今年から始めた『津芽湊の暗殺教室』たくさんの人の応援もあり今日まで続けることが出来ました。
もちろんこれで終わりじゃないですよ⁉︎
死神編、文化祭編、そしてデュラハン編……まだまだ書きたい話は作者の引き出しの中にたくさん詰まっています‼︎
これからもこの作品を一つの楽しみにしていただければ幸いです♪
それではどーぞー
12月31日
世間一般には大晦日 それは机に面と向かって何らかの書類を仕上げる彼も同じだった。
???「終わったー‼︎」
長い戦いだったのか彼は両手を高々と上にあげ、背もたれが反り返るほど大きく伸びる。そして肩を回しながら椅子から立ち上がり、ふと窓の方に目を向けるとすっかり暗くなり街灯りに照らされた外には雪が降っていた。
???「うーん、雪はいいんだけど濡れるの嫌なんだよなー」
彼は苦笑を浮かべ愚痴をこぼすと携帯を取り出し、仕事の最中に送られてきた一件のメールに目を通し『りょうかーい♪』と返信した。
???「それじゃそろそろ支度するか」
あの日から成長した元・暗殺者の津芽ミナトは自分の仕事が終わるのを待ってくれている家族の元へと向かった。
???「母さん、いつじいちゃんの家行くのー?」
中学1年生ぐらいの少年はテレビゲームをしつつ、その様子をソファに座り眺める母に問いかけた。
???「うーん、お父さんの仕事が終わったらかな」
???「ったく……要領が悪いんだよ父さんは、だからこんなに時間がかかるんだ」
???「でもお兄ちゃんはそのお父さん相手に組手で勝ったこと一度もないよね〜♪」
少年が愚痴をこぼすと小学6年生ぐらいの女の子が彼に飛びつくと共に、仕事を終わらせたミナトが居間にやってきた。
湊「おいおい朱理、お兄ちゃんがゲームしてる時に邪魔しちゃダメだろ」
ミナトに注意された小学6年生ぐらいの女の子、津芽朱理(アカリ)はべーと舌を出しへらへらとした笑みを浮かべながら言った。
朱「だってお兄ちゃんこのステージ10回目なんだよ?いくらゲームが苦手でも時間かかりすぎw」
???「俺はこのステージを楽しんでんの‼︎」
ニヤニヤと笑みを浮かべる妹に対し、ゲームをしていた少年 津芽正翔(マサト)はムキになりながら強く言い返した。
そんな様子を苦笑を浮かべ見ていたミナトは、ソファに座る妻の隣に腰掛け声をかける。
湊「悪いな仕事遅くなって」
???「ううん、大丈夫。みんな準備はもう出来てるよ」
湊「さんきゅ♪」
そう言って妻である速水凛香、もとい津芽凛香の頭に手を乗せ笑みを浮かべた。そんなミナトの笑みを目に凛香も「どういたしまして」と笑みを返していた。
正(人目ぐらい気にしろよな…)
朱(仲良いのはいいんだけどね〜)
そんな様子を目にしたマサトとアカリが呆れていることに気づくことも無く…………
湊「よし!これからじいちゃんの家に行くぞー‼︎みんな準備はいいか?」
正・朱「「はーい!」」
年の締めくくり 大晦日
ミナト達家族は祖父である津芽裕翔の家へ向かい始めた。
湊「ただいまー」
実家へとたどり着いたミナトが玄関を開けると、すぐ目の前には父 津芽裕翔の姿があった。
裕「待ってたぞ」
正・朱「「こんばんわーじいちゃん」」
裕「マサトとアカリもよく来たな。京子達もすでに来ている。奥の部屋にいるから遊んで来なさい」
朱「よかったねお兄ちゃん、京子先輩もう来てるってさ♪」
正「なっ⁉︎誰も嬉しいなんて言ってないだろ⁉︎」
そんなやり取りをしながら奥の部屋へと向かう2人を見送った後、裕翔はため息まじりにミナトの顔を見て言った。
裕「マサトは容姿こそ凛香さんに似てはいるが、内面的にはお前にそっくりだな」
湊「そうか?」
凛「私もそう思う」
隣で凛香が笑みを浮かべそう言うので、ミナトはますます首を傾げた。
裕「凛香さんも今日はゆっくりしていくといい」
凛「はい、ありがとうございます」
ある程度挨拶を済ませると、奥の方からドタドタと音を立て誰かがこちらに向かって走ってきた。
???「ひっさつ〜………スーパー孝宏かんちょー‼︎‼︎」
あろうことか坊主頭のその少年は裕翔に向かってかんちょーをぶちかました。
その光景を目にミナトと凛香は言葉を失ったが、裕翔にかんちょーをぶちかました当の本人はゲラゲラ笑っていた。
???「見たかじいちゃん‼︎俺の必殺技」
そう言って少年はその場から逃げようと回れ右をし走り去ろうとするが、突如目の前に現れた少女を前にピタリと動く足を止め冷や汗を流した。
???「何してるの孝宏?」
孝宏(たかひろ)と呼ばれた少年は目の前の少女の気迫に恐怖しガチガチと震えていた。
???「おじいちゃんに謝りなさい」
孝「で…でも…これは俺のひっさつ」
???「謝りなさい‼︎」
少女が孝宏の頭を鷲掴みにすると、孝宏は涙目になりながら必死にごめんなさいと連呼していた。
孝「ごめんなさいお姉ちゃん‼︎」
???「私じゃなくておじいちゃんに謝りなさい‼︎」
孝「おじいちゃんごめんなさ〜い」
泣きながら謝る孝宏を目に、裕翔は叱る気にもなれず彼の頭を鷲掴みにする少女に言った。
裕「京子、孝宏もずいぶん反省している。その程度にしておきなさい」
京「……お爺様がそう言うのなら」
そう言って京子は孝宏を連れ、奥の部屋に戻っていった。
湊「大丈夫かよ親父?」
裕「ニヤニヤしながら聞いてくるな。全く元気なのはいいことだが、孝宏は少し元気すぎるな」
凛「あはは……」
凛香が苦笑すると玄関がガラリと開き、そこには見覚えのある女性がいた。
???「あら凛香さんそれとお兄様も、もう着いていたんですね」
凛「久しぶりだねミヤコ」
湊「おいなんで俺をついでみたい言うんだよ」
都「お久しぶりです凛香さん」
湊「おい‼︎俺を無視するなよ‼︎」
叫び声を上げる兄のミナトを目に、ミヤコは「変わりませんね」と笑みを浮かべ言った。
裕「見送りは済んだのか?」
都「はい、先程フランス行きの飛行機に乗ったとこです」
湊「そう言えばお前の夫、今日から出張だっけ?」
都「そうです、タイミング悪いと嘆いていました」
苦笑混じりにそう言うミヤコを目に凛香は心配そうに問いかけた。
凛「でもやっぱりミヤコもあいつと年越したかったんじゃない?」
都「うーん、まぁ年越しで通話する約束をしてるんでそれほど寂しくはありません♪」
最愛の夫と共に年を越せない寂しさなど感じさせないミヤコの笑顔に、ミナトと凛香の2人は改めて彼女が変わったと思った。
都「そう言えばお父様、子ども達を預かってもらっている間何事もなかったですか?」
裕「……………」
都「お父様?」
湊「さっき孝宏が親父にかんちょーしてたよw」
その言葉を機にミヤコの表情は先程と打って変わって険しくなった。
都「申し訳ありませんお父様、後でしっかり叱っておきますので」
凛「いや!もう京子ちゃんが叱ったから大丈夫だよ!」
そんなミヤコを宥めるよう凛香が慌ててフォローに入る中、ミナトが先程の光景を思い出しニヤニヤしていると凛香に肘鉄を食らわされていた。
裕翔やミヤコとの会話を終えた2人は、ミナトの母である津芽美月と亡き妹津芽都の遺影の前に来ていた。
湊「ただいま母さん、都……今年も無事に越せそうだよ」
凛「今年も私達家族を見守ってくれてありがとうございます」
ミナトと凛香が遺影の方に目を向けると、彼らの言葉を耳にしたのか2人の遺影がほんのりと笑みを浮かべているように見えた。
人は年を越すごとに大きく成長する
一つの目標のために共に戦う彼等も………
海「よし!だいぶ仕上がってるな。年明けの空手大会、ミナトの息子には絶対負けんなよ?」
???「分かってるよ父さん。絶対正翔には負けない、今度こそ俺が勝つ‼︎」
海「その意気だ蛍冴‼︎負けたら……お前の髪白に染めるからなw」
蛍「えっ‼︎さすがにそれは勘弁してよ…」
成長した鮫島海莉と組手をする茶髪でメガネをかけた鮫島蛍冴(けいご)
そんな2人の様子を目に成長した倉橋陽菜乃、もとい鮫島陽菜乃は再び組手を始める2人に苦笑しつつ言った。
陽「そろそろご飯出来るよ〜」
海「あいよー」
蛍「わかった、今行くよ」
2人は組手をやめ、年末の特番を見ながら3人で楽しく食卓を囲むのであった。
より高みを目指し挑戦し続ける彼等も……
京「そんなんじゃ次は蛍冴に負けるよ?」
正「うるせー‼︎今度も俺が勝つんだよ‼︎」
激しく言い争いながら正翔は京子相手に挑んでいく。しかし京子は正翔の攻撃を全て容易に受け流していた。
京「フッ……その程度?」
正「ちっ‼︎まだまだぁ‼︎」
正翔の素早いラッシュが京子を襲う。京子は先ほどよりも苦戦したが、何とか全ての攻撃を防いだ。
京「下手な玉も数撃ちゃ当たるってやつ?」
正「バーカ‼︎俺の武器は刀だよ」
正翔が笑みを浮かべそう言うと、京子はすぐ目の前まで迫っている足刀に気づく。だが間に合わないと判断しとっさに目を瞑った。しかしいつまで待ってもやってこない衝撃に恐る恐る目を開けると、正翔は攻撃を止め京子と少し距離を開けていた。
京「………何で止めたの?」
正「俺の刀は人を斬る刀じゃない…人を守る刀だからだ」
その言葉に京子はわずかに笑みを浮かべる。
京「あっそ……まだ続けるでしょ?私もやられてばかりじゃ嫌なのよ」
正「もちろん♪かかってこいよ‼︎」
その後しばらく沈黙が流れると、正翔と京子の2人は自然と同じ構えを取っていた。
正・京「「虚刀流最終奥義‼︎」」
暗い過去を持ちながらも光の中を生きる彼等も……
譲「さっきのお客さんで最後だね〜♪」
真「手を休めるな、まだ店内の大掃除が残っているぞ」
仕事を終えた開放感に上機嫌なスケルトンこと夏川譲に対し、unknownこと泉真琴は厳しく現実を突きつけた。
譲「大掃除なんて明日でいいじゃないか、まるまる1日休みなんだし……」
真「明日は元日だ、初詣に行くのが普通だろう」
譲「え?ってことは明日はデー」
真「そうしたいのなら早く大掃除に取り掛かれ‼︎」
満面の笑みを浮かべる譲に対し真琴は顔を赤くしながらもテーブルを拭き始めた。
そんな時、目の前にスッとコーヒーが差しされる。
真「なんだこれは?」
譲「今年も一年お疲れ様 来年もよろしく♪って意味でw」
譲の真剣な表情に真琴はため息をつきつつも、今の幸せを噛み締めコーヒーを口に運んだ。
真「相変わらずジョーが入れるコーヒーは美味いな」
譲「そりゃどうも♪」
あの頃と変わること無く暗闇の中を生きる彼も……
???「今年の仕事もこれで終わりか……」
男は横たわる死体に目を向け、その隣で怯える少女に手を差し伸べた。
???「立てる?」
「あ、はい……あの!危ないところを助けていただきありがとうございます!」
???「いやいや、たまたまこの男が今回のターゲットだっただけですよ」
「ターゲット……もしかしてあなたは殺し屋…ですか?」
男は少女の問いに答えること無く、漆黒のバイクにまたがり黒いヘルメットを身につけた。
???「便利屋…ですかね〜♪」
「え?」
???「依頼人の仕事を確実にこなす。暗殺も殺しも救出も…………僕が仕事にしてるのはそんなところですよ♪」
そう言い残すと男はバイクのエンジンを荒々しく鳴らしその場から走り去っていった。
???「元日くらいは休みいれよーかなー♪彼の家に遊びに行きたいけど、その時はまた顔変えなきゃねw」
椚ヶ丘市が一望できる丘にいる彼等も……
殺「ヌルフフフ、今年もみなさん無事に1年を乗り越えられそうですね」
殺せんせーがそう言うと彼の背中に寄りかかる1人の女性は空を見上げ言った。
???「月日が流れるにつれ街も人も変わりますけど、月はあの日から変わってませんね」
殺「にゅやー……出来ることなら欠けてしまった月を何とか戻したいものです」
???「無理して戻さなくてもいいんじゃないですか?」
殺「にゅ?どういうことですか?」
???「欠けている部分はいつかあなたの教え子達が埋めてくれる。その日を楽しみに待ちましょう」
殺「………そうですね。ですが一つ間違ってますよあぐり?彼等は私の生徒では無く、私達の生徒です」
あぐり「ふふ、そうでしたね♪それにしても死神さん?その顔であの頃の笑い方をするのはちょっと………」
死「おや、つい昔の癖で…あの時あなたが私の触手を褒めてくれたように、あの頃の笑い方も褒めてくれると思ったのですが」
あぐり「はい、今のあなたも、あの頃のあなたも私は大好きですよ」
死「来年も一緒に彼等を見守り続けてくれますかあぐり?」
あぐり「もちろんです。私達の生徒が大きく成長し続ける限り」
2人は互いに手を重ね合う。雪が降り続けるなか風が吹き荒れると2人の姿は丘の上から消えていた。
大切な時を共に過ごしてきた彼等も……
湊「いやー今年も終わるねー」
凛「今日まであっという間だった?」
湊「あっという間…だったかなw正翔が中学行って空手部に入って」
凛「まさかそこで陽菜乃と海莉の子どもに会うとは思わなかったね」
湊「あいつらはいいライバルだよ」
凛「昔のミナトと海莉みたいだね」
湊「さらに奇妙な偶然でミヤコの娘もいたからなw」
凛「1年生で弓道部のエースって聞いた時はびっくりしたよ」
湊「いろんなことがあった。きっと来年も驚かされることばかりだと思う」
凛「でもミナトはそれが楽しみなんでしょ?」
凛香の言葉にミナトは笑みを浮かべる。
湊「まぁなw」
凛「そう言うところ変わらないよね」
湊「凛香だって昔と変わらないだろう」
凛「どういうところ?」
湊「可愛いところ♪」
凛「………………」
湊「???」
凛「……………バカ」
突然の言葉に凛香は顔を真っ赤にし、ミナトから逃れるよう視線を逸らした。
湊(相変わらず可愛らしいこと…正翔と朱理に見られたら恥ずかしくて死にそうだけどw)
湊「凛香こっち向いて?」
凛「なに?」
凛香が振り向くと彼女の唇にはミナトの唇が重ねられていた。
湊「来年もよろしく♪」
凛「…………来年も!再来年も!これからもずっとよろしく‼︎」
湊「ちょっ⁉︎凛香さん⁉︎」
珍しく感情を爆発させる凛香にミナトが戸惑っていると、凛香はミナトがしたように自身の唇を彼の唇に重ねた。
そんな様子を朱理と孝宏が目玉を飛び出しながら覗いてことを2人は知らず、翌年の元日 裕翔とミヤコに注意されるのであった。
人は年を越すごとに大きく成長する
ある者は子どもと共に、ある者はライバルと共に、ある者は仲間と共に、ある者は亡き愛する者と共に、ある者は家族と共に
この作品もたくさんの人と共に大きく成長していく。
そんな『津芽湊の暗殺教室』はまだまだ終わらない
読者の皆様に感謝を込めて
この作品に目を通していただき本当にありがとうございます。日本語が下手と言われた作者が書いた作品にもかかわらずたくさんの人が読んでくれるのをとても嬉しく思います。
皆様からいただく感想は私の原動力です‼︎
気づけば感想も3桁に、ここまでいただけるとは思っていませんでした。
読者の皆様だけでなく、同じように暗殺教室の二次小説を書く人達とたくさん知り合うことが出来ました。
自分の考えを文字にするのは難しい
そう思うのは私自身日本語が苦手だからかもしれませんがwこの作品を読んで、私も書いてみようかな〜と思う人が1人でも増えれば幸いです。
さてさて、今回の話は12月31日に投稿しましたが、現時刻はすでに新年を迎えているのではありませんか?
それを狙ってこの時間に予約投稿させていただきましたw
読者の皆様、そして同じく暗殺教室の二次小説を書く作者の皆様、このサイトを通じて出会えたたくさんの人達に感謝の言葉を申し上げます。
皆様‼︎今年も良い1年を‼︎
そして‼︎津芽湊の暗殺教室をこれからもよろしくお願いします‼︎