Fate/Radiant of X   作:ヨーヨー

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FGO、基本パーティーがマシュ・メドゥーサ姐さん・武蔵ちゃんとしているのですが「何でエロイ恰好の3人選んでるの?」という意見が…ち、違わい…


では今回で一区切りの79話です





第79話

木星の星騎士ジュピトルスは黙って、自身の召喚した大海魔が灰と化して消える光景を眺め続けた。ただ目を凝らし、既に原型を留めない大海魔とその母体が滅したことに連なって消滅する無数の海魔の姿を、ただ黙って。

隣に立つ水星の騎士マキュリアスは、自分の知るジュピトルスとは表情がまるで異なる姿に違和感を覚えていた。

 

一師団の長であったジュピトルスはその狡猾さも相まって敵全てを血祭りに上げた際は味方でさえ怯える程の不気味な笑みを浮かべ、その日の晩餐は敵対した者の死肉を喰らうという噂が広まった程である。逆に目的を達成できたかった際には不機嫌な子供を思わせる癇癪を起し、作戦に参加した者を憂さ晴らしとして惨殺を繰り返すなど、彼が起こす戦いの結果には必ず敵味方に多大な犠牲が発生していた。

 

だからだろう。ジュピトルスの策を幾度となく退けた間桐光太郎達に対しては煮え湯を飲まされ続けていたはず。ならば此度も同じように怒りに震えるに間違いないと思われたが、ジュピトルスはどの感情も爆発させる様子が見られない。

 

 

 

「…認めましょう。ええ、これは認めざるをえない」

 

「………………」

 

「私は思い違いをしていたようです。あの男を倒す為に必要なのは精神的に追い詰める事ではなく、正面から叩き潰す力であると」

 

 

 

大海魔が完全に消失した後に初めて放たれたジュピトルスの声。望まぬ再会の中でマキュリアスが解体した人間の頭部を眺めて恍惚とした顔は、そこにはない。

 

どう相手を苦しめるかを念頭におき、その様を眺めるカエルの眼球を連想させる瞳に映るのは、ある決意。

 

自身の愉悦の為ではなく、純粋に相手を倒す為に戦う決意を固めた者のみが見せる事の出来るもの。

 

自分の為である事には変わりないが、目的は大きく違う。

 

ジュピトルスはこの地球に降り立ち、初めて全力をもって倒さなけえればならない『敵』を見つけたのだろう。

 

相手の顔を苦痛に歪ませ、絶望させなければ殺しても意味がないという信条まで捨て去って。

 

 

 

「私はしばし姿を消しましょう。あの男を…間桐光太郎を確実に倒す力を身に着けるまで」

 

「つまり…姑息な手段を使わず真っ向から挑むということか?」

 

「左様。我が策や異界の兵を使っての勝利などもはや無意味。私自身の手で間桐光太郎の…仮面ライダーBLACK RXの首をもぎ取らねば…意味がない」

 

 

静かに告げ、踵を返すジュピトルスはゆっくりと浮遊しその姿が揺らいでいく。

 

 

「………………」

 

だが、ジュピトルスの背後に立つ青年の顔に暗い影が差す。

 

マキュリアスはその手に巨大な鎌を出現させると音を立てることなく振り上げ、背中を向けるジュピトルスへと狙いを定めた。

 

今回の戦いでジュピトルスを生かしておいたのは、あくまで自分の理想の障害となる者…怪魔界を脅かす存在たる間桐光太郎の力量を確かめる為。自分に使命をくれた少年の為に、争いを広げる者は誰一人例外なく殺すと決めた自分と、快楽の為に殺すジュピトルスは相いれない。

 

怪魔界で起こした謀反と今回はあくまで利害の一致。マキュリアスには、ジュピトルスを生かしておく理由はないのだ。

 

ない、はずだった。

 

 

気が付けばマキュリアスはメドゥーサを切り裂いたハルペーをゆっくりと下げ、この場から消えようとするジュピトルスに背中を向けてしまう。なぜこの殺人狂を見逃そうとしたのかは、自分でも分からない。

 

ただ、過去に見たジュピトルスとは明らかに違う表情を見た為なのか。

 

理由は、やはり分からない。

 

 

「私を殺さずに見逃してくれる事には感謝します。お礼とは言えませんが、貴方の耳に届くような『愉しみ』はしばし控えるとしましょう」

 

「信用しろというのか?貴様にとっては生きる糧でもあるだろう」

 

「否定はしません。しかし、それ以上の目的が出来たというだけの事です」

 

「…そうか」

 

 

おそらく、怪魔界ですら一度たりとも成り立たなかった同じ星騎士としての対話。

 

覚えているのは、クライシス軍本部の円卓で告げられた命令に黙って頷く自分と、その過程でどれ程の人間が殺せるかのかと笑いながら訪ねるジュピトルスを窘める若き金星の星騎士。そして、さらにその者を優しく諭す2人…

 

謀反を共謀した時でさえ、言葉を交わすことは無かった。

 

 

そして、悪いものでもないと考えてしまった自分が、どうかしているだけだ。

 

 

今さら関係を築けるとは思ってもいない。ジュピトルスですら、この場にいない星騎士も同様だろう。

 

 

彼等が何者かに魂を開放され、各々の目的で間桐光太郎を抹殺するという、利害が再び一致したに過ぎない。

 

 

 

だから、言葉らしい言葉を交わすのは、これで最後だ。

 

 

 

 

「…確認したい事がある。ヴィルムスは間桐光太郎と対面した時、クライシスに下るよう言っただけなのか?」

 

「そのようですねぇ。結果は今にいたりますが…」

 

「それ以外に、何もなかったのか?」

 

「えぇ、そのようです」

 

「そうか…」

 

 

 

ジャーク将軍の若かりし頃の名を出したマキュリアスの質問は、ジュピトルスも抱いた謎であった。恐らく、自分達より早く接触した火星の星騎士も同じ疑問に囚われているはずだろう。

 

 

いやと、頭を振るマキュリアスはそんな疑問を持つ事こそ下らないと鎌を手から消失させる。

 

経緯はどうあれ、今自分がすべき事は間桐光太郎の抹殺。

 

 

自分の理想を成し遂げる為に。そして…

 

 

 

 

 

 

「報復はしなければならない」

 

 

「フフフ…それでは、どちらが先に成し遂げるか競争となりますな…」

 

 

 

 

静かに、そして冷たい声で放たれたマキュリアスの言葉に同意したジュピトリスの気配が完全に途絶える。彼が何処に行き、どのような力を身に着けるかはマキュリアスに見当もつかず、興味もない。

 

 

 

「ならば、私もしばし様子を見るとしよう。あの男を倒すにはそれ相応の準備が必要なようだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~。随分すんなりと引き上げたなぁ。あの変態ども」

 

 

かつての同志に辛辣な評価を口にするマルスはガサガサと自分で食し、散らかしたスナック菓子の袋やペットボトルの回収を始める。

 

光太郎が相方の女を救出し、さらには宝具を発動させた光景を垣間見たアルスはついつい熱くなって隠れ家の買いだめ用であったファミリーパックの菓子類まで手を伸ばしてしまった。

 

あんな事、興奮しない方がどうかしている。

 

怪物が消えた後に、アルスは別の場所で眺めていた2人が光太郎に襲い掛からないかと手に白銀の剣を顕現させ、すぐにでも突撃する準備を整えていたがあっさりと姿を消した事に拍子抜けしてしまう。が、おかげで横取りされずに済んだという安心感の方が大きい。

 

 

「そうだよな。あの時と違って、もうお前には迷いはない。ああ、お前は自分で言った通り、『守る為に戦う』という考えを変えることなく、それどころかブレがなくなった」

 

 

ゴミが詰まったビニール袋を固結びし、ポンポンと片手で弄ぶアルスの口元を歪める。

 

 

出会った当初は自分の放った指摘に随分と動揺し、力を発揮できないまま潰れてしまっていたが、今見る限り間桐光太郎という男は迷いを乗り越え、さらなる力を手にした事が分かる。

 

それに、本来ならば殺す他ない相手を助けるというどんでん返しを披露までして。

 

 

 

「ああそうだ。そういう相手じゃなきゃ意味がない。お前が強ければ強いほど、倒した俺を誰も無視できなくなる。存在を認めざる得なくなる…」

 

 

それは誰に向けたのか。ゴミを一まとめにしたアルスは屋上から、自分と戦うに相応しい力を身に着けた光太郎を見る。

 

 

傷だらけでも、笑いながら家族と無事を喜び合う姿に、アルスの表情は一瞬別のものへと変わった。

 

 

ようやく倒すべき敵を見つけた事に高揚した笑いから、寂しさを目に潜めた微笑みに。

 

 

 

「…ま、今日は前祝いだ。あのファミレスのハンバーグ、何皿いけっかなぁ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライス要塞の指令室にて、巨大モニターを眺めるジャーク将軍の後方で片手を負傷したボスガンは跪き、今回の作戦失敗への弁明を始めていた。

 

 

「も、申し訳ありませんジャーク将軍!まさか間桐光太郎以外の者が仮面ライダーへと変身するという予想外の事が…しかし、あの男を追い詰めた事は間違いなく、次も同じく―――」

 

「もうよい」

 

「なッ…」

 

 

もはや言い訳にも届かない説明を続けたボスガンの言葉をジャーク将軍は一言で遮る。もしや、自ら前線に出てまで失敗した自身は今まで以上の罰を受けるのかと最悪の予感を募らせるボスガンへと振り返るジャーク将軍の表情は、何もない。その予感とは別のものであった。

 

 

作戦失敗による怒りはない。無言で自分を見つめる黄金の将軍は、ゆっくりとその重い口を開いた。

 

 

 

「此度は災難で合ったなボスガン。今は傷を癒し、命を落とした怪魔獣人達に手向けの華を添えるがいい」

 

「は?」

 

 

なぜ、ジャーク将軍が怒りを向けるとはまるで逆に、自身の身を案じているのか、ボスガンには理解できない。身に覚えのない慈しみには、怒りを向けられる以上の恐ろしさと不気味さがある。

 

 

「じゃ、ジャーク将軍!なぜ、今回に限り私めへのお咎めが…」

 

「当然であろう。今回に限りそちへの罰はないものとする。そちは、あのジュピトルスに利用されたに過ぎないのだからな」

 

「なッ―――!?」

 

 

なぜ、この要塞から消えたジュピトルスの名が出てくるのかと、ボスガンの背中に嫌な汗が流れる。確かにジュピトルスとは今回で共謀は最後だという口約束の元、光太郎の弱点である家族の情報と引き換えに、最大の弱点であろうメドゥーサを人質にとるように依頼はした。

 

しかし、それはあくまでジュピトルスを利用する為。間桐光太郎が怪魔界へ出現した際にジュピトルスへとサイボーグ怪人の操縦方法を漏洩した疑いを逸らす為に、今回はジュピトルスとの縁を切って捨てる為、そして自分の功績を得るための作戦だったのだ。

 

それが逆にジュピトルスに利用されるなど、ありえない事。そう信じて疑わないボスガンの心理を読み取ったのか、ジャーク将軍はボスガンが光太郎に攻撃を受け、引き下がってからジャーク将軍への謁見するまでに起きた一連の出来事を巨大モニターへと映し出した。

 

 

ボスガンは怒りに震えた。

 

 

ジュピトルスは確かにボスガンの要求通りにメドゥーサを浚ったのだろう。しかし、その先はまるで話が違ったのだ。

 

怪魔獣人達を倒した光太郎達に休む間を与えずにジュピトルスは2体の巨大生物を放ち、戦闘を開始した光景を目の当たりにしたボスガンは、ジャーク将軍の言った言葉の意味をようやく理解した。

 

 

ジュピトルスはボスガン達の戦いで疲弊した光太郎達を一気に叩く為に敢えて自分の提案を引き受けた。メドゥーサを人質に取ると了承したのも、間桐光太郎を精神的に追い詰める為。

 

利用したつもりが利用されていた。

 

ぶつけようのない怒りに駆られるボスガンに、さらなる追い打ちがジャーク将軍から放たれてしまう。

 

 

 

 

「そういうことだボスガンよ。今回そちは奴目にまんまと謀られたという訳なのだ」

 

「そ、それは…」

 

「あの者は怪魔界きっての狡猾さを持つ策略家でもあった。あの者の狙いが見抜けぬうちは―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「余に成り代わろうなど、夢として終わってしまうぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボスガンの心臓が強く握られたような圧迫感が迫る。

 

 

なぜ、胸の内に秘めた自分の野望が将軍の耳に届いているのか。これは同じ隊長の者達にも、ジュピトルスにさえ明かしていないのだ。

 

思考がグルグルと渦を巻くボスガンは怒りが先立ち、ジャーク将軍の言葉に自身ですら驚く行動に移ってしまう。

 

 

「その貴族としての誇りと剣の腕を余は買っておる。しかし、余の上を目指すというのならばさらに器を持つよう精進するのだな。でなければ…そちは『間桐光太郎に言われたような存在』で終わるであろう」

 

「ッ!?」

 

 

 

今でもそれは耳から離れない。あの、特殊能力に救われたに過ぎない間桐光太郎に言われた屈辱的な言葉…

 

 

 

 

 

 

 

 

『貴様は貴様の言う貴族でも何でもない…ただの卑怯者だッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

頭の中で沁みついた侮辱。それを過らせた将軍の言葉を聞き、頭に血が上ったボスガンは腰に納めていた怪魔稲妻剣を一気に引き抜くが、柄を持つ右手に違和感を覚える。

 

 

(軽すぎる…)

 

 

剣特有の重さが全く感じられないボスガンは剣へと目を向ける。この日、何度目驚いたか自分でも分からない。ボスガンが知る中でも最高の切れ味と硬度を誇る怪魔稲妻剣。

 

 

自慢の剣が、真っ二つに折れてしまっていたのだ。

 

 

折れた刀身はヒュンヒュンと風切り音を立て宙を舞っており、ボスガンと離れた位置に落下。刃の表面に、言葉に出来ず驚愕するボスガンの姿がくっきりと映し出されていた。

 

 

「こ、これは…」

 

「言ったであろう。精進せよと」

 

 

 

ハっと、自分の横を通り過ぎ、部屋を後にしようとするジャーク将軍の手には、黄金の剣が握られていた。

 

ボスガンが抜刀するよりも早く、ジャーク将軍は剣を手に持ち怪魔稲妻剣を両断したのであろう。将軍の力量にただ茫然とするしかないボスガンは出入り口付近まで移動した将軍の言葉をただ聞くことしか出来なかった。

 

 

 

「楽しみにしているぞ。そちが余の力以上の持ち主となり、使えるに相応しい者となることをな。ハッハッハッハッハッハッハ…」

 

 

 

指令室の残されたボスガンは剣を手放し、拳を震わせる。怒りの矛先を、どこにも向けられぬまま、打倒RXの意思を新たにしながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れさまでした」

 

「うん、お疲れ様。ゆっくり休んで」

 

 

協力した遠坂凛とアーチャー、そして暫く冬木に留まると言ったランサー達と離れ、ようやく間桐邸へと帰宅した光太郎達は、敷居を跨いだ途端に様々な反応を見せた。

 

 

慎二は客室のソファーに倒れこみ、同じく倒れたい気持ちを抑えながらも人数分の紅茶を準備するとキッチンに向かう桜。

 

ガロニアは脳波送信機を使用した負荷がたたり疲れ果てたのか、帰宅中にライドロンの中で眠ってしまった。彼女を起こさぬよう優しく抱き上げた武が、現在彼女の私室へと運んでいる。

 

 

そして今回の戦いで恐らく一番疲労が溜まっているであろうメドゥーサを休ませるために、部屋の前まで光太郎が送迎すると申し入れ、メドゥーサも快諾。部屋まで肩を並べて移動していた訳だ。

 

部屋の前までたどり着き、ドアノブを握るメドゥーサを光太郎は呼び止める。

 

何であろうと光太郎の正面を向くメドゥーサが見上げた先の光太郎の顔は、神妙な面持ちで彼女から視線を逸らすことなく、ゆっくりと口を開けた。

 

 

「メドゥーサ…本当にゴメン」

 

「光太郎、もう大学での出来事は私の誤解で…」

 

「いや、その事じゃないんだ。一度、君に暴力を振るった事…」

 

「暴、力…?」

 

 

今まで光太郎に暴言を覚えきれない程ぶつけてきたメドゥーサではあるが、光太郎にそういった類を向けられたことはまるで覚えがない。顎に手を当てて思い当たる節を探るメドゥーサは、光太郎との亀裂が確かなものとなってしまった原因を思い出す。

 

 

 

桜が誘拐されたと知り、星騎士との闘いのダメージが抜けきれないまま向かおうとした光太郎をメドゥーサが止めようとした手を彼が強く叩いてしまった。

 

 

あれを暴力として扱ってしまうとは…どこまでも優しく、誰を傷つける事を恐れる人だと改めて思うメドゥーサは、ある事を思いつく。

 

 

このぐらい、構わないだろうと。

 

 

「そうですね。あれは少し堪えました色々と」

 

「ぐ…」

 

「ですので、少しばかりお返しをしても宜しいでしょうか?」

 

「…ああ、思いっきりやってくれ」

 

少し意地悪が過ぎただろうかとメドゥーサは両目を閉じて歯を食いしばる光太郎を見てクスリを笑ってしまう。身構える光太郎に対して、メドゥーサは両手をそっと彼の頬へと当てる。

 

 

 

 

 

 

(まさか頭突きとは…けど、あの時は手加減なんて出来なかったし、それぐらいは…)

 

 

 

 

彼女の細く冷たい手が両頬が掴まれた事から受けるであろう痛みを予測する光太郎だが、このままではメドゥーサにも痛みが伴ってしまう。なので他の方法を提案しようとしたが、それは叶わなかった。

 

 

 

光太郎の口が、柔らかく、暖かい何かに塞がれてしまったからだ。

 

 

 

時間して数秒か、もしくは数分だったかもしれない。

 

 

 

呼吸の方法すら忘れてしまう程の衝撃に固まってしまった光太郎から顔を離したメドゥーサは、足早に離れると自室のドアを開き、半分顔を見せながら告げる。

 

 

 

「これでお相子ということにしましょう。では、お休みなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから10分後

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄さん!?どうしたんですか!?何があったんですか兄さーんッ!!?」

 

 

「もしや敵襲か!?おのれどこから入り込んだのだ…」

 

 

「メドゥーサッ!光太郎が部屋前で倒れて息してないんだけど何か知ってるかッ!?」

 

 

 

 

 

 

メドゥーサの私室の前での大騒ぎ。

 

耳まで真っ赤に染まった光太郎を涙目となり懸命に揺さぶる桜と、敵の襲来だと思い腰に戦極ドライバーを当てた武は室内の捜索へと駆けまわり、慎二は扉を乱暴にノックしてメドゥーサに事の手がかりを聞こうとやっきになっていた。

 

 

とうのメドゥーサはというと、光太郎から離れ、扉を閉めた途端にベットへとダイブ。枕で顔を押し当てたまま身動きが取れないでいた。

 

 

 

(ダメ…こんな顔じゃ…部屋を出られない…)

 

 

自分でも把握できるほどに顔が熱く、そして緩み切った顔となっているに違いない。

 

こんな顔、見せる訳にはいかいない。だから早く戻れと考えるほどに、自分が光太郎にしてしまった事が繰り返し脳裏に蘇るという悪循環。結局その日にメドゥーサは部屋から出ることは無かった。

 

 

 

こうして間桐家の一同は新たな局面を迎えながらも、以前の通り。もしくはそれ以上に騒がしいまま一日を終えたのであった。

 

 




ちなみに光太郎とメドゥーサ姐さん。この日まで手を握る以上の事はしませんでした。隣にいてくれるだけで満足っていうピュアピュアだったんです…

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