今回登場する綿あめ、実際こんなのがあるか分かりませんが、あったら少し食べてみたいかも…って思いましたw
時は少し遡り、駅から夏祭りが行われる会場に向かっている時の話
「うーん」
腕を組みながら唸り声を上げる中村に、片岡はどうしたの?と問いかけた。しかし、返答はやっぱりゲスなもので…
「いやね、早くはやみんと津芽付き合わないかなーと思って」
「ただ、ネタにして面白がりたいだけでしょ…?」
「おっ!さすがメグ!分かってるね〜♪」
笑いながら言う中村を前に片岡がため息を吐くと、隣にいた倉橋と矢田が言った。
「凛香ちゃんと津芽ちゃんが2人でお祭り見て回るとかすれば進展あるかもしれないけど…」
「津芽君恥ずかしがり屋だし、男子達と回るだろうね…」
それからしばらくして中村は何かヒラメキ、笑顔で言った。
「なんとかしよう」
「「「え?」」」
「私達の力で付き合うまではいかなくても、2人の仲を進展させるぞ‼︎」
「「おー‼︎」」
「…おー」
中村の言葉に矢田と倉橋が元気に賛同する中、片岡も申し訳なさを覚えつつ、2人のことを考え賛同していた。
そして現在に至る…
速水は若干戸惑いながらも、中村の作戦を聞いていた。
「まぁ簡単に言えば、はやみんと津芽が2人でお祭りを見て回れるよう私達が力になろうってわけ♪」
「……それで具体的にどうするの?」
速水の問いに倉橋が応えた。
「凛香ちゃんが迷子になったって言うんだよ♪」
「私が迷子?」
「うん!そして津芽ちゃんが探してる間、凛香ちゃんはある場所に待機!後は私達が津芽ちゃんをそこに誘導するよ♪」
笑顔で言う倉橋、そして片岡、中村、矢田を前に速水は少し頬を染めながらもありがとうと応えた。
「それで私はどこにいればいいの?」
「あーそれはね………」
それから中村は速水の耳元で囁いた。
「え……」
その頃、茅野、神崎、奥田、不破の4人は……
「ちょっ…待ってよ茅野さん‼︎」
「か、かやのさん速いです…」
「奥田さん大丈夫?」
夏祭り会場を駆け抜ける茅野を不破、奥田、神崎の3人が追いかけていた。
原因は少し前に遡る…
4人で屋台を見て回っているたとき、それは茅野の目に飛び込んできた。
「あ、あれは‼︎」
そう言うと茅野はある屋台に走っていった。
向かった先は綿あめの屋台、そこで茅野が目にしたものとは……
「こ、これは…幻のプリン風味の綿あめ‼︎」
急いで追いかけてきた3人は、綿あめの屋台ではしゃぐ茅野に問いかけた。
「茅野さんそれは?」
「結構前だけど、テレビでやってたの‼︎プリン風味の綿あめ‼︎食べてみたいなーって思ってたけど、まさかこんなとこで出会えるなんて!」
今までにないぐらい興奮している茅野に思わず3人は微笑んでいた。
「ほらほら茅野さん、急いで並ばないと売り切れちゃうよ〜?」
「そ、そうだ!早く並ばないと!」
そう言うや否や茅野は綿あめの屋台の列に並び始める。自分の番が少しずつ近づくにつれ、幻のプリン風味綿あめを食べられるという事に茅野はウキウキしていた。
そしていよいよ茅野の番になったが……
「おじさん、プリン風味綿あめ一つ‼︎」
「ごめんよお嬢ちゃん、さっき買っていったお客さんので最後でね…」
「えー‼︎‼︎」
後一歩届かなかったプリン風味の綿あめ。茅野はあまりの衝撃さに大声で叫んでいた。
そんな声に気付いたのか、先ほど最後のプリン風味綿あめを買っていった男が茅野の元に歩み寄っていった。
「すまないねお嬢ちゃん、私の娘もこの綿あめが大好きでね。どうしても食べたいってせがまれてしまって…」
「うう…幻のプリン風味綿あめ…」
落ち込む茅野を前に男は申し訳なさそうに応えた。
「このプリン風味綿あめなら、ここよりもう少し行ったところに屋台がもう一つあるみたいだよ?」
そう言うと男は屋台のおじさんに確認をとっていた。
「本当ですか!」
「おお!そのお客さんの言う通りもう少し先に行けば同じ綿あめが買えるよ」
おじさんが応えると共に、茅野は猛ダッシュでその場を後にした。
「待ってよー!茅野さん!」
走り去る茅野を不破が追いかけ、奥田と神崎は2人にお礼を告げその場を後にした。
そして今に至る…
茅野を追いかけている中、奥田は神崎の何か考えているような表情が気になり問いかけた。
「ど、どうかしましたか?神崎さん」
「うん、さっきの男の人誰かに似てるなって思って…」
「誰か?」
「うん…でも今はそんな事より茅野さんを追いかけないと」
「は、はい!」
そして神崎と奥田が2人に追いつくと、茅野を慰める不破の姿があった。
「不破さん、まさか…」
「うん、そのまさかなんだ…」
奥田の問いに不破が応える、茅野が嘆き始めた。
「どうしてー?どうして、幻のプリン風味綿あめは私の元を去っていくのー⁉︎」
「茅野さん落ち着いて…」
嘆く茅野を3人が慰めていると薔薇が描かれた藍色の浴衣を着こなす人物がその輪に割って入り、茅野の目の前には幻のプリン風味綿あめが差し出されていた。
「よかったら食べますか?」
その声に4人は顔を上げると、そこにいたのは意外な人物だった。
「津芽さん?」
「どうしてここに?」
「夏祭りに来ていたら見覚えのある人達が大声で叫んでいたので」
奥田、不破の問いにミヤコは淡々と応えると、茅野に再び問いかけた。
「よろしければこの綿あめ食べますか?」
「い、いいの?」
「構いません、私には少し甘過ぎましたので」
そう言ってミヤコは微笑みながら茅野に綿あめを手渡した。
「あ、ありがとう!ミヤコちゃん!」
そう言って茅野は思いっきりミヤコに抱きついた。
「か、茅野さん…さすがに私も女なので勢いがあると支えきれないです…」
「あ!ごめんね…」
茅野がそそくさとミヤコから離れると、もう1人見覚えのある人物が茅野達の元にやってきた。
「おーいミヤコー…って、何してんの?」
そこにいたのは戦隊ヒーローの面を頭にかけ、りんご飴を口にするジウだった。
((((めっちゃお祭りを満喫してる!))))
ジウの姿に4人の意見は揃った。だが、それと同時にジウに対し警戒心を放っていた。
「ふーん、暗殺があるってのに随分のんびり〜だねw」
ジウの言葉に不破は反論しようとするが、それはミヤコによって遮られた。
「ジウ…私は今日、暗殺者としてこの夏祭りに来たわけではありません」
「わかってるよ、少しからかっただけじゃん」
「今回は純粋にお祭りを楽しみに来ただけです」
「はいはい」
つまらなそうにジウはそう応えると、振り返り茅野達の元を立ち去ろうとした。それに続いてミヤコも4人の前を立ち去ろうとするが…
「待ってください!」
立ち去ろうとするミヤコを呼び止めたのは奥田だった。
「なんでしょう?」
「あ、あの…よかったら!私達と一緒にお祭り見て回りませんか?」
「え?」
ミヤコが奥田の言葉に戸惑う中、茅野、神崎、不破の3人は互いに顔を見合わせ茅野は笑顔でミヤコに行った。
「一緒に回ろう?綿あめのお礼もしたいし」
「…私がですか?……ジウから聞いたはずです私の過去を…私にあなた達と馴れ合う資格なんて…ありません…」
俯きながら残念そうに微笑み話すミヤコの手を神崎は握りながら言った。
「資格なんていらないよ?津芽さんが私のことをどう思おうと、私は仲良くなりたいって思ってる」
その言葉と共に、奥田、茅野、不破の3人も笑顔で頷いていた。
「いってくればいいんじゃない?」
そんな光景を前にジウはりんご飴を食べながら言い続けた。
「たまにはいいんじゃん?裕翔さんも出かけてるんだし…楽しんできなよ」
「…………」
ミヤコは何も応えることなく、再び神崎達の方に目を向け言った。
「本当にいいのですか?」
「うん!」
「……分かりました。それじゃ…よろしくお願いします」
それからミヤコは茅野達の輪に入り、屋台の並びへと歩いていった。
そんなミヤコの姿を見送ると、ジウは振り返り、楽しそうな表情を見せ1人呟いた。
「彼女達と関わることでどう変わるのか……ミヤコにとって1番怖いものは人間だからね〜…………あ!焼きそば買って帰ろうっと♪」
りんご飴をペロッと舐め、ジウは鼻歌交じりに人混みの中へと姿を消した。
夏ですね!
観光業で働いてる私に休みなんてない!
…これからは不定期更新になると思います…出来るだけ毎日更新できるようにしますので、楽しみにお待ちいただければ幸いです(´・ω・`)
あと弟が夏風邪を引き、私も鼻水が止まりませんw
皆さんも体調を崩さないよう気をつけて、有意義な夏をお過ごしください♪(*´w`*)