魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士 作:京勇樹
イニスがキャロの中に消えて少しすると、黄昏空間は消えた
すると、通信画面が開いて
『良かった! 無事だったんやな!』
とはやての声が響き渡った
「はやて……うん、なんとかね。件のロストロギアも回収したよ」
フェイトがそう報告すると、はやては安心した表情で頷いて
『分かった。詳しい報告は、帰ってきてから聞くな』
と言うと、通信を切った
そして、フェイトはフォワード陣へと向いて
「それじゃあ、皆。戻ろうか」
と言った
しかし、フォワード陣はどこか納得してない様子で
「あの、吉井上等空士のことなんですが……」
と明久に視線を向けた
すると、なのはが
「ごめんね。アキ君に関してはいくつか機密が関係して、今は話せないんだ」
と言った
機密が関係すると言われては、フォワード陣も引き下がるしかなかった
不承不承といった感じではあるが、フォワード陣は下がった
するとフェイトが、小声で
「機密って?」
「今は、こうするしかないと思って……それに、箝口令があるでしょ……?」
なのはの言葉を聞いて、フェイトは僅かに俯いた
あの雪の日のことで事実をねじ曲げられて報道されて、しかも降格処分
これには流石に当のなのはも納得出来ず、上層部に猛抗議した
しかしそれらは全て無視されて、箝口令が出された
命令されては、なのは達は従うしかなかった
しかし、はやてはチャンスを虎視眈々と狙っているらしく、査察部のヴェロッサ・アコーズと独自に動いているようだ
もちろんのこと、はやてが動いたら、なのは達も協力は惜しまない
そうこうしている間に、なのは達とフォワード陣は拠点にしているペンションに帰還
はやてに報告した
「黄昏空間か……間違いないんやね、カイト?」
《うん。八相が戦うために使う異空間だよ。捕まったら最後、展開した八相を倒すしか出る方法はないね》
はやての問い掛けに対して、カイトはそう答えた
すると、それを引き継ぐように
「それと、実際に戦ったなのは達なら分かると思うけど。八相と戦えるのは、黄昏因子を有する
と明久が説明した
すると、明久の説明を聞いたはやてが
「黄昏因子?」
と首を傾げた
「うん………八相である、スケィス、イニス、メイガス、フィドヘル、ゴレ、マハ、タルヴォス。そして、僕の蒼炎」
明久の説明を聞いて、はやて達は納得した様子で頷いた
その光景を見て、明久は心中で胸を撫で下ろした
明久はあえて、八相の最後の一つ
コルベニクを黙っていた
コルベニクは他の八相と違い、代々蒼炎の使い手に引き継がれる
余りにも、その能力と代償が強すぎるから……
「とりあえず、件のロストロギアは回収成功した……本当なら八相の事も地上本部に報告せなあかんが……八相のことは、まだ信用出きる人達だけに報告しようか」
はやてがそう言ったタイミングで、アインスがペンションの掃除が終わったことを告げにきた
それを聞いて、はやては部隊員達に帰還するために外に出るように命じた
外に出ると、そこにはペンションを貸してくれたアリサとすずか、美由希、エイミィが居た
「せめて一泊……ってわけには、いかないんだよね……」
「ごめんね、アリサ、すずか……」
「お仕事だもんね……でも、時々は電話頂戴ね?」
「うん、必ずするね?」
と別れの会話をした
すると、アリサが明久に近寄ってきて
「明久。あんたは、また勝手に居なくならないでよね? いいわね?」
と明久をビシッと、指差した
そんなアリサに、明久は苦笑を浮かべて
「うん、そうだね……」
と同意するように頷いたが、胸が痛かった
八相が独立稼働を始めている
それが、明久の脳内の警鐘を鳴らしていた
ふと気付くと、フェイトが明久に手を差し伸べていて
「帰ろう、明久」
微笑みを浮かべながら、そう言った
明久はフェイトが差し伸べていたその手を握ると、笑みを浮かべて
「うん、そうだね」
と頷いた
そして、機動六課メンバーはアリサやすずか達に見送られながら、帰還したのだった
黄昏因子は、黄昏因子を引き寄せる……