東方 守絆然   作:reira

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急いで書いたためほぼ台本形式となってます、すみません。


番外編 チョコレートの絆

「ふっふ~ん、ふっふわふぅ~♪」

 

ここは紅魔館の調理場。そして副メイド長である絆の主な仕事場だ。

 

そこで絆が楽しそうに作っているのはチョコレート。そう、この日は外の世界ではバレンタインデーの日なのだ。…絆がチョコレートを送る相手はもちろん葉だ。しかし、一人分とは思えない量を作っている。

 

「よしっ!出来た~♪」

 

絆は男の子なのに、何故作っているのか。答えは簡単、絆は少しバレンタインというものを勘違いをしている。

 

「今日はバレンタイン…お世話になった人にチョコレートを送る日です!」

 

絆には気合いが入っていた。

 

「ゆかりん、それ藍さんや橙さんにも渡して下さいね!」「あら、バレてたのね」「もちろんです!」

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

《アリスの家》

「アリス~!」

「はぁ、魔理沙ね。本は盗ませ無いわよ!」

「違う、仕事だ。霧雨宅配便だぜ。」

「どっちかというと宅急便「宅配便だぜ。」…ところで、何が目的?」

「そうそう、コレを渡すことだぜ!」ヒョイッ

「きゃっ」バシッ

「じゃあなー」

 

霧雨宅配便はアリスに荷物をぶつけて去っていった。

 

「もう!なんなのよ!ところで荷物って…これは!」

 

アリスが自分にぶつけられた荷物を見ると、そこにはチョコレートがあった。そして今日はバレンタインの日。

 

「魔理沙…もしかして、私のことが…」

 

魔理沙はとんでもないものを盗んで行きました。

 

《博霊神社》

 

「霊夢~!」

「お茶は無いわよ」

「違うぜ、霧雨宅配便だ。ほら、霊夢にお届けものだぜ」

「だからそれをいうなら宅急便「宅配便だぜ」危ないっ!」

 

いきなり魔理沙は霊夢に荷物を投げつける。慌てて霊夢がキャッチすると、そこに入っていたのは、お金型のチョコレートだった。

 

「絆からだぜ。私ももらった、めちゃくちゃ上手いぜ」

「そう、じゃあ食べますか。」

「ちなみに、お金型なのはお賽銭を兼ねてるんだとさ」

「そう…これ美味しいわね」

「貧乏巫女にはもったいない味だな。」

「なっ!なにを~」

 

《白玉桜》

 

「妖夢さん。これ、よければ幽々子さんと一緒にたべて下さい」

「…毒は入ってませんよね?」

「いれるはずないですよ!友達ですもん!」

「確かに、利益がありませんね。」

「第一毒殺しようにも、私達既に死んでるわよ?」

「私は半分ですけど…って幽々子様!?いつからそこに!?」

 

不意討ちは卑怯です!

 

「ずっと前よ。それより、絆ちゃんスキマ通っていっちゃったわよ?」

「え?あ、本当ですね。また一緒に修行しようと思ったのに…」シュン

「ふふっ。また来るわよ。」

「そ、そうですね!」

 

《命蓮寺・神霊廟》

 

「………………」

 

聖は座禅をくんで瞑想していた。ちなみに周りの弟子達は眠ってしまっている。

 

「…………」

 

周りが眠ってしまっていたため、聖にも睡魔が襲っていた、その時

 

「驚け~!!!」

「きゃあああ!!!」

 

「「「「な、なんだなんだ!?」」」」

 

「やった!驚かせた!これで1ヶ月は持つ!」

 

「………」ワナワナ

 

「あ、そうそう。これ絆から。日頃のお礼の食べ物だってさ。」

 

「問答無用!」「きゃああぁぁぁ!」

 

怒りに身を任せ小傘に弾幕を叩きつける聖をよそに、聖の弟子達はその食べ物を口にする。

「「「「美味しい!」」」」

 

そしてそこにもう一人、こっそり絆の送り物を受け取った者がいた。

「私と神子、布都に屠自古。それに芳香の分もあるじゃない。美味しそうね。早く食べたいわ。」

 

《寺子屋》

 

「みんな!今日は絆から『ちょこれいと』という菓子をもらったぞ!一人一つずつ、順番になー!」

 

「美味しいのだー」

「コレ、キンキンに冷やして食べると美味しいよー!」

「是非うちのメニューに加えたいわ!お酒に合いそう」

「わわっ!虫達が集まってきたな…一人一口ずつだよー」

「リグルが先生みたいなのだー」

 

《迷いの竹林》

 

「妹紅!いるか!」

「慧音か?どうかしたのかい?」

「絆から『ちょこれいと』という食べ物を受け取った。妹紅と一緒にいただこうと思ってな」

「そうか、じゃあ一緒にたべようかな」

 

《旧地獄》

 

「なんだい?この『ちょこれいと』って?甘ったるいがお酒に合うな」

「勇儀はお酒と一緒に食べれば何でも合うでしょ」

「いや、この甘ったるいんがお酒のピリッとしたのにあうんやで、パルパル!」

「その呼び方やめて!妬ましいわね!」

「………美味しい」

 

《地霊殿》

 

「ちょこおいしー」

「甘ーい!」

「そうね。甘くて美味しいわ。私達の口に合うわね」

「でもさとり様、手がベトベト…」

「そうね、手洗い場で洗って来ましょう。」

「さとり様~その手舐めさせて~」

「ダーメ!こら、こいしも舐めようとしないの!」

 

《守矢神社》

「お兄ちゃん!」

「おう!絆か!ってチョコ?あ、今日は…」

「そうです、バレンタインですよ!はい、お兄ちゃんにチョコレートです。」

「サンキューな。絆」

「あっ、ハンちゃん!ちょっと…」

「ビョウちゃんの分もありますよ、どうぞ」

「あ、うん、ありがとう…あの」

「スミレちゃんや神様達にこれ渡しておいて下さい。それでは、失礼します」

「あっ!…いっちゃった」

「あいつ男の子…だよな?何でチョコレートを?」

「そういえば、ハンちゃんはバレンタインチョコをお世話になった人にあげる物だと勘違いしてるんです。」

「まぁ、あながち間違っちゃいないけど…あ、刀華達の分もあるな。」

「……………」

(私も、雪羽さんにあげようと思ったのに…)

 

《永遠亭》

「このチョコ団子美味しいわね、永琳」

「ええ。バレンタインとチョコレート、そして満月。完璧な組み合わせね。」

「おかげで私達が団子を作る手間が省けたウサ」

「うう…絆、ありがとう…師匠や姫様、てゐとお月見出来るなんて…」

「言われてみれば、いつも庭でお団子作ってたからウドンゲだけ一人だったわね」ヨシヨシ

「姫様~!!!」

 

《紅魔館》

「お嬢様、チョコレートです」

「は?私に?」

「はい、日頃のお礼です」

「私の分は~!」

「もちろんありますよ。はい、どうぞ」

「美味しい~」

「ええ、口に合うわ。また作ってね」

「はい。あと咲夜さんに渡しておいてもらえますか?」

「あなたどれだけつくったのよ?」

「友達みんなに配れる程度には」

「…家が一戸建ちそうね。葉には渡したの?」

「いえ、葉には最後に。その…大切な人なので」

「それを聞いて安心したわ。咲夜…は買い物に行かせたわね。咲希、絆のチョコレートを葉以外のみんなに渡して貰えるかしら」

「了解です、お嬢様!」

「咲希には荷が重いわ。チョコレートを落とすのが目に見える…私がやるから大丈夫です、お嬢様」

「ちょ、お姉ちゃん!?」

「そう、安心したわ。頼んだわよ」

「お嬢様!?」

 

つい吹き出してしまい、みんなが笑った。

文句を言う咲希を覗いて…

 

《葉の部屋》※葉視点

「そうですか…みんな貰っているんですね…」

 

植物さんが、絆さんがみんなにチョコレートという食べ物を配っていると教えてくれた。何でも、今日は外の世界で、チョコレートは好きな人にプレゼントする日らしい。なら…

 

「絶対、私にもくれますよね」

 

その時、ドアがノックされる。

 

「入っていいですか?」「いいですよ」

 

絆さんだ。指に絆創膏を貼っている。

 

「その指どうかしたんですか?」

「いえ、その…何でもないです。あの…今日はバレンタインなので、チョコレートを作ったんです。よければ食べて下さい」

「ありがとうございます」

 

一口食べてみる。が、なんだか苦い。錆びた鉄を舐めているかのような味。しかし、そのことを口にすることもできなかった。思わず涙がでる。

 

「………」ポロポロ

「な、なかないで下さい!…やっぱり葉みたいなことは無理ですね。」

「え?」

 

私みたいなこと…

 

「葉の血を飲むと、みんな元気が出てくるじゃないですか。それで、葉には特に元気になってほしくて…それで…チョコレートに僕の血を」

「絆さん…」

 

また泣いてしまった。でも、さっきとは違う嬉し涙。

 

「代わりの分もありますよ?」

「絆さん…別にいいです。絆さんの、特別な思いがこもってますから、さっきのチョコレートのほうがいいですよ。それに、その絆創膏も私のチョコのために指を切ったんでしょう?」

「…やっぱり葉は何でもお見通しですね」

「ふふふっ」

 

やっぱり、絆さんは優しいです。


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