やはり俺の青春は仮想現実の中でも間違っている   作:レオン・デュミナス

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コメント欄でアルゴが地味に人気らしくニヤニヤしております。殆ど出番のない原作ヒロイン二人の地位が危ない(笑)


エピソード1-6 第一層ボス攻略会議へ

このデスゲームもとい、クソゲーが開始されてから一ヶ月の時が過ぎた。SAOは予想通り、最悪の方向へと突き進んでいた。死者は増える一方、にも拘らず未だに第一層すらクリアできてない始末。

 

鼠からの情報によると、死者の数は2000人を超え、その内の大半が自殺とβテスター達らしい。片や絶望と狂気の淵で、アインクラッドから飛び降りればログアウト出来るのではないかという妄想に取り憑かれ帰らぬ人となった。もう片方はβ時の知識を生かし、狩場と経験地を独占しようとして正式移行時の仕様変更という罠に嵌って戻ってくる事は無かった。馬鹿な話だ……

 

鼠といえば、あの忌々しいフレンド登録(呪いの儀)からちょくちょく絡んでくるようになった。基本的にあっちが一方的に情報を法外な値段で売りつけようとして、俺が断るのだが、奴の情報は攻略に役立つものが殆どなので始末に悪い。

更に弾みで現実の奉仕部の活動の事を口走ってしまったが為、鼠の奴は事有るごとに俺に厄介ごとを押し付けてきやがる。断ると前のボディタッチ(不可抗力)を盾に俺を脅迫してきやがる。お前の方が黒鉄宮に送られるべきだろ……

 

そんな事も有りつつ、俺はあの後も止めろと言い続ける思考を完全無視して攻略を続けていた。そして気づけばレベルも14まで上がり、最前線組と呼ばれる攻略メンバーの筆頭レベルまで到達してるらしい。

 

「オラよっと…」

 

あいも変わらず、俊敏極振りのステータスと隠蔽スキルを生かした不意打ち滅多切りでモンスターをポリゴン片へと変え、俺は攻略を進めて行く。

 

「ここら辺はもうマッピングしつくしたか…」

 

今日も今日とてボス部屋探しだが、未だ見つかる気配は無い。皆が死ぬことを恐れて、慎重になり過ぎているのが一因だろう。しかし、そんなのは当たり前だ、誰だって死にたくないだから慎重に進んで行く。当然の行動だ、なのに何でだろうか?この胸の奥に燻る焦燥感が、じわじわと俺を内側から焼き尽くそうとするのは……

 

「はぁ…」

 

考えても分からん。というか、今現在の俺はさっぱり分からん。まぁ、自分の事ですら完全に理解できている人間など一握りだろう、そう考えれば今の俺の行動は別におかしいという事は無いのではないか?いや、明らかにおかしいわ……

 

結局、ボス部屋も自分の中に有る”モノ”の正体も見つからないまま、俺は街へと帰ってきた。すると――――――

 

「ニャハハ、これハ特ダネだナ。」

 

鼠女が路地裏で壁とフュージョンして一軒の建物の中を覗き込んでいた。

 

「何やってんのお前…」

 

「うにゃっ!!?ハ、ハッチ!?び、ビックリさせるな!!というか、お姉さんに気づかせずに背後を取るなんて、お前さんハイド率高すぎだろ!!」

 

だから、隠蔽スキルなんぞ発動してねぇーよ…このセリフ何度目だ?

 

「お前の索敵がショボイだけなんじゃねーの…?」

 

「む、この鼠のアルゴ様にそんな口を利くとハ、ハッチも随分と成長したじゃないカ…」

 

そうだな、レベルは結構上がったな、そういう意味じゃ成長だな。

 

「で、犯罪者。何してるんだ?交番は無いけど黒鉄宮なら有るぞ。」

 

「人聞きの悪い事言うナ!!情報収集だ。」

 

何の情報だ……

 

「コ、コホン…時にハッチ、いい情報があるぞ?」

 

こいつ、無理やり話を変えやがった…

 

「金はねぇ…」

 

逃げのための言い訳…では無く、最近こいつに毟り取られてコルが底を付き始めているのだ。

 

「今回はタダでいいヨ。」

 

「……………………………………………………………………………………………」

 

胡散臭えぇ…こいつの言うタダとか、ナーヴギアの方が安く感じるわ。

 

「ボス部屋が見つかったヨ。」

 

「…………マジか?」

 

「あぁ、ついさっきとあるグループがダンジョン内のボス部屋を発見しタ。明日の昼にボス攻略会議が行われる、ハッチもそこに参加しナ。」

 

強制かよ……

 

「情報料とでも思いナ。ホレ、これがその場所ダ。」

 

さっきタダとか言ったくせにこれだよ。

 

「ついでにオレっちはこれからボス用の攻略本量産に取り掛かル、ハッチにも出来たてホヤホヤの第一版をやろう、1000コルナ。」

 

結局金とるんかい!!

 

「ボスの情報が有ると無いとでハ、断然有る方が有利じゃないカ?ハッチだって死にたくないだロ。」

 

「ちっ!!」

 

俺は鼠から送られてきたアイテムトレードのウインドウに1000コル対価として書き込みトレードOKのアイコンを押す。

 

「まいどあり~これからも御贔屓にナ、ハッチ。」

 

お前とは二度と会いたくない。俺の精一杯の反撃代わりの眼光も何処吹く風で、鼠のアルゴは自分の拠点へと帰っていった。俺は買ったばかりの攻略本に目を通しておく。

 

「ボスは”イルファング・ザ・コボルトロード”武器は主武装は骨斧、副武装に湾刀(タルワール)、取り巻きとして、番兵(センチネル)三体…」

 

レベルや武装等から考えて平均レベルが10以上も有れば攻略は不可能ではなさそうだ。まぁ、攻略に参加する人数にもよるが。

 

「あ、そうそう言い忘れてタ。」

 

「お前まだ居たのか…」

 

「連れないナ、ハッチは…あんなに激しく体をぶつけた仲じゃないカ。」

 

御幣を生みそうな言い方はやめろ、振り向きざまに手が触れただけだ!!

 

「お姉さんの胸をモミしだいたくせに…」

 

「黙れ、大平原…」

 

「なっ!!?い、今のは聞き捨てなら無いぞ!!これでもBは有るんだからな!!」

 

おい、キャラがブレてるぞ。それお前の素か?

 

「で、いい忘れたってなんだよ?」

 

「………覚えてロ………フロアボスなんかはラストアタックボーナスという物がある、最後にダメージを与えて倒したプレイヤーに付与されるレアアイテムの事ダ。」

 

へぇ~。

 

「てか、何でそんなこと俺に教え始めた?もう払う金はマジでないぞ?」

 

「金は要らなイ……その代わり、頼みを聞いてくレ。」

 

「頼み…?」

 

「ボス攻略時、騎士様から眼を離さないでくれ……」

 

「はぁ、何だそりゃ?」

 

「頼んだゾ。」

 

「あ、おい!!」

 

不可思議なことを言うだけ言って鼠女は走り去ってしまった。まったく俺の行動といい、鼠女といい、訳が分からない事だらけだ。




はい、会議へと書いてある通り、この章では攻略会議には到達しません。展開遅くてごめんなさいm(-.-;)m

さぁ、ここで問題!!作中アルゴが覗いていた建物の中では何があった?

1.キリトとアスナがラッキースケベな展開になってた。

2.ディアベルは実は材木座の変装だった。

3.キバオウの下着がブリーフだった。

ど~れだ。答えが分かった人は葉書に書いてそっとゴミ箱に入れよう。

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