魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士   作:京勇樹

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クビア

「な……」

 

「あれは、まさか……神話にその名を記す……クビア?」

 

それを見上げたヴェロッサは驚愕し、シャッハは呆然としていた

シャッハは真面目な修道騎士であり、歴史や伝説も勉強していた

その中に、一つの神話があった

それは、古代ベルカよりも遥かに昔

アルハザードが実在したとされる時代

その時代に信奉されていた、創生神アウラ

それの対の存在、破壊神クビア

その二つの存在は、永い間争い続けた

アウラは、世界を守るために

クビアは、全てを破壊するために

 

『地上に展開している聖王教会騎士団並び、時空管理局の全員に通達! あのクビアに、総力を挙げて攻撃せよ! 今は、所属のことは忘れろ! 決して、少数で攻撃するな!』

 

と言ってきたのは、宇宙に展開した時空管理局次元航行艦隊の提督

クロノ・ハラオウンだった

 

『次元航行艦隊は、ゆりかごを撃破し次第支援砲撃を行う! 総員、気力を振り絞れぇ!!』

 

クロノのその言葉の後、先に航空部隊が動いた

ベルカ騎士が斬り込み、管理局魔導師達が砲撃を放った

攻撃が当たる度に、巨体のどこかで爆発が起きる

しかし、クビアに傷は無い

そこに、地上から砲撃が放たれる

それは、ガジェットの迎撃を行っていた魔導師達だった

例え微々たる攻撃でも、ダメージを与える

決して、無力ではないと信じて

 

「撃ちまくれぇ!!」

 

「あの化け物を、地上に来させるなぁ!!」

 

その号令を受けて、砲撃部隊は更にその砲撃の密度を上げる

その密度の砲撃は、普通の相手ならば即座に撤退を選択していただろう

だが、そこに居るのは普通ではない

破壊神、クビア

攻撃は命中しているのに、明確にダメージを負った様子はない

 

「ダメです! あいつの質量が、大きすぎる!?」

 

「諦めるな! 我々が諦めたら、誰があの化け物を止められるんだ!!」

 

一人の局員が言った言葉に、一人のベルカ騎士がそう言って斬り込んだ

その騎士とて、クビアに明確なダメージを与えられていないのは承知している

だが、諦めたら世界が終わる

そういう確信があった

そこに

 

『こちら、次元航行艦隊! これより、クビアに対して砲撃を行う! 射線上の部隊は退避せよ!!』

 

と通達がされた

それを聞いた攻撃部隊は、クビアから離れた

その直後、遥か上空から光の雨が降った

衛星軌道に展開している、次元航行艦隊からの砲撃だった

その砲撃は、なのはのディバインバスターに匹敵する魔力を込められていた

普通ならば、相手を十分に倒せる威力だ

だが、相手たるクビアは普通ではない

僅かに身じろぎするだけで、大したダメージになっていなかった

 

「この、化け物がぁぁぁぁぁぁ!!」

 

一人の局員が、そう吼えながら両手に持っていた杖で砲撃の乱打を放った

その時だった

クビアが、口を開けて

 

『⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛!!』

 

咆哮を挙げた

その直後、近くで攻撃をしていたベルカ騎士達から力が抜けて落ちた

 

「おい!?」

 

「どうした!?」

 

それを受け止めた局員達は、ベルカ騎士の顔を覗きこんだ

そして、理解した

 

「なっ……」

 

「し、死んでる……!?」

 

そのベルカ騎士達は、全員息絶えていた

クビアは、ただ咆哮を挙げただけ

それだけなのに、数十人のベルカ騎士達が死んだ

 

「畜生がぁぁぁぁぁぁ!!」

 

それに怒ったらしい局員の一人が、砲撃を放った

その砲撃は、クビアの頭部に直撃

それでようやく、クビアは体を下に向けた

そして、口を開けた

その口の中に、眩い光が集まっていく

 

「諦めるか! 諦めて、たまるかぁぁぁぁぁ!!」

 

局員はそう吼えながら、クビアを睨んだ

そこに、希望が到来する

 

雷帝招来(ランセオル・クー)!」

 

巨大な雷球が、クビアに直撃

クビアは、初めて明確なダメージを負った

その局員は、雷球が来た方向を見た

そこには、金色の閃光が居た

否、それだけでなく、今この世界に居る最高峰の魔導師とベルカ騎士達が居た

 

「あ、あぁ……」

 

その局員だけでなく、大多数の局員やベルカ騎士達が感涙の涙を溢した

機動六課戦力だけでなく、ダークマテリアルズも揃っていた

ここから、狼煙が上がる


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