試作小説保管庫   作:zelga

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原作公園のシーンで、第3者として彼が登場


しばし放置していたのですが、レクリ全話見たのと感想があったので更新。あと第1話の続きも書き足してあります。


試作その4 第2話

 

 

「うん、いい出来だ。キャラたちの声や動きも、しっかり再現できてる」

 

 

そう呟き、目の前のテレビ画面の中で動いている人物たちを見る。その人物たちは現代とは思えない様々な服装を着ており、そして彼らはお互いに戦っていた。

 

 

「『Unlimited Brade Works』……UBWルートのアニメ化も何とかなりそうだな。まあ前回、散々介入したからなぁー……」

 

 

最初、第1ルートのアニメ化の声がかかってきた時は本当に考えた。その時はまだ完結してから半年もたっておらず、俺自身も成人仕立ての若者だったからだ。

 

俺自身としてはアニメ化はぜひしてほしい。しかし、下手なところに頼んで映像作品としての質が下がるのは絶対に許せなかった。

 

そこで俺は条件を出すことにした。脚本及び原画は自身が担当し、演出及び声優の選抜にも関わらせてくれたらいい、と。

 

 

 

 

 

……いや、新参者が何言ってんだと思うよね、皆。俺だってそう思うくらいだし。だけどここを譲るわけにはいかなったんだ。といっても案の定、そのアニメ化の話はお釈迦になったんだけど。

 

しかしその後声がかかる度にその条件を突きつけていったところ、とあるアニメ制作会社がその条件を飲んだのだ。ちなみに最初に声がかかってから1年後の話である。

 

許可が下りたと聞いて正直俺も驚いた。直接その会社に行き、監督に本当にいいのか? と確認と念押しもしたのだが、向こうはむしろそれを望んでいると言ったのだ。どうやら彼らは俺の作品に心底ほれ込んだらしく、ぜひともウチで作らせてほしい、と俺の両手を握って大声で喋ってたのは今でも覚えている。あまりの情熱に俺も思わず口角が上がるのを抑えれなかったし。

 

その時俺は思ったのだ、ここでならできるかもしれない、と。

 

そんなこんなで動き出したアニメ化計画。当たり前だが、本当に大変だった。自分が当時書いていた続編の執筆に加え、声優のオーディションへの審査員参加、原画に脚本の製作と、文字通り寝る間も惜しんで作業に没頭した。そこに加えて作画チームに演出家、監督との話し合いも連日行っていたのだ。よくもまぁ倒れなかったものである。

 

そのおかげでほとんど前世と変わらない声を付けてもらうことに成功し、構成も練りに練ってついに完成。完成した直後、チーム全員がぶっ倒れて1日中爆睡したのはもはやいい思い出と言うよりも黒歴史の一つだ。もっとぺース配分考えればよかったね。

 

 

 

そしてプロジェクト開始から1年後、放送が開始された。

 

連日徹夜で書き続ける俺につられてしまったのか、作画担当の皆も全力で作業し、2クール作品だというのに劇場版のようなハイクオリティな作画。俺が何度も修正したことで、原作との違和感が完全になくなった脚本に演出。アフレコ現場には必ず参加し、何度も声優の方々と話し合ったことで生まれた、珠玉の演技。

 

 

 

そして半年の期間を走り抜け、その物語は完結した。その年の名作アニメでは堂々の1位を飾ったし、俺たちには莫大な収入が入った。そしてその熱気も収まらぬ中進みだしたのが、今回のUBWのアニメ化である。

 

と言ってもチームは全く変わらなかった上に増員されていたので、今回はさらなる質にこだわってみた。と言っても前回の反省を生かして、夜遅くまでの作業を誰かにさせることは一切しないようにしたが。

 

 

……ん、俺はどうかって? もちろん連日徹夜で練ったよ。ここに手加減をする理由なんてないし、妥協なんて俺自身が絶対に許さなかったからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とまぁそんわけで今回は安全(俺以外)に完了したこの作品。現在放送されているのだが、すでに某掲示板では覇権扱いされている。嬉しいと思う半面、当たり前だと思っているのはファンとしてなのだろうか。

 

はたまた……

 

 

「……さて、続きでも書こう。第4特異点はかなり重要な場所、ここはしっかりと綿密に書き上げなければ」

 

 

頭の中に浮かんだ考えを振り払い、テレビを消す。俺は代弁者、それでいいのだ。

 

今書いているのも俺はソシャゲでしかやったことがない物語。文章化するのは大変だが、だからと言ってやらない選択肢はない程の魅力が詰まっているのだ。

 

 

「このままいけば間違いなくFateは日本の代表作に近づける……。日本中に、Fateの名を響かせてみせるさ」

 

 

そして自室に入り、机に座って原稿に彼らの物語を書き綴っていく。気分転換につけているラジオから流れるニュースをBGMに、俺の夜は今日も更けていった。

 

 

 

 

 

『……次のニュースです。○○高速道路にて車が横転する事故があり、現在調査を進めています。現場にいた方の証言によるとーーー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある公園。今この地で、二つの存在が宙を舞い、剣を振るっていた。

 

 

「言ったじゃないか。ここは神の世界だよ。セレジア殿」

「何を世迷言を!」

 

 

軍服を纏い、いくつものサーベルを操る少女に対し、赤髪の少女ーーーセレジアは剣をぶつけあいながら叫ぶ。いきなりわけもわからぬ地に飛ばされ、元凶であろう白髪の少女に問い詰めたところ、その返答がこれだ。赤髪の少女からすれば、間違いなく眼前の少女の言葉は世迷言であった。

 

そしてセレジアの叫びに対し、軍服の少女は嗤い、さらなる言葉を紡ぐ。

 

 

「世迷言、余が冗談を言っていると? この世界はまごうことなき神代の地だ。胡乱な創造主がひしめき合う、悍ましい別天地さ」

 

 

その言葉とともに追撃を加えるため、鍔ぜりあうセレジアの周囲にサーベルを展開する。。

 

 

「君にもすぐわかる。私の言っている、その意味が…………っ!?」

 

 

しかしその直後、飛んでくる物体に気づき、剣を円状に展開して防御に回る。

 

それは次々と剣でできた盾にぶつかり爆発していく。後退し、その様子を見ていたセレジアは、物体が飛んできた方向を見る。するとそこには司書服を着た少女が、いくつもの魔方陣から砲撃武器を構えた状態で、二人を見下ろしていた。

 

 

「……メテオラか」

 

 

煙が晴れ、その中より無傷の少女はつぶやく。それに対し、少女ーーーメテオラは無言で少女を見つめる。

 

 

「その様子では君の創造主はまだ見つからぬ、か」

 

 

その言葉とともに再びサーベルを展開し、臨戦態勢に入る。

 

それに反応し、メテオラはさらなる追撃を加える。それを見た軍服の少女は空を駆けまわり、その攻撃から身をかわす。

 

いくつかは彼女の防御に阻まれ爆破するが、他の砲弾は標的を逸れ、地面や建物へと迫りーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほぅ?」

「……」

「これは……?」

 

 

ーーー次々に空中で爆散していった。メテオラがそうさせたのかと思いセレジアは彼女を見るが、その表情からどうやら違うらしい。

 

砲弾を次々に撃墜していくナニカは、続いて軍服の少女にも牙をむく。そのナニカが迫ってくるのを感知したのか、軍服の少女は再び剣の盾を展開し、それを防ぐ。

 

しかしその攻撃は2・3発だけ続き、それ以降は影も形も見えなくなった。静かだが緊迫した空気が、3人を包む。

 

 

「……どうやら、今宵はここまでのようだ」

 

 

サーベルを展開し、軍服の少女は二人を見て話す。何をしても対応できるよう、セレジアとメテオラは構えつつもその様子を見守る。

 

 

「騒乱こそ余が望むところだが、力も駒も足りない今では交響曲に雑味が多くなる。荘厳な曲は演き手がそろってこそ、だ」

 

 

言葉が紡がれる中、彼女の外見に乱れが生じる。まるでホログラムが崩れるかのように徐々に彼女は崩れていく。

 

 

 

 

 

「またご挨拶を。セレジア殿。この穢れた世界に変わり、ご歓待申し上げる」

 

 

そして彼女の姿は消え、その場には二人だけが残った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ひとまず落ち着いたか」

 

 

公園から遠く離れたビルの屋上。その角に立っていた者は構えていた弓を下ろす。残された二人の少女は何か話していたが、意見が合ったらしく共に行動するようだ。そう思いつつ、先ほどの戦闘を思い返す。

 

空中移動に召喚魔方陣、さらにはサーベルを用いた多用途戦術。あれは間違いなくこの世界では有りえない現象だ。まだ下調べが足りないので確証はないが、その者はそれを確信していた。

 

詰まる所この世界に表立った異能はない。持っていた手から弓を消しつつ、その者は考える。

 

 

「さて、まずはあの少女を探すとしよう。元の世界へ戻る方法を話してもらわねばな……」

 

 

その言葉の後、その者は霞のようにその場から消えていった。

 

 

 

 

 




次回、まだ何も考えてないっす()

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