

 

 

「「本日限定、執事喫茶『殺執事』オープンです‼︎」」

 

「らっしゃっせー」

 

「にゅやっ⁉︎神栄君もっとやる気を出してくださいよ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼らは1日限定で執事となり、絶品料理を提供するコックとなる。

 

 

その目的は宿題を減らすため、そして………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の彼女の盗撮秘蔵写真を手に入れるため‼︎

 

 




読んでいただきありがとうございました!
中編は明日の21時にinvisibleさんの方で投稿されますのでお楽しみに‼︎

この場を借りてinvisibleさんとトランサミンさんにお礼を言いたいと思います。 去年行われたオフ会でお二人に出会えたことはとても貴重な経験になりました。invisibleさんは学校終わりにも関わらず、私の仕事の都合で迷惑をかけてしまい本当にすみませんでした。トランサミンさんは初めてお会いした時、優しく話しかけてくれて人見知りで田舎者の私にとってすごく心強かったです。 また機会があればお二人にお会いしたいと思っております。

本当にありがとうございました!

それでは読者の皆様! 今年も私達の二次小説をよろしくお願いします! invisibleさんにバトンパスです。invisibleさんよろしくお願いします!

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