津芽湊の暗殺教室 『更新停止中』   作:ケチャップ

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お久しぶりです!
遅くなって申し訳ありません…まとめ方がなかなか決まらず、こうして更新したものの最後の方は少しグダッてしまいました(´・ω・`)

とりあえず今回でミヤコ編は完結となります‼︎

それではどーぞー♪


意思の時間

『助けてやるよ』

 

そう言ったミナトにミヤコは苛立ちを覚え、触手細胞による激しい痛みに襲われながらもミナトに問いかけた。

 

「助けるって、いったい誰をですか?」

 

「お前に決まってんだろ…その触手、早く抜かなきゃ死ぬかもしれないんだぞ?」

 

その言葉にミヤコはフッと笑みを浮かべると、冷たい目つきで見下すように言い放った。

 

「兄様に言われたくありませんね。それとも私が殺せんせーを殺し、デュラハンをも倒すことを恐れているのですか?」

 

「そんなことどうでもいい‼︎俺はお前のことを心配してんだぞ‼︎」

 

「余計なお世話です‼︎」

 

ミヤコが叫ぶとともに、2本の触手から激しい雷がほとばしった。

 

「何故私を助けようとするのですか⁉︎私と兄様は本当の兄妹ではない、赤の他人なんです‼︎私がこの触手をどう使おうとあなたには関係ない‼︎私はこの力でお父様に認めてもらう、そうすればもう一度振り向いてくれるはずです‼︎」

 

ミヤコが険しい表情で言葉をぶつけるのを、ミナトは普段通りの表情のまま耳にするとニッと笑みを浮かべて答えた。

 

「なら俺がお前を助けようが俺の勝手だよな?」

 

「……やはり兄様と話すのはムカつきます。もう好きにしてください………兄様が邪魔をするのならあなたを殺してでも私は殺せんせーを殺します」

 

 

 

 

殺意を放ち臨戦態勢をとるミヤコに、ミナトはゆっくりと近づこうとした。

 

「待ちなさい」

 

そんな言葉と共にミナトの肩には、柔らかくぶよんとした触手が置かれていた。振り向くと顔を紫にしバツ印を浮かべる殺せんせーの姿があった。

 

「殺せんせー」

 

「触手を持つミヤコさんに挑むなんて危険すぎます。ここはせんせーに任せてくれませんかミナト君?」

 

そんな言葉にミナトは顔を俯かせるが、しばらくして殺せんせーの方に顔を向けると申し訳なさそうに笑顔を浮かべて見せた。

 

「ごめんなさい殺せんせー………どうしても俺助けたいんです。わがままだってことは分かってます……でも、あの時みたいに何も出来ないのはもう嫌だから…」

 

ミナトの決意を目にした殺せんせーは普段の顔色に戻ると、ミナトの頭にぺたんと触手を乗せた。

 

「ふぅ…君の頑固さにも困ったものですね…」

 

「あはは…すいません」

 

「……彼女はイトナ君の時とは違って触手を植え付けられてからあまり時間が経っていません。今なら彼女に負荷をかけずに触手を抜けるかもしれません……ミナト君、彼女を殺すことなく制圧することはできますか?」

 

「はい‼︎」

 

「ヌルフフフ、いい返事です。ですがミナト君約束してください、決して無理はしないこと…いいですね?」

 

「分かりました、約束します」

 

そう言ってミヤコの元へ歩み寄るミナトの後ろ姿を見届けると、殺せんせーは何も言わず空を見上げた。

 

(彼を危険な目に合わせているかもしれない……それでも、守りたい者を守れない苦しみを味わうのは私だけでいい……間違った選択をしたかもしれませんが、私達の生徒を見守っていてください……あぐり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミヤコは自分に向かって歩み寄るミナトに困惑していた。

 

(何故兄様は私に向かってくる……何故赤の他人の私を助けようとする……分からない、あなたが何を思い私を助けると言ったのか)

 

「教えてください兄様」

 

突然の問いかけにミナトは進む足を止めた。

 

「何を?」

 

「何故私を助けるのですか?」

 

ミヤコの問いにミナトは悩むこと無く即答した。

 

「家族だからだよ♪」

 

「……家族?分かりません、私はあなた方E組の気持ちを裏切り殺せんせーの暗殺に臨んだ。何故そんな私を助けるのですか?」

 

「助けるのは当たり前です‼︎」

 

その問いに答えたのはミナトでは無く、リングの外にいた奥田だった。

 

「奥田さん……」

 

「私はミヤコさんが優しい人だって知っています。それに夏祭りの時も、体育祭の時も一緒にいてとても楽しかった……また前みたいに戻れるはずですよ‼︎」

 

「私は暗殺者ですよ?人殺しなんです……そんな私があなた達と仲良くするなど……そんな資格私は持っていません」

 

「そんな資格なんていらないだろ‼︎」

 

そう叫んだのは岡島だった。

 

「ミヤコちゃん楽しそうにしてたじゃん。友達だと思ってたのは俺達だけだったのか?」

 

「………岡島さん」

 

 

「そういうことだ♪」

 

声に反応しミナトの方に目を向けると、腰に手を当て笑顔を浮かべていた。

 

「お前を助けたいのは俺だけじゃない。俺は家族であるお前を、みんなは友達であるお前を守りたいんだよ」

 

「私は………1人じゃないのですか?」

 

そう口にするとミナトがゆっくりと歩み寄り、ミヤコの頭に手をポンと乗せていた。

 

「当たり前だろ?お前は1人じゃない、俺もみんなもお前のそばにいるよ」

 

「兄様…」

 

ミナトの言葉にミヤコの目から執着の色が消えたことを認識した殺せんせーは、2人の元に歩み寄りミヤコに言った。

 

「執着の色が消えましたね。ミヤコさん、今ならあなたからその触手を抜き取ることが出来ます。次はあなた自身の力で殺しに来てくれますか?」

 

「殺せんせー…」

 

ミヤコの険しかった表情が次第に和らぐのを目にし、ミナトや殺せんせー、海莉や烏間達、リングの外からその様子を見ていた生徒達もこのまま上手くいけば彼女を触手の呪縛から救えると喜びの表情を浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思っていたが、その願いは届くこと無く彼女の中に潜むナニカに拒まれた。

 

 

 

((そう言ってまた裏切るつもりだよ?あなたのお父さんとお母さんみたいに))

 

「だれ?」

 

突如、見えないナニカに怯えているかのように不安げな表情で辺りを見渡すミヤコにミナトは歩み寄り声をかけた。

 

「ミヤコ?」

 

「こないで‼︎」

 

 

 

((騙されちゃダメだよ…裏切られたら、また1人になっちゃうよ?))

 

「ひとり…」

 

ミヤコはその場でうずくまり自分の体を力強く抱きしめながらも、ぶるぶると震え始めた。

 

「ミヤコさん‼︎」

 

 

((1人が怖いの?))

 

「…こわい…ひとりは…こわい」

 

「ミヤコちゃん‼︎」

 

 

誰がどんなに叫んでもその声は彼女に届いていなかった。

 

 

((ひとりぼっちにならない方法教えてあげようか?))

 

「っ‼︎おしえて‼︎おしえてください‼︎」

 

「ミヤコさん‼︎」

 

殺せんせーがミヤコの身を案じ歩み寄るが、彼女の表情と首から伸びる触手の動きを目に確信した。

 

「まさか…いや、そんなはずはない…」

 

「殺せんせー‼︎何が起きてんだよ⁉︎」

 

「…………触手との結合が…強まっている………」

 

殺せんせーの言葉を聞きミヤコの方に目を向けると、彼女はまるで誰かと対話するかのようにうわ言を呟いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミヤコが俯かせていた顔を上げると、ミナトや頃せんせーの姿は無く、その代わりに目の前には自分の姿があった。それは鏡でもドッペルゲンガーでも無く、ジウによって移植された触手細胞が姿を変えたものだと瞬時に理解した。

 

((私が友達になってあげる♪))

 

「あなたが……わたしのともだちに?」

 

((そう♪嫌…かな?))

 

「そんなことありません‼︎すごくうれしいです」

 

((ふふ、私も嬉しいよ♪それじゃ今までの友達はみんな殺そうか?))

 

「なぜ…ですか?」

 

((私嫌なの…あなたが昔の友達に裏切られて悲しむ姿を見るのは))

 

「そんなひどいひとたちじゃ」

 

((本当にそう言い切れる?あなたのお父さんとお母さんでさえあなたを裏切ったんだよ?))

 

「…………」

 

((でも私は違う、最後まであなたの友達でいてあげる♪だからミヤコ、私と一緒に来て?))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

((一緒にあなたを裏切る偽善者達を殺そうよ))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆっくりと立ち上がったミヤコはその目に光を灯すこと無く、目の前のミナトをターゲットに触手を振るった。

 

「くそっ!」

 

ミナトはミヤコの触手を紙一重でかわすと、冷や汗をかきながら殺せんせーに問いかけた。

 

「はぁ…はぁ…殺せんせー、触手との結合が強まったってどういうことですか?」

 

「おそらくミヤコさんが抱くなんらかの思いに触手が強く答えた……その結果イトナ君の時とは違い、暴走すること無く触手に全てを支配されてしまっている…」

 

「全てを支配されたって……」

 

ミナトの脳裏に母の姿が浮かび上がる。

都が殺された時、母は殺意に飲まれ普段見せたことがないほどの怒りを露わにし、無謀にもデュラハンに特攻を仕掛け返り討ちにあい殺された。

 

「二度と………二度と大事な家族を失わせてたまるか…」

 

殺せんせーが俯きながら呟くミナトの方に目を向けると、次の瞬間ミナトはミヤコに向かって駆け出した。

 

「ミナト君‼︎…………必ず無事に帰ってきなさい‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャラリーにいる生徒達や先生達の声は無我夢中で走るミナトに届かない。自分の大切な家族を救う、その一心でミナトは駆け出していた。

 

何があっても妹を救う……その一心で彼女の元へ駆け寄り、助けようと手を差し伸べる。

 

 

だが次の瞬間ミナトは身体中激しい痛みに襲われ慌てて後退し、何が起きたのか自分の身体に目を向けると所々に切り傷が出来ていた。

 

(同じ触手でも殺せんせーとあいつのじゃこんなに違うのか………)

 

ミナトは右腕の傷口を左手で押さえながら

ミヤコに向かって叫んだ。

 

「お前は何がしたいんだよ」

 

「……………」

 

だがミヤコはその問いに答えることは無く、光を失った目でミナトをじっと見ていた。

 

「………両親の前で強盗を殺した、熱を出した凛香のために暗殺を中断した、夏祭りの時も吹っ飛ばされた岡島から茅野を助けた、お前は‼︎誰かを守るために生きてきたんじゃないのかよ⁉︎」

 

「………うるさい」

 

ミヤコに移植された2本の触手がミナトに向かって放たれる。その光景に生徒達は目を背け、速水はミナトの身を案じ彼の名を叫んだ。

 

「ミナト‼︎」

 

だがミナトはその場から動くこと無く、触手はミナトに襲いかかる。誰もが目の前の光景にミナトの身を心配したが、砂煙が次第に晴れていくとその中には無傷の彼の姿があった。

 

「なん…で…」

 

触手に支配されながらもミヤコが目の前の光景に驚いていると、ミナトがゆっくりと歩み寄ってきた。

 

「お前は人を傷つけるために力を使わない。そりゃ暗殺する時とかはそうはいかないけど、俺は今無傷、それは触手の意思じゃなくてお前の意思でそうしたんじゃ無いの?」

 

その言葉と共に次第にミヤコは自身の目に光を灯し涙をこぼし始めた。そんなミヤコの頭に手を乗せ、彼女の顔を覗き込むように少ししゃがんで笑みを浮かべた。

 

「一緒に帰るぞミヤコ。じいちゃんもばあちゃんも姉ちゃんも家で待ってるからさ♪」

 

ミヤコは思わず顔を俯かせ大量の涙を流した。

 

「私にも……帰る家があるのですか?………私は……1人じゃ無いのですか?」

 

「当たり前ですよ」

 

そう言ったのは奥田だった。気づくとミナトとミヤコの周りには生徒達や先生達が集まり、彼女が触手の呪縛から逃れたことを皆喜んでいた。そんな中、奥田はミヤコに歩み寄りしゃがみこんでハンカチを手渡すと言い続けた。

 

「ミヤコさんは1人じゃありませんよ………だから……その……よかったら友達になってくれませんか⁉︎」

 

「えっ⁉︎………はい、喜んで」

 

奥田の言葉に初めは戸惑いを見せるミヤコであったが、満面の笑みを浮かべ彼女と握手を交わした。誰もが2人のやりとりを微笑ましく見ている中、1人だけがその状況を不快に思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

((ふざけないでよ‼︎この子は私が完全に支配したはずなのに………もう一度この子を支配下に置いて(そこまでです)

 

ミヤコの体内にいるのは自分だけ、つまり聞こえてくるはずが無い他人の声に驚きつつも触手が振り返るとそこには穏やかでひ弱そうな少女の姿があった。

 

((あなた誰?))

 

(相手に名前を尋ねる時は自分から名乗るものですが………まぁいいでしょう、あなたに名を名乗る必要はありません)

 

触手はおどけた口調で話す少女に怒りを覚え、殺意を込め自身の触手を振るった。

 

((調子に乗んな‼︎………………ってあれ?))

 

その時触手は気づいた、自身の身が細かく切り刻まれていることに。

 

(草むしりは私の趣味だけど、こんな珍しい草を抜いたのは初めてかしら)

 

((何で……こんな……))

 

触手はそう言い残すとミヤコの体内から消えていった。触手を消し去った少女はため息をつき、皆と楽しそうに話すミヤコの声に耳を傾けた。

 

(羨ましいわね、私と同じ力を持ちながらも沢山の人に愛されているなんて…)

 

少女はそう言い残すと何処かへと姿を消していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうしてミヤコに移植された触手も殺せんせーの手により無事に抜き取られ、今回の騒動は幕を下ろした。

 

(ナレーター…いや作者さん?)

 

「は、はい⁉︎」

 

(私の最後のセリフに誤字があります。同じ力では無く………同じ刀です)

 

「す、すいませんでした‼︎」




津「最後誰に誤字指摘されたの?」
いずれ彼女にも登場してもらう予定です。彼女のセリフを見て分かる人がいるかもしれませんね♪
津「もったいつけずに教えろよ‼︎」
や〜だよ〜♪
津「コロス‼︎」

都「グダグダになってしまったミヤコ編お付き合いいただきありがとうございました。また次回もお楽しみに」

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