津芽湊の暗殺教室 『更新停止中』   作:ケチャップ

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新年1発目の更新です‼︎
今年も津芽湊の暗殺教室をよろしくお願いします♪

湊「すげー今更だな…」

………それではどーぞ‼︎

湊「こいつ開き直りやがった…」


間違う時間

ミヤコの騒動から2日が経ち、普段通りの3年E組暗殺教室では殺せんせーが触手をペタタタンと叩きながら生徒達に熱く語りかけていた。

 

 

「さぁーさ皆さん‼︎ 二週間後は二学期の中間ですよ‼︎ いよいよA組を越えるときが来たのです‼︎ 熱く行きましょう熱く‼︎ 熱く‼︎」

 

「「「「「暑苦しい‼︎」」」」」

 

以前よりも分身の数を増やし生徒一人一人に勉強を教える殺せんせーに対し、生徒達はいつも通りツッコミを入れながらもどこか落ち着かない様子だった。

 

殺せないまま勉強の時間だけが過ぎていく。焦りの10月……殺せんせーの暗殺期限まであと5ヶ月となっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後となりE組の生徒達が次々と校舎から出てくる。

 

「あーくそ疲れた〜‼︎よくあんだけ教え方思いつくよな殺せんせーは」

 

杉野のぼやきに渚が苦笑すると、後ろから急いだ様子で走るミナトに気づき声をかけた。

 

「ミナト君今日も病院?」

 

「ああ、竹林のとこの病院だからさ診察に遅れて迷惑かけられないしw」

 

そう言って笑みを浮かべるミナトは、あの日以降ミヤコやジウとの戦いで負った傷のため通院を余儀なくされている。

 

「まぁ後はあいつの見舞いにも行こうと思ってね」

 

それからミナトは「そんじゃね〜♪」と言い残し、その場から走り去っていった。

 

 

「……ミナトは全く焦ってないみたいだな」

 

「暗殺も勉強も俺らより出来るんだ、焦りがなくても不思議じゃないだろ」

 

 

ため息を吐く磯貝と少し不満げな表情を浮かべて言う前原を目に、速水は何か言おうとしたが2人の言っていることも正しいと思い何も言えなかった。

 

 

そんなとき矢田がふと皆に言った。

 

「でもさ、勉強に集中してる場合かな私達……あと5ヶ月だよ。暗殺のスキル高める方が優先じゃないの?」

 

「……んなもん仕方ねーだろ。勉強もやっとかねーとあのタコ来なくなんだからよ」

 

「でも……」

 

何か言いたげな矢田に気づき寺坂が口を開いた。

 

「…最近病院行かなきゃいけねーから訓練を休んでいるミナトとの差が全然埋まらないって言いたいんだろ?仕方ねーじゃねーか、俺らとあいつじゃ育ってきた環境が違うんだからよ」

 

寺坂の言葉に皆は黙りこくってしまうが、内心矢田の言葉に同意していた。

 

そんな時、岡島は腕を組みながらクックックと不気味に笑い始めた。

 

「何だよ岡島、ついにおかしくなったのか?」

 

「何でそうなるんだよ⁉︎」

 

呆れながら言う三村に岡島は大声で言い返すが、しだいに落ち着きを取り戻し得意げに話し始めた。

 

「俺に任せろ!スッキリ出来るグッドアイデア見つけたからよ」

 

「……エロい事じゃないでしょーね」

 

「だから何でそうなるんだよ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから生徒達は登下校ルートから山の中へ入る。岡島を先頭に木々の中を進んでいくと、椚ヶ丘の街並みが一望できる場所にたどり着いた。

 

「よっと!」

 

岡島が近くの建物に飛び移ると、不破は辺りを見渡し岡島に問いかけた。

 

「ここは…?」

 

「最近開拓した通学路だよ。こっからフリーランニングで建物の屋根を伝ってくと、ほとんど地面に降りずに隣駅の前まで到達出きる。今日から皆でここを行こうぜ、通学するだけで訓練になるなんて一石二鳥だろ?」

 

「えぇ〜……危なくない?もし落ちたら…」

 

「そーだよ、烏間先生も裏山以外でやるなって言ってたでしょ?」

 

岡島の提案に倉橋と片岡は異議を唱えるのに対し、中村や寺坂、岡野は乗り気で建物の屋根をじっと見ていた。

 

「へーきだって!行ってみたけど難しい場所はひとつも無かった。鍛えてきた今の俺等なら楽勝だって‼︎」

 

「……うーん……岡島、やっぱりマズイんじゃないか?」

 

岡島の提案に賛同することが出来ず、磯貝は悩みながらも言った。そんな磯貝の肩に手を回した前原は笑みを浮かべ口を開いた。

 

「いーじゃねーか磯貝‼︎勉強を邪魔せず暗殺力も向上できる。2本の刃を同時に磨く、殺せんせーの理想とするところだろ‼︎」

 

「…良いかもな」

 

「うん!」

 

前原の言葉に杉野や渚が賛同すると、生徒達は次々と目の前の建物に飛び移った。

 

「よっしゃ‼︎先導するぜ皆‼︎ついてこい‼︎」

 

「「「おう‼︎」」」

 

 

「ちょちょっと皆‼︎」

 

 

そんな彼等を片岡はやっぱりダメだとを止めようとするが、隣にやってきた速水に呼び止められた。

 

「メグ、私は良いと思う」

 

「速水さんまで…」

 

「あの日に決めたの今よりも強くなるって」

 

そう言って岡島達の後に続く速水。彼女が去り際に呟いた言葉を耳にした片岡は、やはり止めるべきだと彼等の後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒達は建物から建物へ次々と飛び移り、自分達が身につけた力の凄さを身をもって感じ取っていた。

 

毎日の訓練で少しずつ力をつけ、彼等はA組との棒倒しに勝利した。どんどん出来ることが増えていく、周りが自分達の事を認め始めている。

 

 

 

 

 

 

だがこの時、彼等は忘れていた。今の自分達が身につけた力に酔い、弱い者の立場に立って考えることを………

 

 

1番で隣駅前付近にたどり着いた岡島と木村。それと同時にガシャアッ‼︎という大きな音が聞こえ、生徒達は足を抑えるおじいさんの姿を目に自分達が犯した過ちに気づいたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

岡島達の元に救急車が近づきつつある頃、ミナトは診察のために竹林総合病院に来ていた。

 

「先に先生に診てもらわないと」

 

多少診察の時間に遅れてしまったが、ここの先生とは喧嘩に明け暮れていたあの日から顔馴染みのため、怒られることはないだろうとミナトはのんびり診察室に向かっていた。

 

すると向こうから少し元気の無い様子を見せる真琴がやってきた。

 

「君も診察か津芽君」

 

「まぁ、昔から怪我の治りは早いから必要無いって言ってるんですけどねw」

 

ミナトは笑いながらそう言うと、すぐに真剣な表情を浮かべ真琴に頭を下げた。

 

「泉先生、この前は凛香を守ってくれてありがとうございました」

 

先ほどのヘラヘラした表情とは打って変わって真剣な態度を見せるミナトを目に、真琴はほんのり笑みを浮かべると彼に言った。

 

「君の短所は集中が持続しないこと、だが君の長所は集中力だ」

 

「へ?」

 

突拍子の無い言葉にミナトは間抜けな声で聞き返す。

 

「君には人を守れる力がある。戦いの際、相手に集中するのは当然だ、だが周りにも目を向け集中することが出来れば君はより強くなれるはずだ」

 

そう言うと真琴はミナトの隣を通り過ぎ振り返る事なく言い続けた。

 

「それに…君達を守る事、それは君達の副担任である私の今の役目だ」

 

そう言い残しその場を後にする真琴に、ミナトはもう一度深々と頭を下げ彼女を見送り終えると診察室へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん、相変わらず君は怪我の治りが早いね♪」

 

「あはは……それなら通院は今日が最後で大丈夫ですかね?」

 

「うーん、まぁ大丈夫でしょw」

 

(今日はいつもの先生と違う……まぁ別にいっか)

 

あっけらかんと答える初対面の医師にミナトは疑問を抱きながらも、苦笑を浮かべ「ありがとうございました」と言い診察室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなミナトを見送った医師は、彼のカルテを目に笑みを浮かべた。

 

「失敗作…………先輩にはそう呼ばれてるけど怪我の治りの早さといい、この前の戦闘といい……本当に失敗作とは言い難いね」

 

「それはあんたの細工が上手くいってる証拠なんじゃ無いの?」

 

突如窓際に現れたハンチング帽を被った男は、笑みを浮かべる医師に問いかけた。

 

「相変わらず気配を消すのが上手いね。流石はスケルトンってところかな?」

 

「あんたが俺の気配に気づかないわけ無いでしょ……はいこれ頼まれてたやつ」

 

スケルトンはそう言うと1枚の書類を差し出した。医師は名前や何かの番号が書かれた書類を手に取り目を通すと、何かを見つけたのか悪意のある笑みを浮かべスケルトンに書類を返した。

 

「ご苦労様♪」

 

「俺が行こうか?」

 

「いや、僕が行くよ。その変わり君には別の仕事を依頼したい」

 

「…………」

 

「内容は分かっているようだね。話が早くて助かるよ♪」

 

「………そんじゃ早速仕事を始めさせてもらうよ」

 

そう言ってスケルトンは部屋を出ようとドアに手をかけるが、医師に呼び止められた。

 

「ねぇ君さ、いつからあそこにいた?」

 

「……………」

 

「もしかして…ミナト君の前の患者さんを診察してる時からいたりした?」

 

その言葉にスケルトンは振り返るが口を開くこと無く、ほんの僅かに殺気を放っていた。そんなスケルトンを前にしても医師は怯えること無く、高々と笑いながら忠告した。

 

「わかったわかった、これ以上は何も聞かないよ♪でも一つ忠告…これ以上観察対象を増やすような馬鹿な真似はよせよ?スケルトン」

 

「………言われなくても」

 

そう言い残しスケルトンが部屋を後にすると、医師は何事もなかったかのように次の患者の名を呼ぶのであった。

 

「次の患者さ〜ん、入ってくださ〜い♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

診察を終えたミナトは入院中の家族がいる病室へ向かった。

 

コンコン

 

「どうぞ」

 

素っ気ない答えにミナトはため息を吐きながらも病室のドアを開け、ベッドの上で上半身を起こし窓の外に目を向けるミヤコに言った。

 

「具合はどうよ」

 

「順調に回復しているそうです。それにしても兄様はよっぽど暇人なのですね。連続で見舞いに来るなんて」

 

「うるせー俺の診察のついでだw」

 

「そうですか」

 

ミヤコの答えは相変わらず素っ気ないものであったが、その表情はどこか嬉しそうだった。その後ミナトはベット近くの椅子に腰をかけると、ポケットから何かを取り出しミヤコに差し出した。

 

「ほいこれ、一応お前のだし渡しとくよ」

 

そう言って差し出したのは悪刀・鐚だった。

 

触手の呪縛から解放され診察された際、ミヤコは悪刀・鐚を自分の体から引き抜くよう医師にお願いした。幸い大事に至ることも無く、悪刀・鐚は家族である伊武鬼に手渡されていた。

 

「どうして兄様がこれを?」

 

「じいちゃんから預かってきた。刀は斬る相手を選ばないけど、所持者を選ぶんだと」

 

「刀が…所持者を…」

 

「お前がどういった経緯でこの刀を手にしたかは知らないけど、長い時間共にいたのは確かだろ?こんな刀だけど、こいつもお前といたほうが嬉しいんじゃね?」

 

ミナトがそう言うとミヤコはゆっくりと手を伸ばし悪刀・鐚を手にした。

 

(あら、また会ったわね)

 

そんな声が聞こえた気がしたがミヤコは疑問を抱くこと無く、悪刀・鐚をそっと抱きしめた。

 

「………兄様、私の過去を知ってほしいのです。私が退院してその日が来たら、聞いてもらえますか?」

 

「いーよー♪」

 

「ふふっ、兄様は相変わらず適当ですね」

 

 

そんな話をしていると外で救急車のサイレンが聞こえると共に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「この声って…」

 

「烏間先生ですね、何かあったのでしょうか?」

 

「うーん、とりあえず行ってみるわ」

 

そう言ってミナトは「またな♪」と手を振りミヤコの病室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病院の入り口付近に行くと、担架に乗ったおじいさんが救急隊員に運ばれていった。その様子を横目に見つつ視線を入り口付近に戻すと、救急隊員と焦った様子の烏間先生が何か話していた。

 

 

「烏間先生何かあったんですか?」

 

「ミナト君か、それが……」

 

 

そしてミナトは岡島達がしてしまったことを聞かされた。だがミナトはその言葉に怒る様子も見せず、烏間と共に外にいる生徒達の元へ向かった。

 

 

 

 

 

入り口が開くと青ざめた表情を浮かべる生徒達が一斉に振り返った。

 

「右大腿骨の亀裂骨折だそうだ。君等に驚きバランスを崩し、転んだ拍子にヒビが入ったらしい。程度は軽いようで二週間ほどで歩けるそうだが……なにせ君等の事は国家機密だ、口止めと示談の交渉をしている。頑固そうな老人だったが部下が必死に説得中だ」

 

 

淡々と話す烏間の見え隠れした怒りを感じ取り、生徒達は誰1人も目を合わせる事はできなかった。ミナトもそんな彼等に声をかける事無く、後ろからゆっくりと近づく存在に目を向けた。背後から今まで感じた事のない殺気を感じ取り、生徒達が恐る恐る振り返ると殺せんせーが顔をドス黒くし少しずつ近づいてきていた。

 

「だ、だってまさかあんな小道に荷物いっぱいのチャリに乗ったじーさんがいるとは思わねーだろ‼︎」

 

「もちろん悪い事したとは思ってるけど…」

 

「自分の力磨くためにやってたんだし」

 

「地球を救う重圧と焦りがテメーにわかんのかよ」

 

岡島、矢田、中村、寺坂が次々と自分達を正当化するための言い訳を口にすると、ミナトは何かを感じ取り目を閉じた。それと同時に頬に痛みを感じ、目を開けると周りの生徒達も殺せんせーにビンタされたようで頬が赤くなっていた。

 

「……生徒への危害と報告しますか烏間先生?」

 

「……今回だけは見なかった事にする。暗殺期限まで時間が無い、そう思い危険を承知で高度な訓練を取り入れたが、君等には早すぎたのかもしれん…俺の責任だ」

 

烏間はそう言い終えると、これ以上言う事は何も無いという感じで病院の中へ戻っていった。

 

 

「今の君達は本校舎の生徒と何ら変わらない。身につけた力に酔い、弱い者の立場になって考える事を忘れてしまった」

 

生徒達は悔しさを抱きながらも返す言葉を見つける事が出来ず、間違うとはどういう事か改めて認識した。

 

「さて、話は変わりますが今日からテスト当日まで丁度二週間、今日からクラス全員のテスト勉強を禁止します」

 

殺せんせーは普段の黄色に顔色を戻し、何処から取り出したのか教科書をビリビリに破きながら言った。その言葉に顔を俯かせていた生徒達も驚きを隠せず顔を上げた。

 

「罰ではない、テストより大切な勉強を優先するだけです。教え忘れた先生にも責任がある、まずは被害者を穏便に説得してきます」

 

そう言うと殺せんせーは猛スピードで被害者の病室へと向かった。しばらくして大声ですいませんでしたぁッ‼︎と謝る殺せんせーの声と、この世のものとは思えない何かを見たのか大声で叫ぶ被害者のものと思われる叫び声が聞こえた。

 

 

そんな声にミナトは苦笑を浮かべ病院の中へ入ろうとする。

 

「まてよ!」

 

すると、前原に呼び止められミナトは振り返り問いかけた。

 

「どうした?」

 

「……俺達に言いたい事あるんじゃねぇのかよ?強くなろうとした結果関係ないお前にまで迷惑かけたんだ、文句の一つもあって当然だろ」

 

自分が犯してしまった過ちに対し、そして自分よりも強さを持つミナトに対し前原は怒りを覚えながらも必死に抑え問いかけた。

 

「文句なんてないよ。迷惑かけたって思うならまずは被害者に謝るのが先だろ?」

 

だがミナトは文句を言う事無く、普段通りに答えた。

 

「なんで…」

 

「……強くなりたいと思うのは間違いじゃない。強くなる方法も周りに迷惑をかけなければなんだっていい。大事なのは手に入れた力の使い方だろ?」

 

ミナトはそう言うと「先に行ってるよ」と言い残し病院へと入っていく。生徒達も重い足取りではあったがミナトの後を追い被害者の病室へと向かっていった。

 

 




フリーランニング出来たらかっこいいって思うけど、やっぱり危ないですよね……うーんでも出来たらかっこいいな〜

湊「烏間先生に教えてもらえば?」
………ちょっと俺にはハードかなw

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湊「よろしく〜♪v(`ゝω・´)」
それでは次回をお楽しみに♪

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