魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士   作:京勇樹

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邂逅

「よしっ! レリックケース確保!」

 

と言ったのは、ショートカットにした青い髪に鉢巻を巻いた少女

 

スバル・ナカジマである

 

「周囲に敵影無し……スバル、今のうちに車両から出るわよ」

 

スバルにそう言ったのは、ツインテールのオレンジ色の髪に、両手に持った銃型のデバイスが特徴の少女

 

ティアナ・ランスターである

 

この二人は、八神はやて率いる時空管理局遺失物管理部機動六課の隊員である

 

彼女達が所属している機動六課は、今スバルが持っているケースの中に入っているロストロギア、レリックの回収を専任にしている部隊であり、新暦75年の頭に一年間限定で稼働することになっている

 

そして、今日はその機動六課の初出動となった日である

 

やはり、初出動ということもあって、トラブルもあったが目的のレリックも回収出来た

 

後は、本局から来るヘリにレリックケースを渡せば、今回の出動は終わる

 

そのはずだった

 

スバルがレリックケースを持って移動しようとした時、二人の耳にトーンという音が聞こえた

 

「なに、今の音?」

 

スバルは警戒した表情で周囲を見回したが、過去に軽く音楽に触れていたティアナはポツリと

 

「今の……ハ長調ラ音……?」

 

と呟いた

 

その時、二人から少し離れた所に蒼い炎の球が現れた

 

その炎の球を見て、スバルは顔を青ざめて

 

「まさか……人魂!?」

 

「そんなわけないでしょ、このご時世に……」

 

スバルの言葉を聞いて、ティアナは思わず突っ込んでいた

 

その時、ティアナのデバイス

 

クロスミラージュが光り

 

《警告、魔力反応検知!》

 

と警告を発した

 

その瞬間、炎の球は爆発的に広がった

 

場所は変わり、機動六課隊舎司令部

 

「はやてさん、現場で魔力反応を感知しました! 推定……オーバーS!?」

 

と叫ぶように報告してきたのは、陸士を示す茶色い制服を着たメガネを掛けた茶髪が特徴の女性だった

 

その名はシャリオ・フィニーノ、通称シャーリーである

 

「なんやて!?」

 

シャーリーの報告を聞いて、部隊長であるはやては思わず立ち上がった

 

「待ってください……魔力パターンに適合有り……そんな、有り得ない!?」

 

シャーリーがそう言うと、はやてはシャーリーに視線を向けて

 

「報告しいや!」

 

と告げた

 

するとシャーリーは、視線をはやてに向けて

 

「この魔力パターンは……吉井明久上等空士の物です!」

 

と告げた

 

その報告を聞いて、はやては息を飲んだ

 

「有り得へん……だって、明久くんは……」

 

と呟いている時、メインスクリーンに通信画面が開き

 

『主! 私に出撃させてください!』

 

と銀髪赤目が特徴の女性が言った

 

彼女の名前は、八神リインフォース・アインス

 

はやての家族であり、部下でもある

 

『主とて分かっている筈です! この魔力パターンは、間違いなく明久だと!』

 

「せやけど……」

 

アインスの言葉を聞いて、はやては俯いた

 

その時

 

「スターズF、交信途絶!」

 

という、悲鳴混じりの報告が上がった

 

「なんやて!?」

 

「続いて、ライトニングFとも交信途絶! スターズ1、ライトニング1、列車に急行!」

 

シャーリーの報告を聞いて、はやてが唇を噛んでいると

 

『我が主!』

 

とアインスが声を上げた

 

すると、はやてはキッと表情を改めて

 

「リインフォース、出撃や!」

 

と命じた

 

『了解!』

 

リインフォースがそう返答すると、通信画面は閉じた

 

再び場所は変わって、戦闘区域

 

「エリオ、キャロ、返事をして!」

 

「スバル、ティアナ!?」

 

必死な様子で部下の名前を呼んでいるのは、機動六課分隊長のフェイト・T・ハラオウンと高町なのはである

 

彼女達は部下達では対処が無理だった、敵の航空戦力の殲滅を行っていた

 

そして、もうすぐで今回の戦闘が終わると思った矢先に、部下達からの通信が途絶えた

 

それが二人にとって心配だったが、何よりも途絶える直前にそれぞれ《蒼い炎》という言葉が聞こえていた

 

それを聞いた二人は、気が動転していた

 

二人にとって蒼い炎というのは、今から数年前に行方不明になった幼なじみの少年が使っていたからだ

 

縋る思いで通信を試みていると

 

「高町、テスタロッサ!」

 

と、自分達を呼ぶ声がして、二人は振り向いた

 

「リインフォースさん!」

 

「リインフォース! どうして!?」

 

リインフォースの姿を見て、二人は驚いた

 

なぜなら、彼女は本来はやての秘書官を勤めており、今回は部下達新人の初出動ということもあって、非常用戦力としてフェイト以外を運んできたヘリで待機していた筈だったのだ

 

しかも、出撃するにははやての許可が必要だったはずと、二人は記憶していた

 

「主の許可なら得た。それより二人とも、心して聞いてほしい……」

 

リインフォースはそこまで言うと、一拍置いてから

 

「フォワード陣を襲撃したのは間違いなく……明久だ」

 

と告げた

 

「なっ……」

 

「そんな筈は……」

 

なのはは絶句し、フェイトは反論しようとしたが、リインフォースは被せ気味にして

 

「ロングアーチで照合されて、間違いなく明久だと出たし、私も明久の魔力波を感じた。間違いない」

 

と断言した

 

その時だった

 

《警告! 高魔力反応接近中!》

 

となのはの愛機、レイジングハートが告げた

 

三人が視線を列車の方に向けると、列車の方から蒼い炎を翼のようにして近づいてくるのが居た

 

青を基調とした、不思議な模様の入ったバリアジャケット

 

それは間違いなく、明久のバリアジャケットだった

 

だが、そんな明久の姿で一際異様な物が二つあった

 

一つは、顔全体を覆うように付けられている機械質な仮面だった

 

目に当たる部分が不規則に点滅し、どうしても異質な雰囲気を醸している

 

そして、もう一つはその左手に握られている武器だった

 

それは、明久の全長に匹敵しうる赤い十字架だった

 

そんな武器を明久が使う所は、三人は見たことがなかった

 

「やるしか……ないの……?」

 

なのはが悲しそうな表情で呟くようにそう言うと、フェイトとリインフォースは構えて

 

「そうだよ、なのは」

 

「明久を、私達の手で取り戻すんだ」

 

と告げた

 

そして、彼女達の取り戻す戦いが始まった




アインスのBJは原作ので、縁取りが蒼に変わっています

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