魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士   作:京勇樹

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六課陥落す

「ヤられた……まさか、敵の本命が六課だったなんて……」

 

と言ったのは、明久である

その明久とは別のルートで、フェイト、エリオ、キャロが向かってきている筈である

一度合流することも考えたが、それでは時間が掛かると判断したのである

そして、六課隊舎まであと半分といった時だった

トーンという、あの音

ハ長調ラ音が聞こえた

 

「タイミングが悪い!」

 

明久がそう言った直後、明久は黄昏空間に取り込まれた

そして、明久の目の前に居たのは長身の美青年だった

その人物を見て、明久は

 

「誘惑の恋人……マハか!!」

 

と双剣を構えたのだった

場所は変わり、別ルートで六課に向かっていたフェイト達

そのフェイト達の前には、二人の戦闘機人が居た

高い空戦能力を有する戦闘機人

トーレとセッテの二人だった

 

「エリオ、キャロ……二人は先に行って」

 

「フェイトさん!?」

 

フェイトの言葉を聞いて、キャロは驚愕した

しかし、エリオはフリードの手綱を取り

 

「フリード、行って!」

 

と言った

するとフリードは、エリオの言葉に従い六課に向かって進み始めた

 

「エリオくん!?」

 

「キャロ……今僕達が居たら、フェイトさんの邪魔になる……悔しいけど、僕達は先に進むべきなんだ」

 

キャロが驚きながら視線を向けると、エリオは悔しそうにそう言った

そして、二人の戦闘機人の横を通り過ぎた

フェイトは即座に動けるように構えていたが、フェイトの予想を裏切り、戦闘機人達はエリオ達を攻撃しなかった

するとフェイトは

 

「なぜ、通した……?」

 

と問い掛けた

すると、トーレが

 

「私たちの目的は、フェイトお嬢様お一人ですから」

 

と返した

フェイトは、トーレが自分をお嬢様と呼んだ理由を察した

それは、フェイトが作り出された人造魔導師計画

それを立案したのが、スカリエッティだからだ

つまり、フェイトと戦闘機人達はある意味で姉妹になるのだ

 

「フェイトお嬢様……我々と共に来ていただけませんか? 悪いようにはしません」

 

「誰が!!」

 

トーレの言葉を、フェイトは拒否

バルディッシュを構えた

すると、トーレとセッテの二人も構えて

 

「仕方ありませんね……」

 

「無理矢理にでも、連れていかせてもらいます!」

 

と交戦を開始した

そして、六課に向かっていたエリオとキャロだが、六課上空が真っ赤に染まっていることに気づいた

 

「そんな!?」

 

「フリード、急いで!!」

 

キャロは驚き、エリオはフリードに加速するように頼んだ

そして加速したのだが、ある光景が見えた

それは、ガジェットⅡ型に乗ったルーテシアが、ヴィヴィオを抱えているのだ

それを見たエリオは

 

「キャロ!」

 

とキャロの名前を呼んで、跳んだ

そして、ストラーダに

 

「ストラーダ、フォルム(ツヴァイ)!」

 

と命じた

その命令に従い、ストラーダは第二形態たるブースターを展開

ブースターを噴かして、突撃した

 

「ヴィヴィオを……離せえぇぇぇ!!」

 

エリオがそう言うと、ルーテシアの隣に立っていた虫人

ガリューが、迎撃に動いた

この時にエリオは、気づくべきだった

ガリューとの空中戦は、自分が不利だと

二三度空中でぶつかり、エリオが態勢を崩した

そこにガリューが首筋に踵落としを叩き込み、エリオは海に墜落

それに気を取られたキャロも、ルーテシアの魔力弾を食らって墜落

そして、なんとか泳いで六課隊舎に到着したのだが、見えたのは燃え盛る隊舎だった

それを見たキャロは

 

「壊さないで……私たちの居場所を、壊さないでぇぇ!!」

 

と泣き叫んだ

その直後、巨大な魔法陣が展開されて、ソレが現れた

まるで、高層ビルに迫る巨体の龍

キャロの故郷たるアルザスを守護する真龍

真龍・ヴォルテールである

そしてヴォルテールは、キャロの感情に呼応するようにその一撃を放った

その一撃の名前は、ギオ・エルガ

その一撃を受けて、ヴォルテールを攻撃しようとしていたガジェット群は全て吹き飛んだ

それだけで、その一撃の威力が分かる

そしてヴォルテールは、キャロが泣き止むまで近くに居たのだった


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