魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士   作:京勇樹

11 / 84
精神状態がギリギリですよー
まぁ、頑張りますよー


温泉トラブルと蜃気楼

「エリオ! なんでそんなに恥ずかしがるの!?」

 

「察してくださいー!」

 

というやりとりをしているのは、フェイト・T・ハラオウンと彼女が保護責任者となっているエリオ・モンディアルである

 

そしてそんな二人が居るのは、温泉施設スパラクーアⅡの混浴露天風呂である

 

ここまでの経緯を簡単に説明すると

 

1、明久とエリオがロッカーで服を脱いでいたら、キャロが男湯側に来た(規則上は問題なし)

 

2、キャロがそのまま一緒に入ることになり、明久が二人の頭を洗い慕われた(兄さん呼び)

 

3、体も洗い終わって入浴してたら、エリオとキャロの二人が露天風呂に向かって、そこに来たフェイトに見つかった

 

4、エリオと一緒に入りたいフェイトに捕まり、女湯へと連れていかれそうになっている(エリオは岩に必死に捕まって耐えている)←今ここ

 

なお、キャロは嬉々として女湯へと向かった

 

(どうしよう! このままじゃ、フェイトさんに女湯に連れていかれる!)

 

エリオは岩に必死に捕まりながら、どうすれば助かるか考えた

 

その時、エリオの脳裏に明久の姿が浮かんだ

 

(そうだ! 明久兄さんに助けを求めればいいんだ! 明久兄さん!)

 

(ん? エリオ、どうしたの?)

 

エリオが念話で呼び掛けると、明久から即座に返事が返ってきた

 

(お願いします! 今すぐ露天風呂に来て、僕を助けてください!)

 

(……イマイチ何が起きてるのか分からなけど、今から行くね)

 

(頼みます!)

 

こうして念話している間にも、エリオはフェイトに引っ張られていた

 

それをエリオは、身体強化を使って必死に耐えていた

 

そして、助けを求めてから数十秒後だった

 

「エリオー、一体何が……」

 

と明久が現れた

 

「あ、明久兄さん!」

 

エリオは嬉しそうにするが、あまりにも状況が悪かった

 

まず、ここは温泉施設なので当然ながら裸である

 

しかも、フェイトはエリオを引っ張っていたので、胸元を隠してるわけがない

 

明久も同様に、マナーとしてタオル等は付けていない

 

そういった状況が重なり、明久とフェイトは固まった

 

「あ、明久……」

 

「や、やっほー……フェイト……」

 

フェイトが名前を呼んだので、とりあえず明久は気まずい雰囲気ながらも返事をした

 

だがその直後から、フェイトは顔を真っ赤にしてエリオから手を離した

 

その直後、エリオは一目散に男湯へと逃げた

 

だがフェイトはエリオに気づかず、そのまま右手を高々と掲げた

 

すると、そのフェイトの右手に魔力球が精製された

 

その直後、明久は左手が掲げて

 

「よし待とう、フェイト。落ち着こう! これは不幸な事故なんだ!」

 

と慌てて説得を試みるが、フェイトは恥ずかしさから顔を真っ赤にしたまま黙っていた

 

(あ、終わった……)

 

明久がそう思った直後

 

「明久の……エッチーー!」

 

とフェイトは叫びながら、魔力球を明久へと全力投球した

 

「不幸だー!」

 

魔力球の直撃を受けた明久の叫び声が轟き、エリオは男湯の湯船で明久へと申し訳無さすぎて、心中で謝り続けた

 

なお、明久とフェイトの二人は気づいていなかったのだが、双方の露天風呂への出入り口の看板には

 

《この先混浴となってますので、タオル等を巻いてご入浴ください》

 

という注意書きがあったのだ

 

それに気づかなかった二人にも、原因はある

 

この後、フェイトの声が聞こえたなのは達が駆け付け、気絶していた明久はヴィータとアルフの二人によって男湯へと戻された

 

そして数十分後、スパラクーアⅡから出た時にサーチャーが件のロストロギアの魔力を検知

 

封印へと向かった

 

そしてフォワード陣の活躍により、確保に成功した

 

そして、そのロストロギアに対してフォワード陣のキャロとティアナの二人が封印作業をしているのを、明久、なのは、フェイトの三人が見ていた

 

「懐かしいなぁ……ジュエルシードの封印を思い出すよ」

 

「にゃはは、そうだね」

 

「うん、懐かしい……」

 

明久の懐かしむような言葉に、なのはとフェイトは同意した

 

「そういえば、ユーノはどうしてるの?」

 

「あ、明久は知らなかったっけ。ユーノね、無限書庫の司書長になったよ」

 

明久の疑問に対してフェイトが答え、なのはが同意するように頷いた

 

すると、明久は感心した様子で

 

「はぁー……凄いなぁ……僕達の中で、一番出世してない?」

 

と言った

 

「うん。私は戦技教導隊の一等空尉だし、フェイトちゃんは執務官だもん」

 

「はやてが二等陸佐だけど、ユーノが一番出世してるね」

 

明久の疑問に二人が返したタイミングで、ティアナとキャロの二人が封印作業を終えたらしい

 

『なのはさん。封印作業終わりました!』

 

通信ウィンドウが開き、ティアナから報告がされた

 

「了解。それじゃあ、護送しよう……」

 

となのはが撤収を指示しようとした時、その場の全員の耳にトーン……という音が聞こえた

 

その音を聞いて、ティアナ、スバル、明久の三人は緊張した表情を浮かべた

 

〈明久、八相だ!〉

 

カイトのその言葉を聞いて、明久は頷いてから

 

「なのは、早く離脱を……!」

 

と離脱するように促そうとしたが次の瞬間、一瞬にして空間が変わった

 

先ほどまで居た河原ではなく、まるでどこかの遺跡を彷彿させる場所へと

 

「遅かったか……っ!」

 

「えっ!?」

 

「何が起きたの!?」

 

「なんだ!?」

 

「何が起きやがった!」

 

明久は悔しそうに、なのは達を驚愕の表情を浮かべた

 

視線を下に向ければ、フォワード陣の四人は件のロストロギアを入れた箱を守るように背中合わせで布陣している

 

〈適合地形、該当なし〉

 

〈現在地、把握不可能です〉

 

バルディッシュとレイジングハートが立て続けに告げるが、それはなのは達にも分かっていた

 

なのは達は10年という時の間に、様々な世界を巡り続けた

 

だが、そんな彼女たちの記憶にも、今居る遺跡には見覚えはなかった

 

〈黄昏空間に取り込まれた……〉

 

というカイトが漏らした

 

「黄昏空間?」

 

「カイト、知ってるの?」

 

〈八相が独自に用いる、戦闘用空間……固有結界とも呼ばれてる……来るよ!〉

 

カイトがそう言った直後、全員を途轍もないプレッシャーが襲った

 

なのは達は何とか耐えているが、フォワード陣は全員、生きた心地がしなかった

 

「っ!」

 

明久はいち早く、プレッシャーの発生源に視線を向けた

 

そこに居たのは、キャロと似た意匠の白い服を着た同い年位の少女だった

 

〈あれは……イニス!〉

 

カイトがその名を呼んだ直後、戦闘は開始された


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。