魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士   作:京勇樹

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まさかの、月に二回目


フィドヘル戦2

「来て……私は、ここに居る……イニス!」

 

キャロがそう言った直後、キャロの右手に長い杖が現れた

その杖は間違いなく、以前に戦っていた少女が持っていた杖だった

それを持っていると、エリオが驚いた様子で

 

「キャロ……その杖って……前の……」

 

とキャロが持っている杖を指差した

するとキャロは、その杖を少し見てから

 

「うん……蜃気楼、イニスの宝具みたい……」

 

と返答した

するとキャロは、杖で地面をトンッと突いた

その直後、キャロの肩からフリードが飛び立ち、あっという間に本来の姿に変わった

それを見て、三人は目を見開いていた

余りにも早かったからだろう

本来、フリードが本当の姿になるには最低でも一分以上は掛かるからだ

しかし今回は、たった数秒ほどしか経たずに変わった

しかも、魔法陣も展開されなかった

そこから、古代魔法が関与していると予想した

するとキャロは、前を見つめて

 

「フリード!」

 

とフリードの名を呼んだ

それと同時に、フリードは口を大きく開けて、巨大な火炎弾を発射した

その火炎弾も、普段だったら発射するまで十数秒は貯める時間を要する

これもまた、古代魔法の恩恵だろうことは分かった

すると、明久とヴィータが察知したらしく、散開

火炎弾は、フィドヘルに直撃した

 

「キャロ!?」

 

「そんな! キャロまで!?」

 

二人はキャロが開眼したことに気付いて、驚愕していた

 

「ヴィータ副隊長! 明久兄さん! 私も一緒に!」

 

キャロはそう言うと、再び杖で地面を叩いた

すると、明久とヴィータに光が宿った

 

「これは……」

 

「強化魔法だ……これなら!」

 

明久はそう言うと、フェイト並の速度で爆煙に向かった

爆煙の中からフィドヘルが姿を現したが、傷を負っていた

その傷はキャロの一撃でだった

そこに、明久が目にも止まらない速さで、連撃を繰り出した

キャロが発動したのは、速度強化の魔法だった

しかも、倍加だ

それにより、明久の移動速度と攻撃速度は凄まじい領域に至っていた

移動する度に残像が残り、攻撃は閃光しか見えなかった

するとそこに、ヴィータも混ざった

ヴィータは六課の中では、非常にバランスのいい魔導師である

攻撃力、防御力、機動性、遠距離攻撃、近距離戦闘

そこにヴィータの判断力の高さが相まって、幅広い戦い方を可能としている

今回ヴィータは、フィドヘルに予言魔法を使わせないために接近戦を仕掛けたようだ

そして、ヴィータと明久は目配せするだけで連携を開始した

明久とヴィータの二人はフィドヘルに予言を言わせる隙を与えず、猛攻を繰り出した

しかも、フリードの火炎弾でフィドヘルの持っていた鉄扇も損傷している

それにより、明久の蒼炎が本来の威力を取り戻していた

 

「雷神独楽!」

 

「ラケーテン・ハンマー!!」

 

明久とヴィータの攻撃が直撃した直後、何かが割れるような音が響き渡った

プロテクション・ブレイクである

その音を聞いて、明久は右手をフィドヘルに向けて

 

「ヴィータ、退いて!」

 

と声を上げた

明久の声を聞いて、ヴィータはアイゼンの石突きでフィドヘルの顎を突き上げてから後退した

ヴィータの一撃でバランスを失っていたフィドヘルを狙い、明久は

 

「カイト!」

 

《データ・ドレイン!!》

 

データ・ドレインを行った

数秒後、明久の手には光る球体があった

 

「なんとか勝てたな……」

 

「うん。そうだね」

 

ヴィータにそう返答しながら、明久は黄昏の書に球体を仕舞った

すると、黄昏空間も消えた

その直後

 

「良かった! 居た!」

 

となのはの声が聞こえた

声のした方向に振り向くと、なのはとフェイト

更に、金髪の男性

ユーノが向かってきていた

 

(写真で見たけど、ユーノ……背が伸びたなぁ)

 

明久はそう思いながら、手を上げて

 

「皆無事だよ、なのは、フェイト、ユーノ」

 

と言った

その直後、持っていた黄昏の書が震え始めた

 

「な、なんだ!?」

 

《しまった! まだ封印が完了してない!》

 

明久が驚き、カイトがそう言った直後に黄昏の書が開いた

そして、中から光る球体が現れた

明久は捕まえようとしたが、それより早く球体が飛んでいった

なのはへと

 

「これって、まさか……」

 

となのはが驚いていると、球体はなのはの中に消えた

すると、なのはは頭を抑えて

 

「予言者・フィドヘル? ……死の恐怖に蒼炎貫かれし時、再誕はなる……つぅ」

 

と喋った

それはまるで、予言のようだった

余りにも、不吉な予言だった


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