Fate/Radiant of X   作:ヨーヨー

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インフルから完全復活!!やはり健康は一番ですなぁ

では、復活一発目の47話です!


第47話

「む…」

 

「んだよ、思ったより早かったな起きるの」

 

「慎二君、あれからどれくらいたった?」

 

「2時間ってとこじゃないの?時計も取られたから適当だけど」

 

「そっか…傷は…うん、塞がってるな」

 

「回復力も随分上がってんのな」

 

「あはは。お蔭ですぐにでも動けるよ」

 

「そいつは頼もしいことで。ならとっとと出よう」

 

「そうだね、ここは落ち着かないし…」

 

「……この空間を見て落ち着かないで済ますお前の神経を疑うよ」

 

 

 

 

ガロニアと名乗る間桐桜の変わり果てた姿によって多大なダメージを受けた間桐光太郎。桜が僅かながらも正気を取り戻した瞬間、マリバロンの不意打ちにより意識を失ってしまい、間桐慎二と共に虜となってしまった。

 

そして目が覚めたばかりの光太郎へ慎二が辛辣な言葉を浴びせるのも無理はない。

 

現在光太郎達が投獄されている場所は宮殿内部にある場所、天井の高さは高さ50メートルは下らない薄暗い空間には違いないのだが、問題はその方法。

 

 

2人は両手首を背面で手錠を掛けられた上別々の檻の中へと入れられ、さらに檻が空間の丁度中央当たりの位置に鎖で吊るされている状態にある。

 

 

さらに下を覗けば鋭く輝く刃が見渡す限り上へと向いており、刃の隙間には禍々しい体色を持つ蛇がウジャウジャを身を唸らせ,見下ろしている慎二へ見せつけるように鋭い牙を光らせていた。

 

 

出口らしき部分も完全に溶接された状態にあり、脱出などまず不可能と諦める方が楽になる。

 

 

だがそれは、光太郎が目を覚まさなかった場合のみだ。

 

 

 

「それじゃ、始めるとしますか!」

 

「頼むよ。僕はもう当面細くてウネウネ動く奴は目にしたくない」

 

「了解!」

 

 

慎二の要望に応える為に意気揚々と答えた光太郎は手錠を引き千切り、腹部に銀色のベルトを出現させる。

 

 

脱出は決定的なものとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの宮殿ね…」

 

遠坂凛は岩陰からそっと身を乗り出し、大滝の傍らに聳え立つ宮殿を見上げ、さてどうするかと呟いた。

 

 

 

2時間前

 

 

 

力を消耗したガロニアと共にライドロンの中で待機していたところへ舞い込んできた嫌なニュース。

 

 

洗脳された桜が敵として現れ、光太郎と慎二が囚われてしまった。

 

 

ガロニアがそれを聞いた際は取り乱してしまったが、なんとか落ち着かせた凛は知らせを持ち帰ってきたアクロバッター達と方針を話し合うが、彼等の考えた事は揃いも揃って結論が同じである事に凛は眉間の皺を押さえ、聞き直す。もしかしたら聞き間違えの可能性があるからだ。

 

 

 

「ごめんなさい、もう一度言って貰える」

 

『聞き逃していたのですか?ならばもう一度、スロゥリィに伝えますので耳の穴かっぽじってお聞きなさい』

 

「…アクロバッター、お願い出来る?」

 

『イイダロウ。凛、君ニハ陽動ヲシテ欲シイ。ソウスレバ勝手ニ光太郎達ハ逃ゲ出スハズダ』

 

「…え?私1人であの人外魔境の連中を引き付けろってこと?」

 

 

凛はこちらの神経を逆なでする言い回しで答えるロードセクターを無視し、アクロバッターへと意見を求める。やはり凛は聞き間違えではないと知ると事の重大さに柄にもなく重圧を感じてしまった。

 

敵を引き付け、戦闘になるという事に対しては恐怖はない。怪人相手など聖杯戦争時に嫌という程味わっている。問題は敵の数だ。

 

今は最大の障害である光太郎と弟である慎二を捕らえたことで警備も手薄になっているのだろうが、先ほどの戦闘を見ればまだ敵は充分過ぎる戦力を保持しているのだろう。

 

乱戦中に突撃してきたかつてゴルゴムであった怪人の群れを相手に陽動であろうと戦いになるのは、正直不安だ。

 

 

 

『ソノ心配ハナイ。私ヤアクロバッター、ロードセクターモ一緒ダ』

 

「そりゃライドロン達も一緒なら心強いわよ。けど…」

 

 

今、凛が不安に思う最大の理由は自分には圧倒的に火力が不足している事だ。

 

攻撃魔術への媒体として必要な宝石は手元になく、怪人相手にガントは役に立たない。さっきだって自分に出来たのは力を消耗したガロニアと共に敵の攻撃をやり過ごす事しかなかった…

 

 

彼女本来の力が発揮できない今、囚われてしまった光太郎と慎二の助力に、そして桜を助けることが自分に出来るのか。

 

 

不安の色が濃くなってきた凛に対し、またもや声を発生させたのはロードセクターだった。

 

 

 

 

 

『おやおや、どうやら自信がないようですね。なんならここで待っていてもかまわないのですよ?』

 

 

 

 

空気が凍るとは、このような事を言うのだろうか…

 

恐る恐る頭部を凛の方へと向けるアクロバッターは見た。顔に暗く影を差した額に青筋が立っており、鋭い眼光を今し方自分を侮辱するバイクへと向ける凛の姿を。

 

凛の身体から昇る黒いオーラは決して彼女の魔力とは無関係であると願うライドロンは無意識に数メートル後退しており、車内にいるガロニアは凛の姿を見て涙目になって怯えている。

 

明らかに機嫌を損ねてしまった彼女を前にしても平然とするロードセクターの音声は留まる事を知らず、続けて言い放たれた。

 

 

『しかし、ここで大人しくしているようであれば私は貴女に対するデータを変更せざるを得ません。今後貴女の肩書きを『冬木の管理人(笑)』と更新させてもらいましょう』

 

「なん、ですって…?」

 

『心苦しいのですが仕方がありません。どうぞこのまま何処かに隠れて―――」

 

「…上等じゃない!」

 

ロードセクターの音声をかき消した凛は黒い髪を振り払い、力強く自分を蔑んだバイクを指さすと高らかに宣言する。

 

 

「そのやっすい挑発に乗ってあげる!宝石なんて無くたってその程度の事、なんなくこなす姿をその目に焼き付けてやるわッ!!」

 

『それは頼もしい。是非とも期待させて頂きましょうッ!!』

 

「フンッ!吠え面かくんじゃないわよッ!!」

 

 

啖呵を切りズンズンと進んでいく凛が向かう姿を見て、アクロバッターはヤレヤレと彼女に届かない程度にロードセクターへと声を向けた。

 

 

『モウ少シ、オブラートニ包ンダ言イ方ガアルダロウ…』

 

『いえ、私に入力されていたデータにはあの方法が一番彼女のコンディションを上昇させるとあります』

 

『…ソンナデータヲ何処カラ…イヤ、サッシハ付イタ』

 

 

恐らくロードセクターの改修に携わった人物によるものだ。どちらかは敢えて聞かなかったアクロバッターに、ライドロンの操縦席から降り立ったガロニアが凛の後ろ姿を見ながら尋ねる。その顔色は未だ優れない。

 

 

「凛様は…大丈夫なのでしょうか?」

 

『大丈夫でしょう。彼女は魔術だけが取り柄という訳ではない。培った経験や判断は慎二達とはまた違った大きな武器なのです。それに負けん気の強い彼女に私の挑発によってより―――』

 

「あの、そうではなくて…」

 

 

凛の戦意が回復したのは自分の手柄という事を強調しての解説をするロードセクターへガロニアは遠慮がちに自分が訪ねている内容との食い違いを、凛の進む方角へ指を向けて伝える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凛様が進んでいるのは、目的地と逆方向では…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ったく、ここに来てどうにも調子がでないわ…)

 

 

 

そんなやり取りを思い出す凛は慎二が持ち込んだ武器の入ったボストンバックから手榴弾を拝借し、改めて自分の負った役割を確認した。

 

 

(時間稼ぎ、ね…侵入して2人を助け出すよりは遥かに気軽ではあるけど、逆にその信頼感が凄まじ過ぎるわ…)

 

 

アクロバッター曰く、二時間もすれば光太郎が回復し、勝手に脱出しているはずなので敵の注意をこちらに数分向けていれば十分ということらしい。

 

深く息を吐いた凛は岩陰から顔を出すと、何やら組み立て作業を行っているチャップ達へと目を向ける。赤色の十字架の両端に手首を拘束する金具を取り付けている様子から、光太郎達の処刑に使用する磔台なのだろう。

 

 

ロードセクター達から聞いた話から、恐らく光太郎と慎二を処刑するつもりなのだろうが、そうはさせまいと手榴弾を手に取り、凛は思い切り振りかぶった。

 

 

(狙いは敵の頭上…そこで上手く爆発すれば)

 

敵の注目は一気に逸れて、混乱するはずだろう。それに爆発した直後に岩陰に隠れ、移動しながらまた時間差で爆発させれば…

 

頭の中でプランを組み立てた凛は実行すべく、初手である手榴弾を放り投げた。弧を描いて手榴弾が目標に向けて真っ直ぐに飛んでいく光景にヨシッとガッツポーズを取る凛の背後に白い機影が現れる。

 

 

 

『見事な放物線を描いて飛んでいきますね、流石です』

 

「ちょッ!?いきなり背後に現れないでよねッ!…でもその通りよ。後はタイミングよく爆発すれば…」

 

『ああ、それはないでしょう』

 

 

 

 

 

 

 

『何せ安全ピンを抜いていないのですから』

 

「え…?」

 

 

 

 

それは彼女が手榴弾に関しての知識を有していなかったのか、単に忘れていたのかは定かではない。が、事実ロードセクターの言う通り、手榴弾は凛の予定していた位置で爆発することなく、磔台の作成に取り組んでいたチャップの頭頂部へと落下したのであった。

 

 

「グハァッ!?」

 

 

地面へと沈んだチャップの声へと一斉に振り向いた他のチャップや怪人素体と、思わぬ事態に転がり固まってしまった凛はばっちりと目が合ってしまい、しばしの沈黙が続いてたが…

 

 

「地球人だッ!!ひっ捕らえろッ!!」

 

 

作業を全て放り出し、手に武器を持ったチャップ達が一斉に凛とロードセクターに向かい駆け出した。

 

 

 

『ある意味、作戦成功ですね』

 

「やかましいわッ!!笑うんだッたらいっその事とことん笑いなさいッ!!」

 

『ハッハッハッハッハッハッハ』

 

「本当に笑いやがったわねこのバカバイクッ!!」

 

 

 

こうなったら仕方がないと、凛は慎二の持ち物であるボストンバックを放り捨て、早口で詠唱を終えると今にも棍棒を振り下ろそうとするチャップの腹部に強化魔術で強化、硬化させた掌底を叩き込む。

 

鈍い音と共に地面へひれ伏した仲間の姿に動揺するチャップ達に対し、凛は拳を腰に当て、残る手を前方に向けて翳す構えを取ると今度は両足にも強化魔術を施すと口もとを歪めた。

 

 

「こうなったら、とことんやってやろうじゃないッ!!」

 

 

当初のプランとはほど遠い内容となってしまったが、これで敵の注意を自分に向ける事だけは成功した。さらに凛の左後方では彼女に接近していたチャップ達をアクロバッターがウィリー走行で次々と跳ね飛ばしてくれている。

 

 

「さぁ、行くわよッ!!」

 

 

気合と共に凛は駆け出していくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ずいぶんと外が騒がしいな」

 

「もしかしたら、遠坂さん達が注意を逸らしてくれているのかも!」

 

「なら、とっとと脱出だ」

 

 

通路の角で、チャップ達が外に向かい駆け出していく様子に声を潜めて眺めていた慎二と光太郎はこの騒ぎに乗じての脱出を試みるが、光太郎だけが反対方向へと身体を向けてしまう。

 

 

「おい、どこ行くんだよ?」

 

「ゴメン慎二君…俺、もう一度桜ちゃんを探してみるよ」

 

「何言ってんだ!さっきも一通り探しても見つからなかったろうが!?」

 

 

あの悪趣味な牢獄から脱出した後、慎二と光太郎は敵の監視を潜り抜けて桜の捜索を行ったが全てが空振りに終わっていた。電子錠などセキュリティーのレベルの高い場所へは踏み込むことが出来なかったが、外で騒ぎが起きていれば…

 

 

「今なら、見つけられる…そんな気がするんだ!」

 

「…あ~もう!確認する部屋は一カ所だけだかんなッ!!」

 

「ありがとう、慎二君!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

『駄目だよ、桜ちゃん…』

 

「く、なぜあの男の言葉が頭に響く…!」

 

 

私室でベットに横たわっていたガロニアを名乗る桜は枕を壁に向かい投げ捨てる。音を立てずに床へと落ちた枕などに目もくれず、傷を負う事に構わずに自分へと近づき、自分に微笑みかけた男の顔をどうしても拭えずにいた。

 

なぜあの男の笑顔を見て安心する?

 

どうしてあの男を傷ついた姿を思い出す度に胸が痛む?

 

どうして…

 

 

「本当に、あの男による洗脳だと言うのか…?」

 

米神を抑える桜はマリバロンの言った言葉…自分を殺す為、同情を引くようにワザと傷付き、無抵抗となるように催眠術をかけたと言っていたが、桜にはそのような事をする男には思えなかった。

 

何時だって自分の決めた道を真っ直ぐに進む、あの人にそんな非道なことは…と、またも間桐光太郎を以前から知るような自身の記憶に頭を痛めていると、不意に誰かの話声が耳へと届く。聞こえた方へと目を向けると、どうやらドアの前で何者かが話をしているようだ。

 

 

(私の部屋の前でブツブツと話すなど無礼な…ここは一つ厳重に注意を…)

 

 

思い立って桜がベットから降りて部屋のドアへと近づくにつれて声と会話がはっきりと聞こえてくる。どちらも男性であり、どこか聞き覚えのある声だなと考えた直後だった。

 

 

 

『~~、~』

 

『~!~~!』

 

(何だ…?)

 

 

言い争っている…いや、片方が怒鳴っているのに対し、もう片方は聞く耳持たずに何かを起こそうとしている所だろうか。会話の内容が気になってしまった桜は耳を傾けると…

 

 

 

 

『だから、止めろって言ってんだろ!』

 

『ほら、もしかしたら監視室にいる奴も出払っているかも知れないし…』

 

『何のための『監視』役だと思ってんだ!それに見るからにここは厳重になって…』

 

『じゃあ、猶更桜ちゃんがいる可能性が高いね!それじゃあ―――』

 

『って、何蹴りを繰り出す体勢になってんだよお前はぁぁーッ!?』

 

 

 

 

そんな言い争いが壁一枚越しに響く中、桜は話の流れからこの者達は扉を叩き壊して中に入ろうとしていることだけははっきりと分かり、「せーの」と呼びかけた瞬間に扉を開放した。

 

 

「って、あれ――?ごふぅッ!?」

 

 

目標が消失したことでバランスを崩してしまった者…間桐光太郎はバランスを崩して室内に転がり込んで顔を床面に強打してしまう。ドアを開ける操作をした同時に身を引き、衝突を免れた桜は転がり込んだ男と、解放されたドアの向こうで額を追抑えて深くため息をつく男を見て一瞬、呆けてしまうが急ぎ意識を切り替えて身を引くとその手に魔力を集中させる。

 

 

「痛てて…って、桜ちゃん!?やったよ慎二君、ドンピシャだッ!!」

 

「言ってる場合かよ早く立てよ馬鹿野郎!!」

 

 

鼻を摩って顔を上げた途端に桜の姿を確認し、歓喜の表情を浮かべる駄兄の頭部に踵を叩き込む慎二だったが、ケロリと立ち上がる光太郎に対し、踵落としで自身にダメージを負う結果となってしまう。

 

敵の間抜けなやり取りにどこか既視感を覚える桜は手に蓄えた魔力を放つタイミングを逃してしまうが、またも自分に向かい手を差し伸べる男へ警戒心を強め、後方へと下がる。

 

 

「桜ちゃん…」

 

「違う!私はガロニアだ…クライシス皇帝の娘なのだ!」

 

「それは間違った記憶だよ。君は間桐桜…俺と、慎二君の大事な妹で、家族なんだ」

 

「か、ぞく…?」

 

 

(いいぞ…桜にかけられた暗示は強力だったみたいだけど、それでも桜の中にある記憶までは完全にかき消すのは無理だったみたいだな)

 

 

光太郎の言葉を聞き、掌で燻っていた桜の魔力が消失する様子を見て、慎二は黙ってその経過を見守りながら自分の仮説が正しいと判断する。あの時も、光太郎の名を呼んだことが確かな証拠だ。

 

 

「違う…私は…私は…」

 

「帰ろう桜ちゃん、君のお姉さん…遠坂さんも、君を迎えに来ているんだ」

 

「姉さん…が」

 

 

漆黒に染まっていた桜の目に、再び光が宿る。怯えながら、しかしゆっくりと光太郎に向けて手を差し伸べる桜。光太郎と桜の手が触れ合うまで、あと数センチ…息を飲む慎二が攻撃を避けられたのは、運が良かったとした言いようがなかった。

 

 

「…ッ!?」

 

背筋に悪寒が走った慎二は光太郎の肩を掴んだと同時に床へと転がり、その刹那に風を切る音と共に光太郎が立っていた場所へと赤く光る鞭が叩き付けられた。急ぎ振り返ってみれば、入り口に怒りのあまりに歯をギリギリとならすマリバロンの姿があった。

 

 

「貴様等…一度に飽き足らず二度もガロニア様に戯言を吹き込むとは…万死に値するわ」

 

「違う!この子は俺達の妹だッ!お前達の言うガロニアは別にいるはずだ!!」

 

「き、貴様…」

 

 

光太郎の言葉に息を詰まらせたマリバロンは鞭を握る力を強めると、再度光太郎達に向けて攻撃を放つ。狭い部屋の中を慎二の襟首を掴んで何とか回避を続けていた光太郎だが、ついに窓際まで追い詰められてしまう。

 

 

「もう後はあるまい!覚悟ッ!!」

 

「それは…どうかなッ!!」

 

「おい何で窓を蹴り破って…ッテアアアアアアァァァァァッァァァァッ!!!」

 

 

マリバロンが最後の一撃を叩き込もうと鞭を撓らせた途端、光太郎は慎二を担ぎ上げると背後にあった窓を蹴破り、窓枠に足をかけ、身を乗り出すと躊躇なく飛び出した。

 

ちなみに桜の部屋は宮殿の中でも高所にあり、少なく見積もっても地表まで40メートルは有している。

 

 

絶叫する慎二だが、その落下は5メートルもない地点で止まってしまう。息を乱して今自分が座っているのは空を飛ぶバイクの上であるのだと理解するのにしばしの時間を有してしまうのであった。

 

 

 

 

『まさか高所からのダイブとは、こちらの予想を裏切るその行動に感服します、マスター』

 

「まさか直ぐに拾ってくれるとは思ってもみなかったよ!」

 

 

スカイモードのロードセクターに着地した光太郎は軽口を叩きながら答えると、背後で罵詈雑言を飛ばす義弟を無視し、奮闘中の凛とアクロバッターのいる場所へと急降下。

 

ハンドルを握り、腹部にベルトを出現させた光太郎は仮面ライダーBLACKへと変身。地表へと接近するとハンドルを背後でようやく持ち直した慎二に任せ、出現した怪人へと飛び降り、右足を突き出して落下していく。

 

 

さらにロードセクターは機体の下部からソーラーチャージシステムの光を光太郎に向けて照射。怪人の頭部に光太郎のキックが炸裂し、着地したその姿は太陽の戦士。

 

 

凛を庇うように立つ姿…仮面ライダーBLACK RXは現れた敵の大群に向かい、その名を轟かせた。

 

 

 

 

「俺は太陽の子―――ッ」

 

 

 

「仮面ライダーBLACKッ!!RXッ!!!」

 

 

 

 

「光太郎さん…」

 

「ありがとう遠坂さん、助かったよ」

 

「全く…冷や冷やもんよ」

 

 

戦いによって土まみれになった顔を拭いながらも笑顔で答える凛に頷いた光太郎は怪人軍団を背後に現れたマリバロン、そして桜へと向き直る。

 

 

一瞬でも光の宿った瞳は再び漆黒へと染まり、こちらを睨む妹の姿に光太郎は無言で、凛は歯ぎしりを立てて隣で頬を緩ませるマリバロンを睨んだ。

 

 

 

「もう貴様達を誰一人生かしはしない…マリバロンッ!!」

 

「ハッ!出でよ、トリプロン共ッ!!」

 

 

『オオォォォォォォォォォォッ!!!』

 

 

桜の命令に頷いたマリバロンの声に応え、地中から姿を現したのは3体の怪魔ロボットだった。左右非対称の同型である2号、3号。そして宙に浮かぶ小型の1号。どれもが蟹を連想させる外殻、2号と3号はそれぞれ大小の鋭い鋏を携えている。

 

ガチガチと鋏を打ち鳴らす2号と3号は光太郎を左右から急接近。突然の出現とその見た目からでは考えられないスピードで近づくことに判断が遅れてしまった光太郎は敵の拘束を許してしまう。

 

 

「ぐっ!しまった!?」

 

『どうりゃあぁぁぁッ!!』

 

「うわぁッ!」

 

 

トリプロン2号と3号によって放り投げられた光太郎は着地を試みるが、その先にあったはずの地面が突然消失し、大きな穴が開いてしまった。なんとか穴の縁に手をかけようと光太郎は手を伸ばすが、縁へ手が触れる直前、真上から降り注ぐレーザーによって弾かれてしまう。

 

 

「なッ…!?」

 

「ハハハハハ…これで貴様も終わりだ!」

 

 

蟹の甲羅そのものが浮遊した姿…トリプロン1号が巨大なモノアイから再度パルスレーザーを連射。光太郎を穴へと落下させるため、壁に触れさせまいと手足を集中的に狙っての攻撃だ。

 

 

「う、わあああぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 

穴の中で木霊する光太郎の叫び声が消える頃には、光太郎は完全に穴の底へ姿を消してしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐッ!?ここは…穴の、底なのか…?」

 

落下した衝撃と時間からして地下500メートルと言ったところか…と身体を起こしてマクロアイを発動する光太郎は天井は既に塞がれており、その隙間も僅か数ミリもないと判明する。

 

そして状況はさらに悪化を辿るのであった。

 

 

「ッ!?壁が…押し寄せてくるッ!!」

 

 

それだけではない。光太郎にむかいゆっくりと押し寄せてくる左右の壁から大きな刺が幾本も飛び出しきた。このままでは圧死どころか串刺しになってしまう。

 

 

「こうなれば、ロボライダーで…」

 

 

言うと同時に両手を交差し、左右へ振り払うと光太郎はその身をロボライダーへと変化させる。壁と刺をまとめて叩き壊すべく手を引くが、壁へと吸い寄せられてしまった。

 

 

「なっ!?これは…電磁石…なんて、強力なんだ…」

 

壁に張り付いてしまった光太郎は指一つ動かすことが出来す、必死もがく姿をあざ笑うかのようにマリバロンの映像が映し出された。

 

 

『ハハハハハ…良い気味め間桐光太郎。さて、もうなす術のないお前に最高のプレゼントを見せてあげる』

 

 

「な…に…!」

 

 

映像が切り替わり、映し出されたのは銃を構えたチャップ達に囲まれた慎二と凛、そしてトリプロン2号と3号によって取り押さえられたアクロバッターの姿だった。

 

あの場には映っていないのだが、ロードセクターも抵抗せず、スカイモードのまま浮遊することしか出来ないのであろう。

 

 

『冥土の土産よ。この者達の死ぬ様を見ながら、あの世に旅立つがいいわ!』

 

「やめろ…やめろマリバロン!」

 

ロボライダーからRXに戻った光太郎は必死になって声を向けるが、マリバロンは聞く耳を持たず、攻撃の合図を送ろうと口を大きく開く。このまま『撃て』とマリバロンの口から出てしまえば、慎二と凛、アクロバッターは―――

 

 

最悪な未来が光太郎の中で浮かび上がる中、マリバロンの声はその場に現れた者によって止まってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お止めなさい、マリバロンッ!!」

 

 

地上に立つ誰もが、その声を発した方へと顔を向ける。赤い装甲騎ライドロンのドアから飛び出した少女…サングラスにニット帽という見るからに不審である少女が自分の名を呼び捨てにしたことが気に喰わないマリバロンは攻撃命令を中断し、鋭い眼を少女へと向ける。その射殺すような視線に負けず、少女は胸の前で拳を握ると先ほどと同様に…それ以上の気迫を持ってマリバロンに向かい声を放った。

 

 

「今すぐ慎二様達を解放なさい、マリバロンッ!!これは命令ですわッ!!」

 

「ええい黙れッ!どこの馬の骨とも分からない小娘などに命令される筋合いなどないわッ!!」

 

手にした鞭で地面を叩き、少女を睨むマリバロンに対し、少女はサングラスを外し、ニット帽を脱ぎ捨てた少女は黒い髪を靡かせ、戦闘が始まるまでの疲労など露程も感じさせない勇ましい佇まいを見せた。

 

少女…ガロニアの登場にはマリバロンは勿論、慎二や凛すらも驚愕するしかなかった。

 

 

 

「この顔…忘れたとは言わせませんわ。散々、カプセル越しに眺めていたのですものね」

 

「そ…んな…なぜ、なぜここに…」

 

 

この時、この状況で何故本物のガロニアがここに現れるのか…

 

脂汗が止まらないマリバロンは横目で自分の隣に立つ桜を見る。なぜ、自分が…と口にしているが、このままでは彼女が偽物である事がこの場にいる者たち…最悪クライシス皇帝の耳にまで届いてしまう。

 

この状況を覆すには、マリバロンの取る方法は一つしかなかった。

 

 

「な、何を言うかこの『偽物』めッ!!」

 

「…ッ!?」

 

「皆の者、騙されるなッ!あの者は無礼にも幼いガロニア様に化け、我らの心乱すという卑劣な手段に打って出たんだッ!!」

 

平静を装いつつ、ガロニアを指さすマリバロンは流れる汗など構わずガロニアを偽物であると断定。その言葉に混乱を見せていたチャップ達も怒りをむき出しにして慎二達に向けていた銃をガロニアへと照準を合わせてしまう。

 

 

「な、なんて奴らだよおいッ!」

 

「何やってるの、早く逃げてッ!!」

 

 

敵の出した最悪の手段…このまま本物であるガロニアと自分達を消してしまえば、桜が替え玉であるという事実を知るものは地球に残った武やメデューサ達以外にいなくなってしまう。

 

逃げるよう促す凛だが、ガロニアは首を横に振り、変わらず決意に満ちた瞳でクライシス帝国を見つめていた。

 

 

「ワタクシは…逃げません!」

 

「なっ…!?」

 

「ワタクシは、この目で見てきました…ただ桜さんを助ければそれで終わりと、そうすればワタクシの罪は消えると思っていました。けど、違いましたわ!」

 

 

光太郎と接触したレジスタンス。彼等はかつての怪魔界を取り戻すべく、戦っている。本来なら戦いに身を投じるべきではない女性や子供たちさえも。

 

このような世界などあってはならない。ここまで一緒に行動してくれた光太郎達が地球と、そして怪魔界の為に戦ってくれると言うのなら、自分は自分に出来る戦いを、この場で宣言しよう。歪めてしまった怪魔界を、クライシスの犯した罪を正すのが、自分の役割―――

ならば、自分がすべき事は…

 

 

「ワタクシは…宣言します!クライシス帝国の次期後継者として、この星をかつての平和で自然と人が共存できる星へと戻すと!そして争い事で解決しようとする現皇帝と戦う事をッ!!」

 

 

「…ッ!?」

 

 

悪夢でも見ているのか…マリバロンはクライシス皇帝の血を引きながらも、皇帝の考えを完全に否定し、自分達とは相反する道を宣言したガロニアの言葉に完全に飲まれてしまった。

 

だが、マリバロンも後には引けない。彼女を偽物と決めつけてしまったからには、もう本物のガロニアを偽物として排除する他ないのだ。

 

喉の奥が震え、命令を中々繰り出せないマリバロンの頭上に突然立体モニターが出現した。

 

 

 

 

『これはこれは…姫様の偽物は現れたと聞いてみれば革命宣言…どこまでも楽しませてくれますねぇ…』

 

「じゅ、ジュピトルス殿…」

 

 

モニター越しに映る醜く笑うカエル顔の星騎士はギョロリとした目を桜へと向ける。その爬虫類のように不気味な視線に勘付き、ビクリとした桜へ、ジュピトルスは口元を歪めて述べる。

 

 

 

 

『自分の偽物があのような戯言を口にするのはお気に召さぬでしょう。故に、姫自身で偽物を討ち取るが良いでしょう』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、こいつ…!」

 

 

ついには迫った壁に両手で押し上げなければならない状況となってしまった光太郎は突然現れ、どこまでも残酷な仕打ちをさせるのだとモニターに映る星騎士を睨むが、ジュピトルスはそれすらも気付いているように、口元を歪ませると、ジュピトルスの言うままに手へ魔力を収束し始めた桜の顔を拡大して表示させる。

 

 

『見えますか間桐光太郎?これで彼女が本物のクライシス皇帝の娘となるのです。自分を偽物と知らず、本物を殺してしまうという、何とも愉快な展開なのでしょうか?』

 

「な…にぃ!」

 

 

この通信はジュピトルスから光太郎に直接語りかけられているものであり、今必死に止めるよう呼びかけている慎二や凛、そして魔力弾を向けられても一歩も後を引かないガロニアには聞こえていないのだろう。

 

 

『もちろん、これだけで終わらせるつもりはありません。本物のガロニア姫を始末した後はあの少年と少女も同じように殺して差し上げますよ。彼等も妹の手で死ねるのなら、本望でしょうしねぇ』

 

 

 

「…お前…まさかこれが目的でぇ…」

 

 

『フホホホホホホホ…ようやく貴方の苦しむ声が聴く事が出来ましたねぇ。ええそうです。あのような状況になったのは偶然ですが、ここまで貴方を苦しませるよう演出したのは私です。私の愉しみの為にそうしました。なにか、いけませんでしたかねぇ…?』

 

 

 

白々しく問いかけてくるジュピトルスは、さらに別の映像を光太郎の前で映し出す。場所は地球…冬木の外れにある採石場で未だ戦っている武達の様子であった。

 

 

 

「みんなっ…」

 

『健気ですねぇ…ありもしない貴方達の帰りを待って私の召喚する怪人達に戦い続けているのですから』

 

 

 

 

 

自分達が桜を救出すると信じて送り出してくれた武達は、正に満身創痍。

 

 

途中で駆けつけてくれたアーチャーや衛宮士郎はともかく、魔力を消耗したメディアは地上に降り、結界で身を守ることが精一杯。

 

刀を失ってしまった武は鉄拵えの鞘で敵と応戦。

 

メデューサは既に折れてしまった鉄杭で怪人に抵抗することが限界だった。

 

 

 

 

 

 

『どうですかぁ?今死の縁に立ち、貴方の大好きな方々が危機を迎える中で何一つ出来ない御気分は…』

 

 

 

 

 

こいつは…どうしてこんなにも人々が苦しんでいる姿を見るのが楽しいんだ。

 

苦しませるのなら俺1人でいいはず。

 

なぜ、なぜなんだ…?

 

 

 

 

『さぁお泣きなさい!後悔なさい!その姿でようやく私の味わった屈辱が張らされるのですからねぇ!』

 

「侮辱…だと?」

 

 

そんな事をした記憶はない。とうとう肩の位置まで迫ってきた壁に圧迫される光太郎に、丁寧にもジュピトルスが応えてくれた。

 

 

声すら出ない、本当に下らない理由を。

 

 

『そんなこと決まっています!だって貴方、絶望をしなかったじゃないですか!あの娘のクローンを串刺しにした時、本来なら絶望に暮れて死んでいたはずなのに!貴方は!生き残った!!』

 

「……………」

 

『そんな事は許されない!私の手で苦しんだ者は皆平等に、死なければならないのですぉッ!!!』

 

 

 

熱の込めて持論を振りかざしているようだが、光太郎には良くわかった。

 

 

つまり、こいつは自己満足の為に、みんなを追い詰めたんだ。

 

 

 

俺が思い通りにならなかった、そんな理由で。

 

 

 

 

ガロニアさんを陥れ、

 

 

 

 

桜ちゃんに実の姉である遠坂さんと義理の兄である慎二君を殺すよう誘導して、

 

 

 

 

地球にいる仲間達を…

 

 

 

 

メデューサを傷つけた。

 

 

 

 

こんな時、自分から湧き上がる感情なんて、たった一つしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォッ!!!!」

 

 

 

 

獣の如く咆哮し、光太郎の全身を震わせ、引き裂くように広がっていくもの。

 

 

 

 

怒り。

 

 

 

 

マリバロンの非情、ジュピトルスの狡猾、そしてそれらに抗えない自分自身の無力。

 

 

 

 

 

全てに対する怒りが頂点に達したその時だった。

 

 

 

 

光太郎の腹部で赤く輝くサンライザーが銀色で流水のように洗練されたベルトへと姿を変え、キングストーンを宿す宝玉もBLACK時と同様に1つへと戻り、中央でより大きく輝く形状へ変化。

 

 

ベルトから流れる輝きはさらに光太郎の姿を変質させ、赤い複眼に口もとを完全に多う銀色のマスク、青、銀を中心としたボディへと変化させた。

 

 

完全に姿を変えた光太郎はその場で膝を着き、両手を交差させた途端、光太郎の身体は水色の液体状へと変わり、天上の僅かな隙間へと浸透。

 

 

一気に地上へと移動するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さぁ、殺して差し上げるのですッ!!』

 

 

地上で桜がガロニアに向けて魔力弾を放つ光景ばかりに目を向け、地下の光太郎の苦しむ姿が二の次となってしまったジュピトルスは絶叫する中、桜の手の中で魔力がより強く圧縮されている。だが、当の桜には迷いが生じていた。

 

 

 

(あの少女の立ち振る舞い…そして強い意志。本当に、偽物なのか)

 

 

 

先程のマリバロンの動揺から、彼女がただの偽物ではないと考え始めた桜は、未だ逃げる様子もないガロニアを見る。

 

 

何者なのだ、彼女は…そして、自分は。

 

 

自問自答する中、突然自分の前に黒い背中が現れる。

 

 

 

「ガロニア様。あの娘の処刑はこのマリバロンにお任せください」

 

「マリバロン…」

 

 

小さく自分の名を呼ぶ桜の前に立ったマリバロンは余計な事をしたジュピトルスに敵意を膨らませながらも、これ以上事を拱く訳にはいかないと、その手に赤い鞭を出現させる。

 

 

 

ここまで事態をややこしくしてしまったのは、自分の責任。ならばせめて帳尻は自分で付ける為に、今ここで本物のガロニアを殺す。

 

 

 

「お覚悟を」

 

 

逃げろと叫び続ける凛や慎二にも、背後に立つ桜にも聞き取れない程度に呟いた直後、赤い鞭はガロニアの胸を貫くべく直線を描いて伸びていった。

 

 

 

 

 

だが、その一撃はガロニアに届くととは無かった。

 

 

 

地表から噴出した青い液体に鞭は弾かれ、さらにその液体はガロニアの前に降り立つと一瞬にして人の形へと変わったのだから。

 

 

 

「な、何者だ貴様ッ!」

 

いや、もう聞くまでもないかもしれない。

 

 

今のこの時、彼女を庇い立てする存在など、たった1人しかいない。その形、その姿が変わろうとも、たった1人しか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は怒りの王子―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

「RXッ!!バイオ、ライダーッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なにやらまた姿を変えてしまいましたか」

 

 

クライス要塞でバイオライダーの出現に冷めた目で見つめるジュピトルスはまたも期待外れと言わんばかりにモニターを見る。どうやらあの間桐光太郎という人物は苦しめれば苦しめようとするほどに力を増してしまうようだ。

 

だが、今回はそうは行かない。

 

例え怪魔界をどうにかできたとしても、地球で危機に陥っている仲間を救う事など出来はしないのだからと、地球の様子に目を向けた途端、今度こそジュピトルスの表情は凍りついた。

 

 

自分が目を逸らしていたのは、ほんの5分程度。

 

 

その間に、何が起きてこうなってしまったのだ。

 

 

止めを差す為に、また新たに別世界の怪人を送り込んでいたはずなのに…

 

 

 

 

 

 

今、ジュピトルスの部屋で映し出されている地球の映像――――

 

 

 

 

爆炎の中、紅い鎧武者が両手にした刀で次々と怪人達を切り裂いている光景が映し出されていた。

 

 

 

 

 




と、いう訳で2つの世界で2人のライダー登場!

地球での様子は次回ゆっくりと

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