魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士   作:京勇樹

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突破と怒りの鉄槌

「流石に、最少だけ撃破して進む……って訳には、いかないね」

 

《そのようです。敵の密度が、異様に高いです!》

 

と言ったのは、ゆりかご内部の通路を進んでいたなのはとその愛機のレイジングハートだ

なのはが進む通路の先には、所狭しとガジェットが展開し、攻撃してくる

それをなのはは、防御しつつ魔力弾で撃破していく

だが、レイジングハートの言う通りに、敵の密度が余りにも濃かった

撃破した傍から、新しいガジェットが出現してくる

もう既に、何機撃破したのか覚えていない

だが、数などはどうでもいい

 

「今は、王の間に進むのが最優先……それに、レイジングハート?」

 

《探索は順調です……約三割完了しました》

 

なのはの問い掛けに、レイジングハートはそう答えた

実は、ヴィータと別れた時に索敵スフィアを幾つか放っていたのだ

その目的は、このゆりかご内部に居るだろうある敵の捜索だった

それは、フェイトからの通信で判明したことだった

スカリエッティは、自身の作品であるナンバーズ12人の子宮に、人造魔導師計画の技術を使った自身のコピー胎児を入れていたのだ

しかもその胎児は、一ヶ月もすれば出産出来て、一年もすればスカリエッティ本人と同じ思考をするようになる

つまりは、一人も逃がす訳にはいかないのである

既に、残るのは後二人

その二人は、ゆりかご内部に居ると予測されている

ならば、逃がす訳にはいかない

一人でも逃がせば、また大規模事件に繋がるのは明白なのだから

 

「そのまま、捜索を続行! 私のサポートは、最低限でいいから!!」

 

《了解! 必ず見つけます!》

 

そう言った直後、なのはは自身の直感に従って構えた

そして

 

「エクセリオンバスター!!」

 

砲撃を放った

その先には、巨砲

イノーメス・カノンを構えたディエチの姿があった

しかもなのはが撃つと同時に、ディエチも砲撃を放っていた

二人の砲撃は、通路の中間地点で激突

一瞬の抵抗の後、なのはの砲撃がディエチの砲撃を飲み込んで、ディエチに直撃した

 

「ば、バカな……このAMF濃度の中で……カートリッジも使わずに……っ!?」

 

スカリエッティ達の事前予測では、ゆりかご内部に展開されているAMFにより、突入出来るのは最低でもAランクまで

しかも突入出来ても、カートリッジ等を使わなければ、長時間の戦闘や高い威力の攻撃は無理だとしていた

だがなのはは、その予測を覆して砲撃してきた

しかも、一瞬で溜め終えてだ

 

「これが……オーバーSランク……!」

 

とディエチが呟いた時、なのはが近づき

 

「動けないだろうけど、拘束させてもらうね」

 

と言って、バインドを施した

そして

 

「後で、搬送する局員が来るから……それまで、大人しくしててね」

 

と言って、奥に進んだ

それを見送り、ディエチは僅かに身動ぎして

 

「……ダメか……」

 

と声を漏らした

どうやら、バインドをほどこうとしたようだが、諦めたらしい

そして、大人しく寝転がり

 

「ここまでか……」

 

と呟いた

同時刻、下層では

 

「うしっ……ここまで、問題なしだな……」

 

とヴィータは、自身のコンディションを確認していた

ここまで被弾らしい被弾は無く、無傷で進めた

そしてヴィータは、ポケットの中から予備のカートリッジを取り出すと

 

「カートリッジも、残弾はまだまだある……余裕で行けるな」

 

と頷いて、ポケットに仕舞った

そして軽く体を動かして

 

「しっかし、古代魔法は凄ぇな」

 

と呟いた

高濃度でのAMF展開域だというのに、ヴィータは殆ど負担を感じていなかった

それはやはり、なのはが施した強化魔法が理由だろう

だからとはいえ、油断は出来ない

今居るのは、敵の本拠地とも言えるゆりかご内部

気を抜いていたら、何が起きるかは分からないのだ

そう意識して、ヴィータは深呼吸した

その瞬間、ヴィータは嫌な予感がして、グラーフ・アイゼンを伸ばしながら振り回した

そして背後で、硬い何かに当たる音が響いた

 

「っぶね!? 見えない奴が居たか!?」

 

ヴィータはそう言って、一気に移動した

その数秒後、ヴィータの居た場所の周囲で、空間にノイズが走った

 

(光学迷彩ってやつか……)

 

とヴィータが思った直後、それは姿を現した

まるでカマキリを彷彿させる、ガジェットだった

それを見た瞬間、ヴィータの中に凄まじい熱が広がった

それは、怒りから来る熱

だが同時に、歓喜した

 

「アハハハハハハ……っあぁぁぁ!!」

 

最初は笑い声を挙げて、一瞬にしてそのガジェットに肉薄

雄叫びを挙げながら、グラーフ・アイゼンを振り下ろした

その一撃で、一機のガジェットは両断された

潰れたのではなく、両断

それは、余りにも振る速度が早かった故だった

風どころか、金属すらも断ち切る程にグラーフ・アイゼンを早く振るったのだ

 

「あたしの前に、姿を現してくれて、ありがとうよ……おかげで、てめぇらをぶっ壊せるんだからなぁぁぁぁぁ!!」

 

何せ、そのガジェットは今から数年前に、なのはと明久に重傷を負わせたガジェットの同型に間違いなかったからだ

そのガジェット

仮称、ガジェット0型

正に、ヴィータにとっては憎い敵だった

 

「今からてめぇらを……一機残らずぶっ壊してやらぁぁぁぁぁ!!」

 

ヴィータはそう言って、ガジェットを全て撃破するために暴れ始めたのだった


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