あぁ、ムリヤリ感半端ないなぁ…
※これは霊夢が倒される前の日のことである…
「ふんふんふふんふーん」
葉は紅魔館の一室…絆と葉、二人で一緒に暮らす広い部屋の掃除をしていた。鼻歌を歌いながら、ご機嫌に。
それもそのはずである。何故なら…
「…今日は絆さんが帰ってくる日ですから」
葉はすごく掃除は上手だ。妖精メイドに比べたらの話だが…それに時々ドジもする。それでも精一杯謝れば、気持ちはきっと伝わると信じている。
…今はお嬢様たちに挨拶をしているそうですから、もう少ししたら戻ってくるはずです。
そんなことを思っていると、急に部屋のドアが開け放たれ、涙目の絆が葉に飛び付く。
「葉、ただいまです!寂しかったですよー!」
「わわっ、絆さん。お帰りなさい、絆さん!」
やっと紫に言われていた作業が終わり、絆は紅魔館へと帰ってきた。
長い長い結界の管理作業。その作業に、絆と式神コンビは数日かかっていた。その間ずっと葉のことが気になって仕方がなかった。そしてすごく寂しかった。
だから帰ってくるなり絆は涙目で葉にとびついたのだ。
そんな絆に、葉は笑顔でお帰りなさいなさいといいながら抱き返す。絆は葉の、葉は絆の温もりを感じていた。
このように、誰もがいつも通りの日常をすごしていた。
だからこそ、次の日に突然異変が起きているなんて知るよしもなかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
《幻想五光輝》
side△=0
「…まさかとは思うが、本当にアレを叫ばないといけないのか」
△=0は深くため息をついて、頭を抱えた。
何故こうなったのだ、何故自分があんな恥ずかしいことを言わなければいけないのだろうか…
でも恥ずかしがっても仕方がない。これも組織のためだ、と腹をくくる。
少なくともここで叫んでも誰にも聞かれないだろう。
こんなふうに断言出来るのは何となく、勘である。
仮面をつけていたら叫べないだろうと、仮面は外した。
タイミングは…3,2,1,今!
「ゆっかりーーーん!!」
声を張り上げ、おもいっきり精一杯叫ぶ。
「はーい!」
すると突然視界に女性があらわれる。右手をまっすぐ上げて、呼ばれて返事をしたかのように。
現れた女性は八雲紫、もちろん《東方守絆然》の八雲紫である。
「…ふざけているのか?」
△=0は殺気を放って紫に告げる。が、紫は殺気に怯むこともなく言い返す。
「いいえ、別にふざけてなんていないわよ?正体を知りたかっただけよ。仮面をつけたまま叫ぶわけにもいかないでしょう?」
ふざけているようでふざけていないとしった△=0は安堵の表情で話す。
「流石は幻想郷の管理人だ。まず、集合予定時刻は……………」
これは今回の作戦についての話だ。失敗するわけにはいかない。緊張した雰囲気がながれる。
全ての話を聞き終えた紫は、了解と言い残して去っていく。これを見送った△=0もどこかへ去っていった
霊夜は絆を知る人に声をかけてまわっていた。Эと協力することに反対する者もいたがなんとか説得をしたようだ。
そして集まった異変解決組は集合場所、博麗神社へと集まる。といっても、絆の存在を知る者達しかいない。
集合時刻の5分前に、私は姿をあらわした。
そして集合時刻の午前零時頃…
いくつかの人物の足元に突然スキマが開かれ、大きな叫びとともに落ちていく。それはあっという間の出来事だった。
落とされたのは
「…絆と繋がりのある外来人のみ、異世界へと旅立ったようだな。」
その場に残された私は、スキマに落とされた人物の共通点に気がついた。そして思う。
ーー残された者達は心配そうにしていたが、きっと大丈夫だろう。この者達ならなおさら…
直感にも近いこの思いとともに、私は姿を消した。