やはり俺の青春は仮想現実の中でも間違っている   作:レオン・デュミナス

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結構、前のあとがきに書いたくだらないネタにも反応してくれる人が居て嬉しい限りです^^


エピソード1-8 第一層ボス攻略会議 続

「ワイはキバオウちゅうもんや、ボスと戦う前に言わしてもらいたい事がある!!こん中に今までに死んで行った2000人に詫びいれなあかん奴が居るはずやろ!!」

 

「キバオウさん、君の言う”奴ら”とはつまりβテスターの事かな?」

 

「決まってるやないか!!β上がりの連中はこのクソゲーが始まって、直ぐさまワイ等初心者(ビギナー)を見捨てて行きおった!!奴らは上手い狩場や経験値を独り占めして、自分らだけポンポン強なって、その後も知らんぷりや!!こん中にも居る筈やで!β上がりの奴らが!!」

 

金平糖頭がそう言った時、広場に集まった幾人かは顔を伏せ、周りの反応を伺うようにしている。隣のキリトも似たような反応だ、こいつもβテスターか。

 

一番顔が知れ渡ってるだろう鼠の奴は…居ねぇ、あいつ俺に逃げんなって言ったくせにトンずらしたな。

 

「そいつらに土下座して、溜め込んだ金やアイテム全部差し出せや!!」

 

何言ってんの?あのとんがりコーンヘッド。これからボス攻略しようってのにβテスター達から身包み剥いで戦力削いでどうするんだよ。

 

「おい、話がそれだけなら攻略会議の続きに入ってもらっていいか?」

 

「なんや、アンタ!!何言うとるんや!!ワイは…」

 

「今まで死んで行った奴等の内の大半が自殺とβテスター達だ、この意味が分かるか?」

 

「な、なんやっちゅうんや…」

 

「自殺はともかくとして、βテスター達はお前が言う通り狩場なんかを独占しようとしてβと正式移行時の仕様変更によって死んだ、こいつ等は自分の情報を過信したんだ。俺は正式版からのプレイヤーだ、俺はゲーム開始当初から各所で情報を集めたが、NPC達からはちゃんと正式使用の情報が聞き出せた。詰まるところ、βテスター達が教えるまでもなく情報は用意されてたんだ。」

 

「せやかて、何も知らん初心者にβの連中が面倒見とったら死人の数が減ったのは事実やろ!!」

 

ifの話なんてしたって意味は無いってんだがな…

 

「さっきも言った通り、βテスター達はβと正式サービス時の仕様変更で死んだ。だったら、テスター達がビギナーの面倒を見ていたって死人が出る可能性は大いに有った。逆に、テスター達もちゃんと情報を集めていれば死なない可能性があった。お前が言うように可能性の話をするなら、テスター達がビギナー達に教えたって同じなんじゃないか?」

 

「ぐ、ぐぬぅ……」

 

俺の言葉に勢いを削がれる突起物、周りの連中も、俺の言葉に考えるように押し黙り始めた。

 

「テスター達はこの序盤においては確実に最大の戦力だ、そいつらの身包み剥いでどうやってボス攻略するんだよ。俺はお前の自殺なんぞに付き合う気は無いぞ!!俺は現実に帰るんだ。」

 

「…く…っ………」

 

「その辺にしよう、今はボス攻略の事を考えよう。君も、キバオウさんもいいね。」

 

ディアベルの言葉に、スゴスゴと帰って行くもやしもんの菌もどき。

 

あ~周りから異様に視線を感じる、目立つ事なんてするもんじゃないな……

 

「ハチマン、ありがとな。」

 

「何の事だ?」

 

「俺、βテスターなんだ…だから。」

 

やっぱりか。

 

「お前の為じゃない、会議が進まないのが鬱陶しかっただけだ。」

 

「それでもだよ、ありがとう。」

 

……………おい、やめろ。ボッチは礼なんぞ言われなれてないんだ。

 

「捻くれてるわね、あと目が腐ってる…」

 

こいつ、やっと喋ったかと思ったらこれかよ。こいつも俺の許さないリストに書き記しておいてやる。

 

「さっき、アイテム屋に情報屋”鼠”からのボスの攻略本が無料配布された。」

 

な……に…?無料…?あの尼ぁ………

 

「それによると、ボスは”イルファング・ザ・コボルトロード”…推定HP、使用武器およびソードスキル、推定ダメージ、取り巻きの数まで書いてあった。情報によれば、然程恐怖するような数字じゃない。この情報を元に役割分担を……」

 

くっそぉ…あの鼠女、俺には金払わせたくせに…って、あいつ柱の影からこっち見てやがる。しかも今俺のこと見て笑いやがったぞ!!おのれぇ……

 

「おい、ハチマン!!」

 

「あぁ、何だ…?」

 

「話し聞いてなかったのか?もう会議終わったぞ。」

 

なんと、鼠を気にしている間に会議が終わってしまった。という訳で鼠女をとっちめに行こう!!

 

「って、もう居ないし!!」

 

逃げやがった。

 

「何してるんだ…」

 

「何でもねーよ……」

 

あの鼠だけは絶対に許さない…

 

「ねぇ、さっきの会議で分からない言葉がいくつか出てきたんだけど…」

 

って、こいつマジの初心者かよ。アスナの話を聞くと、ずっとソロでやってきてパーティを組むのは初めてなんだと。まぁ、俺も同じだが。

 

「まず、スイッチって何…?」

 

「あれだ、ピタゴラの…」

 

「そっちじゃない!!」

 

「リロアンド?」

 

「スティッチでもない!!」

 

「ならあれだ、酒の…」

 

「スコッチも違う!!」

 

「敵のターゲットを別の奴に移す技術の事。」

 

「違ぁう!!って合ってるよ!!知ってるんじゃないか!!」

 

知識ではな、ソロプレイの俺には無用の長物だったんだ。

 

「はぁ…はぁ……とりあえず、説明もかねて俺達で連携の練習しに行こう。」

 

「へいよ。」

 

「……その前に、貴方達の実力を見せてよ。」

 

え~、めんどくさい…

 

「え~、めんどくさい…」

 

やばい言葉に出てた。おい、そう睨むな。

 

「それは、俺のほうも見ておきたいし、それも合わせて一緒に練習だな。」

 

「へいへい…」

 

「……分かった。」

 

 

 

 

 

ついにボス攻略が始まる――――――――――

 

 

 

 

 

そして、アルゴの奴は俺の絶対に許さない奴リストの二ヶ月殿堂入り首位連覇という偉業を達成した。


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