Fate/Radiant of X   作:ヨーヨー

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最近みつけたFateで士郎の料理をみんなで楽しむ漫画を発見。なんだこの優しい世界は…ぜひ書籍化をお願いします。


ここまで続けられました60話です!


第60話

「はは、ハハハ…!まさか共食いとはな。このような事、18度も転生してきた中で初めてのケースだ!やはり人間と違い、別の生物が混じっているためか…」

 

 

同志であったバラオムとビシュムを喰らい、自らの力としたダロムの姿を校舎内から眺める吸血鬼は自身でも想定外の事に額を手で押さえ、笑い出した。

 

 

かつての同胞を食し、かつての主に反旗を翻す。それもどれも、自分が生き長らえる為…

 

 

なんて、なんて面白い。

 

 

此度の転生で怪人の死徒化などという気まぐれの結果で生まれたものが、とてつもない怪物を誕生させてしまった。この先、ダロムがどこまでの進化を遂げるのか…

 

眺めてはみたいが、恐らくあの化け物は今対峙している世紀王だけではなく、自分も狙ってくるであろう。この時ばかりは親である自分に逆らえぬよう枷を加えなかったのが悔やまれるが、城にいる限り自分に敗北はない。

 

それにと、未だ命を失った真祖の前から動けずにいる遠野志貴へと目を向ける。

 

 

(俺と同じ『死』を見るこいつを配下に置きさえすれば、一刺しで塵へと変えられるだろう。そうだ、俺は労する事なく全てを手に入れる…)

 

 

 

既に勝利は約束されている。最大の障害であったアルクェイドを自らの手で倒したロアには、もはや敵など存在しないと豪語するまでにある。

 

だが、余韻に浸れない原因がただ一つだけ。

 

 

世紀王の存在だ。

 

 

『否定の術式』によって動けぬ状態で死の『点』を2度も突いたというのに、奴は生きている。志貴の場合は死の恐怖を味合わせるつもりで僅かに『点』をずらしていたが、世紀王は確実に点の中央に刃物を通したはず。

 

 

 

(もしや…世紀王の持つ王石は死ぬという概念すら通じないモノなのか?)

 

 

そのような神秘が存在するならば、自分の手に収まるのが相応しいだろう。それに、どうやら心許している志貴を盾にすれば世紀王も容易に手を出せないはずだ。王石を残し、自分の配下となった志貴に全身を解体させるというのもまた一興だろう…

 

 

 

 

 

僅かながらの不安があろうが、手札は全て自分の手にある。

 

 

そう強引に自分を納得させたロアは再び怪物同士の戦いへと目を向ける。

 

 

 

様々な思い違いをしているのだと、理解できないまま…

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬう、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

 

メキメキと音を立て、身体に亀裂を走らせるダロムの身体に異変が生じる。

 

白い甲羅を突き破り、翼竜の羽が現れ、さらに腰から肉食獣と思わせる足が生え、ギリシャ神話に登場する半獣人ケンタウロスのような四足となった。

 

だがその前足は虫の節足を巨大化させ、特有の筋肉や産毛を生やしており、後ろ足は細ながらも力強く大地を蹴る肉食獣の特徴が現れた者だ。

 

そして顎が肉を裂きながら左右に分かれ、その下から信彦が嫌と言うほどに見覚えのある白く、皺だらけの顔が出現する。

 

大神官としてローブの下にあった、ダロムの顔だ。

 

 

 

「フハハハハハ…どうやらこれが私の完全な…いや、究極の姿となったのだ!私は大怪人を越え、超怪人ダロムとして生まれ変わったのだ!」」

 

 

バラオムとビシュム。

 

 

2体の大怪人の力と特徴を吸収した超怪人ダロムは両腕のハサミを夜空へと掲げ、自分の内からみなぎる力に酔いしれるダロムは先ほどから自分の進化に声一つ漏らす事の出来ないシャドームーン…信彦を見下ろす。

 

 

「フフフ…私の力に恐れをなして声すら出なくなったか?」

 

「……………………………」

 

「ならば、一撃で終わりにしてくれるわぁッ!!」

 

 

巨大な翼で羽ばたき、一瞬にして数十メートル上昇。そしてビシュムと同様に破壊光線の嵐で蹂躙する…

 

 

 

 

 

 

そんな都合の良い展開を思い浮かぶ前に、ダロムの翼は切り裂かれていたのだ。

 

 

 

 

 

「がぁ…!?」

 

 

飛び散る鮮血と共に落下したダロムは倒れないように四足で踏みとどまるが翼を切断された痛みは消えない。翼の再生までには至らないが傷口を塞ぎながらも自分を襲った攻撃…間違いなく、数メートル先に立つシャドームーンから打ち出されたものだ。

 

バラオムと同じように、超速で接近。翼を攻撃して元の位置へと戻ったのか…否、そうであったのなら先ほど見せたように複眼の色が代わり、腕に装着された籠手が背中へと接続されていたはず…

 

だが、シャドームーンに変化はない。ダロムが超怪人と化した時と変わらず、身動き一つ見せていなのだ。

 

 

「ハァ…ハァ…ハァ…」

 

「どうやらこちらを眺めている吸血鬼のように急激な再生はできないようだな」

 

「ッ!?

 

息を荒げるダロムの耳に信彦の声が響くと同時に、右腕を振り上げる姿が黒い眼球へと映し出される、爪へ緑色の光を纏わせた信彦が勢いを付けて腕を振り下ろした直後、3つの真空波が風を切り、ダロムへと迫った。

 

 

「ぬおぉッ!!」

 

 

身体を横へと転がし、回避行動をとったダロムが数秒前に膝を付いていた場所には、獣の爪によって抉れたような痕が3つも刻まれている。これが翼を切り刻んだ攻撃の正体だと悟ったダロムへ信彦は既に10を超える真空波を繰り出しいた。

 

 

「舐めるなぁッ!!」

 

 

真空波が目前へと迫ったダロムは地を蹴り、高速で移動を開始。目標を失った真空波は直進し、数十メートル先に位置する体育倉庫へと直撃。建物本体や中に備えられていた用具を切り刻み、吹き飛ばしてしまうがロアの城の領域にあった為か、即時に再生を始めている。

 

 

「…今度はバラオムの真似事か」

 

自分の周囲…目を凝らせなければ分からないが僅かに地面を掠れ、土が弾けている。それも左右前後、法則もなく敢えて音を発生させこちらを混乱させる魂胆なのだろう。

 

 

「そうして自分の場所を誤認させ、死角からの不意打ちを狙っているのだろうが…無駄なあがきだ」

 

 

両手の爪に雷を纏わせた信彦はその先端を大地へと突き立てる。次の瞬間、信彦の周囲一帯の地面に緑色の雷が走り、地表を焦がし始めた。

 

 

 

「がああぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁッ!?」

 

 

雷を収束させ、爪を引き抜いた信彦が振り返った先では、全身を焦がし、煙を上げるダロムが身体をガクガクと痙攣させる姿。どうにか立ち上がろうと腕に力を込めるが、腕が痺れ力が入らないダロムが顔を上へと向けると、そこに立つのは自分を見下ろすシャドームーンが無情にも喉元へ爪を突き立てている。

 

 

「シャドームーン…様…」

 

「貴様にその名で呼ばれる筋合いなど―――」

 

 

腕を引き、ダロムの額へと狙いを定めた信彦はダロムの縋るような声など聞き入れず、

 

 

「とうに無い」

 

振り下ろされた爪がダロムの額を貫くまであと数センチ―――。そこで爪の動きが止まってしまった。

 

いや、爪だけではない。腕も、足も、まるで身動きが取れないのだ。

 

 

「これは…」

 

 

「クククク…どうやら忘れていたようだな…私が最も得意とする念動力を!」

 

 

白く不気味な口元をさらに醜く引き攣らせたダロムは立ち上がった。どうやら雷によるダメージは既に回復していたらしく、逆に信彦を見下ろすと額の触覚を鞭のように振るい信彦へと叩き付ける。

 

 

「っ!」

 

「フハハハハッ!!どうだ動けまい!さらに強化された私の念動力により、貴様は指一本動かすことができないのだ!」

 

 

信彦の首と胴体を縛り、持ち上げると高笑いとともに地面へと叩き付ける。土埃の下で未だ身動きが出来ない信彦の背中をダロムは一方的に叩き、叩き、叩き続けた。

 

無防備の敵を一方的に攻め立てるという快感に酔いしれるダロムは気づかない。攻撃を受け続ける信彦が驚きはしたものの、一切苦悶に満ちた声を上げていない事に。

 

その緑色の複眼が、より強い光を放っていることに。

 

 

 

 

「さぁ、次はどうしてくれようか。触手で貫かれたいか?ハサミで身体中の骨を粉々に砕いてくれようか?」

 

「一つ、忠告しておくぞダロム」

 

「なに?」

 

 

冷や水を被されたかのように高揚した気分がそがれたダロムは、自分の攻撃を受けながら声色一つ変えない信彦の言葉に思わず返してしまう。

 

 

 

 

 

「俺が動けなくなった時点で、貴様は止めを刺すべきだった」

 

 

 

 

 

「そうすれば、『奴ら』が到着する前に決着がついていたのかも知れん」

 

 

 

 

 

 

何を言っている―――信彦へそう反論しようと口を開きかけたダロムだったが、発することが出来なかった。

 

 

 

突然自分を横切った奇声と、額の触覚を切断された痛みによって。

 

 

 

 

 

「ケケエェェェ―――ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前

 

 

バイクを校門の前で停車させた2人の仮面ライダー、筑波洋とアマゾンは校庭で繰り広げられていた戦いに思わず声を漏らしていた。

 

 

 

「あれは…月影くん、なのか?」

 

「ガゥ…間違いない、ノブヒコ達だ!」

 

 

スカイターボの後部から飛び降りたアマゾンは確信を持って校庭の中央に立つシャドームーン・トリニティファングの姿を見て頷いて見せた。

 

洋も以前見た時とは形状が異なる部分が多いが、月影信彦が変身した姿であるのはわかる。しかし、初見で彼が信彦であると断言できるこの先輩は、やはりすごい人であると感心する半面、どうして彼1人のはずなのに複数形で呼ぶのであろうという疑問も残るが、洋に質問する時間が許されないようだ。

 

 

「なんだ…今度は月影くんが一方的に…くッ!」

 

「入ってはダメだッ!」

 

急ぎ手助けしようと校門を潜ろうとした洋だったが、アマゾンに制される。なぜ止めるのかと尋ねようとしたが、自分が校門へ近づこうとした瞬間、地面に小型の魔法陣が無数に出現した光景に、数時間前に自分がどのような目にあったかを嫌でも思い出してしまう。

 

吸血鬼によって仕掛けられた魔法陣により、自分と信彦はまるで身体が鉛のように重くなり、一歩も動くことが出来なかった。

 

これでは例え飛行しようが、敵の術中に嵌ってしまう。どうすれば、と考えた洋は同じ状況の中で唯一自由に動けた者へと目を向ける。

 

どうやら考えは同じようであり、視線を交わした途端にアマゾンは頷いて見せる。

 

 

敵は動けない信彦に止めを刺さんとしている。今からアマゾンが走るのでは間に合わない。

 

 

 

ならば、間に合う方法でアマゾンを向かわせるだけだ。

 

 

 

「先輩ッ!!」

 

「わかったッ!!」

 

 

後輩の合図にその場を飛び上がったアマゾンは洋の頭上へと落下。アマゾンを受け止めた洋は身体を僅かながら浮かせつつ、高速で旋回を始めた。

 

回転の速度は留まる事をせず、見様によっては道路のど真ん中で竜巻が発生しているのだろう。

 

これが彼、筑波洋が長い闘いの中で生み出した99の技の一つ―――

 

 

 

 

「竹とんぼシュートッ!!」

 

 

 

 

洋の手を離れたアマゾンは打ち出された大砲の如くダロムへと飛んでいき、腕のアームカッターを前へと翳す。

 

 

 

 

「ケケエェェェ―――ッ!!」

 

 

 

目標に狂いなく、敵の触覚を切断することに成功したのであった。

 

 

 

 

「ぬ…オぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?」

 

 

思いもよらない相手の出現と攻撃の痛みに集中力を完全に乱してしまったダロムは額を抑え絶叫する。そして、信彦の動きを封じていた念動力も解除される結果となった。

 

 

その隙を信彦と、着地したアマゾンは逃さない。

 

 

 

「はぁッ!!」

 

 

「ケェッ!!」

 

 

気合いと共に繰り出された2人の攻撃。アマゾンは振り上げたアームカッターでダロムのハサミごと右腕を、信彦の振り下ろした両腕の爪で前足2本を完全に切断。

 

鮮血をまき散らしながらダロムは大地へと沈む。

 

 

 

 

「がぁッ!?お、おのれぃ…!」

 

「こんどこそ最後だ、ダロム」

 

「き、貴様…今になって私を倒し、正義の味方を気取るつもりかッ!?そんなことで、貴様の罪は消えるとでも思っているのかッ!!」

 

「…………………………」

 

 

ダロムの放つ問答。

 

信彦が旅の中で、次々と耳にした拒絶と、未だ晴れないゴルゴムによる深い業。その中で目的を失っていた信彦の心は摩耗し、己の死に場所を当てもなく彷徨っていた。

 

 

現実に信彦は真祖の姫と接触した際に敢えて反撃をせず、死を待ち続けるだけであった。

 

 

自分という存在を呪い、自分の力を畏怖し、自分を恨む者に殺される事を望んだ哀れな王。

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、それはこの街へとたどり着く前の話だ。

 

 

 

 

 

 

 

「そうして、俺が動揺すると狙ってのことか?」

 

「…っ!?」

 

 

図星を突かれたダロムは唯一残った手段…ビシュムやバラオムのように、胸部から無数の触手を解き放ち信彦を取り込もうと企んでいたが、完全に見切られていたようだ。

 

 

 

「だが、貴様の言う事は最もだ。俺は世界を滅ぼしかけたゴルゴムの王であり、王でありながら自身の存在を否定している、あの英霊が言った通り、キングストーンを収めるための『器』にしか過ぎなかっただろう」

 

 

 

初対面で既に自分という存在のあり方を見抜いていた黄金の英雄王。奴はどこまで見越して、あの言葉を向けたのだろうか。

 

 

あの時はただ敵対した者の戯言だと笑い飛ばせただろうが、今なら言い返せる。

 

 

奴の言った事は正しくもあり、間違っているのだと。

 

 

 

 

 

「だがな」

 

 

 

 

「俺が器であろうが、忌むべき力を持っていようが、これが俺自身であることに変わりない」

 

 

 

 

「ならばこの力は存分に振るおう。貴様のように命を、尊厳を蹂躙する外道共にな」

 

 

 

 

 

 

信彦の放った言葉を聞いた2人の戦士は、仮面の下で優しく微笑んだ。

 

 

性格的には、決して正義の為と口にはしないだろう。

 

 

だが、彼は言った。言ってくれた。

 

 

それは十分過ぎるほどに誰かの為に戦うのだと。

 

 

 

 

 

 

「き、さ、まああぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

 

 

最後のあがきなのだろうか。残る後ろ脚で立ち上がったダロムは唯一の武器となった左腕のハサミを巨大化させ、信彦を切り裂こうと迫る。

 

 

「神聖なるゴルゴムの力をッ!!!世界の王として貴様にその力を与えた我らに対してなんたる――――」

 

「そうだ。これは、俺から全てを奪った貴様たちへの、俺の復讐でもある」

 

 

 

両腕の爪を摩擦させ、飛び散った緑色の火花が弾ける。

 

火花は次第に肥大し、巨大な光玉となると爆せ、無数の光の鎖となってダロムを縛る。

 

 

トリニティファングとなった信彦が放つシャドービームの変形により拘束されたダロムに対して、信彦は腕を左右に展開。籠手をベルトの左右へと当てると中央のエナジーリアクターが強く発光する。

 

 

右腕をベルトに添えたまま、左腕を前方へと突き出した構えから両腕を左側に大きく振るい、左腕を腰に、右腕を左頬の前へと移動。

 

 

右手首の角度を変え、ジャキンッと爪と籠手による摩擦音を立て、その場から高く跳躍する。

 

 

 

 

 

「貴様たちゴルゴムがかつて夢見た世界征服という野望。自分達が認めた者以外は抹殺するという非道。俺は、それとは真逆の為にこの力を使役する」

 

 

 

 

 

満月を背景に浮遊する信彦は身体を屈め、両足を前方へと突き出した状態で拘束したダロムへと落下する。

 

 

 

 

 

「それが俺の、貴様達に対する――――」

 

 

 

 

 

 

 

「最大の復讐だッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

咆哮する信彦の両足へ光が宿り、やがて全身を包んでいく。

 

 

それは口を大きく開けた狼の頭部を思わせるオーラを纏い、信彦…シャドームーン・トリニティファングの必殺技が放たれた。

 

 

 

 

シャドーファングキック

 

 

 

 

進化した信彦のキックを受けたダロムは光の鎖を引きちぎりながら後方へと吹き飛び、校庭に身体が接触した途端に二転、三転と転がっていく。

 

 

ようやく動きが止まった時には身体のあちこちで小規模の爆発を起こしている。それでも、身体を震わせながらも立ち上がって見せた。

 

 

 

「ば、馬鹿な…この私が…数千、数万年生きたこの私が…吸血鬼となったこの、私ガアアァァァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

 

 

 

着地した信彦が踵を返したと同時に、燻ったエネルギーが火種となった事によりダロムは大爆発の中に消えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

夜空へと立ち昇る煙を背にする信彦は通常のシャドームーンへと戻り、今の今までこちらを傍観していた者へと目を向ける。

 

 

目があった途端に焦りを見せる様子から、どうやらロアは自分というイレギュラーに対しての対策は練っていなかったと読み取った信彦は戦いの最中でありながら読み取った『城』の領域へと踏み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分と表情が変化していたようだな、吸血鬼」

 

 

「なっ―――!!」

 

 

 

ロアは思わず後ずさる。

 

 

 

なぜ、校庭にいたはずの世紀王が、この渡り廊下の…自分と志貴、アルクェイドの間に立っている?

 

 

この城の中では自分以外に転移魔術など使用できないはず。考えられるとしたら…

 

 

 

 

「まさか、城の式を…!」

 

「さすがに壊すまでには至らなかったが、読み取り、『通路』を作る程度なら簡単だ」

 

 

 

 

なんて奴だ…ただキングストーンの力だけでなく、こちらの魔術すら把握し、利用するなど反則にも程がある。

 

 

だが、この式は破壊できないと自ら公言したからには、まだ勝機がある。それに、自分には『死』を読み取れるという無敵の力があるのだ。それさえあればとナイフを握る力を込めるロアに対し、信彦は右手にシャドーセイバーを顕現させる。

 

 

一刀の元に伏せようと金属を打ち付ける足音を一度鳴らした時、背後からそれまで呼吸をしていたかも怪しい人物から声をかけられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ってください、月影さん」

 

 

 

 

 

 

「そいつとは、俺が戦います」

 

 

 

 

 

立ち上がった遠野志貴が、ナイフを構える姿があった。

 

 

 

 

 




信彦の言う復讐というよりも嫌がらせに近いものがありますね。

さて、次回で一区切りの予定ですが、恐らくほぼコミックと同じ内容となりそうな予感…

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