試作小説保管庫   作:zelga

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以前ワートリ杯に投稿したものの、クソ忙しくなった上に展開を忘れたので供養も込めて。

バカ4人で滅茶苦茶するコメディだったはず……?


ワールドトリガー その2
試作その7 第1話


 

≪ゲート発生、ゲート発生。座標誘導誤差6.24≫

「大量の敵を全部近接で殲滅していくのって……浪漫だよな」

 

 

屋根の上に立ち、右手を帽子のつばのようにして遠くを見ながら男性が呟く。

 

その視線の先では空間が黒く歪み、中からトリオン兵が続々と飛び出てきていた。

 

 

『何言ってんすか、ろまん先輩?』

「それを狙撃手トリガー持ってるあんたが言うか」

『でも射程は弾バカより短いぞ、この浪漫バカ』

「うっせえよ、槍バカ」

 

 

その呟きを聞いて、同じ屋根に上っている1人と下の道路にいる2人から辛辣な返事が飛んでくる。それに返事をしつつ、俺はゆっくりと立ち上がって通信を開く。

 

 

「月見さん、今回の数はどんなもん?」

『バムスターが5、モールモッドが8ね』

『結構賑やかだな、どうする浪漫バカ?』

「やかましい、いつも通りでいいだろ? 迅バカと槍バカが前衛、弾バカが後衛。そんで俺は――」

 

 

そう言いながら男性は武器を構える。

 

右手に持つは、対物ライフルに似た狙撃手トリガー『アイビス』。しかしその銃身は従来のそれより短くなっており、何かしらの改造を施されているようだ。

 

左手に持つは、大楯のように展開されたトリガー『レイガスト』。展開されている部分は半透明だが一部に穴が開いていた。

 

 

「――今日はこの気分なんだ。つーわけでバカ二人、開幕ぶっ放して攪乱するから後よろしく」

『よねやん先輩、俺前に出たくないんすけど』

『お前はグラスホッパーあるから避けれる余地あるだろ、俺は無理だけど』

「おっと、これは手が滑る予感がする」

「前衛消えるからやめてくれ」

 

っち、モールモッドごと吹き飛ばしてやろうと思ったのに。

 

そんな暗い思考を奥底に隠し、男性はアイビスをレイガストに引っ掛ける。どうやらこの穴は固定用に使われているようだ。

 

 

「てかさっきの言葉なんだったんだよ、そこはいつものあれじゃねーのか?」

「最近思いついたこれはまだ練る余地がある気がする。対人はなんとなくわかったけど、トリオン兵相手にはまだわからんし」

『あれもう相手にしたくねーっす』

『全くだ、太刀川さんじゃねーんだから連続50戦はもう勘弁してくれ』

『来るわよ。全員、戦闘態勢』

 

 

そんなくだらないことを言い合っているうちに、トリオン兵がこちらに気づいたようだ。オペレーターの指示を聞き、4人はそれぞれ意識を切り替えて戦闘態勢に入る。

 

 

「緑川、了解」

「米屋、了解」

「出水、了解」

「浪川、了解」

 

 

そう返事をしながら男性――浪川は、こちらに向かってくるトリオン兵に狙いを定めてアイビスの引き金を引いた。

 

 

「さあ、パーティータイムだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――で、なにか弁明は?」

「「「「申し訳ございませんでした」」」」

 

 

数時間後、場所はA級7位である三輪隊の作戦室。そこに仁王立ちで両腕を組んでいる女性――月見蓮の前に、馬鹿4人は正座していた。

 

だがこれは理不尽なことではなく、当然なのである。つまりこの4人はわかってやったのだ、どうしようもない。

 

 

「緑川くん、なぜ浪川くんのアステロイドと一緒に乱反射(ピンボール)したの?」

「すみません、1回出来たら楽しくなっちゃいました」

「……ハァ、まだあなたはいいわ」

 

「出水くん、なぜわざわざ細かく分けたバイパーでコア以外を攻撃し続けたの?」

「いや、同じ場所を攻撃し続けたらどのくらいで壊れるのか知りたくなっちゃいまして」

「…………」

 

「米屋くん、なぜ最後のモールモッド相手に攻撃せず数分間避け続けたの?」

「いやぁ、ギリギリで回避するのが楽しくなっちゃって」

「………………」

 

 

数分間、3人を見つめる月見。話を聞くたびに目が遠くなっている気がしたが、まだ許容の範囲内なのだろう。

 

 

「浪川くん?」

「アッ、ハイ」

 

 

だが浪川のほうを向いた時、彼は悟った。

 

あ、これの矛先全部俺に向いてるわ、と。

 

 

「あれはいったいどういう事かしら?」

「……あれ?」

 

 

どれだ、心当たりが多すぎてわからん。

 

その思考を読み取ったのだろう。月見は一度ため息をつき、改めて口を開く。

 

 

「最初の砲撃は?」

「開幕はやっぱ派手にいきたくて」

「バムスターどころか、後ろの家屋まで吹き飛ばしてたけど」

「サーセン」

 

「次。緑川くんが戦っているのにその周辺にアステロイドを撃ち続けたのは?」

「え、援護っすよ! ちゃんと当たらないように撃っていましたし、実際攻撃の芽を潰してたわけですし!」

「わざわざ跳弾で撃つ必要はなかったわね」

「ウッス」

 

「次。臨時部隊とは言え、最年長で隊長役のあなたが途中から指揮を放り出していたのは?」

「あれは正直、全員どんぐりの背比べだから。バカ3人より多少マシな指示出せるだけで、なんなら月見さんに任せるのが最適だと思ったので」

「じゃあ最初から言いなさい」

「マッタクモッテ」

 

 

「……よねやん先輩、ろまん先輩がどんどん小さくなっていってます」

「月見さんのは全部正論だからな。浪漫でごまかせねえから、聞き入れるしかねえのさ」

「本当に効率無視した戦い方するしな、あの浪漫バカ」

 

「あなた達3人にもまだ話すことはあるのよ?」

「「「あ、はい」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、今回の説教は長かった長かった」

「今回たまたま組めたけど、頼めたのが月見さんだけだったからなー」

「普段4人でやるときは国近ちゃんにお願いしてましたし、普段通りにやっちゃいましたからね」

「てめーこの野郎ども、全員ピンピンしやがって……」

 

 

部屋から出て、4人で廊下を歩く。時間は19時を過ぎており、この後の予定は何もないはずだ。

 

 

「まぁいい、奢るから飯食いに行こうぜ。各々、お好み焼きでいいか?」

「ラーメン」

「カレー」

「焼肉で!」

「この協調性の無さよ。……せーの」

 

「「「「じゃんけん、ポン!!」」」」

 

 

ギャイギャイ騒ぎつつ、目的地に向かう一行。言い合ってはいるものの全員笑っており、普段通りの光景のようだ。

 

 

「おっしゃ焼き肉!」

 

 

――緑川駿、14歳。A級4位草壁隊の攻撃手であり、通称『迅バカ』

 

 

「叙〇苑行こうぜ叙〇苑」

 

 

――出水公平、17歳。A級1位太刀川隊の射手であり、通称『弾バカ』

 

 

「高いの頼みまくるかー」

 

 

――米屋陽介、17歳。A級7位三輪隊の攻撃手であり、通称『槍バカ』

 

 

「ちょっとは容赦してくんない!?」

 

 

――そして浪川漫次郎、19歳。A級ソロ隊員の万能手?であり、通称『浪漫バカ』

 

 

 

 

 

この物語は3人から4人になった馬鹿集団が、何かしたりしなかったりする物語である。

 

 




思いついて突発的に書いたので、先を書くかは完全未定。読んでいただければ幸いです。

なのでこの下に主人公のプロフィールを置いときます。書いてない所は未定です。ネタバレが嫌な方は要注意(ネタバレ内容:主人公の浪漫ぶっぱ構成)










『浪漫、其れ即ち最高にして最強』

☆浪川 漫次郎(なみかわ まんじろう)

【PROFILE】
 ポジション:近接万能手?
 年齢:19
 誕生日:
 身長:178
 血液型:O
 星座:
 職業:大学生
 好きなもの:鯖
 家族:

【PARAMETER】
 トリオン:8
   攻撃:12
防御・援護:7
   機動:9
   技術:11
   射程:4
   指揮:4
 特殊戦術:12
 トータル:67

【TRIGGER SET】
MEIN
 拳銃:アステロイド(改) 
 スコーピオン
 アイビス(改) 
 シールド

SUB
 拳銃:アステロイド(改)
 スコーピオン
 レイガスト
 スラスター

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