津芽湊の暗殺教室 『更新停止中』   作:ケチャップ

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お久しぶりです‼︎
さて今回から作者の苦手なオリジナルストーリーに入ります。グダグダな内容になってしまうかもしれませんが、お付き合いいただければ幸いですm(_ _)m

それではどーぞー♪


帰る時間

体育祭の片付けも終わりE組の生徒達は隔離校舎に戻って行く。A組との棒倒しにも勝利し磯貝の件はお咎め無しとなったが、生徒達は素直に喜べずにいた。

 

 

 

理由は先ほどのミヤコの言葉だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殺せんせーを殺すって…いきなりすぎるだろ」

 

 

教室にたどり着きクラス内に沈黙が流れる中、1番に口を開いたのは前原だった。

 

「A組との棒倒しにも勝って、全部丸く収まったと思ってたのによ」

 

前原が頭の後ろで両手を組みつつ天井を見上げながら言うと、その隣に座っていた岡野は応援していた時のミヤコの様子を思い出しながら話し始めた。

 

「体育祭の時は楽しそうに応援してるように見えたけど、全部演技だったのかな……」

 

 

岡野の言葉に再びクラス内は沈黙に包まれた。

 

 

 

 

 

 

「だからこそかもしれません……」

 

 

そんな沈黙を破ったのは意外にも奥田の一言だった。

 

「どういうこと奥田さん?」

 

カルマの問いに、奥田はいつものビクビクした態度を見せることなくハッキリと言った。

 

「殺せんせーを暗殺する覚悟をしていたからこそ、ミヤコさんは今日楽しく振舞っていたと思うんです。でもミヤコさんはそんなことを望んでいない……どうして?って聞かれても分かりませんが、さっきのミヤコさんを見て不思議とそう思ったんです」

 

 

奥田の言葉に生徒達が先程の彼女の様子を思い出していた。

 

「確かにあの時のミヤコさんの眼、応援している時とは全く違ってた」

 

「なんつーか最初の頃に戻ったって言うか……」

 

生徒達がそんな声を上げる中、そんな彼等の会話を遮るように1人の生徒が言った。

 

「それでどうすんだよ?あいつがタコ殺すの黙って見過ごすのか?」

 

そう言ったのは寺坂だった。寺坂は耳をほじりながら興味無さげな顔を しているが、生徒達は彼の本心に気づいていた。

 

 

 

殺せんせーを殺すのは他の誰でも無い、3年E組 暗殺教室の生徒である自分達だと。

 

 

 

 

「見過ごすわけねーだろ‼︎」

 

「体育祭の後で筋肉痛だけど、殺せんせーを殺すのは俺達だからな」

 

杉野と木村がそう言うと周りの生徒達も次々と賛同していった。

 

 

「皆さん意見はまとまったようですね〜」

 

その声に生徒達が振り返ると、いつの間にか殺せんせーが教室の中に入り会話を聞いていた。

 

「次は彼女も本気で来るようです。まぁ、せんせーを殺せる人がいるとは思えませんがねぇ…ヌルフフフ」

 

 

殺せんせーはナメきったシマシマ模様でヌルフフフと笑い、生徒達は今日の疲れを癒すためそれぞれの帰路へ向かった。

 

そんな中1人の生徒は殺せんせーに忠告を残し、自分の帰路へ向かって行った。

 

 

 

 

 

E組の生徒達がそれぞれ帰路に着いている頃、本校舎では………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あーやっと終わった)

 

生徒会の仕事を終えた海莉は、大きく口を開きあくびをしながら本校舎を後にしようとした。すると……

 

 

 

 

 

「あれは……」

 

本校舎の校門付近で1人の女子が本校舎の女子達に囲まれていた。

 

「何であんたみたいな落ちこぼれがここにいるのよ⁉︎」

 

「あなた最近鮫島先輩とやけに親しいみたいだけど、あなたみたいな落ちこぼれが釣り合うわけないでしょ‼︎」

 

「……………」

 

取り囲まれた女子は何も言い返せずにいた。そんな光景を目に、海莉は足早に彼女達の元へ向かった。

 

 

「鮫島先輩と釣り合うのはあんたみたいな落ちこぼれより、私のようなエリートなのよ‼︎」

 

 

 

「いくら君が本校舎のエリート様って言っても、俺は君みたいなのを選ぼうとは思わないね」

 

 

「さ、鮫島先輩⁉︎」

 

「鮫ちゃん…」

 

突如現れた海莉に本校舎の女子達とその女子達に囲まれていた倉橋は驚いていた。海莉に気づくと本校舎の女子達は手のひらを返すように態度を変え、精一杯の作り笑顔を見せた。

 

「さ、鮫島先輩‼︎その…E組の生徒が本校舎に進入しようとしたので追い返そうとしてたんです‼︎」

 

1人の女子がそう言うと、周りの女子達はそれに合わせ相槌を打った。

 

「ふ〜ん」

 

 

海莉は興味無さげにそう言うと本校舎の女子達の間を通り過ぎ倉橋の元まで歩み寄ると、彼女の頭に手を乗せ振り返り言った。

 

「それじゃこの子は俺が送ります。君達も気をつけて帰ってね〜。…………後、この子を選んだのは俺だから、文句があるなら俺に言えよ」

 

海莉は冷たくそう言うと、倉橋の手を握り帰ろう?と促し本校舎を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海莉と倉橋はしばらく会話をすることなく帰路を歩いていた。そんな現状に耐えきれなくなり、海莉は倉橋に問いかけた。

 

 

「………今日はどうしたんだ?わざわざ本校舎まで来て、ああいう扱いされるのはわかってたんだろ?」

 

 

 

「ははは……わかってたんだけどね。何ていうか、今日は鮫ちゃんと帰りたかったの」

 

倉橋の言葉に次からは連絡しろよ?と答え、海莉は笑みを浮かべた。

 

「今日はありがとうね♪一緒に二人三脚走ってくれて」

 

「グラウンドの真ん中で、本校舎の教師相手にアタフタしてる陽菜乃の姿が目に入ったからなwおかげで楽しい体育祭になったよ♪」

 

海莉はそう言うと何を思い出したのか申し訳無さそうに倉橋に言った。

 

「そういえば今日はかっこ悪いところ見せてごめんな、せっかく陽菜乃が応援してくれたのに津芽に負けちまって」

 

そんな海莉の言葉に対し、倉橋は首を横に振り否定した。

 

「かっこ悪いなんて思ってないよ?むしろ、とてもかっこよかった‼︎」

 

「ただ、殴り合ってる彼氏をかっこいいって言うのはどうなんだろ〜ねw」

 

 

無邪気な笑顔でそう言う倉橋を目に、海莉は苦笑を浮かべていた。

 

普通に考えれば今日の光景を見れば自分はとても暴力的な人間。海莉自身もその姿を見ることは出来なくてもそう認識していた。

 

(こんな俺でもこいつは優しい人って認識できちゃうんだもんな…)

 

「陽菜乃はすごいよな……ふつー俺みたいな人間見たらみんな怖がって近づかないと思うけど?」

 

そんな疑問に倉橋はいつもの天真爛漫な笑顔で答えた。

 

「私は鮫ちゃんのもっと広いところを見てるもん♪かっこいいところも、強いところも、弱いところも、優しいところも……私は他の人が気付かない鮫ちゃんの良いところを見てるつもりだよ♪」

 

「陽菜乃には敵わないなw」

 

そんなことを口にしつつも、海莉は倉橋の先程の言葉の中で一つ疑問を抱いた。

 

「…ところで俺の弱いところって何?」

 

「それはね〜ひ・み・つ♪」

 

(……かわいい)

 

人差し指をそっと自分の唇に当てる彼女の仕草に海莉は見惚れてしまい、それ以上追求することができなかった。

 

 

「そうだ鮫ちゃん、話があるんだけど…」

 

「ちょっと待って、さっきの光景が脳内でフラッシュバックしてるから…………………よし!それで話って?」

 

「明日なんだけど…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒達がそれぞれの帰路へ着く中、速水はミナトと一緒に帰る途中、先程殺せんせーと彼が教室を後にする直前に何の話をしていたのか疑問を抱いた。

 

「ねぇミナト、さっき殺せんせーと何話してたの?」

 

「ん?あー………殺せんせーシマシマ模様だったでしょ?だから今回は気をつけたほうがいいよって忠告したんだ」

 

「それってどういうこと?」

 

速水はミナトの、今回は気をつけたほうがいいという言葉に疑問を抱き、再び問いかける。

 

「暗殺することを宣言した時、あいつがどんな眼をしてたか覚えてる?」

 

ミナトの言葉に速水は、体育祭の最後で暗殺を宣言したミヤコの様子を頭に思い浮かべながら答えた。

 

「応援してた時よりも冷たい眼をしてて、それから………僅かに殺気を放ってた」

 

「凛香の言う通りあいつはあの時、暗殺者として俺達に宣言してきた。でもそれだけじゃ無い、あいつのあの眼は………何を犠牲にしても目的を成し遂げる…そんな眼をしてたよ」

 

「……ミナトはどうしてそう思うの?」

 

ミナトはそんな速水の問いに、どのように答えるか一瞬戸惑ってしまった。

 

「何ていうか………男の勘ってやつかなw」

 

 

「………分かるよ、ミナトが嘘ついてることくらい」

 

「‼︎⁉︎」

 

 

ヘラヘラと笑みを浮かべていたミナトであったが、速水の予想外の言葉に驚きを隠せずにいた。そんなミナトの隣で速水は恥ずかしそうに笑みを浮かべた。

 

「ミナトの変化には誰よりも敏感なつもりだよ?ミナトと出会ってから今までずっと……その……見てきたん…だから…」

 

最後のほうはボソボソと恥ずかしそうに言葉を濁す速水にミナトは笑みを浮かべ、彼女の頭に手をポンと乗せると沈みかかる夕陽を目に言った。

 

 

「ごめん、お前の言う通りさっきのは嘘。

俺にも何を犠牲にしても目的を成し遂げたいと思ってた時があった。あの時のあいつの姿が昔の自分と重なって見えてさ」

 

 

ミナトが何を犠牲にしても成し遂げたい目的。速水はそれが何なのかわかっていたが、あえて口にすることはなかった。

ただ、夕陽を眺め話すミナトの表情がどこか寂しげなことに気づいた速水は、そっと彼の手を握りしめた。

 

自分の手に柔らかく暖かい感触を覚えたミナトは、自分の手を握る速水に目をやった。

 

「凛香?」

 

「私が引き戻してあげる。ミナトが誤った選択をしたとしても」

 

真っ直ぐこちらを見つめる速水の言葉をミナトは素直に嬉しく思い、彼女の頭を優しく撫でた。

 

「その時は引っ叩いてでも戻してやってよw」

 

心の中で感謝の言葉を呟きながらも、ミナトはヘラヘラと笑みを浮かべ答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃまた明日ね」

 

「おう!また明日〜」

 

凛香を家まで送り届け自分の家へ向かう俺は、先程の凛香の言葉を思い出していた。

 

(引き戻してあげる……か)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピキッ

 

 

(またか……)

 

こうなったのはつい最近のことだ。いつからだったか頭痛を生じるようになり、日に日に痛みは増していく……

 

 

ピキッ……パリッ…パリパリパリパリ……

 

 

痛みが増すとともに脳内に響く音もだんだん大きくなっていく。その音はガラスが音を立て崩れ去る時のような、雛が卵から生まれ出ようとする時に生じるような音だった。

 

パリパリパリパリパリパリパリパリパリパリパリパリパリパリ………

 

 

次第にガラスは、殻は、音を立て崩れ落ちる。そして中から現れた原型が定まっていないそいつは、いつからか話しかけるようになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(………………出来るわけないのにねw)

 

 

脳内に直接語りかけてくる声に答えることなく、俺は片手で頭を押さえながら自分の家へと繋がる帰路を歩き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜 とある研究所の実戦トレーニングルーム……

 

 

 

『これより実戦トレーニングを始めます。まずトレーニング相手のレベルの設定を……………了解しました。レベルは最高レベルの50。トレーニング相手は刀と銃を所持。それではトレーニングを開始してください』

 

 

機械的なアナウンスが室内から消えると、トレーニングルーム内にいた1人の少女の目の前に複数体のヒューマノイドが姿を現した。先程のアナウンス通りヒューマノイド達は皆、刀と銃を所持している。

 

「それじゃ始めるよ〜。相手は最高レベルのヒューマノイド達だ、とりあえず死なないように気をつけてね〜」

 

「そんな心配無用です」

 

ジウの言葉をきっぱりと否定したミヤコは数体のヒューマノイドを前に目を閉じ、自分の胸元に差し込まれた悪刀・鐚を握りしめた。

 

(…余計なことは考えなくていい…ただ目の前の相手を殺すだけ)

 

「悪刀・鐚……出力100%」

 

ミヤコの命令と共に悪刀・鐚からは凄まじい雷がほとばしった。

 

 

 

「今までの彼女の限界は出力70%………さて、100%の力を君はどれだけ維持できるかな♪」

 

ジウは鼻歌交じりに数体のヒューマノイド達を相手にするミヤコを眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果はジウが満足のいくものとなった。

 

ミヤコは素早い動きでヒューマノイド達を全て一撃で再起不能にし、相手からの攻撃も全て回避し無傷のまま彼女のトレーニングは終わった。

 

「うん♪これなら明日も大丈夫だろう♪まぁ何が起こるか分からないから、僕はもう一つの手を考えておくよ♪」

 

そう言い残すとジウは鼻歌交じりに自分の研究室へと向かった。そんな姿を見送り、ミヤコは自分の手のひらに目線を移した。ヒューマノイドを再起不能にした時に手に付着したオイルは真っ赤な鮮血のように見えた。

 

 

 

「………本当に化け物ですね私は……」

 

 

 

1人呟くミヤコはどこか寂しげな表情を浮かべるが、しばらく眺めた後その手を握りしめた。

 

 

「これでいい……」

 

 

彼女の悲しげな囁きは誰の耳にも届くことなく、彼女自身の心にも届くことはなかった。

 


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