そしてうまくまとめられず4時間目突入……しかし体育祭は今回で終わることなく、多分次回で終わる予定です(・ω・`)
ぐだぐだになってしまいましたが、最後まで読んでいただけたら幸いです!
それではどーぞv(`ゝω・´)
異形と化した棒倒しが行われているグラウンドを目に、真琴は表情には出さずにいたが内心ガッカリしていた。
(この棒倒しでは殴る・蹴るといった行為が禁止されている……これでは彼がどれだけの力を身につけたのか目にすることが出来ないな…)
「どーしたのよ真琴?なんか浮かない表情してるけど?」
不意にイリーナに声をかけられた真琴は、自分の気持ちを見透かされたことに驚きながらも笑みを浮かべ答えた。
「いや…殴る蹴ると言った行為が禁止されているこの棒倒しでは、津芽君が思うように動けないと思ってね」
「泉、どうやらその心配はなさそうだぞ……」
呆れながら烏間がそう言うと、真琴はどういうことかと疑問に抱きながらミナトに目を向けた。
「まぁ相手があいつなんだし……殴り合いにならないわけないわよね」
「ヌルフフフ…2人共考えることは同じ似た者同士ですね〜♪」
イリーナは呆れて頭を手で押さえ、殺せんせーが笑みを浮かべる中、真琴も彼等と同様に呆れながら苦笑を浮かべグラウンドの方を眺めていた。
「まったく…彼等はルールを守る気は無いのか…」
「相変わらず重い一撃だな津芽‼︎」
「お前こそ相変わらずタフだなw」
ミナトと海莉は互いに傷つきながらも殴り合い、そして相手の強さに笑みを浮かべていた。
もちろん殴る蹴るといった行為はこの棒倒しで原則禁止なため、審判が一度止めに来たが…………
「でも先生、それって原則ですよね?相手が俺ですし、こいつも強いから大丈夫ですよw」
海莉の根拠の無い言葉に審判を務める本校舎の教師はいますぐ止めるよう注意したが、海莉が差し出した携帯を目にすると冷や汗をかきつつ怪我しないように注意しろよ‼︎と言ってその場を去っていった。
「お前と戦えるのに殴り合えないなんて意味が無いからなw」
「一体何を見せたんだよ…」
「ん?あいつの弱みを握ったんだよw本校舎じゃ有名なセクハラ教師だからな〜♪てかどの先生が来てもいいように全員分の弱みは握っといたw」
「ただのケンカ馬鹿じゃ無いんだな‼︎」
ミナトはそう言いながらヘラヘラ笑う海莉に対し拳を振るう。
「お前もケンカ馬鹿だけど成績優秀じゃん‼︎」
海莉はその拳を左で受け止めると、ミナトの腹めがけ膝蹴りを放った。
「そいつはどうも‼︎」
腹めがけ放たれた膝蹴りをミナトは左手で受け止めると、そのまま突き放し海莉との距離を開けた。
「相変わらずいい動きだな‼︎」
「まだまだこれからだぜ‼︎」
自分の孫が殴り合ってることなど気にすることなく、伊武鬼と八重野は楽しそうに棒倒しを見守っていた。
「ミナトの相手をしているあの少年…なかなか良い動きをする」
「2人とも楽しそうに喧嘩してるね〜」
そんな様子を見ていた岡野は苦笑しつつ言った。
「さすがは津芽のおじいさんとおばあさん…」
「なんかああいう場面に慣れてるというか…」
「まぁそういう私達もすっかり慣れちゃったんだけどね〜w」
岡野と共に苦笑を浮かべ茅野が言う隣で、中村はヘラヘラと笑みを浮かべながら言っていた。
「ミナト頑張れー‼︎」
そんな彼女達の隣では、ミナトの姉である雪乃が大声で声援を送っていた。
「ほらほら速水ちゃんもミナトの応援しないと〜」
ニヤニヤと笑みを浮かべる雪乃に言われ、速水も恥ずかしがりながらもミナトに声援を送る。
「が…頑張れー‼︎ミナトー‼︎」
そんな様子を見ていたミヤコは、倉橋が浮かない表情をしていることに気づき問いかけた。
「どうしたんですか倉橋さん?」
「ひょえっ⁉︎」
「いえ…浮かない表情をしていたので何か悩み事かと…」
ミヤコの言葉に倉橋は浮かない表情ながらも、何とか笑みを浮かべ答えた。
「今回の棒倒しに勝てば磯貝ちゃんの違反行為は咎められない、だからみんなには勝ってほしいの。………でもね、鮫ちゃんにも勝ってほしい……鮫ちゃんはA組だけど、私の大切な彼氏だから…」
倉橋の答えにミヤコはしばらく考え込むそぶりを見せると笑みを浮かべて言った。
「鮫島さん、そして兄様も同じですが愛されているというのは素晴らしいことですね」
「え?」
「鮫島さーんガンバレー」
疑問を抱く倉橋の隣で、ミヤコは棒読みではあるが海莉に向かって声援を送り始めた。
そんな姿を目に倉橋はわなわなと震えると、両手を上にあげ開き直ったのか大声で叫んだ。
「うー‼︎ミヤコちゃんだけずるい‼︎私だって…………鮫ちゃん‼︎ガンバレー‼︎」
ミヤコに対し心のこもった声援を海莉に送る倉橋を目にミヤコは笑みを浮かべると、その姿を見ていたE組女子達の方へ振り返った。
敵であるA組の生徒を応援し倉橋が嫌悪な目で見られて無いか心配したが、彼女達の方へ振り返りその表情を見てミヤコは安心した。
「やっと鮫島に向かって声援を送ったか〜」
「陽菜乃ちゃんずっとうずうずしてたもんね〜」
海莉に向かって声援を送る倉橋の元に、中村と矢田が歩み寄ると他の女子達も次々と倉橋の元に歩み寄っていった。
「陽菜乃、一緒にケンカ馬鹿な彼氏応援しよう♪」
「凛香ちゃん……うん‼︎」
「ミナト頑張れー‼︎」
「鮫ちゃん‼︎ファイトー‼︎」
「「「2人共頑張れー‼︎」」」
男子達に声援を送る女子達を見つつミヤコは思った。
(これが友人、仲間といったものなのですね……)
「ミヤコちゃんも一緒に応援しよう?」
後ろの方で眺めていたミヤコの方へ振り返り茅野は手を差し伸べる。ミヤコは茅野の手を取りながら彼女達の輪に入り、男子達に向かって声援を送った。
(皆さんに出会えて良かった……)
海莉と戦いを繰り広げるミナトを目に、カルマは磯貝に問いかけた。
「ねー磯貝そろそろじゃね?」
「…ああ」
(この作戦の土台になるのは観客席の強さだ。それを利用した客席に逃げ込む戦術とそして次の手…………鮫島はミナトが押さえている………やるなら今‼︎)
磯貝は周りの状況を確認すると、観客席の方に向かってハンドサインをし合図を送った。
(やっと合図が出たぜ)
(待ちくたびれたっつーの‼︎)
2つの影が応援席から飛び出し、A組の棒に飛びついた。
「なにっ⁉︎」
浅野の下に飛びついたのは、序盤にケヴィンによって客席まで吹き飛ばされた吉田と村松だった。
「へッ!受け身は嫌ってほど習ってっからな」
「客席まで飛ぶ演技だけが苦労したぜ」
(こいつら‼︎負傷退場のフリをして別働隊となり、A組全員の注意が逆サイドの乱闘に向いたスキに客席の外側から忍び寄ったのか)
吉田と村松の奇襲に、他のA組生徒達が気を取られた一瞬を磯貝は見逃さなかった。
「みんな‼︎逃げるのは終わりだ‼︎全員音速‼︎‼︎」
「よっしゃあ‼︎」
「やっとか……待ちくたびれたよ」
磯貝の合図と共に前原やカルマ達、攻撃部隊のE組生徒達は追っ手を振り切り、一斉に棒へ向かって走り寄り懐に飛びついた。
海莉は自軍の棒が窮地に追いやられてるのを目にするが、まるで他人事のように目をそらしミナトめがけ拳を突き出した。
「いいのかよ?助けに行かなくて」
「問題ねぇよw俺ほどじゃ無いけど浅野も強い…いくらお前達が暗殺の訓練を受けていたとしても難なく倒せるだろうさ」
海莉の攻撃を防ぎながらつつミナトがA組の棒へ目線を移すと、吉田と岡島の2人が浅野1人によって落とされていた。
「……スゲー」
予想外の出来事に呆気に取られていると、海莉の拳が顔面に叩き込まれミナトはその衝撃で地面に倒れた。
「油断してんじゃねぇよ、津芽………本気でこい‼︎」
海莉の叫びにミナトは顔を抑え、ふらつきながらも立ち上がった。
「あー悪い……浅野にちょっとだけびっくりしたもんだからさ」
ミナトはそう言うと自分の頬を思いっきり叩いた。
「もうがっかりさせない、思いっきりいくぜ‼︎」
「こい津芽‼︎最終ラウンドだ‼︎」
(ミナトは………あれじゃまだ合図は出せないな)
A組の棒に飛びついた磯貝は浅野の攻撃から身を守りつつ、海莉と戦うミナトに目を向けた。
(今は耐えるしか…)
「ぐっ……」
磯貝は浅野の攻撃を防ぎきれず棒から落ちてしまった。
その様子を応援席から見ていたE組女子達は心配の声をあげていた。
「どうしようこのままじゃ……客席に散ってたA組も戻ってきてるし」
「このままじゃ囲まれてリンチにされちゃうよ…」
茅野と不破がそう言うと、速水は海莉と戦いを繰り広げるミナトに目を向けた。
(やっぱり鮫島が相手じゃミナトでも………)
「ヌルフフフ、みなさん、心配はいりませんよ」
「「「………………」」」
「何言ってんのよ殺せんせー‼︎」
「明らかにE組の方が不利じゃない‼︎」
「ちゃんと状況を見てから言ってよ‼︎」
「にゅ…にゅやぁぁ…先生、そんなつもりは…」
殺せんせーが女子達からのブーイングを受け慌てふためいていると、その様子を見ていた真琴は笑みを浮かべ口にした。
「ふふっ、殺せんせーの言う通り心配はいらないだろう」
「泉先生まで……何か理由があるんですか?」
岡野の問いに真琴は答えた。
「1人で戦況を決定づける強いリーダー、それが浅野君だ。彼が指揮をとる限りA組は負けないだろう…………そして磯貝君はそういうリーダーにはなれない」
「そんな……もし負けたら磯貝君は…」
片岡が顔を俯かせながらそう言うと、真琴は彼女の頭に手をポンとのせ言った。
「磯貝君は浅野君のようなリーダーにはなれない。なぜなら………彼は1人じゃない、彼の周りにはいつも仲間達がいるからだ」
「泉先生……」
『な…なんとE組……さらに増援ーーー‼︎』
荒木の実況に女子達は耳を疑い、グラウンドの方に目を向ける。するとA組の棒には守備部隊であるはずの渚や千葉達が攻撃に加わっていた。
「え?渚や千葉君達が攻撃に加わってるってことは……」
茅野の言葉を機に、女子達はE組の棒の方へ目を向け驚愕した。E組の棒は寺坂と竹林の2人だけで押さえられていたのだ。
「「「どーなってんのあれ⁉︎」」」
さすがにこの時ばかりはその場にいた全員の言葉がピッタリ揃った。そんな疑問に竹林がメガネをクイとあげ答える。
「梃子の原理さ」
ハッキリと言い切る竹林の言葉を、客席にいた生徒達は半信半疑に思いながらも納得せざるをえなかった。
「梃子って言っときゃ案外どいつも納得すんなー」
鼻をほじりながら小声で話す寺坂に、竹林も同じように小声で答えた。
「……もちろん方便さ、さすがに2人で5人を押さえるのはちょっと無理だ」
すると竹林は自軍の棒で押さえつけているケヴィン達に言った。
「でも君達は抜けれるけど動かないよね」
竹林の言葉をケヴィン達は黙って聞いていた。
「5対2なら棒は簡単に倒せる……でも君達の第一目標はE組全員を潰すことだろ?棒を倒す指示はまだ出てないはずだ。君等よりも強い鮫島君も、ミナトを相手にしていて助けに来れない。指示を出す司令塔は今ちょっと忙しそうだ……」
そう言うと竹林はメガネをクイとあげ、普段は見せないカルマがするようなあくどい笑みを浮かべて言い放った。
「浅野君のことだ、まだ何かすごい作戦を残しているだろう……君等はうかつに動かずおとなしく指示を待ってた方が賢明だろうねぇ」
「………このメガネ腹立つ‼︎‼︎」
全米アメフトジュニア代表のケヴィンに怯むことなく言い放つ竹林の隣で、寺坂は彼の底力に恐怖心を抱いていた。
(竹林の奴、意外と度胸あんだな……)
そしてこれからも彼の敵に回ることのないよう、気をつけて触れ合っていこうと決意したのであった。
読んでいただきありがとうございます!
ちなみにミヤコちゃんはE組の応援席で応援中です。
都「ここのほうが居心地がいいので…」
さて、体育祭が終わった後はミヤコ編突入ですが、どのようにまとめるか決まっていないので更新がかなり遅くなるかもしれません……
それでも楽しみに待っていただけたら幸いです♪
感想お待ちしていますv(`ゝω・´)