Fate/Radiant of X   作:ヨーヨー

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スパロボの新作で騎士ガンダムの戦闘シーンは当時見ていた人なら感涙の出来でございました…三種の神器とスペリオルドラゴンが出てくる所なんてもう…

さぁ、言い出したら切がないので16話です!


第16話

怪魔界の科学者ワールドから託された設計図を基に、間桐光太郎は仲間達の協力を得てついにスーパーマシン『ライドロン』を完成させる。

 

全員が見守る中、ついにライドロンを起動させようとしたが、光太郎が何度操作を重ねても動くことは無かった。

 

光太郎の判断で後日原因の究明を行うことになり解散となった夜、ライドロンの起動試験の時に陰ながら様子を伺っていたアクロバッターの存在に気が付いていた桜とメデューサはライドロンが動かない原因を知っているのではないかと尋ねる。

 

無言を貫いていたアクロバッターから言い渡されたその原因は、ライドロンにある物が宿っていない為という回答を得た。

 

それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「命…か」

 

大学内の中庭に設置されているベンチに腰かけている間桐光太郎は背もたれに身体を預け、昨晩に義妹とメデューサから齎された情報を口にしながら大空を見上げていた。

 

本日は雲一つない快晴であり、気温は若干低いものの差し込む暖かい日の光が身体に当たるため、肌寒いとは感じない。RXの力を手にしてからは猶更だろう。だが、光太郎はそんな恩恵を受けていると考えられるような余裕はない。

 

(まさか、ライドロンがアクロバッターと同じ命を持ったマシンだなんて…設計図にはどこにも)

 

いや、むしろ怪魔界ではあって当然の技術だったのかも知れないと光太郎はワールドに八つ当たりをしようとした自分を律して自身の額に手首を当てて深く息を吐く。

 

命を宿す…魔術では使い魔を生み出すなど珍しいことではないが、それはあくまで生物での話であり、無機物の塊であるライドロンに後付けで命を与えるなど不可能な話だ。

 

桜から話を聞いたメディアから光太郎が嫌がる方法ならばいくらでもあると連絡があったが、彼女も本気ではないだろう。彼女なりの気の紛らわし方だったかもしれないと今更ながら思う光太郎にも手段がないわけではない。

 

 

ゴルゴムの世紀王、シャドームーンとの決闘で命を落とした際に自分を密かに匿ってくれたクジラ怪人が一族に伝わる『命のエキス』を使い蘇生してくれた事を後になって聞いた光太郎は、戦いが終わった時クジラ怪人達に改めて感謝を伝えに住処へとむかった。

 

だが、クジラ怪人の住まいである洞窟の入り口は塞がれており、何人たりとも入れない状態となっていた。

 

 

しばし行動を共にしていたギルガメッシュ曰く、あのエキスは使う者を選ばない両刃の剣となる。命のエキスによってパワーアップした光太郎を目撃した何者に狙われる可能性があった。

そのため光太郎が甦った後にクジラ怪人達は源泉を絶ち、住処をギルガメッシュが地主となった海へと生活の場へと移した。よってこの世界にはクジラ怪人達が保存した僅かな量しか残されておらず、傷を癒す程度が限界で命を宿すには至らない。

 

(いや、これ以上甘えるわけにはいかない…)

 

彼等には生き返らせて貰っただけでなく、最後の戦いで一族総出で援護までしてくれたのだ。もし自分を蘇生したのがかつてゴルゴムのイカ怪人から助けた恩に報える為に行ったのであれば、もう十分過ぎるほどの対価を貰っている。

 

 

なので現在は振り出しへと戻っている。

 

別の可能性を模索するか、設計図に未だ読み取れていない部分があるのか。悩みが尽きない光太郎は空を見上げると、急に自分の顔を影が覆った事に声を上げてしまう。

 

「え…?」

 

「今日は溜息?本当に忙しそうね」

 

「リョウちゃん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

クライス要塞 

 

 

「さぁて、準備はいいか」

「ハッ…」

 

ガテゾーンの言葉に頷いた新たな怪魔ロボットはその両腕に装着された重火器をガチャリと唸らせ、地球への転送室へと向かっていく。

 

「あれが貴様の作り上げた最強の怪魔ロボットか」

「ジャーク将軍…」

 

背後に現れた黄金の怪人に対しガテゾーンは自然な動作で膝を着き、自分の横を通過していくのを確認すると改めて頭を上げる。

 

「許しを得ずに地球へと怪魔ロボットを向かわせたのは目を瞑ろう。その変わり、わかっておるな」

「ええ、必ずや吉報を聞くこととなりましょう。最強の怪魔ロボット、ガンガディンの勝利という報告が」

 

モノアイを輝かせるガテゾーンの自信溢れる宣言にジャーク将軍は口元を歪ませて部屋を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ~ん。つまり、慎二君たちと協力して完成させたものが動かなくて、その原因で悩んでるんだ?」

「まぁ、そんなとこ」

 

極力ライドロンの事を伏せての説明に一応の納得をしたらしい紫苑良子の様子を見てホッと胸を撫で下ろした光太郎は隣に座る幼馴染から貰った缶コーヒーを口に含む。

 

一緒にいる年月なら慎二と桜以上に同じ時を過ごしている良子を始めとした親友達にはこうして家族の前ですら言わない悩みを打ち明けることは多かった。大抵が兄妹喧嘩の真っ最中でどう謝れば良いのだろう…という内容だが。

 

「ん~、稔君ならそう言った機械関係は強そうだけど力になりそうにないわね」

「まぁ電気工事とは似て非なるものだから…」

 

今頃自営業である工事屋を継いで張り切っている親友がくしゃみでもしているだろうかと思いながら光太郎は再び溜息をつこうと肺に空気を含み、吐き出そうとするがその前にコメカミを軽く指で突かれしまう。

 

「久しぶりね、そんなに悩んでいる光太郎君の姿を見るなんて」

「リョウちゃん…」

「でも駄目よ?溜息ついてるだけなんて、私達の知ってる光太郎君ならまず行動!だしね」

「ハハハ…そう、だね」

 

 

と柔らかい微笑みを浮かべる良子の言葉に、1本取られたと額に手を当てる光太郎。彼女の言う通り、ここで悩んでいても回答は得られることは出来ない。それに、ライドロンは自分1人で完成させる訳ではない。あの場にいた全員が走る姿を見なければならないのだ。

 

「そうだね。俺はまた1人で抱え込もうとしていたみたいだよ」

「気付いたのならよろしい!何の事であるかは聞かないけど、頼ることは決して恥ずかしい事ではないわよ?私や、大輔君だって力になりたいし、あの金髪の人だって協力してくれるはずだしね。ほら、あの人って何処からともなく色々なもの取り出せるじゃない?」

「あ…ハハハ、そうだ――――」

 

あの金髪、この大学で光太郎に接触しているうちにかなりの有名人となってしまっていたようであり、光太郎の知らぬ間に異空間から何かしらを取り出した場面を見られたのかもしれない。

 

だが、光太郎はギルガメッシュが起こした珍事よりも、良子の言ったギルガメッシュが『どこからともかく―――』という言葉から、彼が異空間から取り出した『あるもの』を思い出した。

 

それは、彼がシャドームーンとの最後の戦いを迎える前に託されたもの。そして、光太郎が望んだ奇跡を起こした要因の一つであるものを。

 

 

「そうだ…どうして忘れていたんだ!」

「光太郎君?」

 

急に立ち上がった光太郎は状況が掴めない良子の両肩に手を置き、悩みなど微塵も見られない瞳で告げる。

 

「ありがとう!このお礼は絶対するから!!」

「えっと…それは、ありがとう…?」

「うん!…遊園地のフリーパス2枚用意するから、ダイ君と一緒に行ってね!」

「え、あ、ちょっと!?それって…」

 

片思いの相手の名を聞いて耳まで赤くなり狼狽える良子の言葉など気にも留めず、光太郎は駐輪場へと走り出りだした。もはや声の届かない距離まで移動した幼馴染みの背中を見送り、落ち着きを取り戻した良子はもう…と困った笑みを浮かべていた。

 

彼女は知る由もない。これが光太郎に最高の仲間を生み出すきっかけになったことを。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…」

 

 

今回も何とか食器を一枚も割らずに洗い物を終えることが出来たメデューサは手を拭い、エプロンを定位置へと戻すとテレビから聞こえるワイドショーを聞き流しながら席へと座る。

 

慎二と桜は学校、武は遠坂家を訪ねアーチャーと剣の稽古へと出向いている。二刀流同士、互いに気が合うのかもしれないと考えるメデューサはふと目に留まった模型を見つめる。

 

昨日の起動試験の前にメディアが時間を持て余した際に作り始め、完成させたライドロンのミニカーだ。それは、光太郎が悩みを偽って浮かべた作り笑いを嫌でも思い出させてしまう。

 

機械類ではどうしても力になれないことを悔やみながらもメディアと光太郎のサポートに回っていたメデューサはライドロンの本格的な組み立ての前…設計図を抽出した時から光太郎がどれだけの情熱を注いでいたかを知っている。

 

だから、あのような顔を浮かべた事がとても辛かった。あの人には、あんな悲しい笑顔を浮かべて欲しくない。その為に桜と共にアクロバッターへ聞き出したのだが、ライドロンに足りないものを突き止めたのは良かったものの、余計に光太郎を悩ませる結果となってしまった。

 

 

「どうしたらいいのでしょう…」

 

 

指先でライドロンのミニカーの後部を軽く突くと反動で数センチだけ走行する。その直後、テーブルの上に置いてあったメデューサの携帯電話から着信音が響く。この時間で連絡があるとは珍しいと電話を取り、発信者の名を見て急ぎ耳へと当てた。

 

「光太郎、どうしたのですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「メデューサ、今日帰りが遅くなるから!」

『はい…?それは構いませんが、何かあったのですか?』

「見つけた…いや、思い出したと言うべきか。ライドロンに命を宿す手がかりをッ!」

『っ!?それは一体―――』

 

 

興奮気味に話す光太郎の放った内容に電話越しでも驚いているメデューサの声は遠方から聞こえた爆発音にかき消されてしまった。

 

 

「なっ…!?」

 

それも一度だけで終わらない。3度、4度と続けばもうそれは事故でないことは明白だ。

 

「メデューサ。クライシスが現れた。俺は今からそっちに向かう」

『…わかりました。私も直ちに』

「いや、メデューサには別の事を頼みたい。俺の代わりに、行って貰いたい場所があるんだ」

『しかし、それでは…』

「これはメデューサにしか頼めないんだ」

『………………』

 

そう言ってしまえば、反論できないことを知った上でのことなのだろう。なんとも、自分の扱いが上手くなったと呆れながらもメデューサは一度息を吐いて光太郎へ了承したと伝える。

 

「ありがとう。行ってもらいたい場所は、父さんが眠ってる場所なんだ」

『あの場所に?あそこは…あっ!?』

 

小さく驚きの声を上げたメデューサの反応を見て、どうやら説明する手間が省けた光太郎は電話片手にバイクのエンジンに火を付け、いつでも飛び出せる状態へとする。

 

そう、これはメデューサしか出来ない、知らない頼みごとなのだ。

 

 

『…任せてください。どうにか1時間以内に戻りましょう』

「できるのか?」

『お忘れですか?この身はライダーのサーヴァントとして召喚されたのですよ』

「ああ、ありがとう」

『それは『あれ』を持ち帰った時に聞かせて下さい』

「…ああっ!」

 

 

 

 

 

力強く返事をした光太郎の着信が切れたことを確認したメデューサは急ぎ玄関へと向かい、扉を開けたその先では自分達の会話を聞いていたのか、アクロバッターが既にいつでも発進できるようにスタンバイしていた。

 

「イクノダロウ?」

「ええ、お願いします!」

 

ヘルメットを装着し、アクロバッターへ搭乗したメデューサはアクセルを回し、アスファルトへ跡が残る程後激しく後輪を回転させ急発進。

 

目的地へと爆走する。

 

自分達サーヴァントの命を現代へ繋ぎとめた奇跡を起こした要因の一つを、手にする為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ…逃げ遅れた人は…」

 

煙を辿って工場地帯へと到着した光太郎は未だ爆発が続く場所の中へと飛び込み、誰か取り残されていないかと辺りを見回しながら進んでいくがそれらしき人影はない。

大丈夫かと安心した直後、ゾクリと冷たいものが背中に走る。何者かが自分へと狙いを定めていると振り向いた時には既に遅く、光太郎は爆発の中へと飲み込まれてしまった。

 

 

「…………………」

 

その機影は悲鳴を上げる間もなく煙の中へ消えた標的が現れるのを待っていた。過去の戦いからあの程度で死ぬような輩ではないことは承知している。だからこそ、姿を現すことに何の疑問を抱かぬまま臨戦態勢を保っているのだ。

 

 

「トァッ!!」

 

煙の中から飛び上がり、工場の天井へと着地した敵は関節部から爆発とは別の蒸気を関節部から噴出させ、それを振り払うような動きと共に名を上げた。

 

 

 

 

「仮面ライダーッ!!ブラァックッ!!!」

 

 

 

敵の攻撃を受ける直前にBLACKへと変身を遂げた光太郎は改めて自分へ武器を向けている敵…怪魔ロボットを睨む。

 

両手と両肩に強力なキャノン砲を備え、広範囲の敵を発見する為に幾つものアイカメラを光らせている。そして重武装のため機動力を確保した結果なのか、下半身が妙に細い。

 

 

「ようやく姿を現したな間桐光太郎…いや、仮面ライダー」

「貴様は…クライシスか」

「如何にも!我こそは貴様を倒す為に生まれたクライシス帝国最強の怪魔ロボット、ガンガディン!」

「俺を…倒す為?まさか、この爆発は俺をおびき寄せる為にっ…!!」

 

 

敵は怒りに拳を震わせる光太郎に合わせ、武器の狙いを定めている。答えなど、聞くまでもないだろう。

 

 

「俺をおびき寄せる為に多くの人を巻き込むとは…貴様は絶対に許さんッ!!」

 

 

 

天井を蹴った光太郎は眼下に立つガンガディンに向けて急降下し、対してガンガティンは集中砲火を開始した。肩・両腕から次々と打ち出されるエネルギーの塊を全身に受けながらも光太郎は握った拳を敵に向けて振り下ろすのだった。

 

 




メデューサ姐さんが何を回収しに向かったのか、前作の最終回前後を見て頂ければと思います。

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