魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士   作:京勇樹

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決意する者達

リニアトレインでの戦いの翌日の朝

 

機動六課は隊長であるはやての判断により、一日休暇となっていた

 

ハードな戦いを潜り抜けた新人達は、今もベッドで眠っているだろう

 

しかし、隊長陣と医務官であるシャマル、プレシア女史は医務室に居た

 

そして、そんな彼女たちの前にあるベッドには、一人の少年が眠っていた

 

その少年の名前は、吉井明久

 

彼女たちにとって、とても大切な少年である

 

「それで、シャマル……結果はどうや?」

 

はやてが問い掛けると、シャマルは険しい表情で

 

「はっきり言って、こんな事をした奴を八つ裂きにしてやりたいわね……」

 

彼女にしては珍しく、怒気を孕んだ声でそう言うと、ウィンドウを開いた

 

「まず、全身から薬物反応が検出されてるし、何よりも、脳内に小さなチップがあるわ」

 

と告げた

 

シャマルの説明を聞いて、全員が一様に険しい表情を浮かべた

 

特に、フェイトに至っては思い当たる節があるのか、爪が食い込むほどに拳を握り締めていた

 

すると、シグナムがウィンドウを見ながら

 

「そのチップとやらは、除去出来ないのか?」

 

と問い掛けた

 

すると、シャマルは首を振りながら

 

「無理ね……本局の設備を使っても、取れる確率は低いわ……」

 

と言った

 

シャマルはそう言うと、ウィンドウに指を這わせて

 

「せめて出来るのは、封印術式で機能を停止させる位ね……」

 

と呟いた

 

それを聞いて全員が沈黙していると、医務室のドアが開いて

 

「はやてさん。このデバイス、直りましたよ」

 

とシャーリーが入ってきた

 

「お、直ったんか!」

 

シャーリーの報告を聞いて、はやては嬉しそうに振り返った

 

「はい、なんとかですけどね。プレシアさんが過去のデータを持ってくれてて、助かりましたよ……でなかったら、直せませんでしたから」

 

シャーリーはそう言いながら、ベッドに近づいてその手を開いた

 

シャーリーの手の中に有ったのは、クロスした蒼い双剣型のペンダントだった

 

その時、デバイスが光って

 

(再起動……完了。明久の負傷を確認)

 

と、カイトが喋り出した

 

(明久の負傷が規定のレベルを突破……リプメイン、発動!)

 

カイトがそう言った直後、明久の全身を蒼焔が包み込んだ

 

蒼焔は一瞬で収まり、目に見えていた傷は無くなっていた

 

「まさか……」

 

シャマルはそう呟くと、再び診察を始めた

 

そして、十数分後

 

「わかってたけど……古代魔法は凄いわね」

 

と感嘆したように呟いた

 

「どういうことだ?」

 

とヴィータが問い掛けると、シャマルは先ほど開いたのとは違うウィンドウを開いて

 

「明久君の薬物反応とか、全身にあった傷……全部治ってるわ」

 

と答えた

 

すると、なのは達は目を見開いた

 

だが、プレシアは冷静に

 

「不治の病すら治したのよ? その位、訳ないわ」

 

と告げた

 

すると、なのはが涙を滲ませながら

 

「やっと……やっと、アキ君が戻ってきたよぉ……」

 

と呟いた

 

「なのは……」

 

「なのはちゃん……」

 

なのはの言葉を聞いて、フェイトとはやてはなのはに近寄った

 

気丈に振る舞っているが、なのはは明久が行方不明になった直後は酷かった

 

意気消沈し、何時も見せていた笑顔は消えていた

 

だが、任務はまるでロボットのように忠実にこなした

 

ヴィータはそれを見て、不安に思っていた

 

まるで、感情を殺したように働き続けるなのはを見て、何時か壊れそうだと

 

だから、なのはと同じように明久が戻ってきて良かったと思っていた

 

だから……

 

「後は、アキを操っていたフザケた奴をぶっ叩くだけだな……」

 

ヴィータが決意を込めてそう言うと、全員意志の強い光を瞳に宿らせて頷いた

 

そして、運命の歯車は動き始めた


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