この試作その3は『なんてことのない、とある喫茶店兼居酒屋の物語』を移してきたものになります。
いやはや、こういう類は全部ここで書こうと思ってこの倉庫を作ったのにそれをすっかり忘れてしまうとは・・・(´・ω・`)
まぁ、のんびり更新していこうと思います。
試作その3 第1話
やぁ。
さて突然だが、皆様は『転生』と言うものをご存じだろうか?
・・・まぁ聞くまでもないだろうな。こういう類の二次小説は今まで星の数ほど生まれてきているわけだし、これからもその類は山ほど増えていくことだろう。
では単刀直入にいうが、私はその『転生』をした。いわゆる転生者だ。
前世で死んだ理由は事故死だったらしい。これまたテンプレな神様(見た目おじいちゃん)が懇切丁寧に説明してくれた。そして転生させてくれた理由だが・・・それは私自身のとある呪い(欠点)が理由らしい。
その理由はここでは省く。ともかくそれのせいで元々決まっていた人生とは大分違う方向に行ってしまったため、それの修正をおこなう必要があり、転生させるとのことだった。
正直そこでなぜ転生なのかはわからなかったが、面倒な事には首を突っ込まないのが吉かと思い、私はそれを受諾した。
そこからはトントン拍子で話が進んだのだが、最後にとある問題を私は抱えた。
それは、転生特典だった。
正直転生先のことを考えると、特にこれと言った特典はいらないと私は思っていた。さらに原作に介入するつもりもさらさらないので、余計に特典の需要は低くなる。
なのでいらないと言ったのだが、神様が言うには『転生者には平等に3つの特典を与えるのが決まりだ』とのことらしい。
さぁ困った。そして数分考えた結果、私は以下の3つに決めることにした。
1つ目、転生先の自身のスペックは前世と同じにすること。
2つ目、1つ目の願いに関して私にかけられた不備だけは修正しておくこと。
3つ目、向こうの世界で神に一度だけ願いをかなえてもらう権利。
3つ目に関してはただ単に保留ということだ。まぁ物は言いようということで、神様にはこの内容で許可してもらった。
こうして、単に人生やり直せると思っていた私の新たな人生は始まったーーー。
日が昇ってしばらくたち、時間は昼近くといったころ。
とある場所にあるお店。その厨房で、一人の男が火のついたコンロの上で片手でフライパンを持ち、ヘラを使って野菜を炒めていた。
「デザートは用意できたぞ。・・・む、まだか? ランチに間に合わないぞ?」
「問題なし、このままやらせてくれ」
厨房の入り口から別の男性が声をかける。それに対してフライパンを持った男性はそう返して作業を進めていく。
そして2分後。フライパンの火を止め、隣で弱火で煮込んでいた鍋の蓋を開ける。すると、そこからスパイスの良い香りが厨房に広がっていく。その中身は、カレーだ。
「こっちも準備オッケー、っと」
そこに男はフライパンの中身・・・飴色になるまで炒めた玉ねぎを投入していく。すべていれ終わり、その後は仕上げと味の調整をするだけなので、そこからカレーが完成するまでは早かった。
そして完成したのであろうカレーをお玉で少しすくい、小皿に入れて味見をする。
口に含んで数秒後、男は満足そうな笑みを浮かべる。どうやら思い通りの味になったようだ。
「・・・うし、オッケー。そっちはどうだ?」
「問題ない。いつでもいける」
男の問いに対し、厨房の入り口に立っていたもう一人の男性は答える。どうやらすでにあらかた準備は終えていたようだ。
それを見て男は『相変わらずハイスペックなことで・・・』と自身の仕事仲間について心の中でそう呟いた。
「こんにちはー!」
先ほどまで男二人しかいなかった空間に女性の声が響く。そして厨房の出口・・・つまりは裏口から男のもう一人の仕事仲間が制服を着て入ってきた。
「お、来たな・・・。と、もうこんな時間か」
そう言って厨房から出てお店の入り口を開け、簡易メニュー付きの看板をそこに置いた。そして振り向き、そこから見える空を見る。
「うん、今日もいい青空だ。本日も頑張っていきますか!」
そう言って男・・・私は、店の中に入っていった。その入り口の上には大きな看板があり、店の名前がでかでかと書いてあった。
ーー『たるき亭』、とーー
これは原作介入するつもりはさらさらなかった私が、妙な形でさまざな原石や宝石たちと関わっていく物語である。