魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士   作:京勇樹

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語りかけ

ティアナが目覚めたのは、事が終わって数時間後

夜八時近くだった

目を覚ましたらティアナは、反射的に上半身を起こした

そして次の瞬間には、顔が真っ赤になった

その理由が、上はシャツを着ていたのだが下が下着だったからだ

だからティアナは、思わず反射的にタオルケットで隠した

すると、奥からシャマルが現れて

 

「起きた? よほど疲れてたのね。もう八時よ?」

 

と言いながら、ティアナにズボンを渡した

ズボンを受け取ったティアナは、その時間を聞いて

 

「八時……え、夜!?」

 

と驚いて、カーテンを開けた

外は、真っ暗だった

そしてティアナが呆然としていると、シャマルが

 

「こっちは、小一時間寝てるわね」

 

と言って、隣のカーテンを開けた

そこでは、明久が寝ていた

何故か、バインドで縛られている

 

「あの……なぜ、バインドで?」

 

とティアナは、唖然とした様子で問い掛けた

するとシャマルが

 

「ティアナちゃんを危ない目に合わせた罰よ」

 

と両手を腰に当てて言った

 

「あの、それは一体……」

 

とティアナが問い掛けた時、甲高い警報音が鳴り響いた

それは、緊急出撃を報せるものだった

それから数分後、機動六課メンバーはヘリポートに集まっていた

だが一同の空気は、気まずかった

その理由はやはり、ティアナの一件だろう

その自覚があるからか、ティアナも俯いていた

すると、なのはが

 

「私達は、全員待機です」

 

と言った

その言葉が予想外だったのか、フォワード陣は全員軽く目を見開いた

よく見ると、なのはの頭にタンコブが見える

 

「あの、なのはさん……そのタンコブは?」

 

とスバルが問い掛けた

すると、新たにダークマテリアル隊が現れて

 

「我が叩いたのよ」

 

とディアーチェが言った

 

「クローディア三佐!」

 

現れたディアーチェ達を見て、フォワード陣は敬礼した

すると、ディアーチェは

 

「白ひよこ、ちゃんと話せ。それが、対話することを怠ったお前への罰よ」

 

と言って、シュテルとレヴィ、幸村を連れてヘリに乗った

それを見送ると、なのはは

 

「それじゃあ、皆。第二会議室に行こうか」

 

と提案した

そして、フォワード陣を伴って目的の会議室に向かった

そこには既に、フェイトとはやてが居た

その表情は、真剣そのものだった

 

「これから話すのは、私の失敗談……私の過去の過ちだよ」

 

となのはが言うと、会議室正面の大モニターが映った

そこに映ったのは、幼いなのはだった

年齢は約九歳だろう

 

「これ、なのはさんですか?」

 

「可愛いですね」

 

「ありがとうね」

 

キャロにお礼を言うと、なのはは視線を戻して

 

「私が魔法に関わることになったのは、ジュエルシード事件からだった」

 

と語りだした

そして映ったのは、なのはと敵対したフェイトの姿

それを見て、エリオとキャロは驚いていた

今凄く仲良しの二人が、嘗て敵対していたとは。と

 

「そして、ジュエルシード事件は又の名を、PT事件とも呼ばれているわ」

 

と言ったのは、新たに現れたプレシアだった

 

「PT事件……まさか、プレシア女史が?」

 

と気付いたのは、ティアナだった

 

「ええ……私は、過去の事故で喪ってしまった娘……アリシアを甦らせようと、ジュエルシードを欲したのよ」

 

とプレシアは、ティアナの考えに気付いたように語った

 

「だけどそれは、なのはちゃんと時空管理局。そして、彼によって防がれた」

 

プレシアがそう言うと、映像に幼いクロノと明久が映された

 

「吉井上等空士!?」

 

「彼も関わっていたなんて……」

 

と驚いたのは、スバルとティアナだった

 

「彼は、古代の英雄。その末裔……ただ一人の生き残りよ」

 

プレシアはそう言うと、ある映像を出した

そこに映っているのは、不思議な模様入りの服を着た一人の少年だった

 

「アルハザードを管理していた、最強の騎士団。蒼炎騎士団、その団長……蒼炎のカイト……」

 

その二つ名は、明久と一緒だった

そして、その能力も

 

「そんな彼は、能力が目覚めた後は秘かに、世界を守ろうと奔走した……そんな彼が、ジュエルシード事件に関わるのは自明の理だった……だから、私も生きている……死ぬはずだったのにね」

 

そしてジュエルシード事件は終わり、次に映ったのは襲いかかってきたヴィータだった

 

「ヴィータ副隊長!?」

 

「それに、シグナム副隊長に、シャマル先生。ザフィーラも!?」

 

とスバルとエリオは驚愕した

 

「これが、私が深く関わった事件……闇の書事件や」

 

と言ったのは、はやてだった

 

「闇の書、事件……」

 

とスバルが呆然として呟くと、はやてが続けて

 

「この事件は、なのはちゃんとフェイトちゃん。そして、アキ君のおかげで、犠牲者無しで終わった……消える筈だった、アインスも助けられた」

 

と語った

すると、なのはが前に出て

 

「その後私達は、管理局に所属。様々な事件の解決に走った……だけど私は、無茶を続けたから体にダメージが貯まってた……それが爆発したのは、あの世界での雪の日だった……」

 

と言った

すると、映像が切り替わった

それは、血に濡れたなのはを抱いているヴィータ

そして、大怪我を負いながらも、双剣を持っている明久だった

 

「これは……」

 

「吉井上等空士が、大怪我を負ってる……?」

 

と言ったのは、スバルとティアナだった

 

「アキ君は、無茶をして体が動かなくなった私を、助けてくれたの……その後だった……アキ君が、行方不明になった……私の無茶のせいで、アキ君は……」

 

なのははそこまで言うと、言葉をつぐんだ

そして、ティアナに視線を向けて

 

「一つ聞くよ、ティアナ……あの時の無茶は、必要なことだったの?」

 

と問い掛けた

 


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