魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士   作:京勇樹

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言葉

スバルがギンガと戦っていた時、ティアナの方は

 

「大丈夫……何とかなるわ」

 

と自分を落ち着かせていた

今ティアナが戦っているのは、戦闘機人三名

数では、圧倒的不利だ

しかしティアナは、その数の差をものともせずに戦っていた

その理由の一つに、彼女の魔法があった

フェイク・シルエット

ミッド式魔法でも珍しい幻術魔法で、普通の人間だったら看破は不可能と言われている

更にティアナのフェイク・シルエットは、機械すら騙す精度を誇る

そしてそれは、今も活きていた

戦闘機人達は、フェイク・シルエットに撹乱されていた

 

「クソッ! また幻影か!?」

 

「どうなってるっすか!? 幻影対策されたのに!?」

 

幻影に魔力弾を撃ち込んだ戦闘機人達が、苛立った声を上げた

そこに、ティアナは精密照準を着けて魔力弾を発射

それに気づいた光剣持ち

ディードが、魔力弾を弾いた

それを見たティアナは、クロスミラージュの魔力アンカーを頭上に射出

穴が空いていた天井から、次のフロアに移動

隠蔽魔法のオプティック・ハイドを発動した

そしてすぐさま、先ほどまで居た場所にフェイク・シルエットで幻影を産み出した

その直後

 

「そこかぁぁぁぁぁぁ!!」

 

と怒鳴り声が聞こえて、ショートカットの赤い髪にスバルによく似た顔立ちの戦闘機人

ノーヴェが現れて、フェイク・シルエットに拳を叩き込んだ

その瞬間、フェイク・シルエットは掻き消えた

それを見て、ノーヴェは舌打ちして

 

「ちくしょう! またか!!」

 

と怒りの声を漏らした

そこに、もう一人の赤髪の戦闘機人

ウェンディが現れて

 

「まさか、これがオリジナルの黄昏因子の力なんすか!?」

 

と言った

それを聞いて、ティアナは

 

(正解)

 

と内心で、肯定した

ティアナの黄昏因子

増殖、メイガス

その能力は、魔力密度の増殖

それにより、少ない魔力で魔力弾の生成

更に、フェイク・シルエットを発動すれば、本物と見分けがつかない幻影を産み出せる

しかも

その時ティアナは、自身が通った穴に上半身を下にしてもう一つフェイク・シルエットを発動した

それを見て、ノーヴェが

 

「けっ! どうせ、偽物だろうが!」

 

と悪態を吐いて、背を向けた

すると、ウェンディが

 

「ダメっす、ウェンディ!! それを破壊しないと!!」

 

と忠告して、複合武装のライディング・ボードを構えた

だが、遅かった

ウェンディが魔力弾を発射する前に、そのフェイク・シルエットは爆発した

これは、明久との訓練中に分かったことたが、産み出したフェイク・シルエットを一定時間内に破壊しなければ、爆発を起こすのだ

しかもその威力は、最初に込めた魔力に比例して上がる

今回はある狙いがあったので、込めた魔力はそれなり

そして、その狙いは成功した

フェイク・シルエットが居た付近一帯が崩落

下に居たノーヴェとウェンディを、瓦礫で押し潰したのだ

もちろん今回のは、相手が戦闘機人だからこその策だった

普通の人間や魔導師相手だったら、使えない手である

 

「ノーヴェ! ウェンディ!」

 

そんな方法で無力化されるとは思ってなかったのか、ディードは困惑した様子で二人を呼んだ

その直後

 

「ごめんなさいね」

 

とティアナが、隙だらけのディードにスタンバレットを撃ち込んだ

そしてティアナは、周囲を見回した

目の前には、今しがたスタンバレットを撃ち込んで無力化したディードが倒れている

後ろを見れば、崩落した瓦礫によってウェンディが半ば近く埋まっている

ノーヴェの姿が見えないが、ノーヴェも無力化出来ただろうと判断し、今まで戦っていた廃ビルの外を見た

そこには、廃ビルを囲むように空間遮断式の結界が張られていた

それにより、ティアナは脱出処か戦況の把握すら出来なくなっていた

それをどうするか考え始めた時、その結界が解けた

 

「誰かが、張ってた戦闘機人を無力化した?」

 

そう呟いたティアナは、戦況を把握しようと通信を開こうとした

その時

 

「はあぁぁぁぁぁっ!!」

 

瓦礫を跳躍して、頭から血を流しているノーヴェが突っ込んできた

それを見たティアナは、驚きつつも素早くクロスミラージュをダガーモードに変更

魔力刃を交差させて、ノーヴェの拳を受け止めた

なんとか受け止めたが、その威力にティアナは僅かに押された

そんなティアナを睨み、ノーヴェは

 

「オットーが捕まったらしいが、もう関係ない! 最後まで、暴れてやる!!」

 

と言った

それを聞いて、ティアナは

 

「諦めなさい! 戦況は、こちらに傾いてきてる!!」

 

と投降を勧告した

だが、ノーヴェは

 

「投降なんかするか!! あたしは兵器だ! 兵器なら兵器らしく、最後まで戦う!!」

 

と答えた

それを聞いたティアナは

 

「違うっ!!」

 

とノーヴェの腹部に、蹴りを叩き込んだ

その一撃に、ノーヴェは咳き込みながら後退した

だが、その距離をティアナは詰めて

 

「貴女達は、兵器なんかじゃない……確かに、少し特殊な生い立ちかもしれない……だけど、貴女達は人間よ…人間として、生きていける……」

 

と言って、銃口を突き付けた

そして、再び

 

「お願いだから、投降して……」

 

と告げた

その言葉を聞いて、ノーヴェは両手を突き涙を流した


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