魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士   作:京勇樹

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思考と捜査

「状況は、最悪一歩手前……かしら?」

 

と言ったのは、瓦礫に身を隠していたティアナだった

そんなティアナが居るのは、廃都市区画のあるビルだった

ガジェット群はアルトの操縦もあり、なんとか降りきれた

そして、予定降下ポイントでフォワード陣は降下

行動を開始した

だがそこに、別の方向から飛来してきたガジェット群のミサイルの雨が降り注いだ

幸いにも、誰もミサイルの直撃は無しだった

しかし、分散させられてしまった

キャロとエリオは、ルーテシアと接敵し、交戦開始したらしい

スバルは、本来フォワード陣全員で確保する筈だったギンガへの接触に動いた

そしてティアナは、畳み込むように現れた戦闘機人三名から逃げようと、廃ビルに入った

しかし、それこそが戦闘機人達の作戦だったようだ

廃ビルに入った直後に、その廃ビルを囲む隔絶結界が展開

廃ビルからの脱出が出来なくなった

しかもその廃ビル内に、奇襲してきた戦闘機人三名が居る

 

「諦める訳には、いかないわね……」

 

ティアナはそう言うと、策を考え始めた

同時刻、ミッド郊外の山

そこの洞窟内を、一組の男女が調べていた

一人は、騎士甲冑を纏ったシスター・シャッハ

そしてもう一人は、余りにも場違いな白いスーツを着た長い緑色の髪が特徴の男だった

そんな男の足下に、半透明の犬が一頭現れた

その犬の頭を撫でると、男

時空管理局査察官、ヴェロッサ・アコースは

 

「うん、やっぱりここに間違いない」

 

と言った

それを聞いたシスター・シャッハは

 

「以前より、情報収集速度が上がりましたね」

 

と誉めた

すると、ヴェロッサは

 

「まあね。僕だって、遊んでた訳じゃないんだ」

 

と返答した

その直後、ヴェロッサの足下に大量の犬が姿を現した

無限の猟犬(ウンエントリヒト・ヤークト)

ヴェロッサの魔力が続く限り、隠密性と情報収集能力を有する犬を、無限に作り出すことが可能な、ヴェロッサ独自の魔法である

ヴェロッサはその犬達を洞窟に放ち、スカリエッティのアジトかどうかを探っていたのた

そして、結果は大当たり

探っていた洞窟には、大量のガジェットが展開していて、更には何らかの実験機器が無造作に置いてあった

それを確認したヴェロッサは、その洞窟がスカリエッティのアジトと断定

詳細位置座標を、こちらに向かってきている筈のフェイトに通信で知らせようとした

だが、その時

 

「ロッサ!!」

 

シスター・シャッハが、ヴェロッサの名前を呼びながらヴィンデルシャフトを構えた

そこで、ヴェロッサも気付いた

自身が探っていた洞窟内から

そして、周囲から夥しい数のガジェットが姿を現した

それを見たヴェロッサは

 

「この数は……流石に厳しいか……」

 

と呟いた

シスター・シャッハは兎も角として、ヴェロッサはそこまで戦闘は得意ではない

だがだからと言って、シスター・シャッハ一人に任せるつもりも無かった

すると、シスター・シャッハは分かっていたのか

 

「前衛は私が……補佐をお願いします」

 

と言った

それを聞いたヴェロッサは、微笑み

 

「分かった……だけど、その前に」

 

と言って、魔力弾を頭上に打ち上げた

 

「今のは……」

 

「まあ、彼女なら分かってくれる筈さ……」

 

シスター・シャッハの呟きに、ヴェロッサはそう言った

それは、遠くまで見えるようにと光の強さを増した魔力弾

つまりは、洞窟の入り口を教える信号弾だ

フェイトの頭の回転の早さを信じ、古典的な方法で報せたのだ

そしてヴェロッサは

 

「来るよ、シャッハ!」

 

とシスター・シャッハに教えると、自身も構えたのだった


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