魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士   作:京勇樹

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データドレイン

フェイトは右手に持った鎌を見て、直感的に悟った

 

(これなら、あの相手と互角に戦える!)

 

フェイトはそう思うと、鎌をクルクルと回した

なのははフェイトが持っている鎌を見て

 

「フェイトちゃん……その鎌はなに?」

 

と問い掛けた

するとフェイトは、その鎌を両手で持って構えて

 

「多分、古代魔法と関係がある武器なんだと思う」

 

と答えた

そして、今も戦っている明久を見て

 

「なのは、私は今から明久と一緒に戦ってくるね」

 

と言うと、持ち前の機動で突撃

明久に噛みつこうとしていた犬を切り裂いた

 

「フェイト!?」

 

「明久! 私も一緒に戦う!」

 

フェイトの言葉を聞いて、明久は何か言おうとしたが、フェイトの持っている鎌を見て辛そうな表情を浮かべた

 

(出きることなら、開眼しないでほしかった!)

 

明久は、フェイトに適合した存在

《スケィス》の役割を知っていた

その役割がとても辛く、悲しいことを

 

「私が召喚獣を押さえるから、明久はそっちの子を!」

 

フェイトはそう言うと、目前の敵へと斬りかかった

そして明久も、少しでも早くこの戦いを終わらせるために

フェイトに掛かる負担を、少しでも軽くするために

 

「ああぁぁぁぁ!」

 

明久は雄叫びを上げながら、両手に持った剣を高速で振るった

今まで複数で襲いかかっていて、明久に手傷を負わすことが出来なかったのだ

彼女一人で、明久に勝てるわけがなかった

一撃、また一撃と、明久の攻撃が少女に入っていった

それに焦りを感じたのか、少女は杖を大きく振るって、明久を遠ざけようとした

だが明久はそれを、最小限の動きで回避

そして、両手の双剣を叩き込んだ

その直後、何かが割れるような音が響き渡った

それを聞いた明久は、右手を突きだしながら

 

「カイト、腕輪!」

 

と叫んだ

すると、明久の右手手首の辺りに半透明の花弁のような物が展開した

それを見て、少女は逃げようとしたが、横合いからなのはの砲撃が直撃して、バランスを崩した

その絶好のチャンスを、明久は見逃さなかった

 

「データ……ドレイン!」

 

明久がそう言った直後、右手手首の花弁から触手のような物が伸びて、少女を貫いた

そして数秒後、少女の姿は消えた

それに同調して、フェイトと交戦していた巨大な犬の姿が掻き消えた

伸びていた触手は一瞬にして縮み、明久の右手手首の花弁も消えた

そして気付けば、明久の右手掌の中には、あのリニアトレインの時にフェイトの中に消えたのと同じ光の球体があった

 

「アキ君……終わったの?」

 

なのはが近寄って問い掛けると、明久は頷いた

そして、戦闘が終わったのを感じたのだろう

隠れていたフォワード陣も駆け寄ってきた

そして、明久が取り出した黄昏の書にその球体を仕舞おうとした

だが、明久は眉をひそめた

 

「なんだ? 入らない?」

 

『まさかっ!?』

 

明久が疑問の声を上げると、カイトが驚愕の声を上げた

その直後、光の球体が明久の右手から離れた

明久はその球体を捕まえようと手を伸ばしたが、球体は明久の手をすり抜けて飛んでいった

そして、とある少女の前で止まった

龍を呼び操る、一人の幼い少女

キャロ・ル・ルシェの前に

最初、キャロは何が起きてるのか分からなかった

しかし、頭痛がしたのか頭を押さえて

 

「幻惑の蜃気楼……イニス?」

 

と呟いた

その数秒後、光の球体はキャロの胸部の中に消えた

最初、その場の全員が呆然としていた

しかし、いち早く復帰した明久が

 

「まさか、フェイト以外に適合者が現れるなんて………」

 

と呟いた

そして、黄昏の因子を巡る戦いは加速していく


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