黒子のバスケ ー影と光を助けた太陽のキセキー   作:フリュード

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申し訳ございませんでした。約1年ぶりの投稿です!!!


第11Q 再会

初戦の教律戦を100点ゲームで大勝した誠凛高校はその後も危なげなく勝ち続けた。

 

そして・・・

 

予選トーナメント 準決勝

 

【誠凛】98-80【島村】

 

水島・木吉・日向の3本柱の活躍によりそこらの高校では今の誠凛を止める手立てはない。

 

木吉にダブルチームをするものなら水島と日向がインサイドとアウトサイド(3Pシュート)から攻めまくり、逆に水島や日向でも同じである。

 

「くそっ・・・くそっ!!!」

 

残り時間10秒の中、島村の選手は悔しさのあまり悔しさが声となって出てくる。が、太刀打ちすることもままならない。

 

「・・・・水島!」

 

伊月はドリブルをしながら周りを自らの能力である鷲の目(イーグル・アイ)で確認し、45度の位置にいた水島にパスを出す。

 

「・・・・よっと。」

 

「は?」

 

パスをもらった水島はすぐさまゴールに向けてシュートを放つ。

 

「3Pシュート?・・・」

 

「いや違う!パスだ!ゴール下固めろ!」

 

突然のシュートに島村の選手は困惑の表情を浮かべる中顧問から怒鳴り声が飛ぶ。

 

「くそっ!」

 

「はは。水島も人使いが荒いなっと!!!」

 

木吉は水島への愚痴をこぼした後ダブルチームをものともせずにゴール付近に来た水島のシュートをジャンプしながらキャッチし、豪快にゴールにぶち込むことでアリウープを完成させた。

 

「うわぁ!!!」

 

ブーーー!!!

 

木吉がアリウープを決めるのと同時に試合終了を告げるブザーが鳴り響く。

 

「おおおおお!!!」

 

「誠凛高校、予選トーナメント決勝進出だ!!」

 

「よっしゃぁああ!!」

 

試合終了が終わった瞬間、誠凛高校の部員は歓喜の声をあげる。

 

「・・・ふぅ。何とかこれまで来たか。よかったよかった。」

 

水島は歓喜をあげる部員の中、ふうと一息ついた。

 

「・・・!」

 

周りを見れば一瞬ハイタッチをしようとするも寸前でやめる日向を見て苦笑する木吉や伊月と水戸部にはしゃぎまわる小金井がいた。

 

「ははは・・・・・・木吉・・・」

 

水島はその光景を見て微笑むとともに木吉のほうを見る。木吉を見つめる表情は笑みを浮かべていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くあぁ・・・・はぁ~あ。」

 

「ふふっ。欠伸すんなよ水島。」

 

水島は夜の道を歩く道中、欠伸をする。欠伸をする水島を見て伊月は苦笑した。外は夏に近づいているせいか暖かく感じた。

 

試合後、軽いミーティングをした後帰ることとなったが木吉は日向と、小金井は水戸部と帰ったため水島は伊月と一緒に帰ることにした。

 

 

「しかし1年から予選リーグの決勝に進出できるなんて嬉しいな!」

 

「そうだな。お前ら3人がいるだけでも心強いよ。いよいよ俺も負けていられないな。」

 

笑顔で伊月に話す水島に対し、微笑みながら決意を口にする伊月。

 

「まだ俺たちは2年ある。これからじっくり強くなればいいと思うぜ。」

 

そんな伊月にポケットに手を突っ込みながら空を見上げて穏やかな表情で水島は言う。

 

「・・・・・・俺、誠凛に入ってよかった。」

 

一通り話し終えた後水島がふとそんなことを言い始めた。

 

「え?どうしたのいきなり。」

 

 

「・・・中学校と違って楽しくプレーできるのが嬉しくてしょうがないんだ。」

 

「でも、帝光のほうが勝てるだろ?勝ったほうが長くプレーできるし・・・」

 

「分かってないなぁ伊月は。」

 

伊月の問いに水島は苦笑してから伊月のほうを向く。

 

「勝つことだけが大事じゃないんだよ。負けて気づくこともあるし、勝っても負けてもその試合で出た課題を次に生かすことがどのスポーツの醍醐味なんだよ。でもな、帝光の()()は勝つことが当たり前になっちゃっている。あれじゃただの作業だよ。」

 

「おいおいおい。言いすぎだろ。」

 

水島は額に青筋を立てながらぼろくそ言い放つ。水島の母校批判が止まらない。

 

「俺よくクソメガネのコーチと揉みあいになってたよ。けど監督が降格させなかったから何とか首の皮一枚つながってたけど。」

 

「く、クソメガネ・・・・ははははは!!!ぼろくそ言うな水島!」

 

「それよく言われる!でもな・・・」

 

水島の悪口に伊月が耐え切れず大爆笑してしまい、水島がそれに続くように笑った後再び空を見上げる。

 

「好きなことはいつになっても楽しくやりたいんだわ。」

 

「水島・・・・それって・・・」

 

頭に腕を組みながら言う水島に伊月はそう呟く。その発言はどこかで聞いたようなものだった。

 

「木吉もあの時言ってたやつ。帝光のやり方ってプロになるための英才教育だと考えればあながち間違っちゃいないんだ。でも俺はどんな強豪校でも、いくつになっても楽しくやりたい。」

 

「・・・そうだよな。それはバスケとは言わず色んなスポーツをしている人って誰もがそう思うことだと思う。」

 

水島の考えには伊月も同意した。やはり1人のスポーツマンにとっては「勝ちに行くこと」と同時に「楽しくやりたい」と思うことも確かなのだ。

 

「そうそう。でもただ楽しくやるだけじゃ上手くならないというのも事実だな。」

 

「え?それじゃどうやったら上手くなるんだよ。」

 

伊月は水島が言ったことがわからず聞き返す。

 

「『勝負事で、本当に楽しむためには強さが要る。』・・・」

 

「ん?それは木吉も似たようなこと言ってたな。教えてよ。」

 

木吉も似たこと言っていたが、その時は分かるようで分からない言葉だった伊月はそう言う。

 

「・・・楽しく勝つには考え抜くことが大事なんだよ。PG同士分かるだろ?」

 

「!!!!・・・・そうだね。」

 

「『楽しく勝つ』ことと『遊ぶこと』は違う。何も考えずやるのでは馬鹿がやることだ。自分でイメージして、そのイメージ通りの展開になったときに始めて『楽しい』と感じるんだ・・・ってね。」

 

「・・・奥が深いな。」

 

水島の言葉に伊月はそんなことを考えていたのかと感銘を受けた。

 

「だろう?だから頭がパンクしない程度に最初イメージするんだ。味方の動き、自分の動き、敵の動きを・・・自分が仕掛けたら相手がこう動くと思うから自分はパスをするんだ・・・ってね。」

 

「・・・・すごいとしか言えないな。はっ!『三枚目の、さんまイメージ。』きたこれ!」

 

「今日は伊月を三枚おろしして刺身にするか・・・・」

 

「さりげなく怖いこと言わないでよ!」

 

「冗談だよ!・・・けどそこまでの事をするには全員でイメージを共有することから始まるんだ。一人でやってもワンマンプレーにしかならないからな。」

 

「そうだね。バスケは1人でするものではない・・・」

 

「そゆこと。どのスポーツも人間ピラミッドみたいに出来ている。誰かが欠ければきれいなピラミッドはできないってね・・・・最初は簡単にはできないことだけども・・・」

 

「もしできるようになったら誠凛はレベルアップするな!」

 

「全国にも恥じない最強のチームになるな。そうできるように2年半頑張ろうぜ伊月。」

 

水島は笑顔で伊月に言う。絶対に勝つため・・・その意思がこもった笑顔だった。

 

「・・・そうだな!・・・んじゃ、俺こっちだから。」

 

伊月はその意思を受け取った後目の前のY字を水島とは反対の道へと歩き出す。

 

「おう!じゃあな伊月!!」

 

そう言い水島は伊月と別れて帰路までを一人で帰る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・今日は風が気持ちいいな。」

 

水島は夜風を前身にあたりながら住宅街を歩く。当たる風が気持ちよかった。

 

 

 

 

 

「・・・帝光では楽しむことが出来なくて日々ががむしゃらにあがく日々だった。そんな日々がつまらなかった。だから・・・誘ってくれた木吉のためにも、俺が貫いてきた考えが間違っていないことを証明する・・・!」

 

風が当たる中、水島は一人決心をし帰路に就いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおーーー!!!すげーでかい!」

 

迎えた決勝トーナメントの日。夏が近づいているおかげか半袖が目立つバスケ関係の人達と目の前に立つ大きな体育館に小金井が目を輝かせる。

 

「コガーそっち第2体育館だよ。」

 

「そうだぞ。俺らが今から行くのはあっちの第1体育館。」

 

水島が目を輝かせている小金井に教えると伊月も同じようなことを言い、第1体育館のほうを指さした。

 

「あ、あっちか・・・ってあっちもでかい!」

 

小金井が水島たちに教えられ第1体育館のほうを向くと第2体育館よりもひときわ大きい体育館に再度驚く。

 

「いやぁ、数年前までバレーの春高の会場だったくらいだからなー大きいぞ。」

 

「うへぇ、やっぱすげーや!てか何で第2体育館のほうも人が多いの?」

 

水島の説明を聞いた小金井は感嘆の声をあげた後何故第2体育館にも人が大勢いるのか気になった。

 

「あぁ、今中学校の大会やっているな~えーと、組み合わせは・・・・っっっ!!!」

 

日向が体育館付近に立ててある看板を見ると中学生の全中予選の組み合わせが書いてあったので見てみるとその中に()()学校名が書いてあり目を見開いた。

 

 

『帝光』

 

「日向?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日向が何も言わないのを気になった水島が日向に声をかけようとすると体育館の扉からバスケジャージを着た集団が出てきたのを確認できた。

 

水島も着た覚えがある伝統の白色と水色のジャージ・・・帝光中学校だった。

 

「・・・おっ・・・」

 

帝光中の姿を確認した水島はそう呟くがその姿勢と態度を見て表情をなくす。

 

「ったく信じらんねー今日たったの42得点だぜオレ。」

 

「ふざけるな。むしろボールを持ちすぎだ。」

 

濃い青髪の細目が特徴的な少年がだるそうに言うと緑髪の眼鏡をかけた高身長の少年はぴしゃりと言い返す。

 

「てかもっとオレにもボールを回してよー」

 

「どーでもいーよ・・・たるいなー」

 

黄髪のチャラけた少年がポケットに手を突っ込みながら言うのに対し紫髪の少年は菓子を食いながらこちらもけだるそうに言い返した。

 

「ムダ口をたたくな。帰ってすぐミーティングだ。」

 

 

 

・・・行くぞ!

 

 

 

そんな4人を制するように赤髪のオッドアイが特徴的な少年がそう言うと、帝光中バスケ部は集団で列を作って日向たち誠凛高校の前を横切る。

 

「・・・・」

 

それを見た誠凛のメンバーが見つめる中、水島は無表情を貫く。その表情は怒りに満ち溢れているかのようだった。

 

「ね、ねぇ・・・水島って先輩なんでしょ?」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・?水島?・・・ひっ!」

 

小金井がそう言うが、水島は答えずただ帝光メンバーを睨みつける。答えない水島に小金井が不審が思い水島の顔を見た瞬間、その表情に小金井は後ずさった。

 

「ちぇ~・・・・ん?」

 

すると、黄髪の少年が水島の睨んでいることに気づき、足を止めた。

 

「なんすかアンタ。そんなに睨まないでくれるっすか?」

 

「・・・・・・あぁ、悪いな。あまりにも強豪ぶるからつい。な。」

 

「お、おいおい!何してるんだよ・・・」

 

黄髪の少年が水島に絡むと水島は睨みの表情を止めず言い返し、不穏な気配がし始めたので日向が小声で水島に言い始める。黄髪の少年が絡んだことで帝光も足を止める。

 

 

 

 

「あれぇ~凡人の僻みですかぁ。ウザいんで後にしてくれます?」

 

「・・・・は?」

 

「・・・!!!・・・あの馬鹿・・・・!」

 

黄髪の少年が煽りを入れる。緑髪の少年はこの時初めて水島を見たのだが、すぐに気づく。

 

「・・・・どうする峰ちん?」

 

「・・・・・・し~らない。あの人にかかわるとろくな事無いし。」

 

紫髪と青髪の少年もすぐに気づくが、われ関せずを貫く。

 

「・・・・はぁ・・・」

 

赤髪の少年も気付いてため息を一つはいた。

 

「・・・・・はぁ。」

 

「きーちゃん・・・」

 

水色の髪の少年と桃色の髪の少女もすぐに気付き、溜息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・日向。先に行ってて。こいつしめてからすぐ向かうから。」

 

 

 

水島は日向のほうを向いていった。言った時の水島の表情は・・・形容しがたいほどの無表情だった。

 

 

 

「こわっ。」

 

水島の表情を見た木吉は若干顔を引きつらせながら言う。あの温厚で有名な木吉でもさすがに驚く。

 

「お、おう・・・じゃ、待っているぞ水島。」

 

「・・・・・え?」

 

日向も同じくひきつった表情をしながら水島の名前を言い水島以外はその場を後にした。日向が水島の名前を言った瞬間、時が止まったかのように静かになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・さーて、()()の俺が直々に指導してやるか。リョータァ・・・」

 

「ま、待って水島っち!?そんな知らなかったんすよ!?」

 

「は?この期に及んで言い訳か。どうなんだシン?」

 

水島はこめかみに青筋を立てて、それはそれは黒ーい笑顔で緑間に質問を投げかけた。

 

「・・・報いは受けるべきなのだよ黄瀬。」

 

「そ、そんな!?皆!?」

 

「・・・・」

 

緑間に裏切られた黄瀬は涙目になり、他の皆に助けを求めるが顔を背ける。助ける味方はどこにもいなかった。

 

「最近編み出した技があるんだ。今日はそれを・・・」

 

「ちょ、やめぎゃああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

 

あたりに黄瀬の悲鳴がとどろいたのだった・・・・・

 




今後も亀更新かもしれませんがよろしくお願いします。さて、アイツの件どうしようかな・・・?オリ展開は難しいな・・・

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