試作小説保管庫   作:zelga

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転生した経緯→衝撃の事実に気づくまでの平凡な日常→ラノベ作家になることを決意→現状の報告→原作公園のシーンで、第3者として彼が登場

Re:CREATORSにハマったので、唐突に書きたくなった。
強いて言うなら【Re:CREATORS】と【Fate】のクロスオーバー。

タイトルを付けるのなら【偽作者と贋作者】


※10/3 続き書きました。感想が来るとは思ってなかったよ……







Re:CREATORS
試作その4 第1話


やぁ、こんばんは。

 

こんばんはというのが時間帯的にあっているかはわからんが、少なくともこれを考えている今は夜なので問題ないだろう。

 

誰に話しているんだなんて聞いてはいけないよ? そいつはメタ発言ってもんだ。

 

なんでこんなことを考えているのかというと、今の俺の現状を誰かに知ってもらいたくてさ。少し長い話になるが、暇つぶしにでも聞いてってほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然だが君たちに1つ問いかけたい、【転生】を知っているかな? ……まあ知っているよね。

 

俺が学生だったころから二次小説サイトではよくあるジャンルだ。○○の世界に入ったオリジナル主人公が原作を壊したり壊さなかったりしつつ、その作品の登場人物たちと関わっていくというジャンル。確か俺がこの世界に来る少し前だと、公式コミカライズで転生系統の物語があった気がする。まあそのくらい、今の世の中ではメジャーなジャンルに含まれているということなのだろう。

 

 

 

さて今サラッと言ってしまったが、俺はその転生を経験している。所謂転生者と言うやつだ。

 

それまでの流れは本当にテンプレと言えるものでね。いつも通りの社畜生活が一段落し、さあ飲みに行こうと会社を出た途端にトラックにゴシャッ!だ。

 

そして気づけば白い空間、目の前にいる白い衣を纏った爺さんに「お主は死んだ。じゃがそれは家の若いもんのミスで、お主はもっと生きる予定だった。そこで、本来生きていける年数分別の世界で暮らしてもらう」と言われたんだ。

 

 

 

な、笑ってしまうほどテンプレだろう? しかもその転生先は明言できないがアニメの世界で、特典も付けてくれるというテンプレセットだ。

 

もちろん俺はその話に食いついた。そして特典は『その世界で生きていけるだけの力を持つ能力』にした。曖昧なので何が来るかはわからんが、これならどんな世界でも生きていけると思ったからだ。

 

そして俺は無事に転生を果たし、この世界に一つの命として生まれた。そしてーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー何事もなく18年が過ぎ、俺は無事に平凡な大学への合格判定をもらった。

 

いやあ、高校3年生を迎えたあたりで薄々感づいてはいたんだけどね? やっぱり心のどこかでは諦めきれなかったのさ、原作への介入を。

 

 

 

そう。詰まる所、どうやら俺はこの世界への物語には関われないらしい。

 

幼稚園児の頃はどんな特典になるか日々考えていた。小学生の頃は積極的に外出した。中学生の頃は周りとは違う人間がいないか観察し続けた。高校生の頃は前世の記憶を掘り返し、現状と関わりがありそうな物語を思い返した。

 

これらはすべてこの世界の重要人物たちと出会い、その行動を観察したいという俺の願いのために行ったことだ。

 

 

 

だがその結果は全て徒労に終わった。

 

周りにはそれらしい人物はおらず、異世界なんかもなく、異能なんてものもなかった。裏の世界には何かあるかもしれんが、ごく普通の家庭に生まれた俺にその世界に関わるすべはなく、きっかけとなりそうなイベントも起こらなかった。

 

 

 

まあショックだったね。当時の俺は自分のことをオリ主だと考えていたし、原作には必ず関われるものと思い込んでいたから余計にクるものがあった。実際のところ、それを自覚した日には一日寝込んじゃったし。

 

 

そして1日中布団の中でず~~~っと考えていた。そしてようやく受け入れることができたのさ、自分の立ち位置って奴を。

 

事実あの爺さん(多分神様)は転生先がアニメの世界だという事は言ったが俺が関われるとは言っていないし、俺もそのことを確認していないんだ。結局は浅はかだったんだろうね、俺の考えは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……とまぁそんな感じで何とか立ち直り、この世界に生まれた一般人としての生活を決意したわけだ。これにておしまい…………になるのならこんな振り返りはやらないね、うん。

 

そんなこんなである意味生まれ変わった俺は、普通の大学生活を送ろうとした。原作に関わることに躍起になっていたのを諦めたのが功を奏したのか、ずいぶんと肩の荷が下りたように感じたのだ。そこで前世の趣味だったことを再びやろうと思い立ったのだ。

 

前世の趣味、それは漫画にゲーム、アニメ等々……前世でも今世でもそれを公に言うとオタクと分類されそうなモノたちである。その中でも俺はとりわけノベルゲーと呼ばれる物たちが大好きだ。幸いにも前世であったコンテンツのほとんどが今世にも存在しているので、楽しく過ごすことができていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そう、できていたんだ。あの事実に気づくまでは。

 

 

 

最初は偶然だと思い、気にも留めなかった。次第にそれに対し違和感を抱き始めた。そしてそれはぬぐいようのない不安へと変貌した。

 

そしてある日、頭の中でそんなはずがないと何度も反芻しつつパソコンを立ち上げ、いくつかのワードで検索を行った。

 

 

 

 

 

そして、俺は二度目の絶望を味わった。

 

俺が検索したキーワードは【Fate】、【型月】、【奈須きのこ】、それに当てはまるものが何一つなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーつまり、この世界には【Fate】というコンテンツは存在していなかった。

 

 

 

前世で最も好きだった作品がない、その事実は俺を愕然とさせるには十分だった。

 

いや本当に焦った。名前を少し変えながら何度も検索したが、全く引っかからない。似たような物語はもない。完全に存在していないのだから。

 

 

俺は必死に考えた。理由は色々あるのだが、結局のところこの世界に【Fate】というコンテンツがないことを認めたくなかったのだろう。そして考えに考え、出した結論は一つだった。

 

 

 

 

 

俺が送りだすしかない。Fateという物語を。幾万の英雄たちが集って紡ぎ出す、あの素晴らしい物語を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこからはもう必死だったね。とにかくいろいろなことをやったよ。

 

まずは原作の内容、そこで登場する文章すべてを書きこみ、保存した。そしてキャラごとや世界観など、覚えている限りの設定をまとめていった。さらに原作の絵柄を表現するために絵の勉強をし、何枚も何枚も絵を描いて練習した。幸いなことに俺にはその手の才能があったようで、ほとんど苦労することもなく、2年も経った頃には基本的にうまく再現できるようになった。

 

……いや、幸いと言うよりは運命だったのかもしれない。恐らくだが例の特典が機能しているのだろう。まさかあれ程望んだ力をこういう形で使うとは思っていなかったけどね。

 

 

 

そして講義は単位が取れるギリギリで受け、それ以外のすべての時間を費やして2年。完全に再現できたと自負できる原作第1作の第1ルートの小説プロットと挿絵が完成した。

 

 

 

 

 

はい、今みんなは疑問に思ったのではないかな? その通り、俺がまず作ったのは小説だったのだ。

 

本来なら原作の最初の作品はゲームなのだが、俺はそっち方向はからっきしで再現できなかった。誰かの力を借りれば再現できるかもしれないが、俺はこの作品を自分の手で再現したかったため、ゲームで作るのを諦めたのだ。なぜならあの作品を知っているのは俺だけであり、それを知らない誰かの介入を受けたくなかったから、という理由があったのだが。

 

 

 

 

 

そして次に行ったのは親の説得と持ち込み用の小説の作成だ。

 

親への説得は大変だったが、今まで自分の欲を出してこなかったせいか初めて出すお願いにむしろ賛成だった。ただしやはり収入などの懸念があるそうなので、大学にいる間、つまり後2年でなにかしら結果が出なかったら諦めるという条件付きだったけどね。まあ許可をもらえただけありがたいものだ。

 

そして持ち込み用の小説、これはオリジナルで書いた。と言っても内容は過去の英雄が現代によみがえり、現代人と交流し、協力して敵や同じく過去の英雄である黒幕と戦うといった、どこかで聞いたような内容なのだが。

 

正直なところ、これは前座用の作品だ。持ち込み用はあくまで様子見であり、そこにあの小説を持ってくる気はなかった。さらに『過去の英雄の現代入り』や『違う物語出身の英雄のぶつかり合いや価値観の違い』の要素を混ぜることで相手に俺の作風を理解し、協力してくれるかを見極めたかったのが目的でもある。

 

そんな訳で数社に持ち込んだ結果、とある1つの会社から担当を付けてもらうことに成功した。この時はとりあえず第1段階が完了した事でホッとしたのを覚えている。

 

 

 

 

 

だが今はまだスタートラインに立っただけ。本番はむしろここからである。

 

そして担当の方との初めての会議の日、僕はあの小説の原稿すべてを持ちこんだ。まさかこれからどんなのを書いていくか決める会議で完成された原稿を持ちこんでくるとは思っていなかったのだろう、担当の方は驚いていたが、それでも目を通してくれた。

 

刻一刻と過ぎていく中、担当は原稿を真剣に読んでくれていた。俺はその様子を緊張しながらジッと見る。あの時ほど、心臓の音がうるさいと思った事はないね。

 

そして目を通し始めてから数時間たち、持ち込んだ時には昇っていた太陽が夕日へと変わっていくころ。そのすべてを読み終えた担当はふぅ、と息を吐いた。そして頭に手を置き、薄く笑う。

 

それを見て俺は聞いた。どうでしたか、と。それに対し、担当の返答はこうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、これは驚いた……君は天才かもしれないな」

 

 

その言葉を聞き、思わずガッツポーズをしてしまったのはいい思い出と言うべきか。まずは一人、目の前にいる人だけだがこの作品を認めてもらうことに成功したのだ。嬉しくないはずがなかった。

 

そこからこれで出版できるよう話し合い、いきなりだが単行本を出すことに成功した。些か上手く行きすぎな気もしたが、それほどまでにこの作品は魅力にあふれているのだとも思っていたっけ。

 

 

そしてーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーそして第1作『Fate/stay night』はデビュー作であり代表作となった。その分岐世界である『Unlimited Blade Works』や『Heaven`s Feel』、過去の物語である『Zero』に、平行世界での未来の物語である『EXTLA』も完結。今や日本を代表するラノベ作家の一人になりましたー、っと」

 

 

そう締めくくり、茶を啜る。いやはや、決意を固めてから早7年。気づけばこんなところまで来てしまったか。

 

そう思いながら視界の端に写った棚を見る。そこには今まで取ってきた賞が飾られてあった。その賞状には日本だけでなく、外の国で貰ったものも混じっている

 

 

「ひい、ふう、みい…………改めて見ると、結構な数だね」

 

 

その賞状の数、それはすなわち『Fate』という作品がどれだけ世界に認められているかが分かる指標でもある。これだけの数を見ていと、ファンとしてとても良い気持ちになるというものだ。

 

 

「……ファンとして、か」

 

 

自分が思ったことを、思わず繰り返し呟く。

 

視界に写るいくつもの賞状、それらにはもちろん俺の名が刻まれている。だがそれを見ても俺の中に自尊心や自信は生まれない。いや、生まれてくるわけがない。

 

 

「……俺はあくまで代弁者だ。Fateはあの人の作品であって、俺のじゃない」

 

 

わかっているし、覚悟も出来ている。別に俺の作品にしようと思ったことなんて一度もない。まぁ、それでも少し思う所はあるわけで。

 

 

皆が称賛の言葉を俺に送るたび、それを受け取るのは俺ではないと叫びたくなる。俺はただあの人が描いた物語を写しているだけで、俺自身は何もしていないと暴露したくなる。

 

 

まぁそれらはしたくなるだけで、するつもりはない。ここまで来た以上、俺には覚えている限りの作品を完遂させる義務がある。

 

EXTEELAにプリヤ、アポにFake、etc、etc……本当にまだまだたくさんの魅力が、この作品には詰まっている。こんなところで立ち止まっているわけには「ppp……」……っと。

 

 

「もしもし?」

『須田先生ですか? 次回作である【Grand Order】についてなのですが……』

「あぁ、はいはい。少々お待ちを……」

 

 

そんなこんなで俺の仕事はまだまだある。一息つくときなど、まだまだ先だろう。

 

そう思いつつ俺は今の担当の方との話し合いをすべく、自分の部屋へと戻っていった。

 

 

この世界で俺がすべきことは見つけた。後はそれを完遂するだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さぁ、始めよう」

 

 

ーーーその日、俺の運命は動きだす。

 

 

 




≪物語の流れ≫
・主人公、転生。アニメの世界だと聞き、特典をもらっていざ転生したが大人になってもそれらしきイベントに遭遇できず、関われないと諦めている。
 ↓
・趣味はアニメ漫画ゲームで、今世もそれを続けていたが、前世で存在したコンテンツがほぼあるのになぜか一番好きなFateシリーズだけがなく、絶望。
 ↓
・ないならば作ってしまおうと考え、大学を卒業してから前世の記憶を頼りにFateシリーズを作成していく。原作をラノベとして出し、構成及びイラストは自身一人で担当。(原作を完全に再現したかったから)
 ↓
・現在はSN、Zero、Extraを完結させ、FGOを小説として製作中。またSNの3ルートすべての映像化が決まり、現在はSNのUBWルートが放送中である。
 ↓
・この世界の原作が始まり、彼がこの世界に降り立った。

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