魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士   作:京勇樹

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奪取戦

「そんな……」

 

「ヘリが……」 

 

「ヴァイス陸曹……シャマル先生が……」

 

ルーテシアを詰問していた一同からも、ヘリが飛んでいた場所で爆発が起きたのが見えていた

そしてそれを見た一同は、絶句していた

その直後

 

「お前ぇぇぇ!!」

 

とヴィータが、ルーテシアに掴みかかった

すると、それを見たギンガが

 

「ヴィータ二尉、落ち着いてください!」

 

と制止した

しかしヴィータは

 

「うるせぇ!」

 

とギンガを振り払い

 

「おい! 他にも仲間が居るのか!? 言えっ!!」

 

とルーテシアに怒鳴った

その直後

 

「エリオ! 足下!」

 

とティアナが声を上げた

エリオは機敏に反応し、足下に視線を向けた

その瞬間、道路のコンクリートの中から人影

セインが現れて

 

「ほい、ごめんねぇ」

 

と言いながら、エリオをスバルの方に蹴り飛ばした

そして同時に、エリオの近くに居たキャロが持っていたレリックケースを奪取

セインに反応したヴィータが振り向いた時には、セインはヴィータの頭上を跳躍し、ルーテシアの背後に着地

ルーテシアと一緒に、道路の中に姿を消した

その直後に、ティアナが撃った魔力弾が命中したが、コンクリートを僅かに穿っただけだった

 

「逃げられたっ!」

 

ティアナが悔しそうに舌打ちしていると、ヴィータが拳を道路に打ち付けて

 

「あいつら、落ちてないよな……無事だよなっ!?」

 

とすがるように、爆発が起きた場所に視線を向けた

場所は変わり、砲撃地点

 

「うふふのふー♪ どぉう? 私の完璧な作戦は?」

 

「わかったから、黙って」

 

上機嫌で話し掛けたクアットロにそう返して、ディエチは爆発地点を見ていた

最初は爆煙で見えなかったが、少しするとその煙の中から無傷のヘリが姿を見せた

 

「無傷? なんで……」

 

無傷のヘリを見て、ディエチは最初困惑した

だが、すぐにその理由に気づいた

何故ならば、そのヘリを守っている人物が居たからだ

 

『スターズ1、ヘリの防衛に成功!』

 

スターズ1

なのはが、ヘリを守ったのである

しかし、なのはには魔力に二段階のリミッターが掛けられている

それと砲撃の威力を考えると、防ぎきれない可能性の方が高い

それを変えたのが、明久の存在だった

明久はなのはが、ヘリの防御の回った時に支援魔法を使ったのだ

魔法防御力を上げる魔法を

それにより、なのはが展開したシールドはディエチの砲撃を防ぎきることに成功したのである

 

出力最大(本気)じゃなかったとはいえ、マジで……?」

 

とディエチが呆然としていると、二人の頭上から多数の魔力弾と魔法が降ってきた

それに気づいた二人は、隣のビルの屋上に跳び移って回避した

そこに

 

「見つけた!」

 

「逃がさない!」

 

とフェイトと明久が現れた

それを見た二人は、逃走を始めた

それを、フェイトと明久は追い掛けながら

 

「止まりなさい!」

 

「公務執行妨害と殺人未遂で君たちを逮捕する!」

 

と勧告しながら、ディエチとクアットロを追いかけ始めた

しかし二人は止まらず

 

「今日は遠慮しときますぅ!」

 

とクアットロが言った

そしてクアットロは

 

「IS、シルバーカーテン!」

 

と彼女固有スキルを発動した

彼女の固有スキル、シルバーカーテン

それは、彼女が望む通りに幻術を発動出きる能力である

そしてそのシルバーカーテンにより、二人の姿はフェイトと明久からは見えなくなった

しかし、二人は慌てない

何故ならば

 

『アキ君、フェイトちゃん! こっちの準備は完了しとる! 直ぐに離脱や!』

 

『了解!』

 

優秀な指揮官が居るのだから

それに気付かず、ディエチとクアットロの二人は道路に着地して

 

「離れた?」

 

「なんで?」

 

と姿を現した

その直後、二人は膨大な魔力を感じて視線を上げた

頭上に見えたのは、魔法の準備を完了させていたはやてだった

 

「闇に沈め……デアボリック・エミッション!!」

 

はやてが詠唱したのは、広範囲殲滅空間魔法

デアボリック・エミッションだった

はやてが放ったそれは、爆発的な勢いで広がっていく

 

『うわぁぁぁぁぁぁ!?』

 

その魔法から逃げるために、二人は反転し急速離脱を開始した

しかし、完全に避けることは出来ずに二人は被弾

ダメージで、速度が低下した

しかし、二人は安堵していた

逃げ切れたと

しかしそこには、待ち伏せが居た

 

「トライデント……」

 

「ディバイン……」

 

火神招来(ウルカヌス)……」

 

そこを、フェイト、なのは、明久の三人が狙っていた

しかも三人は、既に準備を終えていた

 

「スマッシャー!」

 

「バスター!」

 

砲撃(クー)!」

 

そして三人が放った砲撃が、二人の居た場所に直撃

大爆発を起こした

 

『ビンゴ!』

 

と言ったのは、部隊指揮所(ロングアーチ)にて管制をしていたシャーリーである

どうやら、仕留めたと思ったらしい

しかし、なのはが

 

「違う! 逃げられた!」

 

と告げた

なのはに続けて

 

「当たる直前に、横槍が入った! 追跡して!」

 

とフェイトが言った

 

「恐ろしく速い奴だ! SE方面に飛んでった!」

 

『了解!』

 

明久の言葉を聞いて、シャーリー達は追跡を始めた

しかし、痕跡は途中で途切れてしまった

 

『すいません……逃げられました……』

 

とシャーリーが言うと、続けてヴィータから

 

『悪い、こっちは一度捕縛した奴らに逃げられた。しかも、レリックまで奪われた……フォワード陣に非は無い……完全にアタシの失態だ』

 

と通信が来た

しかし、その直後に

 

『それですが、こちらの独断で』

 

とティアナから通信が繋がった

すると、キャロの帽子の中からレリックを出した

確かに、レリックケースは奪われたがそれは空だったのだ

ティアナとキャロは、レリックケースからレリックを取り出すと直接封印を施して、キャロの帽子の中に隠したのだ

相手はそれに気付かず、空のレリックケースを持っていったのだ

ティアナの策の勝ちだった

相手には逃げられたものの、レリックは確保した

痛み分けの形だろう

そして一同は、帰還のために一ヶ所に集まった

その直後だった

 

トーン

 

と音が聞こえて、一同は黄昏空間に取り込まれた


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