今回はE組サイドのお話です。オリジナルストーリーが苦手な作者なので上手くまとまっていないところもあるかもしれませんが、ゆるしてつかあさい
それではどうぞ!
殺せんせーからミナトが行方不明になっていることを聞かされたE組生徒達。誰もが驚きを隠せずにいる中、一番混乱していたのはミナトの彼女である速水だった。
「冗談ですよね殺せんせー…………ミナトが……ミナトが行方不明だなんて………」
「はやみん…」
その場で崩れそうになる速水を中村は慌てて駆け寄り支えると殺せんせーに目を向けた。
「現在、雪乃さんが率いる特殊部隊が捜索しています。ですが彼が最後に目撃された墓地には手がかりになるような物は一つもなく、捜索は行き詰まっている状態だそうです」
殺せんせーが申し訳なさそうな表情で答えると、速水は目に涙を浮かべ呟いた。
「あの時、私がミナトを追いかけていれば……」
速水が自分を責めるように今にも消えてしまいそうな声で言うと、ミヤコが彼女の肩に手を置き笑顔を見せて言った。
「速水さんのせいではありませんよ。兄様はきっと無事です。あの性格ですし…今もどこかで…けろっとしていますよ」
笑顔で言うミヤコだったがその声は少し震えており、彼女もまたミナトが行方不明ということに不安を抱いてることを速水は察した。
生徒達が不安に包まれていたそんな時、律の本体に一件のメールが送られてきた。死神のこともあり、生徒達は不安げな表情で律を見つめる。
「………差出人は不明です。ですがメールの文章からして、津芽君を誘拐した人物だと思います…」
律の一言で生徒達の表情は一斉に暗くなった。しかしそんな中、カルマがため息をついて言った。
「あの喧嘩バカはE組にいてもらわないと困るんだよね……ねぇ、寺坂?」
カルマの意図を理解した寺坂は真剣な表情を見せた後、耳をほじりながら答える。
「カルマの言う通りだ。あいつがいないとタコ殺す確率がガクッと下がるからよ。それに今までの借りも返さないといけないしな」
2人の言葉に生徒達は次第に顔を上げていった。
ミヤコと速水も、不安を抱えながらも真っ直ぐと律の方へ目を向けていた。
「……動画が添付されています。事前に確認しましたが………心の準備はよろしいですか?」
ミナトに危機が迫っているなら必ず助け出す。生徒達全員が同じ思いでいたが、律が再生した映像を目にその意志は呆気なく砕け散った。
『がっ!ぐっ……ぐぁぁぁぁぁぁぁあああ‼︎』
『オイオイこの程度でくたばるなよ?』
『な、何でこんな…こと…』
『父ちゃんに逆らう奴はこうやって叱られるんだ。分かるだろ?』
『も、もうやめて……お願いします‼︎……やめてください‼︎‼︎』
『だ〜め〜だ』
『ぎぃやあぁぁぁぁあぁああぁぁあぉぁあ‼︎』
『見ての通り、大事なクラスメイトは俺達が預かってる。場所は死神が以前使っていたアジト。助けるか助けないかはお前達にしだいだ』
1分もない動画。何故ミナトがあんな目に遭っているのか、誰がミナトにこんな事をしているのか、生徒達は動画内で行われていた非道な行為に言葉を失い疑問を抱くことすら出来なかった。
椅子に座ったまま固定されるミナトを、見覚えがある男が狂気の表情を浮かべナイフを何本も突き刺していく。激痛から逃れるためミナトは叫び続けることしか出来ず、そんなミナトを眺めていた男は快感を覚えたのか、笑みを浮かべながら再びナイフを突き刺していた。
「…何なんだよこれ」
そう呟いた岡島の表情に普段の明るさは無く、それは周りの生徒達も同じで彼の言葉に答える者は誰1人いなかった。
ミヤコは顔を俯かせており、そんな彼女を心配した奥田と神崎が宥めている。他の女子達も先ほどの映像を思い出し涙を流す者もいた。
しかしその中でも速水は涙を流すこと無く椅子に座り、一言も喋らず下を向いていた。髪の隙間から見える目に光は無く、絶望を通り越した言葉で言い表せない感情を抱いている彼女に誰も声をかけることが出来なかった。
「くそ‼︎誰なんだよあいつは‼︎」
前原が苛立ちを抑えきれず机を蹴飛ばすと、竹林が怒りのこもった声で答えた。
「動画の中でミナトに暴力を振るっていた男は、自分の事を父ちゃんと言っていた。おそらくあの人だろう」
鷹岡 明
かつての体育教師、そして生徒達にウイルスを盛り殺せんせーを殺そうとした狂人の顔を思い浮かべ、前原や竹林を始め、他の生徒達も抱いてはいけない種類の殺意を抱いていた。そんな生徒達の頭に殺せんせーは触手を置き、冷静さを取り戻させてから言った。
「ミナト君は必ず私が助け出します。だから皆さんはここで待機して…」
「ふざけんな‼︎」
大声で殺せんせーの言葉を遮った寺坂は、そのまま殺せんせーの目の前に来るとネクタイを掴み、威圧するような目を向けて言った。
「待機だと⁉︎俺等も助けに行くに決まってるだろ‼︎
あのクソ野郎をぶっ飛ばしてやりたいし、喧嘩バカにも言いたい文句が山ほどあんだよ‼︎」
「寺坂君……」
殺せんせーが寺坂から視線を目の前に移すと、他の生徒達も覚悟を決めた表情でこちらを見ていた。
「南の島であのデブと渚君が勝負してるとき、ずっと参加したいと思ってからさ……今回は俺がぶっ飛ばしてもいいよね?」
「南の島の時も体育祭の時も、ミナトには助けてもらってばかりだった。だから今度は俺たちが助ける番です」
殺気を放つカルマに続いた磯貝の言葉と生徒達の強い意志に殺せんせーは覚悟を決め答えた。
「分かりました。敵はミナト君をあんな目に合わせた連中です。今までで一番危険な状況になることが予想されます。君達のことは先生が守ります!だから無理だけはしないと約束してください」
「「「「「はい‼︎」」」」」
生徒達は大きな声で返事をすると烏間や泉、イリーナに武器を支給してもらうため、戦いの準備をするため教室を出て行った。
そんな生徒達の姿を目に、殺せんせーは未だ動かず下を向いている速水に声をかける。
「速水さん、あなたはここで待っていてください。場合によっては先ほどよりも酷い状況の彼の姿を目にするかもしれません。ミナト君は必ず助け出します、だから」
「…………………………」
殺せんせーの言葉に速水はピクリとも反応しなかった。彼女の精神面を案じ、真琴に彼女を診ていてほしいと頼みに向かおうとした時、ミヤコが険しい顔つきでこちらに近づき速水の目の前で立ち止まった。
「先に謝っておきます……ごめんなさい」
「……?」
言葉の意味が理解できず速水がゆっくり顔を上げると、ミヤコは彼女の頬に力一杯ビンタを喰らわせた。
「いつまでそうしてるつもりですか‼︎」
パァンという何かを打ち付ける音、そしてミヤコの怒鳴り声を聞いた生徒達は、慌てて教室に戻ってきた。
「兄様があんな目にあって辛くなる気持ちも分かります。でもそれはあなただけじゃない‼︎私だってそうです………兄様を大事に思っているのはあなただけじゃない‼︎」
速水に怒鳴りながらもミヤコは涙を流しており、そんな彼女の姿を目にした生徒達は止めることなく黙って見守ることにした。
「私は兄様に救われた。今の私がいるのは兄様のおかげです。あなただって兄様がいたから救われたんじゃないですか?」
「…………………………」
「兄様は私にとって大事な人です。友達よりも、家族よりも……大事な人です」
「……………」
「私は兄様を助けに行きます。どんな障害があろうとも必ず助け出します」
「……」
「……ガッカリです。あなたの兄様に対する思いはその程度なのですね」
「っ‼︎」
ミヤコが呆れ顔で呟くと、今まで無反応だった速水が初めて反応し立ち上がった。
「何か?」
「……私も…ミナトに何度も救われた。でも、私は弱い…………私の力じゃ、ミナトを助けられない」
「そんなこと百も承知です」
ミヤコの冷たい発言に岡野が声をかけようとした時、ミヤコは両手を腰に当て答えた。
「だからみんなで助けに行くんです。互いに補い合って兄様を救うんです。それに速水さんは以前よりも力を身につけている。強くなるって決めたんですよね?」
「………うん」
「兄様を助けたいという気持ちはみんな同じ。でも、速水さんにはその気持ちを誰よりも強く持ってもらいたい…………私のわがままを押し付けてしまい、あげくに手を上げてしまって申し訳ありません」
ミヤコが深々と頭を下げると、速水は首を横に振り申し訳なさそうな表情で言った。
「ううん、私もミヤコに言われなきゃずっとあのままだったと思うから…………ありがとうね」
「……どういたしまして」
お礼を言われたことにミヤコは一瞬キョトンとした表情を浮かべるが、すぐに笑みを浮かべて言った。
「よし!私もミナトを助けるために準備しないと」
そう言うと速水はまっすぐ前を向き、駆け足で教室を後にした。
2人のごたごたが丸く収まりミヤコの周りに生徒達が集まっていく。
「ミヤコさんの怒鳴り声が聞こえたから慌てて戻ってきたけど」
「申し訳ありません…ご迷惑をおかけしました」
神崎を始め、他の生徒達にも頭を下げるミヤコ。そんなミヤコに1人の悪魔が歩み寄り、耳元でみんなに聴こえるよう問いかけた。
「ミヤコちゃんって津芽のことああいう風に思ってたんだね〜」
中村の言葉にミヤコは自分が言ったことを思い返してみると、急に頬を赤く染め慌てふためき始めた。
「あ、あれは‼︎その……速水さんに怒鳴った時に勢いで言ったと言うか……いや、大事に思っているのは嘘ではないのですが、その…えと…………うぅ」
「ほぉ〜」
赤くなった顔を隠すように俯くミヤコに対し、生徒達はニヤニヤとゲスな笑みを浮かべていたのであった。
ミヤコがミナトに対しどんな感情を抱いているのか生徒達に質問攻めされているとは知らず、速水は真琴の元に足を運んでいた。
「泉先生!」
「速水さん……津芽君のことだが、本当に申し訳ない」
「謝らないでください。ミナトなら大丈夫です!私が…私達が必ず助け出しますから」
「…………そうか」
速水の真っ直ぐな目に、真琴は微かに笑みを浮かべて答える。
「私も速水さんに用があったんだ」
そう言うと真琴は生徒達が持っている物とは色が違う超体育着を出して見せた。
「これは?」
「遠距離暗殺を得意とする生徒用に作らせた超体育着だ。すでに持っている超体育着よりも動きやすく、他にも多くの機能を備えている。移動砲台である君にちょうどいいと思ってな」
超体育着を手に取った速水はその軽さに驚きを隠せずにいた。
「本当だ…すごく軽い」
「防御面も前の体育着より強化されている。それを使ってミナト君をどうか救い出してくれ」
「泉先生?」
「私は別件の方を任されていてな、君達に同伴することが出来ないんだ。みんなの無事を祈っているよ」
「はい!」
真琴に礼を述べた速水は、新しい超体育着を手に生徒達の元へ向かって走り出した。
(そう言えば泉先生、あの時ミナトのこと名前で呼んでたっけ)
初めてミナトを名前で呼んだ時の真琴の顔がどこか寂しげだったと疑問に思いながらも、速水はミナトを救うために真っ直ぐ前を向き走り続けた。
「待っててミナト、必ず助けるから‼︎」
「ギャラリーがゼロってのは嫌だけど、多くても邪魔なんだよね。というわけで、害虫駆除と行こうか」
首無しの騎士は満面の笑みを浮かべ害虫達を待ち構える。
一輪の花を守り抜く者、そしてその花を取り返そうとする者達。
両者の激突の時はすぐ目の前まで迫っていた。
感想、ご指摘などお待ちしています!
唐突ですが、最近ドラゴンボールZ超を見て思ったことがありまして……ゴクウブラックロゼがかっこよくて好きになりました笑
スーパーサイヤ人のピンク⁉︎
はじめ見た時のインパクトはスーパーサイヤ人3を見たとき以上でした