東方幻想録 休載   作:鬼如月

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どうも!
「ではどうぞ。」
はやっ!?何か喋らせて下さ


第三十四話 蓬莱のかぐや姫

side 白夢

 

 

 

「かぐや姫ぇ~?」

 

 俺は不比等に言われた事をそのまま返す。

 

「そうだ。この京にかぐや姫と呼ばれる大層美しい女人が現れたらしくな。是非私の息子に嫁がせたいと思うのだが。」

 

 俺は迷う。かぐや姫って恐らく"あの"かぐやだろ?あいつのことは昔しか知らんが性格が変わってなければ求婚なんてされても断るだろうしな。だが不比等には恩があるからなぁ。

 

「どうしたんだ?」

 

 黙ってる俺を見兼ねて聞いてくる。うーむ、妹紅の話し相手程度には出来るのかな?

 

「多分そいつ俺の知人なんだが「本当か!?」・・・あいつの性格からして断られると思うぞ。まあ俺が話せば妹紅の話し相手程度にはなれるんじゃないか?」

 

「そうか・・・少し考えてみよう。」

 

 そう言って部屋を出ようとする不比等にちょっと待てと呼びかける。

 

「そういやそのかぐや姫の現れた場所っていうのはわかるのか?」

 

 不比等が納得したような顔で返す。

 

「ああ、言ってなかったな。京の団子屋から二つ家を挟んだ所だ。」

 

 ああ、あの屋敷か。前団子を買いに行った時は広そうな屋敷だなぁ程度にしか思わなかったが。

 

「そうか。引き止めて悪かったな。」

 

 そう言ってやると不比等は大丈夫だ。と言い部屋を出て行く。

 

 さて、そのかぐや姫にでも会いに行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんと・・・!

 

 屋敷の前に着くと、そこには姫の噂を聞きつけた貴族や農民が大勢集まっていた。こんな昔の時代にこれだけ人が集まると圧巻である。だがそんなことを考えてるのは時間の無駄だと判断し思考を切る。

 

「どうやって入るか。透明マントでも創造するか・・・?」

 

 だがもし気配察知とかでバレたら危ない。それなら結婚を申し込む貴族として入ったほうが自然で楽だろう。そう考え俺は貴族の服を創造し、着替える。ついでに黒い髪のヅラでも創造しとくか。

 

「これなら自然だろう。」

 

 今の俺の姿は黒髪の貴族だ。これなら不自然な格好と思われることもない。

 

 そう考え人で一杯になっている所に紛れて行く。てかあれ不比等じゃないか?あいつ・・・

 

 

 

 

 

 

side out

 

side ???

 

 

「輝夜。求婚をする貴族がいるがどうするか?」

 

 そう爺が聞いてくる。

 

「人数は?」

 

「六人だ。」

 

 それを聞いて私は自分でも悪い顔で笑っているのがわかった。

 

「ならその人達を通して下さい。ちょっと痛い目にあわせて見ようかしら。」

 

 そう私が言うと、爺は家の玄関の方へと歩いていく。

 

 私は顔を見られないようにしながら貴族を待つ。数分すると爺が六人の貴族を連れて戻ってきた。

 

「輝夜よ、連れてきたぞ。皆さん、名前を。」

 

 そう爺が促すと、一番左の人から名乗りだす。

 

「私の名は安倍御主人。是非私と結婚を!」

 

「私は大伴御行と申します。」

 

「石上麻呂です。」

 

「私は藤原不比等です。」

 

「私の名は多治比嶋と申します。」

 

「・・・俺は藤崎白等と申す。」

 

 そう六人が名乗り終わると私は笑ってる顔を隠して言った。

 

「そう。貴方達が私と結婚をしようと。ですが私は貴方方のことをまだよく知りません。そこでです。貴方方一人ずつに題を出します。それを見事突破なさった方と結婚しましょう。」

 

 そう言うと貴族の内の二人が質問をしてくる。

 

「すみません。お言葉いいでしょうか。」

 

 私が許可をすると、藤原不比等とやらが話し出す。

 

「私は貴方と息子を結婚させるつもりで来たのですが・・・」

 

「その方にも題を出します。なのでしっかりと聞いておいてください。

 

 そう言うと納得したような顔をする藤原。そして藤崎白等が私に質問する。

 

「俺は貴方と話したかっただけなのですが・・・」

 

「それが二人きりでということでしたら題を受けて貰います。」

 

「わかりました。」

 

 それでは、と私は皆に題を出していく。

 

「では安倍御主人殿は、『火鼠の皮衣』という焼いても燃えない布を持ってきて下さい。」

 

 そう言うと安倍御主人は自信満々な顔で「わかりました!」と言い、部屋を出て行く。

 

「そして大伴御行殿には『龍の頸の珠』という五色に光る宝玉、石上麻呂殿は『燕の子安貝』という燕が極稀に卵と一緒に産み落とす物を、藤原不比等殿は・・・そうですねぇ、『蓬莱の玉の枝』という七色の真珠の実をつけ、根が銀色で茎が金の木の枝を持ってきて下さい。」

 

 そう私が言うと三人は部屋を出て行く。

 

「多治比嶋さんは『仏の御石の鉢』という釈迦が使ってたという鉢を持ってきて下さい。藤崎白等さんは・・・『エイジャの赤石』という太陽の力を持つ宝石をお願いします。」

 

 そして二人が出て行く。しかし藤崎白等は一度立ち止まり、

 

「ではまた、『蓬莱山輝夜』さん。」

 

 ッ!?今、彼は私の名を・・・ッ

 

 彼の方へ目を向けると、そこにはもう彼はいなかった。

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでです・・・
「次回もゆっくり見ていってくれ。」
ねえ僕何かし

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