やはり俺の青春は仮想現実の中でも間違っている   作:レオン・デュミナス

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エピソード1-1 比企谷八幡は仮想世界を謳歌する

現実での意識が途切れるとともに、暗転していた視界が真っ白に染まり極彩色の円柱状の物体が視界を通り過ぎて行く。

 

さて、キャラクリエイトか…ぶっちゃけ見た目なんてある程度で良いんだよな。という訳で、当たり障りのない髪型や顔など初期の無難な感じの物を選んでおく。それにプラスしてこの俺達比企谷家の遺伝子であるアホ毛を追加しようとしたのだが……

 

「用意されていないだと……」

 

キャラ作成の項目にはどこにもアホ毛が無かった…髪のメッシュやら刺青やらといったものは有ったのだがアホ毛というものはどこにも無い。まぁ、そこまで拘りがある訳でもないのでどうでも良いんだけどね。因みに目は腐ってない。と言うより、俺の目を再現できそうな目のパーツなどなかった。

 

「ま、容姿はこれで良いな。後はステータスだが…」

 

ネトゲではキャラの見た目以上に大事な要素であるステータス、今後のゲーム全てを左右するといっても過言ではない重要なファクターとなりうる物なので慎重に選ばなくてはならない。

とは言ってももう俺は決めてあるのでそんなに時間も掛けずにステ振りを進めて行く。

 

因みに俊敏が八割ほど残りの二割を筋力へと持って行く。その理由としては、ネトゲであっても俺はボッチなことに変わりはない、一緒にプレイする友達などいないしな。ゲーム以外の現実でも友達が居ないまである。なので、俺は基本ソロプレイとなるため一対多という構図がザラに発生してしまう、故に対処しきれない敵とであったときに逃げるための俊敏だ。早き事島風の如し、速さは正義!!速さは攻撃にも使えるしな。防御主体のガッチガチの防御型の相手とは相性が悪いが、そんなのとは戦わなければ良いだけだ、そのための早さだ。

 

更に因みに、こういう物にいち早く反応しそうな中二病こと材木座はβテストに落選し、製品版の購入にも失敗したと言っていた。ドンマイ…しかし、今にして思うと初期出荷の一万個の内の一つを入手できたのは運がよかったんだな俺。

 

最後にキャラクターネームだが、これは何の捻りも無く”Hachiman(ハチマン)”にした。変に気取った名前にするのもあれだし、この名前はそうそう有る名前ではないし本名とは思われないだろう。

 

という訳で、キャラクリエイトも終えゲームが開始される。

 

「………っ!?…こりゃ……すっげぇなぁ…マジで漫画やアニメの世界にでも入り込んだみたいだ。」

 

目の前に広がる現実となんら遜色ない光景に、驚きで言葉を失いそうになる。こりゃ、注目されるわけだぜ。

 

周りを見渡すと、俺と同じプレイヤーらしき連中と、その他のNPC(ノンプレーヤーキャラクター)が居るのが見て取れる。そして、視界の上部には俺のキャラ名とHP(ヒットポイント)を表す緑色のバー

 

「さて、ゲームなんだし一狩り行ってみたいところだが…まずは情報収集だな。」

 

このSAOというゲームは前情報が殆ど出回っておらず、魔法などが存在しない剣と特殊な剣技である”ソードスキル”と呼ばれる必殺技のようなものを駆使して戦うらしいとか、アインクラッドと呼ばれる城の天辺を目指して攻略するゲームなんだとか、割と大雑把な情報しか知られていない。なのでこのゲームのことを知るためにも情報収集だ。

 

 

 

 

「まぁ、大体こんな物か…」

 

プレイヤーが最初に送られる街”はじまりの街”を駆け回ってNPCからできうる限り情報を集める。え?プレイヤーから聞きゃ良いんじゃないかって?ばっか、お前いくらゲームだからってボッチが初対面の人間に気軽に話しかけれるわけないだろ。

 

「じゃ、お待ちかねのモンスターと戦ってみますか。」

 

俺は街の外である圏外へと足を運びしばらく歩く。すると、イノシシの姿をしたモンスターがポップする。

 

「試し切りには丁度良いか。」

 

そう言って、俺は腰に挿した剣――――曲刀を抜き放つ。ステータスの俊敏を生かした高速機動でも実践しようと足と腰に力を込め、一気に走り出す―――――のだが…

 

「いっ!!?」

 

予想以上の速さで制御が利かず、モンスターを追い越してしまった。

 

「こんなに早いのかよ…」

 

現実の自分の足の速さを超える速度に感覚が付いて行かず、苦労しながらも何とか攻撃を重ねモンスターを倒す。

 

「ふぅ…普通の攻撃だけじゃ倒すのに何発も攻撃しなきゃいけないな。」

 

まぁ、筋力少ないしね俺。

 

「まぁいいさ、その為のソードスキルだしな。」

 

ソードスキルを試そうと再び散策を開始してすぐ後、さっきと同じモンスターが現れる。

 

「確か、発光のエフェクトが出たらタイミングを合わせて…システムに逆らわないように……」

 

NPCから得た情報を元にモンスター目掛けて曲刀の初期スキル”フェル・クレセント”を放つ。見事命中し、一撃でモンスターは砕けたガラス片の様にポリゴンとなって霧散する。

 

「おぉ~出たぁ!!」

 

これは気持ち良いもんだね、マジで必殺技って感じだわ。

 

「でも、硬直時間なんかもあって隙も出来るんだよな。」

 

流石に、無敵の必殺技など存在せず、ソードスキルは発動時や発動後に硬直時間と言うものが発生してしまう。

 

「ソロプレイの身だし、気を付けないとな……」

 

俺はその後、レベル上げと操作感覚をつかむ為に暫く狩りに没頭した。




ぬぬぬ…話が短くまとまらない……とてつもなく無駄に長くなってしまいそうだ……

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