Fate/Radiant of X   作:ヨーヨー

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どうにも私ったら話一つ一つの文章量が統一されていないんですよね…

てな事で前回よりだいぶ短くなっております51話です!


第51話

クライシス帝国の祖国である怪魔界へと乗り込み、間桐桜を救出して3日が経過しようとしていた。

 

 

 

 

間桐邸の地下

 

 

かつて当主であった臓硯が率し、肉体の一部でもあった刻印虫の住処でもあった通称『蟲倉』。以前はおびただしい数の刻印虫が蠢き、孵化していたようだが臓硯が吸収の魔術を放棄して以来蟲は生まれず、臓硯が間桐光太郎へ打倒ゴルゴムの願いを託す為に敢えて敵対する素振りを見せた頃には、蟲倉には生息する刻印虫はいなかった。

 

臓硯の死後、倉の隅々に放置されていた蟲の亡骸は光太郎達の手で埋葬され、現在では倉は慎二と桜、そして赤上武の訓練場として機能している。

 

照明も蝋燭による薄暗いものではなく配線を強引に屋敷から引っ張りこみ、白昼色の蛍光灯で照らされた空間に立つ赤上武は簡易式の長テーブルの上に並べられた道具を見つめていた。

 

 

「ふむ…」

 

 

そこにはつい先日再び自分を変身させた戦極ドライバーとブラッドオレンジロックシード、そして異世界の星の統治者である男から託されたブラッドカチドキロックシードが並んでいた。

 

ブラッドオレンジロックシードは過去に使用したものと酷似しているが、中身は全くの別物と化している。おそらく前身であるヘルヘイムの果実を手渡した人物の違いなのだろうかと考える武は過去に自分を利用した蛇を思わせる男と、躊躇しながらも力を与えてくれた自分を認めてくれた男を思い浮かべる。

 

 

もはや比べるまでもないと苦笑しながらも、さらに託された2つの道具に視線を向け、彼の言葉を思い出す。

 

 

 

「仲間たち、か」

 

 

武への説明中に彼が見せた、嬉しさと誇らしさ。彼の言う仲間たちというのは、それほど大きい存在なのだろう。同時に理解もできた。自分にも胸を張れる仲間たちと出会えたのだから。

 

 

「ならば、これは俺が持ち続けても宝の持ち腐れというものだな」

 

 

自分にはもう十分過ぎるほどの力と願いを託されている。これ以上望むのは贅沢というものだ。それに2つの道具は明らかに武の持つ戦極ドライバーやロックシードと規格が異なるため、武には使用できない代物。

 

ならば、自分以外の者が持つべきなのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、いう訳でお二人に受け取って欲しい次第なのだ」

 

「なんの脈絡もなく部屋に入って何が『と、いう訳』だよ。お前は光太郎か」

 

「に、兄さん…それはいくらなんでも…」

 

 

 

 

 

地下から地上へと出た武がまず尋ねたのは桜の寝室である。

 

ガロニアとしての知識と力を植え付けられた桜は精神面に問題はないものの、慣れない怪魔界から地球へ戻った際の気候の変化の影響の為か知恵熱を出してしまい高校を休んで療養中。

 

今ではベットの上で身体を起こし会話する程度には回復し、隣で椅子に座りリンゴの皮むきをしつつ、突然出現した武へ厳しく接する慎二を窘めている。

 

 

 

ちなみに桜の言い分は「家庭内でも突拍子のない行動を起こす光太郎と同じ扱いにしては武に失礼である」という意である。

 

 

哀れ間桐光太郎。

 

 

 

 

2人の様子を見て確かに言葉足らずだったか…と頷いた武は怪魔界からの帰還後に行ったそれぞれの報告の中で深くは口にしなかった事象…他世界の人物と接触した事に関して、慎二と桜へ説明した。

 

 

 

「つまり、これは神様からの贈り物…ってこと?」

 

「確かに珍しい形はしていまけど、私たちの世界でも見かけないことはなさそうです…」

 

「だが、俺も使い方をはっきりと聞いた訳ではない。いざと言う時に2人を守ってくれるかもしれぬ…と勘に近いものなのでな。御守りと思って貰えればそれでいい」

 

 

お茶を濁すような説明をする武であったが、武は今慎二と桜が手にしている『それら』が何であるかは知っている。だが、今あるものだけでは機能しないという理由から2人には別世界に存在するものとまでしか説明できないでいた。

 

 

 

だがこの時は慎二と桜…2人に道具を見せた武ですら気が付いていなかった。形状の異なる2つの道具を2人が無意識に手を伸ばし、別々の道具を手に取っていたのだから。

 

『これは、自分が持つべきものである』と導かれたかのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでは失礼すると寝室を後にした武の背中を見送り、溜息をついて彼の手から渡った道具を懐へとしまった慎二は思い出しかのように道具と入れ替えに取り出したそれを桜へと差し出す。

 

同じく手にした道具を珍し気に眺めていた桜の表情が陽を浴びた向日葵のように明るくなったかと思うと、直後に曇ってしまう。

 

 

慎二が差し出したのは、桜が普段肌身離さず身に着けていたリボン。

 

あの日、雨が降り注ぐ中で桜が木星の騎士ジュピトルスに誘拐された際に解け、水たまりの中に落ちて泥だらけとなっていたリボンを慎二が回収したものだ。しっかりと汚れを落とし、アイロンをかけて丁寧に畳んで新品同様となったリボンを受け取ることを、桜は何故が躊躇していた。

 

 

「…………………………」

 

「遠坂に申し訳ない、ってんならもう許しは貰ってるよ」

 

「え…?」

 

「あの子のことだからリボンを手放した事を気にしてるかもしれないってな。それに、気にするような素振りを見せたら…」

 

「見せたら…?きゃぅ!?」

 

突然立ち上がり、指で額を弾かれ短い悲鳴を上げる桜。う~と涙目となり、赤くなった額を手で押さえ痛がる義妹の姿を見て意地悪な笑みを浮かべる慎二は桜の手を取り、差し出したままだったリボンを握らせる。

 

 

「そんで、強引にでも持たせろ…だと。はぁー、これでアイツのパシリは終わった。あー清々した」

 

「兄さん…」

 

「…もう手放さなければいいだけの話だろ」

 

「はい…」

 

 

改めてリボンを目にした桜はそっと胸に抱き、幼き日の自分と姉を思い出した。遠坂家から離れ、間桐家の養子となることが決まり家を離れる直前に凛が無言で自分に渡したのは、一番初めに造った魔術品であり、微々たる魔力しか宿らないリボン。それでも、桜にとっては大切な宝物だ。

 

大切にすると誓ったプレゼントを意識を失ってしまったとは言え手放してしまい、姉への罪悪感を覚えるなどこの場にいない凛にはお見通しだったのだろう。無論、リボンを回収した旨を凛に伝えた慎二もだ。

 

伝達役を終えた慎二は食べやすいサイズへ切り分けたリンゴを皿へ乗せると、無言で部屋を後にする。

 

 

すでに曇った表情はなく、愛おしくリボンを見つめて微笑む桜を横目で見た慎二も同様に、彼の表情は穏やかなものだった。

 

 

 

 

 

 

 

「っと…」

 

ゆっくりと扉を閉めた慎二の前を何者かが通過する。目で追ってみれば慎二の半分程度の身長の生物達が整列してモップを走らせている光景が映った。

 

さらに窓から中庭を見下ろしてみれば草むしりや夕刊の回収、アクロバッター達の住まうガレージの屋上に登りゴミや枯れ木を回収など見た目によらずキビキビと働く生物達。窓枠に頬杖を付き、頼んでもいないのに懸命になって働く生物達の名を口にした。

 

 

 

 

「あれが世界を浸食する怪物…侵略者(インベス)ねぇ…」

 

 

 

 

 

あれは忘れたくても忘れられない。次元の壁を越え、怪魔界から自分達の住まう世界へと戻った直後。出発点でもある採石場へと戻ったライドロンの操縦席から見えたのは…

 

 

 

『シャアアアァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!』

 

 

 

ライドロンを囲い、両手を上げて咆哮する怪人の団体様である。

 

 

地球へと戻る直前に目を覚ました後部座席に座る凛は怪人達を目にした時点で口から魂らしきものがぼんやりと浮かせいた。精も根も尽きた状態であの大軍団を目にすれば無理もないだろう。未だ目を覚まさない桜とガロニアを起こさないよう、どう対処しようかと考えた矢先に、遅れて到着した光太郎と、怪人軍団の間を割って現れた武が2.3言葉を交わすと

 

 

「あっはっは。そーかそーか」

 

 

と間の抜けた声を放ち、身近にいた怪人の頭を撫で始める。怪人も抵抗する事なくむしろ喜んでいるようであり、さらに奥の方を見て、傷だらけの衛宮士郎達が負傷している怪人達を手当し、逆に手当てされているメデューサ達の様子を見て慎二はようやくクジラ怪人と同じような連中であると理解するのであった。

 

 

 

(ま、アーチャーに保護されるまで警戒心を全く解くことはなかったな、遠坂は)

 

 

 

3体のインベスが達磨のように重なり、高所の窓ふきをする姿を眺めながら猫かぶり優等生の愉快な姿をを思い出し笑いをする慎二は、インベス達の現在の状況も合わせて思い出す。

 

 

 

 

敵の召喚魔術によって呼び出されたインベス達はどうやら元の世界へと帰る手段はまるでなく、この世界へ残留する破目となったようだ。だがインベス達はそれすらも覚悟していたようであり、むしろ望むところという翻訳を聞いた時、彼等を見た目通りで判断していた慎二はその考えを改めるまでに至っている。本来ならば関係のない世界へ放り込まれ、途方に暮れていてもおかしくはない。

しかし主の願いでもあるのか、インベス達は共に戦う事を武に誓っていたようだ。後に聞いた戦いぶりからしても、それは確かなものなのだろう。

 

だがここで問題が発生する。せっかく決意を固めてくれたインベス達の生活の場をどうするか、という事だ。

 

 

それなら家でいいじゃないかと言う平常運転の光太郎の口をガムテープで閉ざし、目を覚ましたガロニアと戯れているインベス達を見つめる慎二に武からの進言が耳に入る。

 

どうやら異世界の神様から授かったブラッドカチドキロックシードには武の戦闘力を向上させるだけでなく、インベス達に纏わる機能も宿しているらしい。

 

 

その一つが身体の縮小。

 

 

先ほど慎二が見た通常の半分以下までの身長どころか小指程のサイズまで縮めることが可能らしい。これならばタオルを敷いた段ボールにでもまとめて寝かせればいいと言った時には桜から「きちんとしたお部屋を用意すべきです!」と怒られてしまった。が、それはメディアお手製のドールハウスを受注して事なきを得たが…

 

 

そして少なくても30体は越えるインベス達の食糧問題。これもどうやら想定済みであったのか、インベスの1体が所持していた高さ30センチ程の苗木を中庭の一角にある花壇へと植えた翌日。なにやら禍々しい色をした果実が実を結んでいたのだ。

 

武曰く、ヘルヘイムの森と呼ばれる場所の果実とほぼ同じ性質の実ではあるのだが手にとっても異様な程に食欲が沸くこともなく人間が口に含んでもインベス化しないよう品種改良されたものであり、純粋にインベスの食糧としての果実しか育たないようだ。

 

実が生るのは1日に1個としかならないが、先に述べた通りにインベス達の大きさを縮めて食べさせてしまえば逆に余ってしまうほどなので備蓄にも余裕が出来るという訳だ。

 

 

だが、欠点として武の持つようなロックシードへの変質が欠如しているため、武は今以上にロックシードを増やすことができないらしい。が、あの武の事だ。再び変身できるだけで十分であると言い出すに違いない。

 

 

 

一応外から見た人間の目につかぬよう、家の周りにはインベスが視認できないような結界を設けてはいるが、こうして庭中を小人が縦横無尽に動き回っている光景はそう見れるものではないだろう。

 

 

そんな自分らしくもないファンシーな考えを浮かべる慎二が次に見たのは中庭の隅で敷かれたブルーシートの上に置かれた椅子に座るガロニアと、その背後でせっせと「作業」に没頭していた光太郎だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っと。これで終わりだね」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「…今更だけど、本当によかったのかい?せっかく桜ちゃんとお揃いだったのに」

 

「だからこそ、ですわ。ただでさえ顔が似ているのに、髪の長さまで同じではこれから会うであろう方々が混乱してしまいますもの」

 

 

鍬鋏と櫛を台座に置き、合わせ鏡でガロニアに出来栄えを確認する光太郎に、背中まで届いた黒髪を肩に触れる程度までのミディアムとなったガロニアは首を覆っていた布を解くと、ブルーシートの上に散乱する自身の髪を見つめる。

 

 

クライシス帝国を裏切り、光太郎達と共に戦うと決意したガロニア。しかしマリバロンの言う通りガロニアには自力で魔力を回復する術を持っておらず、桜にかけられたジュピトルスの呪いを解くために全ての力を使い切ってしまう。

 

キングストーンの光を浴びる事でその不調すら解決出来るものと慎二たちは考えていたが、あの光に出来たのは消費するガロニアの力をただ補充し続けていただけであった。

 

成長促進カプセルを出たその時点で、ガロニアは魔力を自然回復できないという形で完成してしまっている。それ故に、ガロニアが力を回復できることはもう不可能であると検査をしたメディアからの冷たい結論が今でも光太郎達の耳に残っている。

 

しかし当の本人はできない事は仕方がない、ならばできることをするまでと、どこまでも前向きに捉えて心配する光太郎達に満面の笑顔を見せるのであった。

 

 

 

そんな彼女の願いでもある断髪は、ある意味過去の自分への決別でもあり、決意の表れだったのかもしれない。意外な特技である散髪を披露した光太郎は手鏡を取って髪を撫でるガロニアを見て、本当に良く笑うようになったと感じた。

初対面では桜が自分のせいで誘拐されたと自責するばかりであったが怪魔界で見せた彼女の決意と覚悟は目を見張るものがあった。今では何処を放浪しているかも分からない金色の王も、彼女を認めてくれるかもしれないなと思う光太郎のに、まさに門を出ようとする長身の女性が映った。

 

 

 

 

「メデューサ!」

 

 

 

ビクリ、と肩を震わせて立ち止まるが、振り返る様子のないメデューサは手にした買い物バッグを握りしめる。どうやら中庭にいる光太郎へばれない様に外へ出ようとしたようだが失敗した様子である。呼びかけた光太郎も声をかけたのはいいものの、何を話せばいいのか分からず数秒間重い沈黙が走り、聞こえるのはインベス達がせっせと走る足音だけだ。

 

 

 

 

「えっと…買い物、なのか?」

 

「は、はい…今夜のおかずを…」

 

「一緒に行かなくて平気…?」

 

「それには、及びません…では、急ぎますので」

 

「うん…気をつけてね」

 

 

 

 

 

 

 

 

結局お互いに顔を合わせる事がないまま、メデューサは足早に間桐邸を離れ、光太郎は無言で鋏などの後片付けを始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁー、まだ碌に目も合わせられないのかよ…」

 

 

一部始終眺めていた慎二は2人の重すぎる会話に深く溜息を付くしかない。

 

 

事の始まりであるメデューサの過保護っぷりには以前から気にしてはいたがまさかここまで溝が深くなってしまうとは…聖杯戦争時での自覚なくイチャついていた頃が懐かしく思える。

 

 

 

 

「つーか何で身内の情事にここまで頭悩まさなきゃいけないんだよ…」

 

 

 

 

やれやれと今度こそ自室に向かう慎二。そして同時刻、方向性としては全く違うが、自分がまるで関わっていない人間関係に頭を悩ませている男がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――だと言うの遠野くんは…って、聞いてるんですか!?」

 

「あーはいはい聞いてますよお姉さまー。あ、すいません、これお代わりお願いしまーす」

 

 

 

町内で通に取っては隠れた名店となっているカレーショップ「メシアン」。店内で対面席に座している男は目の前で既に7皿を積む女性の愚痴を聞き流しながら店で唯一の甘味とも言えるヨーグルトドリンクを注文した。

ドリンクを受け取るまでの間に自分を誘った目の前の女性…大きな眼鏡にベリーショートの髪型、自分達が良く知る少年が通う学校の先輩でありその実態は聖堂協会の埋葬機関に属する代行者、シエル。

そんな彼女が町で偶然見かけたからという理由で雑居ビルの2階に位置する店へと連れ込み、壮大な愚痴を始めてしまった訳だ。

 

 

(あー久々に表に出て今度こそ特大パフェに挑戦しようと思ってた矢先によ~)

 

 

内心では面倒くさくて仕方がないが奢ってくれると聞いて喜んで着いてみればカレーの専門店。彼女の行き先なんて予想すらするまでもなかったのに…一生の不覚である。

 

吸血鬼と少年が仲睦まじい様子を見てストレス解消に愚痴とカレーがセットになっているだけならばただ聞いていれば済むと思っていたがのだが…

 

 

 

「んっ、んっ、んっ…ぷはぁ…ですからぁ~私がこの町に残って浄化しながらも外部からやってくるぅ~吸血鬼を相手しているというのに遠野くんはあのあーぱー吸血鬼と…って本当に聞いてるんですかぁッ!?」

 

「だぁーもう聞いてる聞いてるッ!!そうだよなお前は頑張ってるよな」

 

「そうなんですよぉ!なのに、なのに遠野くんは真祖が突然現れても迷惑そうにあしらってるのに実はそうでもないって顔してぇ~」

 

 

ダンッ!とスープカレーを一気に飲み干したシエルの顔はほんのりと赤くなり呂律が不安定である。つまり…

 

 

(こいつ…カレーで酔ってやがる…)

 

 

これが極めるということか…というか上級者過ぎる。

 

 

延々と聞こえる彼女の言う真祖…アルクェイド・ブリュンスタッドと遠野志貴が仲良くすることが大変お気に召さず、事を目にする度に本来の人格が表に出ている際に捕まっているのだ。

 

 

(まさか今日この女に鉢合わせすると予感して引っ込んだんじゃあないよなそうだよな…ってあー…外側もそうだけど『内側』もうるせぇ…)

 

 

と、目の前で10杯目のスープカレーを辛さ増し増しで注文する女性を横目で見ながら、自分の身体の中で起きているもう一つの騒ぎを聞き取り、一段と深く溜息をつく男…月影信彦の身体を借りているアヴェンジャーのサーヴァントだった少年アンリマユ。

 

 

 

 

 

だが思う。

 

 

 

こうして下らない人間らしいいざこざに巻き込まれることも、町を騒がしていた一連の吸血鬼事件を終結させてこそ実現したのだと。

 

 

 

それが、『自分達』の本当の意味での始まりであったと。

 

 




さて、次回より美咲町で起きた事件を振り返るシリーズはクライマックスです。

なのですが、またもや諸事情により次回更新はお休みさせていただきます。


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