魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士   作:京勇樹

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内部に突入

「もう、何機撃破したかなぁ……」

 

「七十辺りまでは数えてたが、途中で諦めたよ、アタシは」

 

なのはの呟きに、ヴィータが呆れた様子でそう言った

どうやら、ガジェットの多さに呆れているようだ

しかし、その気持ちにはなのはも同意したかった

いくらなんでも、数が多すぎだった

歴戦の二人でも、その数には辟易していた

そこに

 

『高町一尉、ヴィータ二尉! こちら、第29臨時部隊! 敵巨大船内への突入口を確保しました!』

 

と通信が入った

それに重なり

 

『両名は、ゆりかご内部に突撃! 中に居る被害者の保護と被疑者の確保を!!』

 

とはやてから、指示が下された

 

「了解!」

 

「了解!!」

 

なのはとヴィータの二人が返答した直後、シュテル、レヴィ、幸村の三人が素早く布陣

ガジェットに対して、猛攻を開始した

 

「行って! 二人共!」

 

「ここは、私達が引き受けます!」

 

「あのクソ医者から、あの子を助けてください!」

 

という三人に、なのはとヴィータはサムズアップと返答

第29臨時部隊が確保した突入口から、ゆりかごに突撃した

その瞬間、二人が展開していた飛行魔法の効果が失われ、二人は落ちそうになった

だが二人は、慌てずに飛行魔法を再展開し、出力を上げた

そうして二人は、ゆっくりと着地した

 

「なるほど……AMF濃度が、桁外れに濃いんだね……」

 

「ああ……こりゃ、下手したら魔力が直ぐに切れるぞ……」

 

二人は、飛行魔法の効果が失われた原因を、察していた

ゆりかご内のAMF(アンチ・マギリング・フィールド)の濃度が桁外れに高いのだ

AMFというのは、魔力の結合を阻害して、魔法の発動を妨害する技術である

今までも、ガジェットがAMFを発動していたが、二人には対して効果が無かった

恐らくは、今までものガジェットの戦闘データから、二人ですら魔法が発動しづらいAMF濃度を割り出して、ゆりかご内部に展開したのだろう

こうなると、幾ら保有魔力量が多い二人でも、長時間の戦闘は難しくなってしまうだろう

だからだろう、なのはは

 

「ヴィータちゃん、ちょっと待ってて」

 

と言った

そして、自身の内側に意識を向けて

 

「お願い、来て……私は、ここにいる!」

 

と自身の内に居る存在に、呼び掛けた

 

「フィドヘル!!」

 

その名前を呼ぶと、なのはの手に鉄扇が現れた

それを見たヴィータは

 

「それで、どうするんだ?」

 

と問い掛けた

するとなのはは

 

「こうするの……アプコーブ! アプコーマ!」

 

と魔法を発動した

 

「ん? ……体が、軽い?」

 

「うん! 身体強化魔法を重ね掛けしたんだ」

 

ヴィータの疑問の言葉に、なのはは笑みを浮かべた

それは、ザ・ワールドの強化魔法である

ミッドとベルカにも、強化魔法はある

しかし、自身に対して負担が大きいのばかりなのだ

なのはも、過去の失敗からそれを学んでおり、最近は負担の少ない強化魔法の開発にも携わっていた

しかし、どうにも上手く行っていなかった

そこに知ったのが、明久がよく使っていたザ・ワールドの強化魔法だった

それを知ったなのはは、カイトに問い掛けてみた

 

『私でも、ザ・ワールドの強化魔法を使えるの?』

 

なのはのその問い掛けに、カイトは

 

『黄昏因子を保有したのなら、使える筈だよ』

 

と答えた

それを聞いたなのはは、明久とカイトにその強化魔法の呪文を聞き、何回か試したのだ

そうすることで、新しい強化魔法開発に活かせればと思った

それがまさか、ここで生きるとは、なのはは思っていなかった

 

「更に……サラサラっと」

 

なのははそう言って、広げた鉄扇の表面に文字を書いた

内容は

 

《白き魔法使いと鉄槌の騎士への妨害を無くす》

 

 

《白き魔法使いと鉄槌の騎士に付与した強化魔法を切るまで継続》

 

だった

 

「おお? 気だるさが、消えた……」

 

「うん! AMFを無効化したの! 色々試したんだよ、これ?」

 

ヴィータが体の調子を確かめて言うと、なのはは笑みを浮かべながら、そう告げた

それもまた、予言者の効果の検証結果だった

フィドヘルを得てからなのはは、何が出来るか色々と試したのだ

その結果から、出来ることを把握

今活かしているのだ

 

「さてと……先に進まないといけないけど……」

 

「かなり広いからな……迷いそうだ」

 

二人がそう言った時、通信ウィンドが開き

 

『高町一尉! ヴィータ二尉! ゆりかご内部のスキャンが完了しました! そちらに、転送します!』

 

と通信士が、告げてきた

その直後、二人の前にゆりかごの内部構造データが表示された

それを見た二人は

 

「これは……」

 

「見事に、真反対だな……」

 

と呟いた

それは、内部をスキャンした結果から予想された、エンジンルームと玉座の間の位置だった

エンジンルームは最下層の一番後方に対して、玉座の間は一番上の最前だった

 

「アタシがエンジンルームに行って、エンジンを破壊してくる……なのはは、ヴィヴィオを助けてこい」

 

「うん、分かった……ヴィータちゃん。無理しちゃ、ダメだからね?」

 

なのはがそう言うと、ヴィータはグラーフアイゼンをなのはに突き付けて

 

「なのはが言うな。なのはが一番、無理してきたじゃねえか」

 

と言った

それを聞いたなのはが苦笑いを浮かべると、二人は拳を軽くぶつけてから動いた

それぞれの目的を、果たすために


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