魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士   作:京勇樹

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対峙

「ギン姉……」

 

今スバルの前には、変わり果てた姿の姉

ギンガが居た

以前は青を基調としたバリアジャケットだったが、今は黒と紫を基調にしたバリアジャケットに変わっている

そのギンガと対面したスバルは、拳を構えた

その時

 

「スバル……」

 

とギンガが、スバルの名前を呼んだ

 

「え……」

 

それが予想外だったスバルは、思わず固まった

すると、再び

 

「スバル……お願いがあるの」

 

とギンガが言ってきた

 

「ギン姉……?」

 

「スバル……私を、殺して」

 

ギンガからの予想外過ぎる言葉に、スバルは固まった

 

「今の私は、スカリエッティの操り人形……意識は有るけど、体の自由が効かないの……」

 

その理由の一つは、プレシアとグランツが施した細工にあった

それは、フィジカルプロテクトとナーヴプロテクトの二つだ

フィジカルプロテクトとナーヴプロテクト

これらは、相手がスカリエッティだと分かった後に、プレシアとグランツが考案した装置だ

実は六課には、スカリエッティが関与している人間が四人居る

まずは、フェイト・T・ハラオウン

彼女は、スカリエッティが広域次元犯罪者になる前に提唱した人造魔導師計画

通称、プロジェクト・FATEによって産み出された

それは、彼女が養母となっているエリオ・モンディアルも同じである

初期方式の人造魔導師計画には、多少の欠陥があった

しかし二人は、その欠陥を乗り越えて今まで生きてきた

そして三人目と四人目は、スバル・ナカジマとギンガ・ナカジマである

スバルとギンガの二人は、スカリエッティとは違う人物が先に作り出した戦闘機人だった

プレシアとグランツは、スカリエッティがこの四人に興味を持つと確信していた

しかし、フェイト、エリオ、スバルの三人はすぐに除外した

その理由だが、フェイトはその実力からだ

フェイトの実力は、近距離では古代ベルカ騎士に匹敵

遠距離戦も、かなりの実力を有している

そんなフェイトを、捕獲または誘拐するなど、かなり難しいだろう

次に、スバルとエリオの二人

この二人はそもそも、フォワード陣四人として動くことが多く、更には近くに隊長か副隊長が居る

だから、スバルとエリオの二人の誘拐や捕獲も、一朝一夕にはいかない

だが、ギンガは違った

ギンガは、陸士108部隊から出向してきているだけだ

そのために、単独行動が他の三名に比べて、圧倒的に多く、捕獲するのは容易いと考えた

だからプレシアとグランツは、ギンガの同意を得て対策を講じた

それが、フィジカルプロテクトとナーヴプロテクトだ

フィジカルプロテクトは、肉体操作を

ナーヴプロテクトは、洗脳を防ぐためのものだ

そして、効果は有ったようだ

洗脳は、されていない

どうやら、いくらスカリエッティとは言っても片方の解除が精一杯だったようだ

しかし、それが逆にギンガを追い詰め掛けていた

自分の知らぬ内にスバル達を傷付けるのも嫌だが、意識が有って傷付けるのも辛かった

だから、スバルに嘆願したのである

すると、スバルは

 

「嫌だ!!」

 

と声を張り上げた

それを聞いたギンガが驚いていると、スバルは

 

「誰も死なせたくないんだ! 少なくとも、私の手が届く範囲の人達は!」

 

と涙ながらに言った

そして、拳を構えて

 

「だから、ギン姉は助ける! スカリエッティの手から、絶対助けるんだ!!」

 

と言った

それは、魂の誓い

スバルが、心に誓ったことだった

そのスバルを見て、ギンガは嬉しく思った

 

(昔は、あんなに戦いたくないって言ってたスバルが……こんなに大きくなってたのね……)

 

ギンガがそう思うと、体が勝手に構えた

それを見て、ギンガは

 

「スバル……私の肩甲骨の間の位置に、違和感があるわ……多分、スカリエッティが埋め込んだ機械がある筈よ……そこを攻撃しなさい」

 

と助言した

それを聞いたスバルは、頷き

 

「分かった……行くよ、ギン姉……」

 

と言って、動き出した

これが、姉妹の戦いの幕開けだった


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