魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士   作:京勇樹

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フフフッ……


新しい交代部隊

「うーん……困ったことになったなぁ……」

 

と言ったのは、この部屋の主たる八神はやてだ

 

そんなはやてが見ているのは、一つの報告書だった

 

その内容とは

 

《過日のガジェットとの戦闘行為により、隊員三名が重傷を負い、これ以上の戦闘行為は不可能である》

 

というものだった

 

それは、交代部隊が送ってきた報告書だった

 

機動六課は少数部隊故に、24時間態勢となると隊員の疲労が溜まる一方である

 

対策を講じたとしても、結果は高が知れてる

 

今回見つけた部隊とて、はやてが苦労して探しだした部隊である

 

だが、その部隊の隊員達の内、約半数が負傷

 

これは事実上の壊滅状態である

 

こうなると、新しい部隊を探した方が良いだろう

 

しかし、今回の部隊とてかなり苦労して見つけたのだ

 

交代部隊には制限は付かないが、だからと言って、実力が低い部隊を引き入れても仕方ない

 

しかし、実力が高い部隊は無駄にプライドが高く、交代部隊になることをヨシとしないのが多い

 

そういう意味では、前の部隊の隊長は非常に気さくで、はやての頼みを二つ返事で引き受けてくれたのだから、ありがたいことだった

 

だが、その部隊も戦力が半減

 

もしもう一回交戦したら、全滅する危険性すらある

 

しかも、少し前に知り合いから派遣の要請が来た

 

「うぁー……ホンマにどないしょう……」

 

とはやてが頭を抱え込んでいた時、通信ウィンドウが開き

 

『おい子ガラス……また我の所に、貴様宛ての書類が間違ってきているぞ。なんとかしろ』

 

とその声を聞いて、はやてはガバッと頭を上げた

 

そして、通信ウィンドウに映っている人物を見ると、口をパクパクとした

 

『なんだ。そんなアホ面を晒して』

 

「居ったーー!」

 

通信ウィンドウの向こうを指差しながら、はやては叫んだ

 

『む?』

 

通信ウィンドウ向こうの人物は、訳が分からないと首を傾げた

 

翌日

 

はやて達は隊舎屋上にあるヘリポートに集まっていた

 

そんな中、フォワード陣は明久に視線を向けていた

 

すると、オレンジ色ツインテールの少女

 

ティアナが手を上げて

 

「あの、八神部隊長……その人は……?」

 

と問い掛けた

 

彼女達はどうやら、明久のことが気になったらしい

 

それもそうだろう

 

明久は機動六課が稼働した時の挨拶の時には、居なかったのだから

 

「ああ、紹介しとくな。彼は吉井明久上等空士や。昨日付けで六課に合流したんや」

 

とはやてが紹介すると、明久が一歩前に出て

 

「初めまして、僕が吉井明久上等空士だよ。皆、よろしくね」

 

と挨拶すると、四人は一斉に敬礼しながら

 

「「「「よろしくお願いします!」」」」

 

と声を揃えた

 

「詳しい自己紹介は、ヘリの中でお願いな」

 

とはやてが言うと、フェイトが心配そうに

 

「はやて、本当に大丈夫なの?」

 

と問い掛けた

 

「ん? なにがや?」

 

質問の意図が分からないのか、はやてが首を傾げていると、なのはも近寄って

 

「交代部隊のことだよ、はやてちゃん。部隊の半数が重傷を負ったんでしょ?」

 

と問い掛けると察したらしく、はやては指を鳴らしながら

 

「それなら大丈夫や。代わりの部隊は見つけたからな」

 

と答えた

 

「え? そうなの?」

 

「よく見つけたね、はやて?」

 

と二人が言うと、はやては両手を腰に当てて

 

「そら苦労したんよ? 色々と手回ししなあかんかったしな」

 

と言った

 

その時

 

「……っ!」

 

とどこか遠くから、声が聞こえた

 

「ん? なんか、声が聞こえない?」

 

と明久が言うと、はやてが

 

「お、来たみたいやね」

 

と言った

 

「こーのー!」

 

と声がはっきり聞こえた

 

声がはっきり聞こえたことにより、はやてはある方向に顔を向けて

 

「おーいこっち……」

 

と言おうとしたが、その瞬間

 

「こーの……っ! 阿呆がぁぁぁ!」

 

と怒号と共に、はやての顔面に足がめり込んだ

 

「アガポ!?」

 

はやては奇妙な悲鳴を上げると、大きく吹き飛んだ

 

「「「「八神部隊長ー!?」」」」

 

蹴られたはやてを見て、フォワード陣は驚き、なのは達はヤレヤレと溜め息を吐き、明久は蹴った人物を見て固まった

 

なにせ、はやてを蹴り飛ばした人物は、そのはやてにソックリだったのだ

 

はやてを蹴り飛ばした人物は、ゆっくりと着地して

 

「このアホ子ガラスが! 無茶を言いおって! なにが、今持っている案件を今日中に終わらせて、明日来てくれだ! しかも、無駄に手回しまでしおって! おかげで、ユーリの睡眠時間が四時間も削れたではないか!」

 

とはやてに向かって怒鳴った

 

すると、起き上がったはやてが

 

「痛たたた……だからって、いきなり蹴りはないんとちゃうん、王様?」

 

と言った

 

すると、王様と呼ばれた少女は

 

「そもそも、なぜあんな事を言ったのか、キチンと説明せい!」

 

と再び怒鳴った

 

それを聞いて、なのはてフェイトが呆れた様子で

 

「はやてちゃん、説明してなかったの?」

 

「いくら何でも、それは怒るよ」

 

と注意した

 

そして、王様に向けて

 

「あのね、王様。交代部隊の隊員の内、半数が負傷しちゃったの」

 

「それで、はやてが探しておくって言ってたんだ」

 

とはやてに代わって説明した

 

すると、王様は腕組みしながら

 

「だったら、キチンとそう説明せい! 要件だけ言ったら、サッサと切りおって!」

 

と三度怒った

 

理解が追い付かず、フォワード陣と明久が固まっていると

 

「まあまあ、どうせ終わる段階だったんだから、良かったじゃん、王様!」

 

「そうですよ、王よ」

 

と続いて、フェイトに似た青髪の少女となのはに似たショートカットの少女が現れた

 

いよいよ理解不能になり、明久が固まっていると

 

「まさか……独立遊撃部隊、ダークマテリアルズ?」

 

とティアナが呆然とした様子で呟いた

 

すると、王様はニヤリと笑みを浮かべて

 

「ほう……我らを知っている奴が居たか……そうだ。我らこそ、時空管理局最強と名高き独立遊撃部隊、ダークマテリアルズ! 我はその隊長、ディアーチェ・K・クローディアだ! 王と呼べ!」

 

と自信満々に名乗った

 

そして、王様ことディアーチェに続いて青髪の少女が

 

「んで、カッコイい僕が、ダークマテリアルズの斬り込み隊長のレヴィ・ラッセル!」

 

と元気に名乗り、最後にショートカットの少女が優雅に

 

「そして私が、シュテル・スタークスと申します」

 

と名乗った

 

三人が名乗ると、はやてが首を傾げて

 

「なあ、王様。そのユーリはどうしたんや?」

 

と問い掛けた

 

すると、ディアーチェはキッとはやてを睨んで

 

「貴様が無茶なオーダーをするから、夜遅くまで起きて、まだ寝ておるわ!」

 

と怒鳴った

 

「だから、悪かったってばぁ。そんなに怒らんといてな」

 

はやてがそう謝ると、ディアーチェは憤然とした態度で

 

「一応、我らは先発だ。他の奴らは後日来る。引き継ぎが終わっていないからな」

 

と言うと、明久に気付いたようで

 

「む? 貴様は……」

 

と眼を細めた

 

「あ、僕は吉井明久上等空士です」

 

ようやく我に帰った明久は、敬礼しながら名乗った

 

すると、ディアーチェは笑みを浮かべながら

 

「ほう……貴様がそうか。なるほど、良い眼をしているな……先ほども名乗ったが、我はディアーチェ・K・クローディア、階級は二等空佐だ。貴様には特別に、ディアーチェと呼ぶことを許そう」

 

と告げた

 

「はへ?」

 

明久が間抜けな声を出すと、ディアーチェに続いて

 

「おぉ! 王様がそう言うのって、珍しいね! 僕はレヴィ・ラッセル一等空尉だよ!」

 

と名乗り、最後にシュテルが

 

「そうですね。私はシュテル・スタークス一等空尉と言います」

 

と名乗った

 

すると、いつの間にか寄ってきていたはやてが、ディアーチェに抱き付いて

 

「明久君だけズルいわ! 私にも呼ばせてぇな!」

 

と抗議した

 

すると、ディアーチェははやての頭を掴んで

 

「ええぃ、やかましいわ、子ガラス! 貴様には永遠に許可せぬわ! それよりも、貴様の部隊は出張なのだろうが!」

 

と言うと、はやてを思いっ切りヘリへと投げた

 

そんな光景を見て、なのはとフェイトが

 

「ごめんね、王様。後でキツく言っておくから」

 

「交代部隊の件、ありがとうね」

 

と言うと、ヘリへと乗った

 

そしてなのは達がヘリに乗ると、フォワード陣と明久、シグナム、ヴィータ、シャマル、リインフォース姉妹が乗り込み、ヘリは出発した

 

ヘリを見送ると、ディアーチェは

 

「あやつが、蒼き炎と黄昏の書の使い手か……辛い運命を背負ったな」

 

と呟いた

 

すると、シュテルが

 

「それが、永きに渡る蒼炎の使い手の定めですよ。王よ」

 

と言って、隊舎に向かいながら

 

「あなたは優しいですから、辛いですね」

 

と言った

 

「願わくば、再誕が目覚めることが無いように……」

 

ディアーチェはそう言いながら、シュテルに続いて隊舎に向かった

 

ただ一人、レヴィは分かんないといった表情で首を傾げた

 

レヴィ・ラッセルは基本的に、アホの子である


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