Fate/Radiant of X   作:ヨーヨー

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前作をご覧の皆様、お久しぶりです。初めてご覧になる方、始めまして。

いよいよ連載に踏み込んだ今作ですが、やはりまだプライベートの都合により筆がなかなか進まないながらもせめてプロローグだけでもと投稿です。
これを気に前作も読んで頂けたらなぁと淡い期待を抱いてみたり…

と、言うわけでこれからも頑張りますので、お付き合い頂ければ幸いです

では、どうぞ!


プロローグ

―――某国 密林地帯

 

 

闇夜の静寂を破り、草木を踏み抜きながら自分達に迫る異形の者達を薙ぎ倒す2人の姿があった。

 

1人は所属する部隊で支給されているズボンに黒いタンクトップという軽装。だがそれで十分であるという自信を現すように手にした槍を振を振るい、飛び掛かる異形を突き、払い、叩きのめしていく。その部隊で彼専用に造られた特殊金属の槍…本来彼が手にするモノと比べたら劣るものの、彼の力を発揮させる業物と言えるだろう。

 

もう一人は彼とは違いしっかりと完全装備であるが、銃器などの武器を持たず己の拳のみで敵を大地に沈めている。拳を動かす度に漏れる赤い輝き…彼女自身の持つ魔力の残滓が美しい線を残していくが、敵はそんな事を考える暇なく散っていく。

 

否、目の前の敵に襲い掛かるというプログラム以外にない『機械人形』にそんなことを考える事すらもうできないのだろう。

 

 

2人は次々と出現する敵の破壊を続けていた。

 

 

 

 

 

 

その状況を衛星からモニターでとらえたオペレーターは背後に立つ男へ伝達する。

 

 

 

「映像安定。Dポイントへ向かっていた『フィスト』と『ランス』、敵との戦闘に入っています」

「位置情報を確認。別部隊へ応援要請」

「わかった。そのまま目的地の監視を続けてくれ」

「了解」

 

次々と寄せられる情報を聞き、オペレーターへ指示する男…スーツ姿の日本人は短く応えると黒い手袋を着用した右手に力を込める。

 

 

(今回は…間に合うか?)

 

 

 

 

「こいつでしめぇか」

 

最後に現れたアンドロイドの胸へ槍を一突きし、機能停止を確認したランサーは同じく敵を五体バラバラにしたバゼットの方へと顔を向ける。義手である拳の調子を確かめえるように強く握りながら足元に散らばるアンドロイドの眺める。未だにバチバチと放電する頭部のレンズに映る自分の顔を見て、バゼットはランサーへと声をかけた。

 

「雑兵がこちらに向かってきたとなると、この近くにあるということですね」

「ああ。大将の言う通りならそうだろうよ。時間は喰っちまったがあと――」

 

槍を肩に担いだランサーはポケットにねじ込んでいた地図を片手で起用に広げると同時だった。

 

「これはッ…!?」

 

突如2人の足元を揺るがす振動と耳に響く爆発音。バゼットが思わず声を上げて見上げた先…自分達がいる数十メートル先で炎と煙が絶えることなく立ちのぼっている光景であった。そこは確認するまでもなく、ランサーとバゼットが目指していた場所であり、手に持った地図をグシャリと握りつぶしたランサーは力なく呟く。

 

「またかよ…」

「………………」

 

ランサーのぶつけ様のない怒りが込められた呟きを聞いたバゼットはかける言葉が見つからず、黙っているしかなかった。その矢先、2人の元に茂みを抜けて1台のバイクと共に仮面の戦士が現れる。

 

「2人共、無事か?」

 

声に反応し、振り返るバゼットはバイクから降り、接近する戦士の姿が月明かりに当たり露わになっていく。

 

緑の複眼とマフラー。赤の仮面に左右非対称のボディ。2人の知る戦士とは全くの別人であるが、同じ称号を持つ戦士にバゼットは申し訳なさそうに報告する。

 

 

「すみません『リョウ』。今回も先を越されました」

「…そうか」

 

短く答えた戦士は爆発が起きた地点から舞い上がる煙を見上げ、立ち尽くす2人の肩へと手を置く。

 

「…行くぞ。まだ手がかりは残っているかも知れない」

 

戦士に促された2人は無言で目的地まで進んでいく。表情はやはり、暗いままであった。

 

 

 

 

 

 

 

「…わかった。2人によく休むように伝えてくれ」

『ああ。しかし、今にも次の候補地へ走りだしそうな勢いだった』

「気が立つのも仕方ない。今回で9回目…どれもが到達の目前で爆破されてしまうんだ」

『今回犠牲者が出なかったのが、せめてもの救いだ…』

「………」

 

通信の向こうで声を落とす戦士の報告に送信されたデータに目を通す男は手を止める。今回、自分達が追っている任務の中で『犠牲者』が多く発生していた。そこに何があるのかも知らない一般人、敵の片棒を担ぐ者。

 

そして、自分達と同じく戦う仲間達。

 

目的地の近くにいたというだけで、今回のような爆発によって命を散らせてしまった戦いとは無縁の人間もいた。

 

内定調査中に戻れず、『改造』を受け、人でなくなった者もいた。

 

それが自分達と多くの任務を遂行してきた戦友のなれの果て。

 

そして戦友は薄れゆく意識の中で、自分を殺せと願う。

 

ランサーは表情を表情一つ変えず、戦友の最期の願いを自らの手で叶えた。

 

『ありがとう』と、胸に穴を開けた戦友の最期の言葉に、ランサーは黙って看取ることしか出来なかった。

 

 

 

『…ランサーにとっては許せない相手だったようだ。人の尊厳を踏みにじったその行為自体が』

「しかし、改造した組織は爆発と共に関係者全員死亡している。だから、その怒りの矛先を犯人にぶつけようとしている所、か」

『結城さん。2人の事なんだが、俺に任せてくれないか』

「…解った。今の君なら大丈夫だろう」

 

復讐のみで動いていたあの頃とは違う。今の彼…『村雨良』ならば、2人を上手くフォローしてくれるだろう。

 

『恩に着るよ、先輩』

「ああ。こちらで分かった事は直ぐに連絡する」

 

これを最後に通信を切った男…『結城丈二』は目の前に広がる資料を整理していく。

今回爆破されたのは密林地帯で観測所に偽装された研究施設。そこでは今回のような人間ではなくアンドロイドを秘密裏に開発し、過去の怪人と同等の力を再現させる実験が行われていたことが伺える。

 

(やはり、妙だ)

 

丈二はデータベースを操作し、前回、前々回に爆破された研究施設の報告書に関する情報を掲示させる。前回は怪人の製造プラント。そして捕獲された怪人を解剖、データ化して軍事施設に売り込もうとする研究グループ。

 

どれもが自分達の情報網でも影すら捉える事すら出来なかった組織ばかりである。

 

考え込む丈二の耳に、何かを知らせるようなアラーム音が届く。データベースの隅で『CALL』と表示され、丈二は通信用の画面を選択し、ボタンを押す。するとデータベースに『KAZAMI』という画面が表示され、通信が開始された。

 

『俺だ。どうやらまた先手を取られてしまったようだな』

「耳が早いな。全くその通りだ」

 

丈二は前置きもなく今回の件を切り出した通信相手へ簡潔に報告をする。通信相手は黙って聞き入れ、丈二の話が終わった途端に再び話を切り出した。

 

『内容は分かった。お前の意見を聞きたい』

「といってもな…まだこれだけだと結論は…」

『ごまかす必要はない』

 

丈二の言葉を遮った声は、やはり声のトーンを変えることなく、説明を求めた。

 

『…お前の事だ。結論に至らなくても、可能性は浮かんでいるのではないか?』

「敵わないな。君には」

 

諦めたかのように丈二は自分のまとめたデータを通信相手宛てに送信する。そして数十秒後、内容を見て自分と同じ見解に達したのか、通信相手からは疑念の声が響く。

 

『これは一体…?』

「ああ。これまで起きた20以上の研究施設の爆破事件。場所も、国も、研究目的も異なるものばかり。しかし、共通している事柄がある」

 

データに添付されている写真の横には、小さい紋章が記号のように描かれている。それは蛇が絡んだ鷲、蠍といった自分達を苦しめてきた組織を現すシンボルマークだ。さらには、最近まで存在していたゴルゴムのマークまである。

 

『みんなどれもがゴルゴム…それだけじゃない。歴代の悪の組織に関わっていた連中だ…』

「ああ。間違いなく組織の流れがあるだろう。ただ…おかしな点がある」

 

次に丈二が送ったデータは爆破後に撮影された写真。そのどれもが目をつむりたくなるような惨状であるが、丈二の言った不審な点に気が付いた通信相手は説明を受けるまでもなく彼の言いたい事にたどり着いた。

 

『…研究設備や建物自体の被害が少ない』

「その通りだ。今回の事件は秘密保持や、口封じの為とは思えない」

 

その施設で行っている研究施設を無かったことにしようとするならば、証拠となってしまう実験施設や痕跡を木端微塵とするはず。だが、これまでの爆破は一部に限定されている。それは――

 

『研究データ。ということか』

「ご名答。正確には、ある目的に絞った戦闘データ。もしくはシュミレーションデータと言ったところだろう」

『…残されたデータがあったのか?』

「なんとか修復できたのは、2ヶ所分だけでね。だからまだ確証には至らなかった」

 

そして丈二によって開示されたデータ…それはある戦士が戦った際の戦闘データ。そして、自分達が所有する怪人であれば、どうすれば戦士を打倒せるかという数百を超える戦闘パターンが収められたデータであった。

これまでの情報を整理した結果、丈二と通信相手は敵の思惑を推測する

 

『ならば敵の目的は『彼』のデータの独占すること』

 

「ああ。そして最終目的は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「仮面ライダーBLACK…間桐光太郎だろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時的とはいえ、世界征服まであと一歩とせまったゴルゴムを壊滅させた新たな仮面ライダー。組織の残党が注目し、命を狙うのは当然と言えるだろう。しかし、今回の事件ではその組織ですら犯人達によって全滅されている。これまでの組織が再編されることも、徒党を組んでいる

こともないことから考えられるのは、一つしかない。

 

 

『新たな敵…というわけか』

「あまり当たって欲しくない予感だがな」

『…俺は他の連中にこの事を連絡する。結城は分析を続けてくれ』

「了解だ、だが無茶をするなよ。以前のように、戦えなくなったら遅いからな」

『フッ…気を付けよう』

 

丈二の忠告に笑って答えた通信相手…『風見志郎』の通信画面は閉じられた。恐らくあちらから通信状態をオフにしたのだろう。

 

椅子に深く座り直した丈二は再び資料へと目を向ける。敵の目的は推測できたが、その先を読むことは厳しい状況だ。自分達に動きを察知させない行動力からして、これまでにない強大な相手となることは間違いないだろう。

 

 

 

「仮面ライダーBLACK…彼1人では、太刀打ちできないかも知れん」

 

 

画面に映る未だ自分達と直接の面識のない11番目の男の姿を丈二はただ見つめていた。

 

 

 

それから1ヶ月後。彼らの予感通り、新たな敵は間桐光太郎へと接触を果たしてしまう。

 




と、言うわけで前回ではさらりと登場した方々が中心となりました。

ちなみに本編へがっつり絡むのは当面ありませぬ。ご期待された方がいたら申し訳ありません。

そして今回は『原作』をRXとさせて頂きました。前回はFateの物語にBLACk…主にゴルゴムが介入したということもありベースがFateであったので、今回は『RX』が中心となっていく予定です。あくまで予定です(重要)

そして次回はかなり遅くなりそうですので暖かく見守っていただければとおもいますので、よろしくお願いします!!


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