魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士   作:京勇樹

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母性

会談から数日後、六課隊舎

そのはやて執務室にて

 

「そう言えば今日って、なのはがあの女の子を迎えに行ったんだよね?」

 

「せやね」

 

「もう帰ってきてるはずだけど……」

 

明久の問い掛けに、はやてとフェイトの二人はそう言って、なのはに通信を繋げた

その直後

 

『ああぁぁぁぁ! いっちゃやだぁぁぁぁぁ!!』

 

と女の子

ヴィヴィオの泣き叫ぶ声が聞こえた

余りに予想外だったために、三人は固まった

しかし、よく聞くと

 

『ほら、ヴィヴィオ! お姉ちゃん達と遊ぼう!?』

 

『だ、大丈夫だからね!?』

 

とスバルとティアナの焦っている、声も聞こえた

すると、三人の中で一番早く立ち直ったフェイトが

 

「えっと……何事?」

 

となのはに問い掛けた

するとなのはが、困った顔で

 

『えっと……助けて』

 

と言ってきた

それを聞いた三人は、なのはが居る部屋に向かいながら、状況を聞いた

なのはは確かに、聖王教会病院からヴィヴィオを引き取ってきた

そしてなのはは、なのはとフェイトの部屋にヴィヴィオを連れていくと、仕事に戻ろうとした

しかし、それに気づいたヴィヴィオがなのはの足にしがみついて、泣き叫び始めてしまったのだという

フェイトが通信を繋げたのは、まさにその直後だったのだ

そして部屋に到着し、状況を見たはやてが

 

《なのはちゃんにも、勝てないことがあるんやねぇ》

 

と情けない表情を浮かべているなのはを見て、そう念話で言った

すると、なのはが

 

《ごめん……切実に助けて》

 

と救援を求めてきた

それを聞いたフェイトは、足下に転がっていたうさぎのヌイグルミを持って

 

「こんにちは」

 

とヴィヴィオに声を掛けた

それは明らかに、慣れた様子だった

その証拠に、ヴィヴィオに視線を合わせるためにしゃがんでいる

それを見て、フォワード陣四名が

 

《うわぁ……フェイトさん、慣れてるなあ》

 

《フェイトさん、面倒見いいからねぇ》

 

《それだけじゃなく、クロノ提督の奥さんに、二人のお子さんも居ますから》

 

《それに、昔はアルフさんの面倒も見たそうですし》

 

と会話を始めた

なおこの四名だが、なのはがヴィヴィオに顔合わせの意味も兼ねて呼んだのだ

しかしヴィヴィオの大泣きに、右往左往することしか出来なかった

するとティアナが、エリオとキャロの二人を見て

 

《そう言えば、あんたらの面倒も見てたわね。フェイトさん》

 

と言って、それを聞いたエリオとキャロは、恥ずかしそうに顔を赤くした

そうこうしている間に、ヴィヴィオは泣き止んで、なのはから離れていた

どうやら、フェイトが説得に成功したらしい

そしてフェイトは、明久を手招きして

 

「明久、ヴィヴィオと遊んであげてくれる? 明久の分の書類仕事は、はやてに任せるから」

 

《なん……やと……》

 

フェイトの言葉を聞いて、はやては両手両膝を突いた

そんなはやての肩に、明久は手を置いてから、ヴィヴィオに近付いて

 

「よろしくね、ヴィヴィオちゃん。こうして会うのは、二回目だね」

 

とヴィヴィオの頭を、優しく撫でた

こうして、新たにヴィヴィオが、六課の生活に加わったのだった


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