試作小説保管庫   作:zelga

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意識覚醒
 ↓
状況理解
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研究所脱出、旅に出る。



試作その5 第1話

「…………っ、あ……?」

 

 

目が覚める。全身に激しい痛みが襲うが、少ない力を振り絞って目を開ける。。

 

 

「……綺麗だ」

 

 

一体いつぶりだろう? もうずいぶん長い時間見ていなかった青空。それが僕の目の前に広がっていた。頬を流れ落ちる涙を止めることもせず、俺はただ青空を見続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして青空を見続けること数十分後。ようやく落ち着いてきたので、今度は周囲を見渡す。

 

見覚えのある風景だった。立っていたのなら正面にある台座、周囲を囲むようにある壁、その向こうにあるいくつもの機材。

 

しかしそれらは見るも無残な状況になっていた。正常な状態なものは一つもなく、どれもがボロボロになっている。そして天井は巨大な力が放出したかのように抉れ、先ほど見た青空が広がっていた。

 

 

「一体何が……って、考えるまでもないか」

 

 

意識を失う直前に聞こえた声。あれらから想像するに、俺はあれを起動させることに成功したのだろう。しかし意識を失ったことで暴走し、こんな惨状になってしまったとでも言った所か。

 

 

「せめて何か残っていればいいのだが……」

 

 

このまま倒れていてもらちが明かないので、痛む体に鞭を打って立ち上がる。なにか情報を手に入れなければ、いつまでもこの状況は変わらないだろう。

 

そう思った俺は、何かわかることはないか探し出すために歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……誰もいない、か」

 

 

覚えている限りの範囲を1周した後、自分の部屋となっていた場所のベッドに腰かけた状態でつぶやく。

 

薄々わかっていたが、すでにこの研究所は機能停止になっているようだ。

 

人は一人もおらず、機材はボロボロ。建物自体も半壊といった所だろうか。そこにあったはずのモノは、何一つとしていなくなっていた。

 

 

「これからどうしたものか……」

 

 

あの日からどのくらいの月日が経ったのか、俺にはわからない。だがあの状況からして、間違いなく俺は死者扱いになっているだろう。あの化け物に触れてしまったら最後、炭となって遺体も残らず消え去ってしまう。だから俺の遺体がないのならそういうことだ、と考えられているはずだ。

 

故に戻ったところで、もう俺の居場所はないだろう。

 

 

それにーーーー

 

 

「……せめてこいつに関する資料を見つけなければ」

 

 

そこで思考を中断し、呟きながら右手で胸に触れる。首元から下にそって撫でていくとカチ、と無機質な感触を感じる。

 

そこには黒い結晶のようなものが胸元からアクセサリのように生えていた。それに触れたまま意識を集中させると、わずかだが鼓動を感じる。

 

途中から気にする余裕がなくなっていたが、意識を失う前まではこんなものは生えてなかった。そこから考えるにこいつは、起動させることができたあの聖遺物なのだろう。

 

薬の連続投与により記憶は摩耗してしまった。何とか家族との思い出は残っているが、それより前の記憶や実験体となっている間の記憶はほとんどなくなっている。

 

そのせいでこいつの名前も俺は知らないのだ。しかしあれほど固執していた以上、この力が強大なものである可能性が高い。それを使っていくためにはまず、こいつの名前を知るところから始めるしかないだろう。

 

 

「もう少し探してみよう。俺の知らない機密区画があるかもしれない」

 

 

こいつを扱っている以上、何かしらの情報は確実にあるはずだ。そう考えた俺は、さらに捜索するために再び研究所内を歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーそれにたとえ奇跡が起きて戻れたとしても、今の俺に日常に戻る気はさらさらない。

 

なぜなら、知ってしまったからだ。想いだけでは何も為すことができないということを。

 

何かを為そうというのなら、圧倒的な力も必要だということを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天井が見える。ここ最近で随分と見慣れた無機質な白い天井ではなく、きれいな青空がうつっていた

 

 

 

「……結局、こいつについてはわからずじまいか」

 

 

あれから数時間後。調査の結果、いくつか知らない区画を見つけることができた。現在の俺はそれらをまとめて、目覚めた場所で読み終わったところだ。

 

何とか無事だった資料にはいくつかの聖遺物に関するデータが記されていた。しかし、肝心のこの聖遺物に関するデータだけが見つからなかったのだ。

 

どうやらこいつに限らずいくつかの聖遺物も過去に扱っていたようで、それぞれのデータには実験体の名が記入してあった。だがそれらのデータの中に、ここでの俺の名である『B-66』は載っていなかったのだ。

 

 

「だが、結果としてはいい方だろう。これらを手に入れることができれば、さらなる戦力増強も見込める」

 

 

扱える聖遺物が増えれば、さらに皆を守る【奴等を消す】力となるだろう。

 

 

「…………?」

 

 

今、頭に妙なノイズが走った気がするが、特に身体状況に変化はない。気のせいかと思い、改めて考えをまとめることにする。

 

俺が為したいことは、脅威から大切な人々を守る事。そのためには、使用方法が不明の胸元の聖遺物だけでは心もとない。そこでこの資料に乗っている聖遺物を回収し、さらなる力とする事。こんなところだろうか。

 

 

「さて、それじゃあ行くか」

 

 

資料の内容をほぼ頭に入れた俺は、意識を集中させる。すると胸元の聖遺物が鈍く光り出し、身体がゆっくりと宙に浮く。

 

これは捜索中に片っ端から試した結果わかったことの一つで、原理は不明だが機能の一つに飛行能力があるらしい。

 

そう考えているうちに研究所だった残骸から出る。上空から改めてみると、ひどい有様だ。空はこんなにも綺麗だというのに、この地はあまりにも醜すぎる。

 

……ケシテシマオウカ?

 

 

「っ、早く行こう。ついでに他の情報も集めなければ……」

 

 

頭に浮かんだ考えを振り払い、空を駆ける。

 

 

 

 

 

俺の中にある淀んだナニカとは裏腹に、目の前に広がる青空はどこまでも澄み切っていた。

 

 

 

 

 




遺跡侵入&チュートリアル
 ↓
お宝ゲット
 ↓
中ボス降臨
 ↓
お宝起動&戦闘
 ↓
【】BOU☆SOU


こんな感じで

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