Lチキは夢を見たんだ・・・
始めは、ただ出来上がる事がうれしかった。
でも、次第にもっと、もっとと量を求めた。だって、憧れるじゃないか・・・
スクロールバーが小さい事に憧れるじゃないか!!
という事で、文字数を多くしようと頑張ったんですが、結果誤字脱字の雨あられ、キャラクターの性格がぶれる、言い回しがじれったいなどの状況になったため長文を断念。
また、少し少しチョビチョビとやってく事にしました。なのでここから少し文字数が減ります。
Lチキのご報告でした。
それにしても、最近思うのですが俺ガイルとFateの純粋なクロスがないですね・・・誰かやってくれないかな~と思う今日この頃です。
それでは、皆さん、長々と申し訳ありません。本編どうぞ、感想評価お待ちして下ります。
千冬の声に今まで停止していたクラスは、目ざとく反応し、教壇に向かい視線を集中させる。
30人あまりの視線の波。
タジタジだった俺や一夏と比べ、毅然とした態度でそこにいる千冬は流石の貫録だ。
まあ、教師だし当たり前ではあるが、なまじあの居心地の悪さを経験した身としては、普通に感心する。
「このままでは埒が明かん。
そこでだ、お前達には1週間後模擬戦を行ってもらう。
その勝敗にて、クラス代表と今回の決着をつける。
異論は認めん」
千冬から出た提案という名の確定事項は、まさかの最悪な案だった。
というか何たる脳筋思考だ。
今まで静観していて出した結果が、話し合いで駄目なら殴り合って決めろ。
これには流石の俺も呆れた。
さっきまで感心していたのに凄く騙された気分だ。
ただこの案は、IS学園の趣旨としてはある意味間違っていないというのが厄介なところだ。
その上、男性操縦者のデータ収集には持って来いの見世物なのだし、学園側もこれを否定する事はありえない。
つまり、今ここでどうにかしないと、最低で最悪な結末になることが決まってしまう。
それは、阻止したいところだが‥‥‥現状では難しいだろうな。
まったく、この学園の教師陣の育成と選抜がどうなっているのか本気で知りたいものだ。合法的な殴り合いが許されているからと言って、それを進んで推奨してくるようでは色々と駄目だろう。
ここは、料理の腕が全てを決める学園ではないんだぞ。
別にISに乗っても服がはじけ飛ぶような演出はないし、女の子が悶える事なんて起こらない。
戦っても労力がかさむだけで、役得が何にもない。
ISで強かろうと=絶対正義なんていう構図はできないのに、勝った方が正しいとか何というジャンプ脳だよ。
そんな事考える教師なんて普通いないだろ。
などと考えていると、ふとある顔が頭をよぎった。
漫画やアニメなんかの話が分かり、タバコと酒がこれでもかと似合い、結婚ができずに項垂れる。本当に誰か貰ってやれよ。
現国の担任なのに白衣をいつも来ていて、他の誰よりも白衣をかっこよく着こなす高校時代の恩師の姿。
・・・そういえばいた。
凄い身近に一人、そんな教師に心当たりがあった。
あの時も、俺と
何だろう、もしかしてこういう教師は結構いるのだろうか、そんな馬鹿な。アレとコレは例外中の例外だろう。
そういえば、千冬も平塚先生もどことなく似ているな。
2人とも長髪だし、クール系だし、教師で武闘派だし、なんか愛情が重そうで、酒とか好きそうで、一人でラーメンを食べてる姿が容易に想像できる。
年齢的には平塚先生の方が上だが、彼女の年齢以上に若々しく見える容姿を考えれば、同い年と言っても問題ないくらいだ。
かなり共通点があるなこの2人。
つまり、このままいけば同様に千冬も生きおくれ―――
その時だった。突如として、俺の顔の横を何かが通り過ぎ風切音が鼓膜に響く。
何か黒くて四角い物が見えた気がしたが、一瞬の事なので良くは分からなかった。
それが飛んできた方を見ると、凶悪な顔をした仁王が覇気を纏い、俺の事を見ていた。というか千冬だ。
「・・・何か言ったか、いや、何を思った、八幡?」
「はて、何のことか見当もつきませんね」
眉間に皺が寄った顔で睨まれ、反射的に目線をそらしてしまう。
なぜこういう女性たちは、それ系の話をすると‥‥‥いやむしろ、思っているだけなのにエスパーの如く人の心を読んでくるのか、
なぜ皆が皆、暴力に訴えてくるのか甚だ疑問である。
こんな所で無駄な労力使うより、その超能力で彼氏の一人でも作れよ。
そんなんだから婚期をのが・・・おっと、殺気が飛んできた、これ以上はやばいな。主に俺の身の安全が。
「・・・それはそうと、いきなり模擬戦とか無理矢理すぎはしませんか、織斑先生」
「異論は認めないと言ったはずだが?」
「異論は認められてないので、疑問を口にしてるんですよ。生憎俺は御存じのとおり素人ですよ?」
「屁理屈を言うな。
それに、私からしたらお前もセシリアも等しくひよっこだ。差なんてあってないような物だ」
元世界チャンプと学生を比べれば確かにひよこだろう。でも、ひよこ同士だったらその差がかなり影響するんだが、そんな事はお構いなしと言ったように、千冬は不敵に笑う。
この顔、どうやっても模擬戦をやらせようとしている。
自分の意志を最後までやり通すという強い意志を感じる顔だ。こういう手の顔をする奴は大抵の場合、その決定を覆す事がない。
多少問題が発生しようと関係なくやり遂げる。そういう人種のする顔だ。
俺は、オルコットと違い自分の身の程を理解しているつもりでいる。事実、俺の自己評価は他人のそれより遥かに低いだろうし、正当な評価であると自負している。
ずば抜けた天才でもなければ、努力を積み重ねる秀才でもない。テレビや漫画の主人公のような奇想天外な事が出来る訳でもないし、そんな度量もない。
だから、どんなに足掻いてもほとんど初見の兵器を乗りこなす事なんてできはしない。有段者に勝てると思うほど、自分を見失ってもいなければ、ご都合主義も主人公補正も強運も持ち合わせていないただの人間だ。
強運どころか運なんてほとんどないと言っても過言ではなしな。
もし俺がサーヴァントとして呼び出されたら、幸運は間違いなくEだろう。
真名:比企谷八幡
性別:男性
属性:混沌 善
パラメーター
筋力:E
耐久:D
敏捷:B
魔力:D
幸運:E
宝具:―
クラス:アーチャー(又はアサシン)
クラス別能力
アーチャー アサシン
単独行動:A+ 気配遮断A
対魔力:D
保有スキル
カリスマ:B- 気配感知:A
真眼(真):B 情報末梢:B
精神汚染:D 精神汚染:B
追い込みの美学:C 仕切り直し:C
人間観察:B 人間観察:B
自己暗示:C
戦闘続行:C
宝具
理性の化け物
自意識の化け物
ボッチ
こんな感じか、全体的に微妙すぎるな。
多分開始早々に敗退するか、終盤まで引きこもって最終的にマスターに自害しろって令呪を使われる感じか。
容易に想像できてしまう。サーヴァントどころかマスターにすら負けそうだな俺。
俺にできるのは、せいぜい相手の虚を突く奇襲か、斜め下からの奇策で相手を罠に嵌める事ぐらいだ。
だから、俺がセシリア・オルコットのようなエリートに真正面から挑めば勝つ事なんてありえないし、ありえてはいけない。
つまり、端からこの模擬戦の結果は決まっている。
仮定がどうあれ、どんな事が起きようと結果は最悪。待つのは敗北の未来。
別に今更負ける事に何かを思う訳ではないし、高校時代から変わらず、むしろ進化した俺は、土下座に靴舐めを越えた焼き土下座すらできてしまう始末だ。
だが、ただ負ける事が分かっていて、その負けには何の意味もない。誰かが救われることも、誰かが傷つく事もない。完全なる空虚の敗北。
それを理解しているから、その虚しさを、その虚無感を他の誰よりも分かっているから俺はそんな敗北の未来をただ黙って受け入れる事はできない。
例え惨めに敗北しても抗う事をやめてしまえば、俺は人間でいられない。
「代表候補生とか言う大層な名前がついているなら専用の機体を持ってるんじゃないですか。
乗り手がひよっこでも、乗る機体に差が出るんじゃどうしようもないんですが?」
「心配するな、国の方からお前達に専用機が支給されることが決まっている。整備にまだ時間が掛かるが1週間後には間に合わさせる」
専用機、その言葉を聞くとクラスはざわつく。
端々で凄いだの私もほしいなどという声が上がる。察するに、専用機とはそのまま自分専用のISという事だろう。
世界にある400ほどの限りあるISを、国が個人に運用を任せているという事なのだろう。
それは、与えられている人間の信用と実力、立場に基づいた采配だ。
この場合で言うなら、努力を重ねその座を手に入れた、信用と実力を持って勝ち取ったのがオルコットで、
データ取集なんかの為に強制的に与えられた立場の人間が俺達になる。
この2つの違いは凶悪だ。
実力で勝ち取った人間と、与えられただけの人間。
人は平等ではない、だからこそ人は人との間に確固たる区別をつけなければいけない。
努力し頑張った者にはそれだけの報酬を、おこたり怠けた物には無償を、誤り失敗したものには罰則を与え続けなければいけない。
そうしないと人は自分の善悪を区別できない、
今いる場所が与えられ保障され掛け替えのないものだと気が付かないからだ。
だから、これほどの違いがあろうと人は平等なんていうありもしない幻想に縋ろうとする。
「男2人に貴重な機体を預けるとは、随分と気前がいいですね。
男性操縦者が発覚して間もないというのに、そんなに早くISってのは組みあがるもんなんですか?
まさかとは思いますが、万が一にも、急かして作った模造品なんてことはありませんよね。そんな信用のないものに乗るのは承認しかねますね」
「話は最後まで聞け。
支給されると言っても2人同時にはさすがに不可能だ。1週間後の模擬戦では一機のみ使用できる。
製造元は現国家代表の機体を手掛ける信用のおける所で心配はいらない」
どうしても逃げ場を塞ぐつもりかこのヤロウ。
‥‥だが、支給されるのは一機のみか・・・
「ごちゃごちゃと文句を垂れて女々しいですわね。まあ、相手がこのわたくしなのですから尻込みするのも分かりますが」
俺が少し考えていると、後ろから愉快でもなんでもないのにやたらテンションが高い声が聞こえてきくる。
振り返ればさっきまでとは打って変わり元気100%になったオルコットが勝ち誇った笑みと共にそこにいた。
さっきまでが嘘のように、調子に乗り始めたなこいつ・・・
自分の優位な土俵に立たされた途端にこれだ。流石の俺も呆れを通り越し感心するよ。
お前の面の皮は何処まで厚いんだ。もはやボンレスハムとため張れるレベルだろ。
呆れすぎてため息すらでねえよ。
「何なら、貴方が先ほどまで働いた無礼の数々を誠心誠意涙ながらに謝罪するなら、許してあげない事もなくってよ。
何せわたくしのようなエリート相手に貴方のような無礼で、文明が遅れている蛮族・・・いえ、お猿さんが勝てるはずありませんものね!
大衆の目前で大恥をかくなら、今ここで土下座をした方が賢いという物ですわよ!」
途中から日本人全体に喧嘩を売っているという自覚が、果たしてこの少女にあるのだろうか。
もし自覚があってこれなら国家問題だし、自覚なしでも大問題だな。
周りにいる少女達は、何も言わないが明らかに気分を害している。
こういう相手に沈黙するのは良策ではない。何せ、こっちが黙れば延々と調子に乗り続け喋り倒すからな。
だが、先ほどまでの内容を見ていれば、ここで声を荒げても何の解決にもならず、さっきまでの焼き直しになるだけなのが平気で分かるので、この沈黙は概ね正しいと言えるだろう。
何よりこんな見え透いた挑発に乗るのはよほどのバカ―――――――
「なんだとッ、いいぜ、四の五の言うより分かりやすい。その勝負受けてやる!!」
一夏が突然立ち上がり、怒りを露わにした声で叫ぶ。
そこには、整った顔立ちであるツラに1,2本の皺を作り、眉間に皺を寄せる馬鹿の姿があった。
一夏のあまりにも、あまりにもアレなあれに、先ほどはこらえきった、ため息が今度こそ放出される。
2回分合わせたくらいの盛大なのがな。
「はぁー‥…」