魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士   作:京勇樹

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臨死体験

「だから、お姉ちゃんは料理しちゃダメって言ったでしょ!?」

 

「あ、あれー? お母さんから、最近はマシになったって言われたんだけど……」

 

なのはに怒られて首を傾げているのは、眼鏡を掛けて長い茶髪を三つ編みにした若い女性だった

 

彼女の名前は、高町美由希(たかまちみゆき)

 

なのはの姉である

 

「明久! しっかりして、明久!?」

 

「アカン! 白眼剥いとる! シャマル!」

 

「は、はい!」

 

 

高町姉妹から少し離れた所では、明久が白眼を剥いてグッタリとしており、フェイトは明久に呼び掛けて、はやてはシャマルに治療するように指示を出していた

 

「やべぇ、シャマルと同類が居た……」

 

「いや、湖の騎士よりかは幾分かマシだ」

 

「どっちにしろ、危険には変わらない」

 

と会話しているのは、少し離れた場所で新人達に離れるように指示していたヴィータ、アインス、シグナムの三人である

 

なぜ、こんなことになっているのか

 

理由は、少しばかり時間を遡る

 

今から約二時間と少し前に、新人達がコテージに帰還

 

その少し後に、一台の車が到着

 

その車から降りてきたのは、アリサとすずか

 

更に、美由希とフェイトの義姉のエイミィ・ハラオウンとフェイトの使い魔

 

アルフだった

 

そのメンバーが集まったので、全員で食事をしながら自己紹介をする流れになった

 

そこまでは普通だった

 

だが、美由希が明久に

 

『ちょっと味見してほしいんだけど』

 

と言って、手作りのクッキーを渡したのである

 

これに対して、明久は最初は尻込みした

 

何故かと言うと、美由希もかなり料理が下手なのを明久は知っていたからだ

 

その酷さはと言うと、過去に同じようにクッキーを食べたら、一週間意識不明になったのである

 

それを覚えていたので、明久は躊躇った

 

すると、美由希が手をパタパタと振りながら

 

『お母さんから、最近は大分マシになったって言われたから、大丈夫だよ』

 

と言い、それを聞いた明久は安堵したのだ

 

なのはと美由希の母

 

高町桃子(たかまちももこ)は一流のパティシエである

 

その桃子がマシになったと言ったのなら、大丈夫だろう

 

明久はそう判断して、なのはが止める暇も無くクッキーを食べた

 

そして意識を失い、冒頭に戻る訳である

 

「確かにお母さんはそう言ってたけど、お姉ちゃんは三回に一回は爆弾を作るじゃない!」

 

「いやぁ、今回は大丈夫かなぁって……」

 

どうやら、明久はその三分の一を引いたようである

 

「シャマル! 解毒や!」

 

「やってます!」

 

「主、お湯とタオルです」

 

はやては指示を出し、シャマルはその指示に従って治療

 

アインスがその補佐へと回っていた

 

「あ、お爺ちゃん? 今そっちに……」

 

「行かないで!」

 

明久が不穏な言葉を言うと、フェイトは思わず叫んだ

 

そんな光景を見て、残っていたメンバーは

 

「明久さん。大丈夫なんでしょうか?」

 

「だ、大丈夫だと思うよ?」

 

キャロとエリオは冷や汗を流し

 

「うーん……このクッキーも危ないかなぁ?」

 

「置いときなさい」

 

スバルは美由希から貰ったクッキーを見て不安がり、ティアナが置くように指示

 

「美由希さん。相変わらずみたいだね」

 

「普通に料理が出来て良かったわ」

 

すずかとアリサは慣れてるのか、慌てていない

 

「ねぇ、アルフ。私は大丈夫だよね?」

 

「エイミィのご飯は美味しいぞ!」

 

エイミィは不安がってアルフに問い掛けて、アルフは満面の笑みで答えた

 

「ガフッ! ハッ!? 僕は一体なにを?」

 

「良かった……意識が戻ったわ」

 

「良かった……」

 

明久が意識を取り戻すと、はやて達は安堵して座り込んだ

 

こうして、食事は無事(?)に終わった

 


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