魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士   作:京勇樹

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憑神・オーバーロード

フェイトが叫んだ直後、フェイトを中心に結界が展開された

黄昏空間が

その中に居るのは、黄昏因子適合者とクビアだけ

そしてそこから、劇的な変化が起きた

フェイト以外の適合者達の体が、透け始めたのだ

普通ならば、慌てるところだろう

しかし、ある確信があった

大丈夫だと

そして透けた全員から出た光が、フェイトに集まっていく

それが集まる度に、フェイトの体から止めどない力が溢れる

その力を、フェイトは必死に制御していた

頭の中に浮かび上がる形に

その間、クビアも黙っていたわけではない

クビアの下部から、卵に数本の足が生えたような物体が現れた

ソレの名前は、クビア・コア

クビアが作り出す分身体だ

数は一体だけだが、対魔障壁が展開されていて、並の魔導師では太刀打ち出来ない

そのクビア・コアは、ゆっくりとフェイトに迫った

だが次の瞬間、クビア・コアが展開していた障壁が砕け散った

その原因は、撃ち込まれた拳

半透明になったスバルが繰り出した拳が、クビア・コアの障壁を破砕したのである

そしてそのクビア・コアに、今度は砲撃が直撃

吹き飛ばした

その砲撃は、なのはが撃ったものである

その直後、フェイト以外の全員の姿が消えた

そしてフェイトは、クビアを睨み

 

「お前は……ここで、終わる!!」

 

と叫んだ

その直後、フェイトの体から凄まじい光が溢れた

そして光が収まった直後、そこには約5mに達する巨体が居た

右手には鎌を持つ、まるで悪魔のような見た目の巨体が

 

『憑神・オーバーロード!!』

 

それが、黄昏因子の最終切り札

スケィスを依り代として、全ての黄昏因子を束ねた姿

そしてフェイトは、一気にクビアに向かった

確かに、悲しみがある

だがそれに止まっては、明久に申し訳がたたない

明久は何時も、誰かのハッピーエンドのために奔走していた

その明久が、自分を犠牲にした

だったら、悲しむのは後にする

今は、クビアを倒すことこそが何よりも大切なのだ

でなければ、世界が崩壊する

 

『あああああァァァァァァ!!』

 

フェイトは雄叫びを上げながら、クビアに鎌

死ヲ刻ム者を振り下ろした

流石に、一撃で障壁は砕けない

だが、それはフェイトにも予想出来ていた

だから、連続で鎌を振り回した

一撃入る度に、手応えが増していく

しかし、クビアも無抵抗ではない

雄叫びを上げると、至るところから生えている触手の先端から、砲撃を放った

それをフェイトは、得意の機動で回避しつつ、回避しきれないのは死ヲ刻ム者で弾いた

 

(不思議だ……こんな巨体なのに、何時も通り……ううん、何時もより早く動ける)

 

普通、体が大きくなると動きは鈍くなりやすい

中には例外的に、巨体なのに動きが早い生物も居る

フェイトの元々の身長は、女性の中では高い約175cmになる

しかし今は、約三倍の約5m

そうなれば、重量の増加から機動性は大幅に落ちてしまう

それどころか、体が何時もより軽く、早く動く

その理屈は、フェイトには分からない

だが、だからこそ、今目の前に居るクビアに、負ける気がしないのだ

砲撃を無傷で切り抜けたフェイトは、一気に接近し、死ヲ刻ム者を連続で叩きつけた

その時、左腕が動き

 

『振動拳!!』

 

左拳を、障壁に叩き込んだ

その攻撃は、本来ならばスバルの固有技だ

それがなぜ、フェイトに使えるのか

その理由は、フェイトには分からない

しかし、それすらどうでもいい

フェイトは、次々と攻撃を繰り出した

 

『ヘイムダル!!』

 

次に放ったのは、はやてが使う古代ベルカ式魔法のヘイムダルだった

クビアを上回る巨大な氷の塊がクビアの真上に現れて、クビアに落下を始めた

それに気づいたクビアは、先程フェイトに放った砲撃を氷塊に対して収束させて放った

その威力は、なのはのスターライトブレイカーを上回っていた

その威力に、氷塊は砕け散った

だが

 

『ヘイムダル・ファランクスシフト!!』

 

即座に、同系統のより攻撃に特化した魔法に組み直した

砕け散った氷塊は、まるで氷の槍のようになってクビアに雨霰と降り注いだ

その直後、何かが砕け散る音が響き渡った

クビアが展開していた障壁が、砕け散ったのだ

それを聞いたフェイトは、クビアに肉薄し

 

『リングバインド!!』

 

様々な色のバインドで、クビアを拘束した

更に

 

『スターライト……ブレイカー!!』

 

なのはの切り札たる、スターライトブレイカーを至近距離で放った

その衝撃に、フェイトの体も震える

しかし、フェイトは止めなかった

確実に、クビアを倒すために

怒涛の攻撃

普通ならば、フェイト一人では使えず、魔力が切れている

だが、今の彼女は一人であり、一人ではない

他の黄昏因子の使い手達の想いと力が、全て集まっていた

それが、不可能を可能にしていた

 


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