やはり俺の青春は仮想現実の中でも間違っている   作:レオン・デュミナス

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はい、漸く攻略会議です。


エピソード1-7 第一層ボス攻略会議開幕

翌日、俺は鼠女に教えられたボス攻略会議が行われるトールバーナという街の噴水広場に来た。

 

すり鉢状に成っている広場の中心部、そこには既に何十人というプレイヤー達が集まっていた。まだ始まっていないようなので、俺はすり鉢状に成っている頂点、最後尾の場所に腰掛けて会議が始まるまで待つ事に。

 

「あ、ハチマン。」

 

「ん…?」

 

俺に声を掛けてくるやつなどこのゲームでは殆ど居ない。むしろ、現実でもほぼ居ないまでも有る。

いや、戸塚は話しかけてきてくれるな。あぁ、戸塚…お前に会えない事がこんなにつらいなんて……

 

「ハチマン…?なぁ、聞いてるか……?」

 

「あ、あぁ、聞いてるよ。」

 

「あぁ、良かった。物凄い勢いで目が腐っていくから心配したぞ。」

 

うるせぇよ、目は元からだ。

 

俺に話しかけてきたのは、先日西の森で鼠女と共にであった真っ黒ずくめの剣士――――名前なんだっけ?………えーと、キリ…キリ…錐?嫌違う、ジャン=クロード・キリー?絶対違うな。キリ何とかさんだ。

 

「で、何の様だ?」

 

「お前も来てたんだな、ボス攻略参加するんだ。」

 

「じゃ無きゃ居ねーだろうよ、鼠女に行けと強要されちまったんでな。………ん?」

 

なんか視線を感じる……俺はボッチ特有の視線感知で視線の先を探すと、フードを目深に被った一人のプレイヤーがこっちを見ていた。が、俺が視線を向けたことに気づくとプイっと顔をそらした。なんだよ、そんなに俺と顔を合わせるのは嫌か?中学の頃暗い道を歩いていたら、前を歩いてた女が急に振り向いて悲鳴を上げて逃げていったのを思い出しちゃったじゃねーか。

 

「はーい!それじゃあ、そろそろ始めさせてもらいまーす。」

 

広場の中心部、すり鉢状に成っている底の部分に青い髪をした一人の男が周りを見渡しそう告げた、あいつが今回のボス部屋を発見したパーティの奴か。というか、あいつの声、材木座に似てるな…材木座が爽やかに喋ったらあんな感じになるんじゃないか?いや、材木座が爽やかとか有り得ないけどな。むしろ、なりたけ超ギタ並みにギットギトの奴だからな。

 

「今日は俺の呼びかけに応じてくれてありがとう!!俺の名前はディアベル、職業は気分的にナイトやってます。」

 

ディアベルの言葉で周囲の奴らからドッと笑い声が漏れる。え、何なの?仕込みしてたの?てかナイトって何だよ、このゲームに職業とかねーだろ、あれか?光と闇が両方備わり最強に見えるのか?

 

「どうした、ハチマン?」

 

「何でもねーよ…」

 

馬鹿げた思考を遮るようにディアベルが話の続きを始める。

 

「俺達のパーティがボスの部屋を見つけた!!」

 

「俺達はボスを倒し、第二層に到達して、このデスゲームもいつかきっとクリアできるって事を始まりの街で待ってる皆に伝えなくちゃ成らない!!それが、今此処にいる俺達の義務なんだ!そうだろ、みんな!!」

 

うへぇ~…義務とか聴いた瞬間、俺のやる気ゲージが著しく削がれたんですけど……周りの奴はディアベルの言葉を聞いて賞賛の拍手を送り始める。何か、ヒューヒュー指笛を吹く奴も居る。おいやめろ、昔のトラウマ思い出すだろうが。

 

「それじゃ早速だけど、これから攻略会議を始めたいと思う。まずは、6人のパーティを組んでくれ。」

 

なん…だと……

 

いや、落ち着け俺。こんな時は体育の時を思い出すんだ、テニスの授業で「二人組み作って~」とか言われる、そのときの俺の相手は壁!!つまり、早く壁を探さないと。

 

…………………って、そんな訳に行くか!!あぁ、もうこりゃいかん…だってここに集まってるのは45人、つまり6で割れば7余り3って事で如何してもあぶれてしまう。もうこれは迷惑掛けないように退散するのが一番だね。そう思って俺は早々に立ち上がると帰り始めた。

 

「なぁ、ハチマン……って何処行くんだ?」

 

「え?帰る。」

 

「今から!?」

 

何だよ、今帰ろうが後で帰ろうが同じだろうが。そう思いつつ俺は踵を返し立ち去ろうとしたのだが―――――

 

「おい、何処に行くつもりダ、ハッチ……」

 

野生のアルゴが飛び出してきた。どうする?

 

・逃げる←

・逃げる

・逃げる

 

「帰る。」

 

「ちょっと待テ、そんな事許さないゾ。」

 

しかし、ハチマンは首根っこ捕まれた、逃げられない。

 

「仕方ないだろ、この人数じゃ絶対に組み作れない奴が出るんだから、俺はそんな苛めみたいに成らない様に気を使ったんだよ。」

 

「メンドクサイから逃げたいだけだロ。」

 

失礼な。

 

「それに人数には達しないが組は組めるだロ。おいキー坊、悪いけどこの脱走兵と組んでやってくれ。」

 

「あぁ、元からそのつもりだったよ。」

 

え?何お前、俺の事誘うつもりだったって、俺の友達なの?

 

「パーティ申請送るな。」

 

「あ、あぁ……」

 

そう言われて、俺の目の前にパーティを組みますかとウインドウが表示される。それにYes(はい)のボタンを押すと、俺のHPバーの下に新たにこいつのバーとキャラネームが表示される。Kirito…キリトか?そういやそんな名前だったな。

 

「さてと、もう粗方組み終わっちまったか。」

 

いや、組み終わって無くても他の奴を誘ったりしない(出来ない)んだけどな。

 

「ホレ、あそこにももう一人居るゾ。」

 

そう言うアルゴの指差す先を見てみると、さっきのフードの奴が一人ポツンと座ってた。俺達はそいつの下まで行く。

 

「なぁ、俺達と組まないか?」

 

「…………別に、そっちから申請するなら、受けてあげないでもないわ。」

 

名前はAsuna―――――アスナ。こいつ、女か…?てか、めんどくさそうな奴。

 

「よし、そろそろ組み終わったかな。それじゃ……」

 

周りがチームを組み終わったのを確認して、ディアベルが話し始めたとき―――――

 

「ちょお、待ってんか!!」

 

何だ?あのドゲゾーメットは。もしくは、もやっとボール。突如、叫びを上げた三角コーン頭は飛び跳ねるように広場の中心に躍り出た。

 




続きます、長くなりすぎて分けました。纏める能力無さ過ぎてごめんなさい…

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