東方 守絆然   作:reira

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4面ですが、今回はバトルはありません。たまにはいいよね。


~仕事の善行~

三途の川のとある場所

 

「みつかった~?」

 

「…全然」

 

「まぁまぁ気楽に探そうよー!」

 

三人の少女達がうろうろしながら探し物をしていた。そのことに気付くものはいないーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって河のほとり。

 

「よーし、今日のノルマはこの位かなー。」

 

三途の水先案内人、小野塚小町は珍しく仕事をしていた。

 

「んー、まぁたまには残業もするかねぇ。」

 

珍しいこともあるものである。普段は何処ぞの門番みたく仕事をさぼって寝ているのだが。

そしてその様子を見て顔を青ざめる少女が一人。

 

「……小町、大丈夫ですか?何か悪いものでも食べました?」

 

四季映姫・ヤマザナドゥ。閻魔様で小町の上司にあたる。

 

「閻魔様はあたいをなんだと思っているんだい?」

 

「職務怠慢のサボタージュ」

 

即答だった。

 

「閻魔様も人間みたいなこと言うんだねぇ。」

 

「いえ、いいのですよ。今あなたがしていることは善行なのですから。グスン」

 

そう呟く閻魔様の眼からは涙が溢れていた。

 

「え、閻魔様!?」

 

「いえ、大丈夫ですよ。私はうれしいのです。小町がしっかりと仕事をしてくれていることが」

 

「閻魔様…」

 

小町が何故仕事をしているのか。それは数日前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Zzz...Zzz...」

 

小町は普段通り仕事をさぼっていた。雪が降るなかでも寝るとは、レティもびっくりだろう。

 

「すみませーん。もしもーし。」ユサユサ

 

「ううん、なんだい。人が寝てる時に…」

 

起こされて目を開けると、そこにはメイド服の子がいた。こりゃまだサボれそうだ。

 

「驚いた、メイドさんかい?」

 

「はい。と言っても今日は休んでいますが…」

 

メイドに休みがあるのか。

 

「その話、詳しく聞かせて貰えないかい。」

 

彼女はもちろん、といって話を聞かせてくれた。植物異変の話、付き合ってる人の話、仕事の話…

 

「今更だがあんた男かい?」

 

「すごく今更ですね…」

 

仕事の話でやっと気づいた。

 

「それは仕事着だろう?男なのにそんなの着せられて仕事とは、楽しいのかい?」

 

「はい!物凄く楽しいですし、僕にしか出来ませんから!」

 

彼女…じゃない、彼は大きな声で楽しいと言った。なぜだろう。

 

「そうかいそうかい。何処が楽しいんだい?」

 

「お掃除やお洗濯は綺麗にしたらピカピカになるんですよ!お料理はみんな美味しいって言ってくれます!」

 

…当たり前じゃん。

 

「それの何処が楽しいんだい?」

 

その質問に彼は笑顔でこたえる。

 

「みんな喜んでくれますから!」

 

その答えにハッと気付く。

 

私がサボって誰か喜んでくれた人はいるのかーーー

 

 

 

そう、誰も喜んでなんていないのだ。仕事したら閻魔様も喜んでくれるかな?

 

「…そうかい。じゃああたいはそろそろいくよ。」

 

「あ、ありがとうございました!」

 

「こちらこそ。おかげさんで大事なことに気づいたよ」

 

「では!」

 

そうして彼は去っていった。

 

「…話を聞くつもりが聞かされるなんてね。よし、仕事するか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仕事をする小町の上空を紅白の巫女が通っていく。

 

「もう似てるなんて言わせないぞ」

 

そう呟いてとんでいく巫女を眺める小町であった。




やっとこまっちゃん達だせた、、、

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